パフォーマンスの総合評価と客観的なパフォーマンスはまったく別もの?

パフォーマンスの評価において、評価者が総合的に下すパフォーマンスの判断と、客観的なパフォーマンスとはどのような関係があるのでしょうか。実は研究者がこのようなテーマに関して研究を続けた結果、客観的なパフォーマンスは、評価者が下すパフォーマンスの総合評価の10%にも満たない、という結論を出しました。「評価」というのは、「測定」とちがって、なんらかの形で評価者の価値観なり判断が反映されるわけですが、これほどにも客観的なパフォーマンスが評価に貢献する割合が小さいというのはなぜでしょうか。

一つは、評価者によるバイアスあるいはエラーが考えられます。つまり、評価者の認知能力などの限界により、彼らが正確に対象者を評価できない、ということに起因するものです。

もう一つは、実は客観的なパフォーマンスに現れてこない重要な行動が参加者の評価に影響を与えているという説です。この行動は「組織市民行動」と呼ばれています。組織市民行動とは、いわゆる助け合いなどを通じた組織に属する「よき市民」としての行動で、こういう行動がより集まることによって、組織そのものの効果性が向上すると思われている行動です。

組織市民行動の具体的な要素としては、誰かを助けようとする態度、自分に与えられた役割にとどまらずに組織から求められることをしようとする良心、不快な環境になっても不平を言わず従おうとする態度、組織において問題を引き起こさないようにしようとする配慮、そして組織全体の視点にたって、組織のためになることをしようとする態度です。

したがって、ある人材が、このように、実際に職務で要求されていない、自分の役割以外の行動をすることによって、自分自身の客観的なパフォーマンスが低かったとしても、評価者の目には彼のそういった行動が影響して、総合評価が高くなるというわけです。