仕事の面白さ・やる気、と能力・スキルのちょっと複雑な関係

職務パフォーマンスからの視点で考える場合、仕事の面白さと個人の能力あるいは仕事をこなすスキルはちょっと複雑な関係にあります。まず、前提として、職務パフォーマンスは、能力と努力の積で表されると考えます。能力があっても努力がゼロだとパフォーマンスはゼロだし、その逆もしかりだということです。

さて、ある人が新しい仕事につくことを想定します。当然、仕事のパフォーマンスを高めるためには、その仕事の遂行に必要な能力、スキルを身につけていくことが望まれます。つまり、学習することが求められるわけです。学習において重要な働きをするのは、本人のやる気で、さらにいうならば、どれだけ面白いと感じるか、その仕事が好きであるか、といった要素に左右されます。だから、仕事を覚え始めたころは、その仕事がとても面白いと思い、どんどん勉強していくことでしょう。

しかし、この面白さ、というのは、職務パフォーマンスからの視点で考えた場合、能力そのものよりもパフォーマンスに与えるインパクトが低いといわなければなりません。何故ならスキルが未熟なわけですから、スキルの向上が最もパフォーマンスにとって大事であるということです。先ほどのパフォーマンスの公式を見ると、能力とやる気の掛け算であるわけですから、能力そのものが低いとやる気が実らないわけです。したがって、仕事の覚えたてのころは、仕事の面白さや本人のやる気は実はあまりパフォーマンスに貢献しない、ということが言えるわけです。

次に、仕事をどんどん覚えて行くと、ベテランの域に達します。こうなってくると、スキルレベルではもうさらに向上する余地の無いほど高まっているわけです。パフォーマンスの公式でいうところの能力の部分が、本人の最大値近くに達している状態です。ここで問題なのが、仕事が熟達してくると、だんだん退屈に感じるようになり、仕事が面白くなくなってくると感じることです。おそらく学ぶことが少なくなり、向上欲求が満たされないのが一因でしょう。さらに悪いことに、熟達したレベルの仕事のパフォーマンスに影響を与えるのは、むしろ努力の部分であるわけです。能力の部分がある程度最大値で一定しているので、どれだけ努力するかどうかがパフォーマンスの鍵を握っています。したがって、仕事が熟達して面白さが欠けてくると、それは仕事に対する熱意に支障をきたし、パフォーマンスに悪影響を与えてしまう危険性があるということになります。