民事再生法関連書籍review (2000/09/13)


民事再生法についてはまだ施行されたばかりで、
実務のほうについては、地方などの場合、
裁判所も手探り段階ということが少なくないようである。
ということで、残念ながら、弁護士さんでも、
勉強されている方とそうでない方とで知識に大きな差がある
ようである。
(和議に詳しい弁護士でも民事再生法は「まだ勉強中です」
ということは別に驚くことではないらしい(^^;)

で、とある事情で、民事再生法関連書籍を収集せざるをえなく
なり、結果としてわかったことを書籍reviewとともに書き留めて
おくこととしたい。

なお、用語・用法には間違いを含むこともありえるので、
実際の利用時には各自、自分自身の目で原典を確認してください。



「入門民事再生法 申立手続と裁判実務」 東京弁護士会 ぎょうせい

以前もコメントしているが、東京地方裁判所判事による、
「民事再生手続の裁判実務」が類書では読めない記事だと思われる。
方式がイロイロと解説本には書いてあっても、
実務的には原則として監督型になるらしいというのも
これを読めばわかる。
入門とあるが、初心者向きではないので注意。
本気で知識を必要な人向けの入門である。


「社長よ『民事再生法』で再起せよ 会社の危機を救う新法」 栃木義宏

以前もコメントしているが、和議を数多く手掛けてきた弁護士による書籍。
早い時期に出された割には細かい記載がある。
実際に申立を検討している企業向けの本だと思う(^^;。
担保権消滅制度とリース契約との話など、参考になるだろう。
なお、個人的には、
申立会社は業績を月一度裁判所(監督委員)に報告する
ってのが、
本当に遅滞なくできるのか、多くの中小企業では疑問じゃないかと思う。
だって、会計重視せずに倒産招いているケースが多いのに、そんな急に
できるのかなってのは誰でも思うよね。
多分、申立する弁護士さんは、後は会社任せって話なんだろうなぁ。
法の趣旨を経営者がわかっていない場合、ここで躓く会社もあると思う


「民事再生法 要点解説と条文対照」 新再建型手続研究会編 新日本法規

文字通りの条文解説なので、アクセントがついていないので、
これで足りると言う一冊ではない。
ただ、辞書的に使うにはいいかなという感じ。


「民事再生手続きの運用モデル 手続の流れの理解のために 付参考書式」法曹会
「民事再生法の急所」 山本晃夫 東京布井出版

ともに参考書式が必要な人向けの本。


「ビジネスマンのための民事再生法」 新再建型手続研究会編 日経BP社

取引先が民事再生法を申立したり、民事再生法を申立している会社と取引
しようとしているなら、一冊持っておくことをお勧めします。


たとえば、決定後の債権が共益債権になり、それ以前は原則再生債権になる
というのはどの本でも触れているのだが、その意義をきちんと書いてある
のはこの本くらいだと思う。

つまり、
申立後、開始決定までの間に発生した債権はどう取り扱われるか?

という論点である。

これ、原則として再生債権になるということは、要するに、
債権一部切り捨ての対象になっちまうってことです。

「マジ?冗談ポイよ?」

でも、そうなんです。

そうならないようにするには、
事前に監督委員の同意(共益債権にすること)を得て、
共益債権化しておく必要がある
のです。

取引側も知っておく必要がありますけど、申立会社側も知らないと、
相手に迷惑をかけることになって、結局後で自分が苦しむことになります

申立会社の弁護士さんがこういうところを事前にケアしてくれていればいいのですが、
必ずしもそうではないようで、
ある監督委員いわく、
「あまりにも何にも報告が来ないから、会社に電話したんですよ。
ワタシは別に困らないんですけど、御社が困るんじゃないですかね?
本当にいいですか?って。」
・・・会社側は慌てて対応したそうです。

詳しくはP102〜P106を実際にあたってみることをお勧めします。

あと、相殺可能債権があっても、届出期間までに相殺していない場合は、
もはや相殺ができなくなる
など(P123以下)も注意点でしょう。