アフガニスタン−アメリカンからのメッセージ

2001年9月15日

「アフガニスタンを爆撃して石器時代同様にしてしまおう」。こんな議論が多く聞かれる。今日のラジオ討論番組でロン・オーエンは、この爆撃がテロになにも関係のない、無実の人々を殺戮ことをも意味する、と認めた上で述べた。「戦争ですから、このような付随する被害は容認するしかないのです。それ以外に方法があるでしょうか」。数分後テレビで専門家が、やらねばならぬことを実行するにあたり、「我々の腹はすわっているのか」を議論していた。私はアフガニスタン出身者として、もち上がってきたこうした論争を特につらい気持ちでうけとめている。アメリカに35年間も住んでいるとはいえ、故郷で何が起こっているのかは常に把握してきた。そこで、私のところからは物事がどう見えているか、聞いてくれる全ての人に伝えたい。

私は、タリバンとオサマ・ビン・ラーディンを心から憎む者の一人であり、私の憎悪は直接の経験に起因するものである。この者らが、大惨事を起こした張本人であることは、私にとって歴然で疑いの余地がない。ばけものたちに対して行動を起こすことには賛成である。
だがタリバンやビン・ラーディンはアフガニスタンではないのです。アフガニスタン政府ですらないのです。タリバンはアフガニスタンを1997年にのっとった、無知で凶暴な狂信的宗派であり、ビン・ラーディンはある計画を遂行中の政治犯である。タリバンを考える時、ナチスを思い出してみてほしい。ビン・ラーディンはヒットラー。そしてアフガニスタンの人々は、強制収容されたユダヤ人たちである。

アフガニスタン人は、この残虐行為になにも関与していないというだけではない。彼らこそが、最初の犠牲者であった。誰かがやってきて、タリバンを取り除き、祖国に巣くう国際犯罪組織を一掃してくれれば、アフガンたちは大喜びするだろう。
ではなぜ、アフガンたちは蜂起して、タリバンを倒さないのだろうと思う人がいるかもしれない。それは、彼らが飢え、心身ともに疲れ果て、傷つき、迫害され、苦しみもがいているからです。
2、3年前国連は、アフガニスタン−経済活動も、食料もないこの国には、50万人もの障害を負った孤児がいると概算した。何百万人もの未亡人もいる。タリバンたちはこれらの未亡人たちを大衆墓地に生き埋めにしてきた(*1)。土壌は地雷でぼろぼろであり、農場はすべてソビエトが破壊した。アフガンがタリバンを倒せない理由の一部である。
ここで、「アフガニスタンを爆撃して石器時代同様にしてしまおう」という問題について考えてみよう。悲しいことに、これはもう済んでいるのだ。ソビエトがすでに片付けた。アフガンを苦しめる?彼らはもう苦しんでいる。住宅を全壊させる?これも済んだ。
学校を瓦礫の山にしてしまう?済んだ。病院を根絶やしに?これも済んだ。道路や発電所などのインフラを破壊する?薬や医療を取り上げる?もう遅い。全てだれかがやった後だ。
新しい爆撃は、これまでの爆撃の瓦礫をかき回すだけだろう。それでも爆撃で、少なくともタリバンを仕留めることができるのか?−できないだろう。現状のアフガニスタンでは、タリバンだけが物を食べ、タリバンだけが移動の手段を持つ。彼らはするりと逃げて隠れてしまうだろう。

爆弾で殺されるのは、障害を負った孤児たちだろう。彼らは素早く逃げることができないし、車椅子さえないのだ。首都カブールの上から爆弾を落としても、犯罪者たちには、全く打撃を与えないだろう。そればかりか実際には、タリバンに協力することになる。−タリバンが今までもずっとしいたげてきた人々を、さらにもう一度しいたげることによってだ。

では、他になにかあるのか。何がなされるべきなのか。私は恐怖に戦慄しながら、このように考えている。ビン・ラーディンを仕留める唯一の方法は、陸軍を率いて乗り込むことだ。「腹は十分すわっているか」と問われれば、必要に応じて大勢を「殺す」腹、無実の人々を「殺し」ても、良心の呵責に打ち勝つことができる腹、と考えるのが普通だろう。目を覚まして下さい。本当に考えなければならないのは、「殺される」アメリカ人のことです。アフガニスタンに行き、ビン・ラーディンの隠れ家へ行く途中に戦死するアメリカ兵のことだけを言っているのではありません。皆さん、これはもっともっと大勢の人を巻き込みます。
陸軍がアフガニスタンに入るためには、パキスタンを通らなければならない。パキスタンはあっさり通してくれるだろうか?まずあり得ない。パキスタンを先に征服しなければならないだろう。その時、他のイスラーム諸国はただ傍観するのか。話しが見えてきただろうか。私達はイスラーム対西洋の世界大戦の可能性をもてあそんでいるのだ。
そして、想像して下さい。これがビン・ラーディンの計画なのです。これこそが寸分たがわず、彼が望んでいることなのです。テロを起こしたのもこのためです。彼のスピーチや声明文を読んでみて下さい。そこに全てが述べられています。彼は本気でイスラームが西洋を打破すると信じています。そんな大げさな、と思うかもしれない。しかしラーディンは、もし世界をイスラームと西洋に二分化させることができれば、自分が10億の兵士をもつことになると算出している。西洋がこれらの地で破壊、報復を行えば、これ以上失うものがない10億人の人々が現れる。ビン・ラーディンから見れば、これはさらによい傾向だ。西洋が勝利した後残るのは−勝利が何を意味するにしても、「彼は間違っていた」ということだ。そのために、この戦争は何年も続き、相手だけではなく私達の中からも何百万もの死者がでます。こんな「腹」をすえる必要があるのでしょうか。
不幸にも、ビン・ラーディンが腹をすえています。あなたは腹をすえますか?

平和につつまれ
Tamin Ansary



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アフガニスタン現地からのレポート:報道機関の煽る危機感