コンサルタントはホワイトカラーを超えるか

増加するコンサルタント求人数

最近、日本でもコンサルタントの数が増加している。最も影響が大きいのは、やはりITの発達であろう。IT系のコンサルティングファームが軒並みコンサルタントの人員数を増やしている。また、コンサルタントはコンサルティングファームに属するというのも一つの通念であるが、必ずしもそうではなく、一般の事業会社でも、コンサルタント職を募集している。また、コンサルティング営業、コンサルタント的発想など、専門職としてコンサルタントを採用していなくても、仕事のやり方として、コンサルタント的なものが求められてきているというのは確かだ。

これは、どういうことかというと、社会全体が、コンサルタントを一つの新しい職務階層として確立しようとしている傾向だと考えられる。従来は、ホワイトカラー、ブルーカラーという階層分けがあった。この両者の定義ははっきりしないが、いわゆるブルーカラーは第二次産業における工員、ホワイトカラーはその他の管理業務や専門職を漠然と指すようなものであろう。そして、ホワイトカラーの生産性が悪いという議論が、かなり以前からなされてきたのも事実である。そして、ホワイトカラーの生産性問題、についての解決策が見えてきたようである。それは、ホワイトカラーが、コンサルタントにとって代われれるという方向性である。

ホワイトカラー、ブルーカラーという階層分けは、暗黙的に、ホワイトカラーのほうが、ブルーカラーよりも高度な仕事をしている、という意識である。そして、これにコンサルタント階層が加わることによって、コンサルタントは、ホワイトカラーよりも高度な仕事をする階層として、社会的な意識が定着していくであろう。

コンサルタントがホワイトカラーの生産性問題を解決する

ビジネスプロセスのリエンジニアリングやERP、SCMなど、業務の効率化を目的とするIT分野を例にとるならば、企業の多くは、ITベンダーやコンサルティングファームにその計画から実行までプロジェクト全般を委託する。そして、実際にコンサルタントが企業に常駐して、具体的にシステムを作り上げていく。このように、生産性が低いとされてきたホワイトカラーの仕事や守備範囲が、今後ますますコンサルタントにやってもらうことになっていくであろう。それは、外部のコンサルティング会社におねがいして、コンサルタントを派遣してもらうという手段もあるだろうし、自社でコンサルタント職を雇いいれて、内部の正社員として職務についてもらうという手もあるだろう。つまり、コンサルタントは、超ホワイトカラーとして、次々とホワイトカラーがやっていた仕事を、効率的に、かつ的確な問題発見と改善を続けることによって、生産性の高いものに変えていくことになるだろう。

これは内部管理のみに言えることではなく、例えば営業などの業務であっても、よりクライアントの問題発見と解決に重点を置くコンサルティング営業によって、顧客のグリップを厚くしていくことも求められているわけであり、自社内、顧客に関わらず、コンサルティングテクニックがビジネスのあり方を変えていくことになる。

コンサルタントとホワイトカラーの人数比の逆転

今のところでいえば、まだまだコンサルタントの絶対数は、いわゆるホワイトカラーの階層に比べても圧倒的に少ないといえるであろう。しかし、時代の要請を考えるならば、今後ますますコンサルタント職の創造がなされ、多くの人材がホワイトカラーからコンサルタントへの転身を図っていくに違いない。近年において顕著に見られるのは、海外でMBAを取得して、コンサルタント会社に転職するという道である。インベストメントバンクとコンサルティングは現在でも、MBAホルダーの人気就職先である。インベストメントバンカーがむしろ外科手術的な経営革新を指向するのに対し、コンサルタントは内科的な体質改善を中心に経営革新を行なっていくタイプといえるだろう。いずれにせよ、今後環境の変化が激しくなってくると同時に、企業自身も常に変身しつづけていく必要があるわけであり、そういった意味でも、チェンジマネジメントスキルをもったコンサルタントが今後多く養成されることも社会的に求められている。

いわゆるコンサルティング・ファームは、ファームつまり農場というイメージが示すように(もっとも、firmとfarmは違うが)、社会に対してコンサルタントを育て、輩出していく社会的役割を担うであろう。通常、コンサルティングファームの離職率は高いといわれるが、このようなファームの社会的役割からみて自然なことでもある。つまり、ホワイトカラー階級からコンサルタント階級への転身をはかるものにとっては、コンサルティングファームは一種の専門学校として捉える見方もある。そこで一定の訓練を経ることによって、ふたたび事業会社に戻って、ホワイトカラーを超えたコンサルタント階級として、ビジネスを推進していく、という図式も考えられる。

これまで、第三次産業の増大にともない、ブルーカラーとホワイトカラーの比率が変化してきたのと同じように、IT革命とそれに伴うビジネスの大幅な変化によって、将来、コンサルタントとホワイトカラーの人数の比率が逆転するであろう。