日本人のリーダーはなぜ背が低いか

日本の歴代首相を見てみると、背が低い人が多いですね。もちろん例外もありますが、だいたいにおいて平均より背が低いです。これは企業のトップにも言えることだと Ichikawa氏は言います。今回はこのような特質に注目するIchikawa氏の論文を紹介します。

彼は、日本のリーダーは、小さくて太っちょというイメージがあるが、これには理由があるといいます。それは、どのようにしてリーダーが選ばれるかに関係しています。選ばれるというより、引き継がれる、という方が適切かもしれません。

まず、現トップが次期トップを指名するさい、自分を見下ろすような人は避ける傾向が意識的あるいは無意識的にあるのだと分析しています。日本の場合、トップの座を譲っても、組織に影響を与えつづけようとする傾向があり、そのため次期トップには、自分の政策を継続してもらいたいと思います。したがって、トップになった途端、自分をないがしろにするような人を指名したくはありません。

太っちょというのはトップになったから太るという意味であって、これも選ばれる前に、現トップよりも大きく見えてはマイナスに作用すると考えられるので、候補者の時点ではやせているらしいです。

要するに、日本の場合、次期トップに立とうとする人は、現トップよりも大きく見えてはマイナスであり、もともと現トップが小さいため、次期トップも小さい人がなりやすいという原理が働いているわけです。現トップは自分と似た感じの人か自分よりも劣ったタイプを後継者として選びがちなのです。

組織を引っ張っていく能力がある人を選ぶべきなのに、このような外見で選んでいては本末転倒だと思われるかもしれませんが、このような傾向を常に持っていながら、日本は世界に名だたる経済大国となり、多くの企業が世界的なエクセレントカンパニーになったこ
とは事実です。

それは以下のように説明が可能です。まず、日本は農耕民族的文化で同質的で集団主義だったわけですが、こういった社会の場合、和を重んじるリーダーが求められます。聞き上手で調整上手が求められるということです。そして問題が生じた場合にうまくそれを解決する知恵者、というイメージです。こういった性質は、体格的に優れたリーダーをイメージしません。逆に狩猟民族文化は、動物を追いかけまわす人々を指図する強力なリーダーが求められるため、体格的にも立派なリーダーというイメージがあります。

次に、特に戦後は経済成長がすべての国民の共通の指針であったため、改めてビジョンやゴールをリーダーが指し示す必要がなかったわけです。つまりビジョナリーリーダーは不必要なくらい、人々の意識が一つの目標に向かって一致していたわけです。

こういった要因が、背の低い日本のリーダーとつながったのだという論理です。さて、今後はどうなるのでしょうか。

 

参考

Ichikawa A. (1993) Leadership as a form of culture: Its present and future states in Japan. International Review of Strategic Management, 11 (4), 473-480.