コンサルティング業界のウソとホント

コンサルティング業界のイメージというのは、コンサルティング志願者のネットワークによる情報交換によって形成されていく場合が多い。つまり、実際にコンサルティング・ファームで働いている者からの情報を、そこで働いた経験のない志願者同士で伝え合うことによって、徐々にその地図が描かれていくわけだ。

もちろん、それ以外の要因によっても、イメージができあがっていくが、特にコンサルティング業界を目指す人達にとっての情報源は、同じ志願者や、先輩や、ジョブフェアや、あるいはビジネス雑誌などによるので、一次情報であるとはいえない。

このようにして出来上ってきたコンサルティングイメージの代表例は、ファームのタイポロジーである。以下のようなタイプ分けが、あたかも「あたりまえの常識」のように、志願者の間ではびこっている。そのタイプ分けとは、以下のようなものである。

  • 戦略系ファーム(マッキンゼーやBCGなど)
  • 会計系ファーム(アンダーセンコンサルティングやデロイトトーマツなど)
  • 人事系ファーム(ウイリアムマーサーやワトソンワイアットなど)
  • シンクタンク系ファーム(野村総研や三菱総研など)

しかし、注意しておきたいのは、この「あたりまえの常識」であると思っているタイプわけこそが、志願者あるいはその他の関係者によって作り上げられたイメージにしか過ぎないので、こういった既成概念を先ず疑ってみることこそ、コンサルタントに求められるクリティカルシンキングでもある。

このようなタイプ分けがどういう歴史的なプロセスを経て「社会的に構築」されたのかを、もう一度考えてみて、これを、一度分解してみてはどうだろうか。そして、バラバラになったジグゾーパズルのような断片を、もう一度、つなぎ直してみよう。さて、前と同じタイポロジーに落ち着いただろうか。

会計系、あるいはIT系ファームと呼ばれてきたアンダーセンコンサルティングは、アクセンチュアとして、親元のアンダーセンと袖を保つ事になった。歴史的に見れば、会計事務所から派生してきた会社ではあるが、だからといって、会計系コンサルティング・ファームというような、ステレオタイプで判断してよいのだろうか。それは、東大生だとか慶大生とかいう色眼鏡で人を見るのと同じではないだろうか。それとも、アンダーセンと縁を切ることになったから、志願者の集まりとしては、慌てて別のカテゴリを考えて、そこにアクセンチュアを移すことになるのだろうか。今後の成り行きに期待したい。

戦略系ファームというのは、何故戦略系ファームと呼ばれるのだろうか。そうしたら、そのファームが、eビジネスの支援のためにベンチャーキャピタルのような事業を行う事は、社会的に許されないことなのだろうか。なぜなら「戦略系」という枠を外れた行為をすることになるから。みずからの会社を「戦略系」といってしまったら、その枠に閉じこもってしまい、たとえ、新しい時代が求めているビジネスがあったとしても、それに手を出せず、時代に取り残されることだってありうるのだ。実際、戦略系ファームの何社が、自社の事を、公に戦略系ファームといっているだろうか。数えてみよう。