次世代リーダー向けBook Review

Nicholson, N. (2000). Executive Instinct : Managing the Human Animal in the Information Age. Crown Publishing Group.

著者はロンドンビジネススクールの組織行動論の教授である。ビジネスを実際に行なうのは人間であり、そもそも人間は動物である。動物として人間を捉えると、私たちの脳は実は石器時代からそれほど進化していない。このような、石器時代の人間が現代社会に生きるという視点を重視する進化心理学の立場から、マネジメントを考えようとする画期的な書である。特に、動物としての人間が持つ、本能、感情、集団心理、性差などのトピックとマネジメントの諸現象を結びつけ、私たちが人間としてどうマネジメントの実践を行なうべきなのかについての洞察を得る。

Fombran, C. J. (1996). Reputation: Realizing value from the corporate image. Boston, MA, Harvard Business School Press.

最近では、バランスシートにのらない「隠れた資産」に注目が集まっている。人材というのもその1つである。では企業の評判というのはどうか。本書は、企業の評判が企業競争力を決定付ける重要な資産の一つであるという視点に立ったものである。

世の中には企業に関する様々なランキングがあり、様々な評価や評判がある。それらはどのようにして企業競争力につながっているのか、どう人々やビジネスに影響を及ぼすのであろうか。そういったメカニズムを、複数の事例を交えながら考察している本である。戦略的に世間の評判を勝ち取り、それを武器にして企業競争力を発揮させていきたい経営トップ必読の書であろう。

Mintzberg, H, Ahlstrand, B, Lambel, J (1998). Strategy Safari: A Guided Tour Through The Wilds of Strategic Management. New York, NY: Free Press.

卓越した観察力と洞察力、表現力を持つ研究者ミンツバーグが中心になって書かれた経営戦略論の概観書。これまでの戦略論の研究を、10個の学派に分けてまとめているが、このまとめかたは芸術的とさえいえる。それぞれの立場、姿勢、実践への影響などについてが非常にわかりやすくまとまっており、かつ、経営戦略論の全体をエッセンスを抽出するような形で解説しているので、戦略論教科書としても適している。デザイン学派からはじまり、プランニング学派、ポジション学派などと続いていく。チャンドラーやポーターから、野中郁次郎も含め、キーとなる人物とその理論はきっちりと押さえてある。そして、最後の学派は、ミンツバーグ自らがリードする学派でしめくくっており、いちおう自分達の考え方が最も先進的であるというように見せるオチもある。

戦略論の分野の膨大な研究の全体像を、エッセンスを落とさず網羅的にマスターし、それを経営戦略に生かしていきたいトップマネジメント、経営企画担当者、コンサルタント志願者などにお勧めである。

Hambrick, DC., Nadler, DA, & Tushman, ML (eds.) (1998). Navigating Change: How CEOs, top teams, and boards steer transformation. Boston, Massachusetts, Boston: Harvard School Business Press.

企業におけるCEO、トップマネジメントチーム(TMT)、そして取締役は、企業の舵取りを行なう最も重要なメンバー達である。彼らのリーダーシップが企業の命運を決めるといっても過言ではない。本書は、経営におけるこの3つの役割と機能について、最新の研究結果を踏まえた形で、コロンビア大学の研究者を中心とする一流の研究者達によって書かれたものである。次世代のリーダーとなるべき人物、彼らを育てていきたい企業、あるいは、トップのリーダーシップについての関心お高い読者の皆さんにはお勧めの書である。

Conger, JA., & Benjamin, B (1999). Building Leaders: How successful companies develop the next generation. San Francisco: Jossey-Bass

次世代のリーダーをどう開発していくかは、これからの企業にとってまさに死活問題となるべき過大である。個人としてのリーダーの育成、企業としてのビジョンや価値の醸成、そして戦略的リーダーシップ開発について、具体的なケースを取り混ぜながら解説している。これまでの日本企業は、リーダーシップという概念に対してあまり敏感ではなかったが、これから求められるリーダーとは何か、そして有能なリーダーをどう育てていけばよいのか、後継者の育成をどうしていけばよいのか、などについて悩みを抱えている読者にお勧めする。