三重全県の公立校 先生はオール「B」

産経新聞平成11年10月31日


勤務評定 20年以上にわたり

 三重県の公立学校のほぼ全教員の勤務評定が20年以上にわたり、3段階(ABC)評価を行う項目すべてで、「B」として一律に評価されていることが30日、分かった。三重県教委、同県教職員組合(鈴木逸郎委員長、三教組)とも事実関係をおおむね認めている。

 県教委規則によると、評定書は「学級経営」「学習指導」などの職務状況▽「責任感」「協調性」といった特性や能力▽勤務状況−の3分野9項目について「A・B・C」の3段階で評価する方式で、毎年九月、各校長が記入する。
 しかし、関係者によると、県内のほぼすべての公立学校で全教員の評定書の全項目を一律に「B」と記入。総合評価の分野でも3段階の中間に評価されていた。その一方で処分の対象となった教員や功績が顕著な教員らについては、市町村の教育長らが「調整」という形で別評価をしているという。
 勤務評定は地方公務員法で実施が定められ、「結果に応じた(給与や異動など人事上の)措置を講じなければならない」と規定。県教委の規則でも「職員に対する指導、監督、研修の指針と人事行政の参考とに資する」と明文化されている。
 三教組が今年3月に発行した『50年史』や関係者の話によると、同県では昭和33年10月に初めて実施。一律の「B」評価は、制度導入に強く反対していた
組合側の要求を各市町村教委などが受け入れる形で、このころから一部の学校で始まったといい、50年代前半には、全県的に行われるようになったという。

 「三重県の教育」に関する詳報は11月1日発売の雑誌「正論」12月号に、「広島よりひどい“日教組王国”の惨状」というタイトルで掲載される。


主張 先生の“悪平等”を改めよ

平成11年11月4日産経新聞


 

【三重の教育】
 広島県に続いて、三重県の公立学校でも、教員の勤務評定がABC三段階評価で一律「B」に固定され、形がい化している実態が明らかになった。児童生徒を評価する立場にある先生が何の評価も受けないのでは、保護者や納税者の納得は得られない。

 三重県のケースは、校長が「学級経営、学習指導など職務状況」「責任感、協調性などの特性や能力」といった3分野9項目について勤務評定を行うさい、全教員の評定書の全項目に「B」と記入していた−というものだ。教育委員会が日教組系の三重県教職員組合(三教組)の要求を受け入れるかたちで、20年以上前から続いていたという。これでは、何のための勤務評定か分からない。ない方がましだ。

 昭和30年代、日教組は「勤務評定は差別につながる」として勤評反対闘争を繰り広げた。その後遺症が今も尾を引いているといえる。だが、教員の業績に応じて勤務評定で差をつけることがなぜ、差別なのか。教育に意欲的な先生と、そうでない先生に差をつけないことこそが、逆差別ではないか。勤務評定を一律「B」とするやり方は“悪平等”以外の何物でもない。

 先生社会の“悪平等”は、児童生徒の指導にも影響する。現在の指導要録や通信簿は、試験の点数だけでなく、子供たちの学習意欲や関心にも注意をはらい、それを積極的に評価することが求められている。教える側の意欲や関心への評価を拒みながら、どうして教えられる側の意欲や関心を正当に評価できるのか。

 勤務評定の形がい化は、職場規律の乱れにもつながる。広島県では、一部の小中学校で勤務評定(5段階評価)が上から2番目の「優良」に統一されていた問題のほか、(1)組合員教師が勤務時間内に学校を離れるさい、いったん年休届を出し、後で破棄する“破り年休”(2)組合員の授業の受け持ち時間を県教委に水増しして報告する時間割の“二重帳簿”(3)授業時間中の組合の教育研究集会開催−といった異常な勤務実態が次々と明らかになった。

 こうした長年の“悪慣行”に対し、広島県教委は順次、是正指導を始めている。三重県教委にも、そのような理の通った指導を期待したい。

 教育の規制緩和に伴い、東京都品川区や日野市では学校選択の自由化の試みが始まる。学校間競争の幕開けである。公立学校の先生の給料は約半分が国、残り半分は自治体の税金で賄われている。勤務評定を実効あるものとして、先生の間にも適正な競争を促し、納税者に理解を求めることが必要な時代になったのである。


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