仕事の内容は人々の動機付けに影響を与えるか

仕事の内容そのものが、私たちの動機付けに大きな影響を与えるのであれば、仕事を設計し直すこと、すなわち職務再設計は、経営にとって効果があると言えます。職務特性理論は、このように職務の特性そのものが動機付けに影響を与えるとする理論です。職務特性は、(1)タスクの明確さ、(2)技術の多様性、(3)タスクの有意義さ、(4)タスクの自律性、(5)フィードバックの存在、と大きく5つに別れ、1から3の特性は主に、人々がその職務を有意義であると感じる度合いに影響します。4の特性は、責任感の醸成に影響し、5の特性は、自分がその職務を遂行した結果が良くわかる度合いに影響しています。

これらの影響が、内発的な動機付け、仕事の質的なパフォーマンスの向上、高い職務満足感、さぼりや離職の減少、につながるとされています。ただし、これらの効果は、個人がどれだけ自己成長欲求があるかによって違ってくるとされています。つまり、自己成長欲求が高いほど、こういった動機付け効果を仕事そのものの性質から得やすいということです。

しかし、このような考え方に対し、社会情報処理理論という考え方の立場からの批判がありました。彼らによると、人々が職務の特性をどのように知覚するかというのは、彼らを取り囲む環境や職場の雰囲気、人間関係、などに影響されやすいため、職務そのものの内容のみが重要ではない、というものです。つまり、職務そのものの特質がどうであれ、仮に望ましくない職場環境で働いている場合は、それが職務をどう捉えるかという見方に影響を与えてしまうので、職務を再設計しても動機付け効果があまり得られない、ということです。研究の結果、たしかにこのような環境の効果が認められました。したがって、職務の再設計は、直接的というよりはむしろ、職場環境の変化などを含め、間接的な形で人々の動機付けに影響を与える、と考えるほうが望ましいと思われています。