組織のイメージは国によって異なる

 

「組織」という言葉は、日常でもあたりまえのように用いられますが、実際どのようなイメージを持つでしょうか。組織はモノではなく、わたしたちが作り上げた概念ですから「組織とはこうである」というイメージが私たちの間で共有されているはずです。これを、Implicit models of organizationsと呼びますが、オランダの学者ホフステーデは、この組織のメンタルモデルは、国によって違う、つまり文化によって違うといいます。

世界の国々が持つ文化を特徴づけるいくつかの次元のうち、ホフステーデが重視するのは、パワーディスタンス次元と不確実性回避次元の2つです。パワーディスタンス次元は、人々が社会的階級をある程度認めるかどうかという次元(下層の階級の者が社会の権力者に従おうとする傾向)、不確実性回避次元は字のごとく、将来の不確実性を嫌う度合いです。

何故この2つが組織イメージにとって重要かというのは、組織を実際に動かすパワーを持つ者の配分や、組織の柔軟性(不確実な世界を受け入れる)の度合いと関連しているからだと言います。

具体例を挙げましょう。同じヨーロッパに属するフランスとドイツですが、この2つの文化次元の切り口で見ると、別々のグループに属します。フランスは、パワーディスタンスも不確実性回避度もどちらも高い文化、ドイツはパワーディスタンスは低く、不確実性回避度のみ高い文化です。したがって、フランス人は社会的な階級制度を受け入れる傾向があり、フランス人のもつ組織のイメージは、階級がはっきりし、しかも不確実性を嫌うため構造がかっちりとした、ピラミッド型階層構造であると言われます。一方、ドイツ人は社会階級に対する意識が低いが、不確実性を嫌う為、運営の手続きやルールが厳密に決められた組織を好む傾向があります。そのため、組織はどちらかとい
うとオイルの効いたマシーンというイメージであるといわれます。業務の専門化に基づく分業体制である官僚制の考えがドイツ人のウェーバーによってもたらされたことも偶然ではないでしょう。

一方、イギリスやアメリカは、パワーディスタンスも不確実性回避度もどちらも低い文化で、リスクをそれほど恐れず、個人を中心とする自由な取引き(自由市場)を好む文化です。そして、個人がすべてバラバラで行動するよりも、効率的に物事を行うのに適しているのが組織である、実利的なイメージを持っているといわれています。テーラ
ーの科学的管理法や、ウイリアムソンの取引きコスト理論(マーケット失敗理論)がこの文化から発展したこともうなずけます。

さて、これまで3つの異なる象限のイメージを紹介しましたが、残る象限があります。それは中国に代表されるアジアの国です。中国は、一般的にパワーディスタンスが高く、不確実性回避度が低い文化であると言われています(ただし日本はフランスと同じグループ)、ここで、アジア諸国だけ特別にもう一つの次元を加えます。それは、長期的関係志向で、これはアジアと西欧を大まかにわける次元でもあります。これらの次元から導かれる中国などのアジア諸国の人々の組織イメージは家族です。華僑が血縁を重視するファミリービジネスを中心とし、日本企業も長期雇用に基づく家族的なイメージがあるのは、こういった文化の影響を受けているからだと言われるとある程度納得できますね。