監査法人経営分析
空前にして絶後、日本初の監査法人の経営状況をアナリスト分析した結果を報告する。

なお、数字は主に日経金融新聞8月18日号に掲載されたものを使用し、給与係数は社員18、会計士9、会計士補5.5、専門職7.5(百万円)と仮定している。なお、業界筋によると社員は代表権のある場合「代表社員」となり、給与ベースもそれなりに違うようであるが、簡易分析を主眼としたため捨象している。
なお、生産性等の法人間比較の比率は、業界首位の太田昭和センチュリーを100とした数値としている。また、中央青山については伊東会計との合併が予定されているため、両法人の数字を単純に合算したもの(合併時にプレスリリースされた数値と同じである)を用いている。

業界としては「商法・証取法に基づく法定監査」が収益源泉となっており、そのほか私学助成法に基づく学校法人監査、労働組合監査などの「その他監査」を補助的に行いつつ、上場コンサルティングと称して将来公開予定の会社を囲い込む「その他付随業務」を行っているものと見て概ね間違いでは無いと思われる。

(短評)
監査法人太田昭和センチュリー
 業務収入、人員で業界首位。しかし、直接部門の「社員(一般事業会社の部長・役員レベルに相当)」の占める比率が以上に高く、社員を除く1人当り業務収入が他法人と比べて遜色が無いことから、社員生産性が極端に低いと考えられる。また、専門職員が非常に少なく、間接部門費も少ない。これは監査法人内部での作業の分業化、専門化が進んでおらず、多くの部分を会計士(人員比率45%!)が兼任していることと予想され、効率の悪い運営状況を生み出しているものと思われる。また、肝心の商法又は証取法に基づく大企業監査の監査収入が他の3法人よりも大きく劣っており、1社あたり1500万に達しておらず、収益性も充分とは言えない。
中央青山(伊東)監査法人
 業務収入、人員で業界2位の規模を誇る。直接部門に占める会計士補の比率が高いため一人当り給与が最も低く、生産性は首位の太田昭和センチュリーに比べ25%も上回っている。また、間接部門の人員が充足しており、監査法人内部の業務分担がコストの安い事務職員に流れており、比較的効率の良い運営がなされていると考えられる。さらに商法又は証取法に基づく大企業監査が937社と最も多く、かつ1社当りの監査収入が1750万円と良好であるため収益基盤としては他と比べ見劣りのしない水準を確保しているといえる。
監査法人トーマツ
 現在、業務収入、人員で業界3位に甘んじているが、かつては業界首位であった。人員構成では専門職員数180人を抱え、付随業務2,218社(45.7%!)のクライアントを有するところが出色。上場コンサルティングからシステム導入など営業活動範囲が広く、著書の出版活動も盛んであり、会計ビッグバン関係の実務書にかけてはスピード、内容ともに優れたものを出してくる。さらに商法又は証取法に基づく大企業監査の1社当り収入が2000万に近く、収益基盤は極めて高い。
朝日監査法人
 業務収入、人員で業界4位に転落したが、僅差の4位であり、さらに専門職員を175人抱え,間接部門にも中央青山並みの人員を配していることから、成長性、効率性のバランスの取れた法人であるといえる。特筆すべきは単純1社当り売上が最も高く、首位の太田昭和センチュリーよりも15%も高い。

中央青山伊東 朝日 トーマツ 太田昭和セ
代表者名 上野 紘志 岩本 繁 高岡 次郎 竹山 健二
事務所 千代田区 新宿区 港区 港区
業務収入 37,011,000,000 31,049,000,000 31,622,000,000 37,672,000,000
人員構成        
社員 362 15.2% 318 15.5% 312 14.6% 541 19.8%
公認会計士 829 34.9% 679 33.1% 885 41.3% 1,217 44.5%
会計士補 668 28.1% 576 28.1% 534 24.9% 666 24.3%
専門職員 130 5.5% 175 8.5% 180 8.4% 29 1.1%
事務職等 385 16.2% 302 14.7% 232 10.8% 283 10.3%
合 計 2,374 2,050 2,143 2,736
給与ベース係数操作後 2,016,600 1,752,350 1,879,600 2,570,350
1人当たり給与 849.452401 854.804878 877.0881941 939.4554094
90% 91% 93% 100%
売上/係数操作後数値 18,353 17,718 16,824 14,656
生産性 125% 121% 115% 100%
係数操作後社員費 651,600 572,400 561,600 973,800
係数操作後直接費 1,211,000 1,059,150 1,225,200 1,483,350
係数操作後間接費 154,000 120,800 92,800 113,200
係数操作後間接費比 8% 7% 5% 4%
関与会社数        
(1)証券取引法監査 937 19.7% 685 17.8% 795 16.4% 924 17.2%
(2)商法監査のみ 1,169 24.6% 1,032 26.8% 829 17.1% 1,625 30.3%
(3)その他監査 1,627 34.2% 1,114 29.0% 1,015 20.9% 2,180 40.6%
(4)付随業務 1,025 21.5% 1,016 26.4% 2,218 45.7% 635 11.8%
合 計 4,758 3,847 4,857 5,364
単純1人当たり売上 15,590,143 15,145,854 14,755,950 13,769,006
113% 110% 107% 100%
売上/社員数 102,240,331 97,638,365 101,352,564 69,634,011
147% 140% 146% 100%
売上/専門職員数 18,607,843 17,762,586 16,547,357 15,357,521
121% 116% 108% 100%
売上/社員以外職員 18,395,129 17,926,674 17,270,344 17,162,642
107% 104% 101% 100%
単純1社当たり売上 7,778,689 8,070,964 6,510,603 7,023,117
111% 115% 93% 100%
商証1社当たり売上 17,574,074 18,083,285 19,471,675 14,779,129
119% 122% 132% 100%