誰も書かなかった日本医師会 水野肇
草思社 2003年8月28日第1刷発行

何故圧力団体としてこれだけ医師会が発言力を持つのか。
その疑問を持つと必ずぶち当たるのが武見太郎という存在である。
矛盾を含みつつ長きに渡って権力を持った武見の何たるかについてはいつも疑問に思いつつ、なかなか全体像がつかめるような書籍に出会わなかった。
ある意味、今回水野氏が書かなければそれだけの力量を持った存在はいなかったのではないかとも思える。

医師会、医師の考え方、医療行政その他いろいろ本当に勉強になったが、個人的には武見太郎の勉強術の一端が語られたP116に唸らされた。

「武見は『洋書を見て、他の本に書いていないことは、この本のどこにあるのかを見つけて、そこだけを読めばいいのだ。そのためには、いつも知識が整理されている必要がある。(後略)』と言っていた。」

単に「ケンカ太郎」ってだけではなく、読みの鋭さが彼の強みであったことを容易に想像できる。

武見以後の各会長についても記述があるが失礼ながらまぁ格が違う感じだ。

なんにせよ、医師会という存在、行政、そして今後の日本の医療を考えようとする人間なら読まずには通れないんじゃないかと思った。
(ただ、できれば消費税導入時に「大蔵省に騙された」話も書いてほしかったと思うがそれは欲張りすぎだろう。)

なお、一番笑えたのは、P117の、

「ある日、武見が田中角栄と話をしていて、田中が『うちには虎を一匹飼っている』と田中真紀子のことを言ったら、『お互いに娘は大変だな』と武見が答えた現場に私もいた。』

であった。

いい話だ(笑)。