労使関係苦情処理手続き

Grievance Precedure

労使関係苦情処理手続き(グリーバンスプロシージャ)

  • 一般的には労使関係契約不履行(経営側、労働側双方)に伴う紛争解決の手段。双方合意事項の不履行、事実認識の相違、合意事項の解釈の違い、合意に至る過程の問題、その他の事項に関する問題を含む。
  1. (監督者レベル):苦情を持つ従業員が、労働組合の係員にコンタクトを取り、直属の上司を交えた3者で話し合う。通常書面にて苦情を申し立てる
  2. (マネジメントレベル):上司(監督者)レベルでの解決が困難な場合は人事部門の労使関係管理担当が介在する。通常、書面にて処理するため一定の間隔があく
  3. (トップマネジメントレベル):さらに解決が困難あるいは重要な問題は、労働組合代表者、トップマネジメントを含めた形で解決を図る
  4. (調停):社外に第三者としての調停者を求め、中立な立場をもつ彼らのもとでの紛争解決を図る

グリーバンスプロシージャに関する理論

  1. EXIT-VOICEモデル(Hirschman,1970;Freeman & Medoff, 1984):従業員にとって、苦情を訴えるためのプロシージャが会社に用意されている、つまり「声」を表明する手段が制度としてみとめられていることは、公平感を高めるため、離職行動を少なくする。
  2. 労使関係交渉モデル (Lewin & Peterson, 1988):労使間の関係は基本的に交渉ごとであり、グリーバンスプロシージャはそういった交渉ごとの一形態
  3. 組織的懲罰モデル(Arvey & Jones, 1985):グリーバンスに訴えたりする人物は、組織から懲罰を受ける(例:人事考課で低い評価を受ける、昇進が難しくなる)

苦情処理手続き(グリーバンスプロシージャ)の効果測定

  • Lewin & Peterson (1988) の効果測定要素
  1. 苦情処理数、比率
  2. 苦情処理手続き上のステップ(どこまで進んだか)
  3. 処理スピード、紛争解決までにかかる時間
  4. 調停まで進む比率
  5. 苦情処理の方法に関する公平性、納得性の認識
  6. 経営、労働組合などにとっての重要性の認識

グリーバンスプロシージャを使って苦情を訴えるとどうなるか

  • 組織的懲罰モデルによると、実際にグリーバンスプロシージャを利用した場合、不文律を破ったということで、組織から懲罰的な扱いを受ける傾向にある。
  • グリーバンスに関わった従業員やその上司には以下のような結果を伴う (Lewin & Peterson, 1999)
  1. 人事考課が悪化する
  2. 出勤率が悪くなる
  3. 昇進が遅くなる
  4. 離職率が高まる、組織を追われる
  • 上司の反応 (Klass & DeNisi, 1989)
  1. グリーバンスが上司への苦情に関するものであった場合、苦情を訴えた従業員の人事考課の結果が悪くなる。
  2. グリーバンスが組織への苦情に関するものであった場合、苦情を訴えた従業員の人事考課の結果は上の例ほど悪くならない

グリーバンスプロシージャの組織への影響

  • グリーバンスプロシージャがあったほうがないよりも従業員の帰属意識は高く、仕事を続けたいと思う (Buchanan, 1996)
  • 代替手段が少ない場合(転職が難しい環境、給料が相場より高めで転職したくない)グリーバンスプロシージャを用いて苦情を訴えるケースが増える(Cappelli & Chauvin, 1991)
  • グリーバンスプロシージャの存在はマネジメントのモニタリングを増加させ、その結果工場全体の生産性を高める(Kleiner et al. 1995)