アジアのHRM・コンパクト

アジア地域の人材マネジメントをコンパクトにまとめてみました

台湾

  • 60%以上の企業は、明確な人事部の存在しない中小企業である
  • 政府系企業、中国的家族企業や欧米企業および日本企業の現地企業が混在
  • 日本的経営の影響は、欧米的経営よりも強い
  • 大企業でも人事部の位置づけは、財務、マーケティング部門などよりも低い
  • 人事部は基本的に、地位が低く、受動的で、戦略的ではない
  • 大企業の人事部では、職務分析、職務評価、人事考課、賃金管理などを担当
  • 中小企業の要職は家族的関係で占められ、その他採用も縁故が多い
  • 職務記述書のようなものは発達していない。職務に基づいた賃金決定ではない
  • 多くの大企業には教育部門もあるが、中小企業は人材教育には消極的である
  • 賃金は基本的に年功給で、多くの企業で年1回の賞与を支給している
  • 中小企業は離職率が高いので、賃金は外部マーケットを見て決める
  • 労使関係については、対立を避け、協力していこうとする傾向がある

シンガポール

  • 政府が雇用問題、労使関係問題や人材育成などに積極的に関わっている
  • 欧米および日系の多国籍企業、中国系家族企業、中小企業などが混在
  • 半数以上の企業は、戦略的な人材マネジメントを志向していない
  • 経営維持機能としての人事管理、採用、職場管理、苦情処理などが中心
  • トレンドとしては、多くの企業が人材マネジメントに力を入れていこうとしている
  • 社会的序列と面子を重んじる為、オープンな人事考課への抵抗感が強い
  • 全体的に人材不足で、人材の離職率が高い
  • 人材の離職率が高い為、企業は人材教育投資には消極的である
  • 日系企業は現地の雇用慣行に合わせた人事管理を行う場合が多い
  • 米系企業は、米国流のHRMを持ち込もうとする傾向が強い

香港

  • 管理は儒教的な伝統を持つが、欧米のHRMも積極的に取り入れていこうとする
  • 人事部門は、保守的、受動的な役割から、人員計画や企業変革など積極的方向に変化しつつある
  • 人材は常に不足気味、採用は面接と書類が中心
  • プロフェッショナルについては、成果主義の考課が主流

中国

  • 政府による人的資源のコントロールが顕著である
  • 欧米型のHRMは普及していないが、徐々に紹介されつつある
  • 団体交渉の仕組みなども紹介されつつある
  • 人的資源が企業競争力に結びつくとという考えはなかったため、人事プロフェッショナルは発達していない
  • 国営企業等の管理部門は、欧米とは異なる分類で組織されており、人事部門という統一されたくくりではない
  • 国営企業などでは、労務管理、労使関係、給与、教育などは、別々の部門として扱われている場合が多い
  • 基本給や現物支給による報酬形態である
  • 人事考課は国営企業では広く用いられているが、忠誠心やモラルといった項目が重視されている
  • 人材教育に関しては政府の介入度が高い
  • 年功、貢献度、人間関係といった要素による昇進が行なわれる
  • 定年制を用いている国営企業が多い

韓国

  • 安定志向の伝統的な年功序列システムは崩壊しつつある
  • 能力や成果志向の人事マネジメントへの志向が強まっている
  • 長期的志向から、短期的志向の人材マネジメントへ変化しつつある
  • 安定的な雇用から柔軟な雇用への変化に対しては労働側からの抵抗感がある
  • 経営側は従業員の生産性への危機感が、労働側は雇用安定への危機感がある
  • 人事部門マネージャーの自由度が高まりつつある
  • 人事担当者は、プロフェッショナルとして認識しているわけではない
  • 家族的経営は減少しつつある
  • 韓国独自の人事マネジメントの方法を模索しつつある

タイ

  • タイ系企業や欧米系企業では、監視監督型のマネジメントスタイルが主流、日系企業では育成型のマネジメントも見られる
  • 日系企業や家族企業では、ラインマネージャーが人事労務管理を担当する場合が多く、タイ系や欧米系の企業では、人事専門のマネージャーが人事労務管理を行う
  • 採用活動は、公式的かつ統一的に行なわれる傾向がある
  • 職務分析に基づく賃金決定が多いが、成果主義への対応や外部市場への対応が増加しつつある
  • 労働条件は、個別で交渉する場合が多い
  • 労働組合の活動は制限されているが、インフォーマルな組織的活動はある
  • 日系企業ではチームワーク重視、その他の企業でもチームワークへの関心は高まっている
  • 日系企業では企業内トレーニングに力を入れているが、その他の企業の人材教育は消極的である

 

 

参考文献

Rowley C (Ed.)(1998). Human Resource Management in The Asia Pacific Region: Convergence Questioned. London, Frank Cass.

Moore LF & Jennings PD (Eds.) (1995). Human Resource Management on the Pacific Rim: Institutions, Practices, and Attitudes. Berlin, Walter de Gruyter.