最大パフォーマンスと典型パフォーマンスの違い

企業にとって、従業員の職務パフォーマンスは重要な問題です。例えば新しい職員を採用する際には、あらかじめなんらかのパフォーマンスの測定をすることによって、入社後により高いパフォーマンスを発揮してもらえる人材を採用したいところでしょう。ところが、パフォーマンスには、最大パフォーマンスと典型パフォーマンスという分類の仕方があるということを知っておくことが望まれます。

最大パフォーマンスとは、その人が発揮できるもっとも高いレベルのパフォーマンスのことです。それに対し典型パフォーマンスとは、その人がある程度の期間にわたって実際に働いた場合の平均的なパフォーマンスのことです。

最大で高いレベルを出せる人と、平均的に高めのレベルを出せる人のどちらが望ましいか、というのは、職務の種類などによって異なってくるでしょう。ところで、両者の関係についての研究の結果、高いレベルの最大パフォーマンスを出せる人は、必ずしも高いレベルの典型パフォーマンスを出せるとは限らない、ということがわかってきました。すなわち、最大パフォーマンスと典型パフォーマンスの相関は高くないということです。

パフォーマンスは、知識や技術に加え、その人の動機付けや努力というものが重要な要素になってきます。人のパフォーマンスには当然ムラがあるわけですが、それは、その人を取り囲む環境の影響と、その人の努力に関する特質が影響しています。知識・技術が優れているために、自分が意識して努力する場合には高いパフォーマンスが出せる人であっても、動機付けが弱かったり努力家ではない人であれば、典型パフォーマンスが低くなることが考えられます。

このことから言えることは、典型パフォーマンスの高い人を採用したい場合に、採用前にあらかじめ行う測定として、最大パフォーマンスを図るようなことをすると、目的にあった人材を採用できない場合があるということです。たとえば、公開テストをしたりすることは、その人の最大パフォーマンスを測定していることになります。何故なら、その人は入社に際して自分がテストされている、ということを意識しているわけですから、自分の出せる力を精一杯だそうと努力するからです。このようにして高いレベルのパフォーマンスが出せることを証明できた人が、企業に入ってから、平均的に高いレベルのパフォーマンスがだせるとは限らない、ということはこれまでの議論から明らかでしょう。典型パフォーマンスを測定するためには、自分がテストされていることを気づかないようにさせるなどの工夫が必要となってきます。