組織コミットメントは本当によいことか?

組織コミットメントとは「個人が特定の組織に対して強い一体感を持ち、その組織に深く関わること」と一般的に定義されます。通常、高い組織コミットメントは組織にとって良い方向に働くと考えられています。つまり、メンバーのコミットメントが高まれば高まるほど組織にとっては良いことである、という意味です。

組織コミットメントは、3つの要素を持っています。それは「組織のゴールや価値観に共鳴していること」「組織のためになるようなことに対して労力を惜しまないこと」「組織のメンバーでありつづけたいという強い願望を持っていること」です。

このように、組織コミットメントが重要な概念であるとの認識から、多くの研究がなされてきました。その結果、組織コミットメントには、態度的要素と、行動的要素があるということが言われるようになりました。態度的要素は、組織に対する一体感などを指し、行動的要素は、組織にとどまろうとする行動を示唆するものです。

さらに研究が進んだ結果、組織コミットメントは、単一的な次元のものではなく、複数の異なる次元を含んでいるように考えられるようになりました。1つ目の次元は、感情的次元で、組織に対する好意的な気持を表すものです。2つめの次元は継続的次元で、今まで組織に関わってきたことの慣性力によって、組織に留まらざるを得ないような状況にあるようなものです。つまり、いま組織を離れることは自分にとって多大な犠牲を強いることになるのでとどまろう、という意味でのコミットメントです。3つめの次元は道徳的な次元で、自分が組織に深く関与することが道徳的に望ましいだろうという判断からくるコミットメントです。

このような次元に分けることによって言えることは、感情的次元は、組織に対する好意、つまり組織に留まりたい、組織のためになりたい、という希望を強く表現しているのに対し、継続的次元や道徳的次元は、組織に留まったり、組織のためになる行動をする必要があると判断している、ということです。そして、組織コミットメントの感情的次元が高いと、職務パフォーマンスや満足感の向上など、プラスの効果が大きいのに対し、継続的次元や道徳的次元の場合は必ずしもそうでないということがわかってきました。