職務への自信とパフォーマンス

自信が大切だとは言いますが、それは単なる精神論でしょうか。そんなことはありません。研究の結果、同じ能力・スキルを持っている人同士では、職務遂行に関して成功する自信の高い人ほど実際の業績が良いということがわかっています。ここでいう自信は「彼は自信家だ」というような一般的な個人の特性ではなく、特定の職務がどれだけ遂行できるかに関する信念です。したがって同じ人でもある職務に関してはやり遂げる自信があるが、別の職務に関してはやり遂げる自信がない、といった場合があるということです。

そういった自信が実際に高いパフォーマンスに寄与するならば、それを高める施策は業績をアップすることにつながります。では、職務に関する自信はどうすれば高めることができるのでしょうか。それを考えるためには、もう少し深く「職務に関する自信」あるいは「業績信念」を理解する必要があります。業績信念は、ある職務が達成できる確率、あるいは大きさと、それが達成できる確信、あるいは強度の次元を持っています。そして、業績信念は次の4つの要因で形成されます。1つめは、過去の経験と実際に達成した事実、2つめは、他人の観察やモデルによって、3つめは、言語的な説得によって、4つめは、本人の感情的な側面です。これらの4つの要因が重なり合って、ある仕事に関して、この仕事がどれだけ遂行できるか、についての信念が形成されるわけです。

さらに、こうした業績信念は、過去の出来事、たとえば同じような職務や他人の観察や説得など、を解釈した結果として形成されるわけですから、どのように解釈、あるいは帰属するのかが重要となってきます。帰属には、外的要因・内的要因の次元、安定性・不安定性の次元、そしてコントロール可能か否かに関しての次元があります。たとえば過去の成功が、それは自分の比較的安定した内的な要因(能力・スキル)であり、それはコントロール可能なものであると解釈するならば、その職務に関する業績信念は高まるわけですが、逆にその成功が不安定な外的要因でコントロール不能なもの(運やツキなど)であると解釈するならば、それは業績信念を高めることには寄与しないでしょう。また、天井効果もあるので、もともと業績信念が高すぎる場合はそれ以上高めることが難しいですが、相対的に低い場合は、それを高めることによってパフォーマンスを高める可能性があるということになります。

業績信念を高める方法の1つは、フィードバックの仕方を工夫することで、しばしば人は何らかの結果の原因の帰属を誤った方向にもっていく性質(バイアス)があります。そういったバイアスを変えることが重要です。たとえば、失敗の原因が本当は努力の度合いが低かったのに、それを自分の普遍的な才能などに帰属させてしまうと業績信念は改善されませんが、努力不足などに帰属した場合は、努力をすればさらに業績が上がるというロジックで、業績信念を高めることができます。逆に基本的なスキルが不足しているのならば、失敗の原因を単なる努力に帰属させてしまいがちな人に、スキル不足であることを教えれば、彼はスキルを勉強することによって業績がアップすると正しく理解することができます。