軽視できないスキナーの強化理論

スキナーというと、ネズミを思い浮かべる人が多いかもしれません。スキナーらが発展させたオペラント条件付けの理論は、わたしたちの行動はその結果に左右される、すなわち行動の結果快楽が得られればその行動は持続あるいは強化され、行動の結果不快であればその行動は消滅あるいは減少するというものです。

主に動物実験で得られた成果を人間に応用しようとすることや、人間を外的なアメとムチで操ろうとするイメージを伴うことから、人間性を重視するような人々からは反感をかう場合もあるかもしれません。しかし、このオペラント条件付け理論は非常に単純で当たり前な原則に見えますが、深く掘りつめると経営にとって深い示唆が得られると思われます。

オペラント条件付け理論の中に、強化スケジュールという研究分野があります。これは、外的な報酬や罰をどのようなスケジュールで与えるともっとも効果的に学習するか、あるいはパフォーマンスが増大するかという研究です。

ここで重要なのは、学習やパフォーマンスを増大させるのに重要なのは、報酬や罪の量というよりは、その与え方のスケジュールだということです。すなわち、望ましい行動に大量の報酬を与えることが、その行動を強化することではない、ということです。

どういうタイムスパンで、どれくらいの量を与えるのがよいかというのは、それほど単純な問題ではありません。例として面白いのは、場合によっては、望ましい行動を行うごとに毎回報酬を与えるやり方と、望ましい行動を何度か繰り返した後に報酬を与えるやり方、しかもその回数はランダムな場合、とでは、パフォーマンスがあまり変わらないことがあるということです。パフォーマンスが同じならば、報酬のコストが安いほうが企業にとっては魅力的です。

ここでいいたかったのは、報酬を与えるスケジュールを工夫することによって、より低コストでより高いパフォーマンスを得ることが可能であるということです。なんでもかんでも「やったらやっただけもらえる」報酬制度にすることが適切なわけではなく「よい成果を出しても必ずしも高い報酬が得られるわけではないが、かなり高い報酬が得られるチャンスがある」といった、少しギャンブル性を報酬制度に持たせることによって報酬の総額を節約するという方法も、場合によっては可能かもしれません。