第1回:スワップ取引
- 「現在価値の等しいもの同士を交換する取引き」
- 例:変動キャッシュフローと固定キャッシュフローの交換
解説
- 世の中には、変動キャッシュフローを生み出す状況にあるが、金融ニーズとしては固定キャッシュフローが望ましい参加者が存在する。この場合、キャッシュフローに関する理想と現実がマッチしていない
- 一方、世の中には、固定キャッシュフローを生み出す状況にあるが、金融ニーズとしては変動キャッシュフローが望ましい参加者が存在する。この場合も、キャッシュフローに関する理想と現実がマッチしていない
- 有効な問題解決手段は、この両者の仲介をすることである。両者がキャッシュフロー形態を交換すれば、両者の理想と現実がマッチする。
- 固定キャッシュフローニーズがある参加者は固定キャッシュフローを実際に実現できるし、変動キャッシュフローニーズのある参加者は変動キャッシュフローを実際に実現できる
賃金への応用例
- 企業への貢献は固定的だが、変動給が望ましい人材の賃金と、企業への貢献は変動的だが固定給が望ましい人材の賃金とのスワップ取引
- スワップによる交換の基準となる原理は「現在価値が等しいもの同士の交換」
第2回:オプション取引
- 「一定の条件で取引きができる権利を交換する取引き」
- 現在価値の等しいもの同士の交換という原則はスワップと等しい
- 例:株式オプション(コール)は、一定の価格で株式を買うことができる権利
解説
- オプションのような権利はそれ自体、価値がある(したがって現在価値の計算が可能)、オプションの価値(価格)は、通常、オプションプレミアムという。
- コールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)がある
- プレミアムを払って権利を得るのは、保険と同じ原理
- オプションには対象があり、それは原物と呼ばれる(株式オプションならば、株式が原物。為替オプションならば為替レートが原物)
- 原物の価格変動によってオプション価格も変動するが、変動は非対象である
- 例えば株式コールオプションであれば、株価が下がっても権利を行使しなくてもよいので、損失はオプションプレミアムのみ、一方株価が上がれば、それに伴ってオプション価値(あるいは権利行使時の利益)が増大し、こちらは株価が上がれば上がるほど価値もあがる。つまり、損失可能性は確定的で利益の可能性は無限である
- プットオプションを売ることは、無限の損失を被る可能性を秘めている。つまり、一定のオプション料をもらえるが、原物価格が下落すれば、損失は拡大していく
- オプション取引に際しては、オプションに内在するリスク構造を理解して、大きな損失を受けないようなリスク管理が必要不可欠
賃金への応用例
- ストックオプション:一定の価格で自社株を購入することができる権利を、報酬として社員に与える
- ストックオプションの場合、オプションの価格を適切に計算し、個人の報酬として、その条件が適正であるかを判断することが求められる
- プットオプションとしての賃金保険:一定の価格をあらかじめ保険料として徴収し、賃金を原物とするプットオプションを売る。何らかの事情で賃下げが必至になった場合には、プットオプションの保持者は、その権利を行使することによって、賃下げ分のキャッシュを取り戻すことができる
第3回:リスク分散
- 1つの資産に集中的に投資するよりも、価格の動きが異なる複数の資産に分散させて投資したほうが、リスクが軽減される
解説
- 仮に、一年で倒産する確率が10%の企業が無数にあったとすると、全資産を1社に投資した場合、倒産する確率は10%であるが、もし倒産してしまうと、全資産を失うことになる。
- しかし、全資産を、無数の企業に分散して投資した場合、例えばそれが1000社だったとすれば、1000社のうち、100社が倒産することが予想される。
- そうすると、資産の損失は、限りなく10%に近くなる。つまり、不確実性が減り、1年後の資産が90%になっていることがかなり確かになる。これが分散によるリスクの軽減効果である
- リスクとは、価格が上昇することも下落することも両方含む「不確実性」という意味である。1社のみに投資すると、資産が無傷である可能性がある一方、資産をすべて失う可能性がある。分散して投資した場合は、不確実性は減少するが、確実に10%損失する
- 資産の期待収益率が10%であるとすれば、分散度を高めれば高めるほど、確実に10%の収益が期待できる。一方、分散度が低ければ、収益は10%を上回ることも下回ることも起こりうる
- リスク分散は、同時期に価格が上方に動く資産と、価格が下方に動く資産が相殺される効果があるため、結果的に平均値に近づくことになる
賃金への応用例
- どのような賃金形態でも、なんらかのリスクが内在する。例えば年功給であれば、人件費が固定化し、売上等が低下したときに収益を圧迫する可能性がある。成果給であっても、短期的な成果を基準にすれば、長期的な成果に対応した報酬が実現しない。ストックオプションでも、企業の実態と株価が連動しないことになると、報酬の意味が不明になる危険がある
- 十分な従業員数があれば、様々な賃金形態を共存させることによって、それぞれの賃金形態が持つ固有のリスクが相殺されて、全体としてのリスクが低減される可能性がある。
- 従業員にとっても、異なる種類の賃金形態を組み合わせる自由があれば、それによって、固有の賃金形態のみの場合よりもリスクを提言することができる
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