総力戦研究所

昭和15年9月30日 勅令648号にて総力戦研究所官制が公布

戦時体制の研究と軍・官・民の中堅者を教育するための内閣直属の機関で、人格高潔、知能優秀、身体強健にして将来各補方面の首脳者となるべき素質を有する者を35歳くらいを目途として選抜した。総合武力戦、政略戦、経済戦、思想戦などに関するものを研究の対象とした。

企画員総裁 星野直樹を所長事務取扱として各省より研究生を任命、昭和16年1月7日の閣議後、飯村穣陸軍中将(21)を正式に所長に任命、昭和16年4月1日 第1期研究生として選抜された36名が入所した。 民間6名 軍人5名 官僚25名 他に聴講生1名(閑院宮春仁王 当時中佐)であった。

研究所は自由にものが言える雰囲気であった。飯村所長は軍人でありながら東京外語大に在籍した経歴を持ち、語学/特にロシア語と仏語に堪能であった。また、トルコ駐在武官時代にトルコ陸軍大学でフランス語講義を行った実績を持っていた。加えて陸大教官時代外国の戦術書を多く翻訳しており、戦術の専門家という定評もあった。
教育訓練期間は1年間で、昭和16年夏 開戦を想定した第1回総合戦机上演習(日本必敗を予想)は有名である。 本来の目的は『国防』という問題を中心にして、陸海軍人と一般文官とが一緒に議論することによって真の高度国防国家を建設し、完全なる統帥の調和をはかることにあった。しかしその目的は10年先を予見したもので、大東亜戦争下において軍中央部の広い理解を得ることは甚だ困難であった。第3期研究生が昭和18年12月に繰り上げ卒業したあとの研究活動は休止状態で、昭和20年3月31日 逼迫した戦局に伴い廃止された。

歴代 総力戦研究所長     
   階 級  氏 名  発 令  
   陸軍中将  飯村 穣  16.1.11  
   海軍中将  岡 新  16.10.10  所長心得
   海軍中将  遠藤喜一  16.11.1   
   陸軍中将  村上啓作  18.3.9  
   海軍少将  小川貫璽  18.12.16