組織と人材のフィットとは?

組織と人材はフィットしていたほうがよいという考えが一般的にあると思います。それでは、組織と人材のフィットとは一体どういうことを差すのでしょうか。マネジメント研究では、組織と人材のフィットを大きく2つのフィットに分けて考えています。

ひとつは、組織の持つ特質(文化、風土、目的、価値観など)と、個人の持つ特質(性格、目標、価値観)などが類似しているというフィットです。これは、組織の特質と似た個人の特質が加わるという意味で、「加法的なフィット」とよばれています。

もう一つは、組織が個人に提供するものと、個人のニーズが合致しているか、また個人の能力が組織の求める需要に合致しているかという視点からみたフィットです。これは、個人と組織がお互いの足りない部分を補う形で加わるという意味で、「補完的フィット」とよばれています。さらに、組織と個人のフィットの他にも、類似しているが別の概念として、個人と職業のフィット、個人とグループのフィット、個人と職務のフィットなどがあり、これらと組織人材間フィットはお互いに深く関わりあっているといえます。

組織と個人のフィットという考え方が特に重要となってくるのは、個人が企業や職業を選択する場面、企業のリクルーティングのように、新しい人材を選抜する場面、新人研修など、入ってきた人材を組織に馴染ませるプロセスなどがあげられます。

また、組織と人材がフィットしていることが、組織にどのような影響を及ぼすのかという点については、まず人材の職務に対する満足感、意欲などが向上すること、離職率が下がること、職場ストレスが軽減されること、人材の社会的行動(助け合い、協力など)が高まること、そして職務パフォーマンスや組織全体としてのパフォーマンスが高まることなどあげられます。

一般的に、加法的フィットと補完的フィットは両方が満たされるのが望ましいと考えられていますが、加法的フィットは、従業員の満足感に強く影響し、補完的フィットは、従業員のパフォーマンスに強く影響すると考えられています。また、実際に従業員が知覚するフィット感と、実際のフィットとは異なる場合もあり、知覚されたフィット感は従業員の満足度などに強く影響し、実際のフィットは従業員のパフォーマンスに強く影響します。また、大きな組織変革が起こったときには、この知覚されたフィット感と実際のフィットが一時的に乖離することが考えられます。