ヘッジ・ファンドってなあに?(8月24日更新)


よく、新聞などで「ヘッジ・ファンドが動いている」「ジョージ・ソロスが売っている」なんて書かれてますよね? なんかアヤシイ動きがあるとすぐヘッジ・ファンドって名前やジョージ・ソロスって名前が出てきます。 ここではヘッジ・ファンドが何かをちょろっとご紹介♪

孔の個人的見解によるヘッジ・ファンドの定義
ヘッジ・ファンドの歴史
ヘッジ・ファンドの数
ヘッジ・ファンドの種類
ジョージ・ソロス
タイガー・マネジメント
標的になった日本の銀行

孔の個人的見解によるヘッジ・ファンドの定義

まずは、堅苦しい言い方で。
ヘッジ・ファンドとは、株式や債券といった証券だけでなく、 通貨、不動産、金や原油といった国際商品等あらゆる商品を投資対象とし、 先物、オプション、スワップ、貸株制度(文字通り株を貸し借りすること)などの手段を利用して、 もうけを最大限大きくし、投資するときのリスクの最小限に小さくするとこを狙い、 同じにデリバティブ等も使って、レバレッジ効果(少ない資金で多くを得る)を狙うファンド (基金、投信みたいなの)である。

ぶっちゃけて言うと、
要するに何でもかんでも扱って、いろんな手段を利用して、ちょっとのお金で一杯儲けよう!という投信みたいなもの。 だがしかし!個人が証券会社の店頭でヘッジ・ファンド下さいって言っても買えないんだな。 とっても限定的なのです。理由はいろいろあるけど、とっても激しく動くのでリスクが高いし おおっぴらにもしてないかららしい。
(異論はあるでしょうが、これは私の個人的見解です)

とにかく扱うものは株だったり債券だったり通貨だったり色々。買うのから始めるのではなくて 売りから始めたりもするから、すっごく投機的なこともあり。よーするに何でもアリの世界です。
もっともこんな感じになったのは割と最近でここ10年くらいの話。ヘッジ・ファンドという名前が新聞紙上の載る ようになったのもここ10年くらいのこと。でも、実はもっと昔からあるのでした。

ヘッジ・ファンドの歴史

ヘッジ・ファンドが初めて生まれたのは1949年で、A・R・ジョーンズというのが第1号といわれてます (出典 「Euro Money」1994年4月号)。つまりすでに50年の歴史があるわけ。だけど、ヘッジ・ファンドが 世の中で注目されたのはごく最近。1987年10月のブラック・マンデーの後からなんでした。この時のアメリカ 株は、トリプル安といって株・債券・通貨(ドル安)がみんな弱くなって値下がりしてしまい、どの商品に 投資してても大損したのでした。そこで投資家達は考えた。今までのやり方じゃダメだ、投資してるお金を危険に晒さない ようにするもっと良い方法を見つけなくっちゃ。ここで目をつけたのがヘッジ・ファンドだったんですねー。 ちなみにヘッジっていう言葉は危険(リスク)を回避するというのが本来の意味。

例えがちょっと悪いけど・・・・あるところに魅力的で結婚願望の強い女の子がいて、 病院の跡取息子でお医者サンの恋人がいたとする。 彼女は彼と結婚したいけど、彼女は普通のサラリーマン家庭出身だから彼の両親は反対するかもしれない。 もしかしたら捨てられちゃうかも!と不安におののいた彼女は商社マンの彼とも交際し始める。本命がお医者さんだと したら、商社マンはキープ君。うまくお医者さんとゴールインできればそれにこしたことはなし(この場合キープ君は 振られるわけだけど)。 もしふられてしまっても、キープ君の商社マンと結婚すれば とりあえず結婚願望は満たされる。キープ君はいってみれば保険のようなもんです。
この一連の彼女の行動がヘッジをかけるという行為なんです。

つまり、結婚=目的、本命恋人と結婚できないかもしれない=リスク、キープ君を作る=ヘッジをかける。
男性諸氏怒らないでね〜。

ヘッジ・ファンドの数

実はよくわかってない。いや、ホントにそうなんです。なんでかっていうと、
1.何でもありなので線引きが難しく、把握しにくい。
 一応の定義はあるけど、「オレたちはヘッジ・ファンドだ」っていえばヘッジ・ファンドになってしまう。
2.正式な業界団体が存在しない。
 大抵は官製だろうと自主機関だろうと業界団体があるんだけど、ヘッジ・ファンドってみんな勝手にやっているので ないんですね。だから大蔵省みたいな監督官庁が報告書よこせっていう先がないので正式データがない。統計も無し。
3.ヘッジ・ファンドを監督するところが無い。
 これは最近作ろうという動きがでてますけど、まだはっきりしてません。実質的に野放し状態。
4.ヘッジ・ファンドは無国籍
 一応、登記上はカリブ海のバミューダとかケイマンなど税金天国地帯にあるけど、 実際には活動地域は限られてない。もっとも世界1大きい金融市場はアメリカなので8割方はアメリカで 活動しているらしい。
5.世界の全てのヘッジ・ファンドを常におっかけている調査機関が無い。
 一応ヘッジ・ファンド・リサーチという会社があって、ここの資料では97年末3000くらいあって 約3,700億ドルのお金が運用されているらしい。でももっと色々 一杯あるという話で正確な数が不明。3000以上この会社は追っかけられないんだそうな。 ジョージ・ソロスの弁護士さんが「5000くらいあると思うけど投資対象に できるのは1000くらい」といってるそうだから5000かもしれない。
6.いきなり出来たり、無くなったりする。
 年間300〜400が誕生する一方で、同じくらいの数のヘッジ・ファンドが解散・消滅したりするらしい。 これはでかくても同じ。業界3位だったヘッジ・ファンドでスティンハルド・パートナーズ(マイケル・スティンハルド 氏が運営してた)っていうのがあったけど、ここは今は解散してしまった。

まだまだ理由は一杯あるけど、ようするに統計もなけりゃ、栄枯盛衰がとっても激しいので、実態がわからないのでした。 ヘッジ・ファンドの全体像は構造的なベールに包まれているので、誰もその全身をはっきり掴むことができないのです。

ヘッジ・ファンドの種類

一番多いのが何かというと、「分類不能・その他」なんだって(ヘッジ・ファンド・リサーチ社)。何でもありだから 分類できないって事。次に多いのがグローバル・マクロっていうもの。これは投資する先を、文字通り グローバルつまり地球規模でやるってことで、さらに為替とか金利とか先物といったマクロ経済に関係のあるものを 選んで投資するやり方。ここでは、大局観と方向性、投資するもの正当な価値なんかが大事とされます。
この他、エクイティ・ロング・オンリー(株を長く持つやり方)、エマージング・マーケット(発展途上国ばっかり 選ぶ方法)、ディストレスト・セキュリティーズ(倒産したとこの極端に叩き売りされた証券を中心に運用する方法)、 転換社債の裁定取引などがあります。もちろん、一部だけとか混合型もある。

ジョージ・ソロス

ヘッジ・ファンドといえばジョージ・ソロスといわれる程に金融界では超有名人の彼。 ソロス氏は1930年生まれのハンガリー人。一説にはユダヤ系だとか。なかなか波乱万丈な青少年期を 過ごしたらしいんですが、大学卒業後は職を転々としたのちにロンドンでトレーダーを勤め、1969年 39歳の時にクォンタム・ファンドというのを作った。このクォンタム・ファンドは現在、世界最大の ヘッジ・ファンドといわれてます。
彼の名前が一躍有名になったのは1992年9月、英国の中央銀行イングランド銀行をやっつけてしまった時。 なんと一国の中央銀行を1週間でやっつけてしまったのでした。この時、英国通貨ポンドの値段が経済状態から 考えておかしい高すぎだと考えたソロス氏は、ポンドの切り崩しに挑戦し成功して多大な利益を得たのでした。
最近ではソロス氏の行動も有名になりすぎ、クォンタム・ファンドも約100億ドル(98年6月)と巨大になりすぎ、 今までのようにダイナミックな活動がしづらくなっているみたいです。ソロス氏の息がかかっているといわれる ヘッジ・ファンドは約200億ドル(98年6月、約二兆円)だけど、時にはオプションなどをつかって 一瞬500億(約五兆円)ドル近くに膨れることもあるそうなので、影響力は計り知れないです。種類もいろいろあって 大きい順にいうと、クォンタム・ファンド、クォータ・ファンド、クォンタム・インダストリアル・ホールディングス、 クォンタム・エマ−ジング・グロース(発展途上国の成長のこと)、クァーサー・インターナショナル・ファンド等が あります。余談ですがソロス氏は慈善家としても有名でいつも山のような金額を寄付しているらしい。

タイガー・マネジメント

ジョージ・ソロスだけが有名なんではありません。大きさ的には2番手になっちゃうけど、このタイガー・マネジメト というジュリアン・ロバートソンというアメリカ人がやってるヘッジ・ファンドも有名です。中でも タイガー・ファンドが有名。
ロバートソン氏はソロス氏より1歳年下で、得意技は株式投資。 わりと株関係が多いとこが、何でもありという感じのソロス氏と違ってます。 あんまり目立つことが好きではないらしく、メンバーもソロス氏のとこと比べると地味目らしい。 でも扱っている金額はなかなかで97年末で150億ドル(約1.7兆円)だからなかなか。 具体的には、アメリカでの個別株オブション、香港、東京での株式指数先物取引なんかで儲けているらしいです。

標的になった日本の銀行

1992年の4月から日本ではどこからともなく銀行株がじゃんじゃん売られはじめて値段がガタガタに なった時期があります。実はこれヘッジ・ファンドのしわざといわれてます。当時、海外の貸株市場でヘッジ・ファンドが 日本の銀行株を借りてきて売払っぱらい、安くなったら買い戻して儲けてたらしい(株はその後貸主に返す)。 銀行株を貸してた中には日本の金融機関もかなりいたそうです。株もっているだけじゃなんもならないからって 貸して貸賃(年率4%前後)をとってたんですね。別に違法な行為は何も無し。欧米では割と初歩的な 投資方法だったらしいんですが、この時の日本は結構パニクった。今までそんな事するヤツがいなかったから。 資金がでかいから相場が崩れたんですね。
大蔵省も金融不安になると焦った。 4月〜9月までの間、日経225が16%値下がりしたのに対して、銀行株指数が29%も値下がりしたんだもの。 大蔵省が乗り出して調べた結果ようやく実態が見えたらしいんですね。最近は銀行大再編で買われているらしいけど。

この他、97年7月のタイ・バーツ危機とか色々ヘッジ・ファンドは物議をかもしてます。資金がでかくて 小さい国の金融市場を滅茶苦茶にしてしまったりするので、アジアや中南米では戦々恐々としてる感じです。 マレーシアのマハティール大統領なんて名指しでソロス氏非難とかしてた。とにかく暴力的な破壊力を持つので、 ヘッジ・ファンド担当者にもコントロールが効かない面があります。あんまり影響力が凄いから 規制しようという動きもでてます(規制反対派も凄い)。
もっとも成功するばかりでなく、去年の8月のロシア危機でぐちゃぐちゃになってしまった ロングターム・キャピタル・マネジメントなんてのもありました。

まだまだ色んな事をしでかしそうで目が離せない、そんな存在がヘッジ・ファンドというわけです。

なお、この頁は「グローバル・マネー」(保田圭司著、徳間書店、98年8月発行)を参考にして作りました。

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