職務パフォーマンスとは一体何か

組織メンバーのパフォーマンスは、人事評価を行ううえで重要な概念ですが、そもそもパフォーマンスとは何なのかということについて一度考えておく必要があります。ここでは、職務パフォーマンスに絞って話を進めることとします。

まず、パフォーマンスとは、結果を指すのか、メンバーの行動を指すのかという議論があります。直観的にはパフォーマンスとは「結果」のことであると思いがちですが、マネジメント研究の世界では、パフォーマンスを「行動」として捉えるほうが望ましいと思われています。

そのひとつめの理由として、パフォーマンスを結果であると捉えることは、それに至る行動を軽視する事になり、組織にとって望ましくない行動を生み出す可能性があるということがあげられます。次の理由として、「結果」は、個人の行動そのものと、個人のコントロール不可能な環境要因の両方の影響を受けますが、パフォーマンスを結果として捉えると、パフォーマンス評価とは個人を評価しているのか、環境を評価しているのか不明瞭になってしまいます。パフォーマンスを行動として捉えるほうが、その評価を個人に帰属させることができます。最後の理由として、パフォーマンスを結果として捉えると、現場の評価者やマネージャーが、部下の行動的側面を無視するようになることが考えられるということです。

次にパフォーマンスはどのような次元を持っているかということですが、勿論それは職務の性質によって異なってくるでしょうが、どの職務にも共通するいくつかの次元があると考えられています。まず、パフォーマンスには、明確に定められた職務そのものの要素と、組織がインフォーマルに個人に期待する役割としての要素があるという見方があります。そして仕事が複雑になればなるほど、役割的要素が重要になってくると思われています。

つぎに、パフォーマンスには、職務が必要とするコアのスキルを用いる行動と、それらを支える環境作りに関連する行動の2つの要素があるという見方があります。後者はより間接的にパフォーマンスに貢献するという意味で、文脈的パフォーマンスと呼ばれています。

さらに、職務パフォーマンスには8つの次元があるという見方もあります。それらは、(a)特定の職務に必要なタスクスキル、(b)広く組織全体の活動に必要なタスクスキル、(c)読み書きおよびコミュニケーションスキル、(d)示された努力、(e)個人的な修行の継続(f)、仲間やチームのパフォーマンスの鼓舞、(g)監督とリーダーシップ、(h)マネジメントと管理、です。3つの次元に集約したものとしては、(a)リーダーシップとマネジメントとしての役割、(b)職場における人間関係を調整する役割、(c)技術的、職務内容的な役割、という見方や、(a)人間関係的役割、(b)情報管理的役割、(c)意思決定的役割、という見方があります。