個人成果報酬・グループ成果報酬とリスク

成果報酬の前提

  • 成果報酬は、経営と従業員とでリスクをシェアする意味を持っている
  • 報酬総額にしめる成果報酬の割合が高いほど、経営が抱えるリスクを、従業員に付与していることになる
  • 従業員は、経営が抱えるリスクをシェアすることによって、経営の意向と自分の行動を沿うようにする(エージェンシー理論より)

個人成果報酬とグループ成果報酬(ゲインシェアリング)の違い

  • 個人成果報酬の場合、個人と経営とのリスクシェアリングになる
  • グループ成果報酬の場合、グループと経営とのリスクシェアリングと、グループ内におけるリスクシェアリングの両方がある
  • 個人は通常、リスク回避的であるため、個人報酬の場合、リスク量が多くなると、保守的な行動に走るため、経営にとっては利益の機会を損なう可能性がある(機会損失の可能性)
  • グループ報酬であっても、リスク量が高まれば、グループの行動は保守的になるが、個人報酬よりもその度合いは小さいと考えられる。なぜならば、グループ内でもリスクをシェアしているため、個人が抱えるリスク量は個人報酬の時よりも小さいからである

ゲインシェアリングとリスク

  • ゲインシェアリングの場合、成果の測定が不明確になればなるほど、従業員にとっては、成果報酬ではなく、宝くじのようなものになる(運がよければ儲かる)。そのため、利益を高める行動をする可能性も低くなる
  • 成果報酬の測定が不明確になればなるほど、従業員は報酬決定の仕組みに対して注意を払い、不適切であると感じれば不満を増大させる
  • ゲインシェアリングにおける実行過程でリーダーシップをとる一部のグループのリスク選好度は、グループ業績全体およびゲインシェアリングの結果に影響を及ぼす
  • グループ内における業績への貢献度がまちまちになると、グループ全員に等しい報酬を分配するゲインシェアリングに対する不公平感が高まる
  • グループ内における業績への貢献度がまちまちであり、報酬の分配を個人の貢献をベースに行うと、よりメンバーの行動が自己中心的になり、協同よりも競争心が働く

環境の不確実性と成果報酬

  • 環境が不確実になればなるほど、成果報酬の効果は低くなる。なぜなら、リスク回避的な従業員に対するリスクプレミアムを多く確保しなければならないからである
  • 通常リスク回避的な従業員が、自己の報酬に関して高い不確実性を知覚すると、業績向上に対する意欲が失せ、努力をしなくなる
  • 不確実性が高い環境下における成果報酬社員は、高い業績をもたらす可能性が高い代替案よりも、まあまあの業績であるがリスクが少ないほうの代替案を選ぶ
  • 多くの従業員がローリスク・ローリターンの行動を選択することにより、企業にとっては期待収益率が低めにとどまる可能性がある
  • 不確実性が高い環境の場合、従業員にとっては、固定的な報酬はリスクを伴う行動を起こすさいの保険としての役割を果たす