企業競争力を高める組織文化マネジメント

 

組織文化(カルチャー)とは?

  • 組織のメンバーで共有している価値観、信念、目標、期待される態度、行動規範などを指す
  • 組織文化は、組織のメンバーがどのような思考、態度、行動をするべきかについての情報を与え、メンバーがそれに反した場合に、フォーマルあるいはインフォーマルなペナルティを課すような仕組みである

組織文化は強力な企業の競争力

  • 組織文化は、強力な企業競争力となりうる
  • 組織文化は、組織のメンバーの考え方、態度、行動をコントロールする
  • 伝統的な管理によるコントロール(公式的な組織構造、管理体制、賞罰システム)よりも、場合によっては低コストでかつ強力なコントロールを実現できる

組織文化マネジメントの特徴

  • 本当に望ましい組織文化を浸透させたり、既存の文化を変革するのは非常に難しい
  • 一度、好ましい組織文化が組織に根づくと、それはある程度オートマチックになり、長く持続する
  • 組織文化マネジメントは難しいがために、多くの場合、敬遠される
  • しかし、実際に、企業競争力を左右するのは、組織文化なのである
  • 組織文化マネジメントが多くの場合放棄されているので、たまたまよい組織文化が醸成された企業が競争力を獲得するという現実がある(組織文化マネジメントという形で意識的なマネジメントをやっていなくても、無意識的に理にかなった組織文化を創り出しているところも勿論ある)

組織文化マネジメントの予習

  • 組織文化は測定できない(組織文化を定量的に測定できると考えるのは、適切でない)測定できないからこそ、扱うのが難しくて放棄されるわけであり、それを扱うことができることが競争力の獲得につながる
  • 組織文化は目に見えない(測定できないのと似ているが、すべての組織文化は目に見えるわけではない。社員の行動など、文化の一部が、なんらかの形で観察できることはある)
  • したがって、アンケートなどで組織文化を測定して、それを基にしたマネジメントをしよう、とするのは適切でない。もちろん、アンケートは重要な情報となりうるが、それが組織文化マネジメントの主たるツールではない
  • 組織文化は操作できない(測定もできない、目に見えないものは、基本的には操作することができないと考えるべきである)
  • 一朝一夕でマネジメントできるものではない(明日組織文化を変えるプランをつくって、明後日実行に移そうなんてことは不可能である)
  • 計画、実行、評価といったようなある種のステップでマネジメントできるものではない(このようなステップが可能なマネジメントほど、やりやすく、多くの企業が実行するが、逆に、そういったマネジメントは真の企業競争力にはつながらない。むしろ、そのような単純なステップを超えた、非常に複雑かつ曖昧なマネジメントができる企業こそが、真の競争力を獲得できる)
  • 組織文化マネジメントは、方程式的な頭の人にはお勧めしない(ここをこういじったら必ずうまくいく的な発想の人。そんなに簡単なものであれば、競争力の源泉とはなり得ない)

組織文化の構造

  • 目に見えない、計ることもできない、操作も不可能という組織文化とはいったい何なのか
  • 組織文化には、表層から深層がある
  • 表層は、氷山の一角のようなもので、目に見えたり観察できたりする部分(例えば、メンバーの言動、組織の儀式、物語、ヒーロー、ビジョン、その他)
  • 中層は、目には見えない、価値とか信念の部分
  • 深層は、さらに目に見えない、メンバーの無意識の部分にある、その組織にとってはあたりまえである物事の前提
  • 組織文化は、均質的ではない(カルチャーの中に、サブカルチャーがあり、かつカウンターカルチャー、つまり主流となるカルチャーに何らかの形で挑戦的なカルチャー、異端児、亜流、なども含まれる)
  • そういった様々な異なるカルチャーが共存しながら、なおかつ企業文化全体としてのカルチャーを形成しているという多層的多次元的な組織文化理解が必要
  • 組織文化には、メンバーに期待する役割や行動を示す情報が含まれている。メンバーはその情報をカルチャーから汲み取って行動する
  • 組織文化は、組織のメンバーの行動を縛るための賞罰の機能を持っている。フォーマル、インフォーマルを問わず、組織文化に沿った行動をしない場合にはペナルティが、組織文化に沿った行動をした場合には褒賞が与えられる仕組みになっている

組織文化が強化される仕組み

  • 組織は、組織文化を強化させる仕組みを、すでに内包している
  • その仕組みとは、組織文化に共感するものたちが組織メンバーへの参加を希望し、その中でも特に組織文化に合ったものを選別して組織メンバーに向かいいれ、かつ組織文化と合わなくなったものは去っていく、あるいは追い出される、という仕組みである
  • 企業の創業メンバーの強い意志、価値観、信念などが、その組織文化として長く持続される可能性は高い(彼らによって選ばれた組織メンバーでスタートし、さらにその組織メンバーが新しいメンバーを選ぶという循環作用が成り立つため)
  • したがって、創業期に形成された組織文化は、長期にわたって持続されることが予想され、それを変えることは非常に難しいことである
  • 組織文化は、リーダーの明示的なビジョン、例えば文章やマークなどで表した価値観や理念、目標、あるいは暗示的なビジョン、例えば態度、行動などによって強化される
  • 組織文化は、その組織の生存に関わる重大な出来事によって強化される(例えば、組織の存亡の危機の際の対応や行動が、組織記憶として組織文化の深層心理に組み込まれる)
  • 組織の危機だけでなく、組織の成功体験も、組織記憶に蓄積され、組織文化の形成に大きな影響を与える

組織文化マネジメントの実際

  • 組織文化マネジメントにはある程度のテクニックが必要となる
  • 組織文化マネジメントにはパワーや権力が要る(非常に難しく、かつ組織全体に影響を与える文化を創ったり変革するためには、組織内でパワーや権力がなければ効果的にはできない)
  • 組織を動かすパワー、権力を実際に持っているリーダーと、組織文化に関する把握、診断、戦略に通じたエキスパートの組合せが組織文化にマネジメントにはもっともふさわしい

自社の組織文化を知る

  • 組織のヒーローは誰ですか、組織の行動規範は何ですか(不文律、タブー)、組織のシンボルは何ですか、組織に特有な儀式は何ですか(朝礼など)、組織に特有な価値観はなんですか(創造性や自律性重視など)そういった質問を通じて、表層的な部分の把握を試みる
  • 組織のメンバーに共有されている価値観をあぶりだす、さらに暗黙的な前提、深層的な部分を時間をかけてあぶりだしていく

組織文化に影響を与える

  • 全体として、自分の思う通りに組織文化を操作したりコントロールしたりすることはできないことを忘れない
  • しかし、組織文化に影響を与えることはできる、それを通じて組織文化が変化していくことも有り得る
  • ビジョナリー行動(組織のメンバーの情緒的な側面を刺激する、あるいはメンバーに自信や勇気を与えるような、いわゆる心を動かすビジョンを示す)
  • それによって、メンバーが真に奮起するようであればしめたものである。逆にしらけるようであれば失敗である
  • ビジョンのような情緒的な目標と同時に、さらに具体的な行動規範、行動のスタンダードも示す、どれくらいのレベル、どういった方向の行動が求められているのかをメンバーが把握できるようにする
  • リーダー自身が、組織のメンバーの行動の見本(モデル)となるように努力する、メンバーが行うべき行動、態度などをもっとも組織に影響力を与えることができるリーダー自らが、身を持って示す、行動の伴わない言説は支持されない
  • 報酬とペナルティ、公式なルールというよりは、組織全体として、望ましい行動、期待される行動をしたときにメンバーが得られる報酬(物質的、心理的、社会的報酬)と、そうでない行動をしたときに受けるペナルティ(物質的、心理的、社会的)が機能するように働きかける
  • 組織文化を大きく変える可能性のある機会、例えば組織にとって重要なイベント、組織の危機などに際し、将来も持続して欲しい文化を形作る為の努力をする
  • 組織文化を継承するにふさわしい人物を、後継者候補として抜擢したり、メンバーの前で称えたりして、組織にとって望ましいメンバーのモデルを示す

組織文化に影響を与える外科手術的なアクション

  • 組織構造の変更(部門の統廃合、新部門の設置、人材の異動など)
  • ビジネスプロセスの変更(分権化、集権化、エンパワーメント、コントロール、自動化、マニュアル化など)
  • 人事方針の変更(採用基準の変更、昇進基準の変更、ジョブ・ローテーション方針の変更、トレーニング方法の変更)