トップマネジメントこそチームワークを

チームワークが重要だというが、一番チームワークが重要なのはトップマネジメントである。これはトップマネジメントチームがもっとも企業に影響を与えるチームであるから当たり前ではある。トップマネジメントが成果主義を導入すべきだと高らかに声を上げておきながら、自分達は全然成果主義でない、というケースが多いが、チームワークに関しても同じである。自社はチームワークを重視する、助け合いの精神だ、といっておきながら、トップマネジメントチームとして全然そうなっていない場合が多い。とにかく、企業に最も影響を与える立場の人達の言動が一致していなければ助けようがないのである。

チークワークといっているのは、真に企業を成功に導くためのチームワークであって、メンバー同士の馴れ合いではない。しかし、これが非常に難しい。一般的なチームとトップマネジメントチームでは特徴が大きく異なるからである。

まず、トップマネジメントチームを構成するメンバーは、皆、多くの資源をコントロールできるパワーを持っているという。したがって、彼らの言動が、会社全体に非常に大きな影響を及ぼす。普通の人達のチームでいえばちょっとした喧嘩程度のことであっても、それがトップマネジメントチームで起これば、企業を揺り動かすとんでもない事態になり兼ねないわけである。つまり、トップマネジメントチームを考えるときには、政治問題を抜きにして語れない。一般社員レベルのチームにおける政治行動などは、企業全体に大きな影響を及ぼすものではない。一般社員のチームでは小さな子供たちの叩き合いのようなものでも、トップマネジメントの場合はヘビー級ボクサーのストレートの打ち合いになってしまう。とにかく一人一人が重量級なのだから。

巨大な権力を持つ巨頭が集まるチームだから、お互いが牽制しあったり、とにかく、チームというよりは、巨頭が集まっているだけ、という感じであり、各自が自分の守備範囲を決めて、お互いにその範囲を侵さない(領土不可侵の条約)ように暗黙の了解を作ったり、兎に角コンフリクトを起こさぬよう、注意に注意を重ねて発言をしたり、結局のことろ、チームとして持つべき長所、チームだからこそ活かされるイノベーティブ、クリエイティブな問題解決能力などがまったく生み出されない可能性がある。

このように、トップマネジメントチームのメンバー同士が、お互いに相手の縄張りの中に入り込まないようにバリアを作り、たいした交流もなく、組織を運営しようとすれば、それがあまりよい結果を起こさないであろうことは容易に想像できる。まず、組織として一体感が出てこない。○○担当役員、△△担当役員などが、それぞれ自分の権力の及ぶ縄張りだけで自治を行なえば、組織全体として、一体感を保ちながら運営できているとは言えないし、それぞれが矛盾した運営になっていても一向に改善されないはずである。

ワンマン経営者の場合も、チームワークの視点からいろいろと問題が指摘できる。ワンマン経営者とイエスマンとしての取り巻きからなるチームでは、よくいうように、ワンマン経営者が転べば会社全体が転んでしまうわけである。周知のことであるが、イエスマンだから経営者がたとえ、明らかに間違った意思決定をしそうな段階でもブレーキをかけることができずに、悲劇を生んでしまうということが起こる。

3人以上のトップマネジメントチームとして、チームワークをうまく企業運営に活かし、業績を高めていくのはたしかに難しいかもしれないが、ナンバー1とナンバー2、あるいは共同トップ2人のタッグチームが企業を成功に導く例はよく知られているだろう。例えば、昔のホンダやソニーの例は有名だ。2人のチームであっても、お互いが長所を出し合い、短所を打ち消し合う関係でいられるならば、それは1人で経営の舵取りを行なうよりも数段効果が高いのはわかるだろう。トップマネジメントチームの場合は、2人以上になってくるが、このチームワークのクオリティが、企業の運命を大きく左右することは間違いないだろう。