高校生の意見は


 学校の式典等で日の丸を掲揚し君が代を斉唱することに関して,当事者の高校生はどんな意見を持っているのだろうか.東京都武蔵野市の都立武蔵高等学校で政治経済を教える松田隆夫教諭は話す.
「この問題については,推進派の文部省や教育委員会側と,反対派の教職員組合側が対立し続けてきました.それは,当の子どもの側からすれば,自分たちと関係のないところでの空中戦のようなきらいがあったと思うのです」
 松田教諭は6クラスの3年生に政治経済を教えているが,授業の中で日の丸・君が代について一緒に考える時間を1時間ほど組み込んでいる.
 正式にアンケートをしたわけではないが,国旗・国歌の法制化に関する生徒達の意見は大別すると,反対が3割,賛成が2割,中間層が5割ぐらいという.
 武蔵高等学校は制服もない,行事もすべて生徒が自主的に運営する校風のせいか,活発に意見を表明する生徒が多い.
 賛成意見は,「サッカーのワールドカップなどで,日本の選手が一生懸命プレーし,日本の応援団がスタンドで日の丸を振りながら声援を送る姿を見るといいなと思う.試合後に選手たちが胸に手を当てて,君が代を聞いたり口ずさむ姿はカッコいいし,ジーンと来る」といったスポーツ系がほとんどである.
 反対意見の第一は,主権在民でありながら,天皇を賛美する歌がなぜ国を代表する歌になるのか.二番目に多いのは,近代における日本の歴史の清算がきちんと行われていない以上,国歌としてふさわしくないというもの.第三が,パレスチナ,東チモール,コソボ紛争などが語るように,国家というものが自己主張を始めると,ろくなことが起こらない,という意見である.
 中間層は「小,中学校から式典における国旗掲揚と国歌斉唱が実施されてきたので,そうしたことは当たり前のことと感じてきており,日の丸・君が代はあってもなくてもいい感じで,深く考えたことがない」といった声が多い.
 NGO「子どもの人権連」のメンバーでもある松田教諭は「子どもが自分たちの行事の内容を自分で選ぶ権利を認めることが一番大事だと思います.そのうえで,式典に日の丸・君が代が必要なら,管理職は子どもたちと話し合って合意を得る必要があります.そういうことが求められている時代ではないでしょうか」と言う.


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