ビジョナリー・リーダーシップ

リーダーは、組織のビジョン・ミッションを形作るとともに、メンバーとのコミュニケーションを通じて、そのビジョンを効果的に伝える能力が必要である。このような能力は、どのような「言葉」を使ってコミュニケーションするか、という技術を身につけることによって高めることができるリーダーシップに必要な言語スキルは、大きく2つある。フレーミングと象徴的言語である。

@フレーミング

組織の目標を意味のあるものに作り上げるプロセス、リーダーからメンバーに向けてのメッセージの内容を作るスキル

A象徴的言語

メンバーに対して、感情的パワーを含ませながらメッセージを送るスキル。シンボリックな表現によって、メッセージをさらに洗練されたものにするスキル

フレーミングにおいて重要なことは、メンバーの感情にインパクトを与えるようなビジョン、将来の目標、そこへの道筋を提示することによって、メンバーの自信を高め、目標に向けて発奮させるようにすることである。それは「わが社の来期の売上は○○にしたい」という具体的かつ感情的表現が少ないメッセージでは達成できない。むしろ「わたしたちはイノベーティブな精神とクリエイティブなアイデアによって、◇◇の分野に革命的進歩をもたらすことを…」というように、感情的インパクトのある表現を選ぶのが望ましい。メッセージを構成する重要な要素は、「価値」と「信念」である。これらをうまく選択して、メッセージに含ませ、さらにこれを増幅することが求められる。

価値の増幅

メッセージに含ませる価値を増幅させるための効果的な手段としては、自分のメッセージを、社会的に重要な動きと重複させることによって大きくみせることや、自国や社会の価値観と重複させることによってその重要性を強調することなどがあげられる。すなわち、リーダーがメッセージを組み立てる際に組み込む価値は、メンバーにとってインパクトがあり、アピーリングであることが求められるのである。

信念の増幅

価値がリーダーや組織の目標を示すのに対し、信念は、その目標を達成するために何が重要なのかについてのメッセージである。それには、価値自体が非常に重要であることを強調することや、何故その価値、目標が必要であるのかという理由、そして、価値や目標に反することは何なのか、また、価値、目標が私たちを幸福に導くといった信念を伝えることなどがあげられる。

リーダー言語のテクニック

メタファーやアナロジーは、しばしばまったく異なるものであるが、共通する要素を持っているものを用いて自分のメッセージを表現する技術である。なぜメタファーやアナロジーを用いることが強力で効果的であるのかというと、まず、直接表現をしないでそういったものを介在させることによって、リスナーが想像力を働かせることにつながり、それが一種の興奮状態をもたらすという効果があげられる。リスナーは必ずしもメッセージを受け取るだけの受け身な存在ではなく、リーダーと双方向のコミュニケーションを取りうる、能動的な存在である。したがって、リスナーに想像させてメッセージの解読を要求する伝え方はリスナーの態度を能動的にする。次に、一般的にリスナーは抽象的な表現は好まない、むしろ生き生きとした表現のほうがインパクトを与える。ストーリーは、リスナーに生き生きとした情報を伝えるため、有効な手段である。抽象的な結論より、自分の身の上話をしたほうが、おなじメッセージを伝えるにも効果が違う。

リーダーが使う言葉のレベルも重要である。日常的なくだけた表現を故意に用いてみたり、非常に崇高なレベルの言葉を用いてみるなどするセンスが必要である。また、口調や繰り返し、リズム、声の大きさなども重要な要素である。

参考

Conger, J. A. (1991) Inspiring others: The language of leadership. Academy of Management Executive, 5 (1), 31-45.