外的報酬は、従業員の内発的な「やる気」を削ぐのか?

ある研究の結果、外的報酬が、内発的、つまり内から出てきたモチベーションを低減させてしまうという考えが発表されました。これはどういうことかというと、本人は、楽しいからその仕事を熱心にやっていたのに、それに対して外的な報酬が与えられると、その楽しさが無くなってしまうということです。

外的な報酬を目的とするやる気ではなく、内から自然に出てくるモチベーションというのは、2つの要因から影響を受けると考えられています。それは、自分が自由に意思決定して何かをすることができるという感覚と、自分は能力があるという感覚です。この2つが大きいほど、内からくるモチベーションが高くなるということです。しかし、自分のやっている仕事に外的報酬が与えられると、自分が自由に意思決定をして仕事をしているのではなく、報酬がもらえるから仕事をやっている、つまり他者にコントロールされているのだと解釈し、自由に意思決定して何かをするという感覚が低減してしまいます。その結果、内からくるやる気がなくなってしまうというのです。

あるいは、外的報酬を与えた結果、彼らは何のために仕事をしているのか、自分が好きだからやっているのか、報酬が欲しいからやっているのか、わからなくなり混乱してしまう。だからやる気をなくしてしまうという考え方もあります。これは、とくに創造性を必要とする仕事について言われてきました。創造性を発揮するためには、従業員がその仕事自身をとても面白いと感じ、何の報酬がなくてもやる気を感じるようなことが重要だと考えられているためです。

では、そういった創造性を必要とする仕事に外的な報酬を与えるということは逆効果なのでしょうか。しかし、多くの研究が分析された結果、報酬が内発的なモチベーションを低減させるという証拠となる結果は、期待されていたよりも少ないというものでした。むしろ、外的報酬が創造性のパフォーマンスをあげるという結果もあります。

現在では、外的報酬は、創造的な仕事のパフォーマンスをあげることができるという説が有力になっています。別の理論ではこう説明します。人は、努力というものに対して報酬を与えられると、努力するという行為が生み出す苦痛の度合いを低くことを学習する、というものです。したがって、外的報酬によって、人々がクリエイティブになろうと努力することを促進できると考えられるわけです。

また、外的報酬の存在が、人々に目標を与える、つまり創造的なアウトプットを出すというのが目的であると強く認識させる働きがあるとも考えられています。ただし、外的報酬の与え方が問題となってきます。つまり、外的報酬は常に創造性を高めるというわけではなく、与え方によっては創造性を低める場合もあるということです。

では、どのようにすればよいのでしょうか。まず、創造性を発揮する要因と考えられる、多面的にものごとを見る、という行為について外的報酬を与えることは、創造性を発揮することにつながると考えられます。また、報酬は従業員にとって重要すぎないことが必要です。報酬があまりに魅力的すぎると、従業員の関心はそちらにいってしまい、仕事に対する注意が薄れてしまうからです。あくまで、創造性を発揮してもらうことを目標づけるために報酬を与えているということです。これらの研究成果は創造性の分野に限った話ではなく、一般的な仕事にも応用できるでしょう。つまり、本人が自らやる気をもって仕事をしているのに外的報酬を与えるのは逆効果ではなく、適切な外的報酬を加えるのならば、さらに効果があがるということです。