組織行動に影響を与えるのは遺伝か性格か環境か

マネジメント研究の分野でも、遺伝か環境かといったテーマは長年の議論の的でした。遺伝に関しては、一卵性双生児と二卵性双生児の研究を通じて、同じ遺伝子を持っている一卵性双生児のほうが、果たして別々の遺伝子を持つ二卵性双生児よりも同質的な性格や特性を持っているのかといった研究が有名です。

様々な研究の結果、例えば職務満足度に関しては、約30%が遺伝によって説明がつくという結論がでました。また、ポジティブな感情特性は40%が遺伝によって、ネガティブな感情特性は55%が遺伝によって説明できるという研究もあります。

そこで私たちが気になるのは、実際の組織行動がどれだけ遺伝、あるいはその人が持つ特性によって説明がつくかということです。もし本人の特性が強い影響を与えるのであれば、たとえ環境を変えたとしても、その人の行動を変えるのは非常に難しいことになりますし、また逆にほとんどが環境要因で説明できるのであれば、原理的に環境を操作することでその人の行動を変えることができるため、人を選別するということの意味がなくなります。

マネジメント研究では、本人の特質と環境の相互作用が行動に大きな影響を与えるという考え方が広がっており、それを理解するために、本人の特質と状態と行動という3つのレベルを考えています。

本人の特質とは、パーソナリティやポジティブな感情特性のように、ある程度安定していて変化しにくい性格のものです。それに対して、状態は、その時のムードのように、必ずしも一定ではなく変化しやすいものです。

このムードに代表される状態が、本人の特質と実際の組織行動との橋渡しになります。つまり、本人の特質は、ムードの形成に影響を与えます。それと同時に本人の置かれた環境もムードの形成に影響を与えます。こうして両者の相互作用によって形成された比較的継続期間が短いムードのような状態が、直接組織行動に影響を与える、というものです。