わが国における大学生の就職活動

就職活動プロセス

OB訪問については、就職ジャーナルの調査によるとまず時期は3月〜4月に訪問実施、企業数は5社程度で、訪問先は先輩の自宅か会社で、電話でアポイントを取りお茶や食事をしながら会社の社風や仕事、業界の事などを聞いている。 毎日コミュニケーションの調べによると、私生活に占める就職活動のウエイトは、「80%〜100%近く」と答えた文系学生が70%近くに達するのに対し、理系学生では40%台に留まっている。また、就職活動のために書籍を購入した学生は全体で80%超で、「SPI対策」目的での購入が目立ち、全体の59.9%が何らかの SPI対策本を購入していることが伺われる。また、「業界研究」「就職活動全般の進めかた」などのコンテンツも40% 近い学生が購入している。就職ジャーナルによる就職白書2002年版によると、就職活動中に学生が強く知りたいと思っていた項目は「具体的な仕事内容」「採用選考の基準」「配属予定職種」「企業が求めている具体的な能力・人物像」となっており、それぞれ「知ることができた」と回答している割合は、順に75.6%, 55.8%,68.8%, 58.8%, 74.2%となっている。

インターネットの活用

毎日コミュニケーションズの調べによると、インターネットを利用してのエントリーは、いまや完全に就職活動の主流になっており、2001年の調査では、実際に95%強の学生がインターネットからのエントリーに「便利さ」を実感し、約60%が「今後もどんどん 活用したい」との回答になっている。その一方で、半数以上の学生が自分のエントリーが「きちんと読まれているか不安」に思い、30%強が「個性が表現しにくい」 等の不満を感じている。一括・個別エントリーの使い分けについては、同調査から『志望企業には「個別」からエントリー』という意識を持つ学生が90%以上に上っている。また、就職活動学生の半数以上は、web選考を経験していると答え(適性検査67.8%、能力検査51.9%)、企業側では、WEBを用いた適性検査を実施した企業は6.1%、能力検査が3.3%であった。web選考に対する学生の抵抗感は高くないが、本人のなりすましを確認できないなどの不信感が抵抗要因の上位に上がっている。

就職で重視するポイント

毎日コミュニケーションズが実施した調査によると、自分のやりたい仕事(職種)ができる会社というのが、調査開始以来、一貫してトップであり回答者の半数弱がそう考えている、その他、働きがいのある会社、これから伸びそうな会社、安定している会社、自分の能力、専門を生かせる会社、社風がいい会社、というのが上位を占めている。一方、いきたくない会社の上位に上がるのが、仕事が面白くない会社、財務内容の悪い会社、ノルマがきつそうな会社、暗い雰囲気の会社、体質が古い会社、というような項目であった。給与水準や休日などの勤務条件に関しては、会社選択のポイント(給料のよい会社、休日、休暇の多い会社)、いきたくない会社(給料の安い会社、休日・休暇がとれない(少ない)会社)とも、中位から下位であり、それほど重要視されていないように見える。

アンケート結果が、本当に学生の本音をあらわしているかどうかに関しては、議論の余地が残っている。例えば、ある研究によると「あなたは職探しのさい、どんな要素を重視しますか?」という質問では、「給料」というのは比較的下位にランクインされるのに、質問を変えて「他の人は、職探しのさいどんな要素を重視していると思いますか?」と聞いてみると、「給料」がより上位にランクインされる。これは、回答者が無意識的に、世間体のよい回答をしようとする動機が働いているためであると解釈できる。つまり、本音の部分は、後者のような聞き方をすると現われてくる場合が多いのであろう。

また、リクルートの就職ジャーナルが発行している就職白書によると、採用活動を巡って企業と学生が重視する項目で大きく食い違っており、企業は就職活動する学生に対し経営戦略や社会性をアピールしているが、学生は自分の好きな仕事に就けるかどうかを最も重視している。企業がアピールする項目をみると、「企業戦略やビジョンがすぐれている」が29.7%となっているが、同項目を重視する学生は13.7%。学生が重視するのは「やりたい仕事ができる」(44.8%)、「専門知識や技術が身につく」(31.0%)の順。採用基準についても企業は「人柄」「今後の可能性」を中心に据えるものの、学生は「アルバイト経験」が最多となる。同社は「企業は情報開示を一段と進め、学生も幅広い情報源を持ち就職活動に望むことが必要」としている。

就職人気企業

学生を対象に人気企業ランキングを実施しているのは、リクルートワークス研究所、文化放送キャリアパートナーズ、毎日コミュニケーションズなどである。主旨が同じなので当然のことであるが、どの調査でも、だいたい似通った結果のように思われる。さきほどの就職する際に重視するポイントを、就職人気企業ランキングと比較してみても、同じような矛盾点が指摘できる。つまり、就職人気企業で上位にランクされる企業は、学生の就職意識に見られるような「自分のやりたい仕事ができる、働きがいのある、これから伸びそう」という視点に基づいたものではなさそうだという点である。むしろ、世間的な企業イメージに左右され、そのようなイメージが良ければ、やりたい仕事ができそうだとかやりがいがある仕事ができるという錯覚に陥るのではないだろうか。

採用時に重視する項目について、リクルートの就職ジャーナルが発行している就職白書では、採用で重視する/されたい項目は、企業と学生の間にズレがあることが報告されている。例えば、学生は軽視しているが、企業は重視している項目として、「性格適性検査」(学生 2.1%  企業 30.7% (14.6倍))「能力適性検査」(学生 3.5%  企業 35.8% (10.2倍))「知識試験成績」(学生 1.4%  企業 11.3% ( 8.1倍 ))、学生が重視しているが、企業はさほど重視していない項目として「所属クラブ・サークル」(学生 29.1% 企業 8.2% (3.5倍))「アルバイト経験」(学生 51.6% 企業 16.5% (3.1倍))「所得資格」(学生 17.6% 企業 11.2% (1.6倍) )である。両者共に高かった項目は「人柄」で、学生 51.1%、企業 88.8% (37.7%差) であった。

内定

内定辞退に関しては、就職ジャーナルの調査によると、2002年度については、内定辞退者が回答者の57.4%におよび、さらに、誓約書を提出しても、16.8%が内定を辞退している。毎日コミュニケーションズの調査によると、不本意な内定をもらってから断るまでの期間は、8日〜1ヶ月の回答が最も多く、半数近くであった。また、断りかたは電話を通じてするという回答が73.5%と大多数を占めた。

参考

  • 文化放送キャリアパートナーズ「就職活動調査」
  • 文化放送キャリアパートナーズ 就職ブランドランキング調査
  • 毎日コミュニケーションズ 就職意識に関する調査 1999年、2000年
  • 毎日コミュニケーションズ 全国大学生人気企業ランキング
  • 毎日コミュニケーションズ 毎日就職モニターアンケート
  • リクルート就職ジャーナル 就職白書 2001, 2002