平成12年4月21日付産経新聞三重版より転載

「教育文書公開に努力を」
講師の豊島・三重大学助教授
新条例研修県立高校長らに訴え


Sさんより:いつもお世話になっています
その後の三重の教育事情です。
今週も県内のさまざまなメディアが取り上げて下さいました。

以下本文

 職員会議録や内申書の情報開示請求などに対応するため20日、県立高校長と事務長ら約200人を対象とした「新情報公開条例研修会」が県庁講堂で開かれた。講師を務めた豊島明子・三重大人文学部助教授(行政法担当)は「これまでの県の教育関係者は過度の秘密主義だったが、県民の信頼を得てお互いが透明な関係になるため、情報公開や情報提供の努力を続けるべき」と述べた。

 県の情報公開条例は4月から改正され、私生活などにかかわる特別な個人情報以外ははとんどすべて公開対象になった。
 また、これまで公開対象外だった審議途中のメモや決裁印のない文書も公文書とされ、原則的にすべて公開対象になったため、学校現場でもさまざまな文書や情報が公開対象になっている。
 同時に県内でも職員会議録の開示請求や内申書指導要録、教員採用試験関係文書などの開示請求が増え、今後もますます増えてくることが予想されるため、現場の校長らに情報公開に対する姿勢や現状を把握してもらうため開催した。
 新情報公開条例の解説と意義付けは豊島助教授が説明。豊島助教授は「今回の条例改正は画期的で、これまでは懇談会などの個人名はふせられていたが、今後は職務上であればはぼ公開対象になっていく。また保護者らに学校運営の現状を理解してもらうために開示請求がなくても学校自らが情報を提示していく義務が明記された」としたうえで、「(名古屋市の5千万円恐喝事件など)いじめ問題、教師自身の問題行動など今や教育にかかわる問題は、全国民の関心事。三重でも今後は学校が抱える問題を率直に公開して、保護者らとともに問題を考え解決していくべき。そうすることで信頼も回復するだろうし、保護者らにも自己責任を自覚してもらえる」などと述べた。
 また「私自身の(助教授経験も踏まえて)とかく先生は人を評価することは多いが、人から評価されたり批判されたりすることに慣れていないので、思いきった意識改革が必要。いきなり開かれた学校になることは難しいが、徐々に努力してほしい」とした。
 参加したある校長は「時代の変化を感じるが、公開への努力をしていきたい」と話していた。


伊勢新聞平成12年4月23日一面トップ記事より転載

君が代斉唱なぜ100%?


 全国でほとんど最下位状態だった県下公立学校の国歌斉唱率が、昨年7月国会で日章旗を国旗、君が代を国歌とする「国旗国歌法」が成立した途端、昨年度の卒業式から本年度の入学式と続くこの3、4月の学校行事で急上昇し、ほぼ100%になった。戦前の軍国教育から戦後の民主教育へのコペルニクス的転換を、学校現場は再び体現したが、それをめぐる議論は不思議なほど静まりかえっている。(特報郡 岡 正勝)

実施率急上昇の背景
 「卒業式、入学式ともに今回は、前に比べて少し楽になりました。職員の国歌斉唱に反対する声も以前に比べて、ちょっと減ったかと思います」。11日の県立高校入学式。校長は淡々と語る。
 この高校では前年の入学式、日章旗は掲げたものの君が代は斉唱しなかった。校長と各教諭との間で行われた協議で「歴史的な経緯を含め、君が代斉唱に反対するさまざまな意見が出た」というのが当時、君が代を斉唱しなかった理由だ。
 今年は卒業式、入学式ともに壇上に国旗を掲げ、国歌を斉唱した。校長は「公立学校としては法や学習要領、文部省・県教委通達に従い、公式行事で国旗掲揚や国歌斉唱を行うのは当然。(国旗や国歌に対し)先生それぞれの思いもあるでしょうが…」と話している。

■国旗国歌法
 平成10年度の県立高校卒業式で日章旗が掲揚されたのは62校中55校。これに対し君が代斉唱はわずか3校にとどまっていた。入学式も似たようなもので、日章旗掲揚約90%に対し、君が代斉唱は.3.2%だった。
 それが今回は一気に跳ね上がり、入学式は国旗・国歌ともに100%を記録。国旗掲揚は小中学校、盲聾(ろう)養護学校ともに100%、国歌斉唱は公立小学校で99.5%、中学校で98.8%、盲聾養護学校100%。いずれも100%、もしくはそれに近い数値になった。
 県教委学校教育課の見並頁一主幹は、国歌がほぼ100%斉唱された理由を議論された時間とは裏腹に「学習指導要領に則した議論がなされた結果」と分析する。
 文部省の“強い指導”もあり、県教委は昨年2月、文部省通達とともに学校長らに「適切な処置」を求める通知文を初めて出している。11年度に入り、県立高校の校長会や市町村の小中学校長会、教育長会などの話し合いで指導したという。
 国旗国歌法の施行も斉唱率アップに大きく寄与したと見られている。ある教育長「法律の後ろ盾(だて)があるのとないのとでは全然違う。学習指導要領には公式行事での国旗掲揚、国歌斉唱が以前から述べられていたが、『なんで君が代、なんで日の丸の話が先に立ち、議論があいまいになってしまっていた』と聞いている」と語る。
 これまで「前例に倣う」慣行的な部分も多分にあった。国旗掲揚90%に対し、国歌については1ケタ台というのがそれを物語る。「国旗はともかく、国歌は去年もやらなかったんだから、今年もやらないでいい」と、議題にさえよらなかった学校もあるという。

■批判を恐れ
 一方で、「政治的な意味合いが濃い」と指摘する声もある。元教諭は「県議会で追及があった『教職員の勤務時間中の組合活動問題』などが各教諭に自重させたのではないか。反対することで何かにつけ、またつるしあげられるのをおそれたのかも」と推測する。
 県議会行革特別委員会での追及に端を発したこの問題は、県教委の調査の結果、過去約3年間で教職員が勤務時間中、1人当たり平均7.7回、時間にして約21時間を県教職員組合(三教組)の活動に費やしていた実態が明らかになった。
 教育長や校長ら管理職は処分され、勤務時間中に組合活動を行った教職員に対してはその分の給料返還要請に発展。原因はやはり「慣行」だった。
 これらの指摘に対し、三教組の長尾邦弘執行委員は「勤務時間中の組合活動が影響したという考え方が出てくるのは分からないではない。しかし、国旗国歌問題で組合員に職員会議での意見を自粛を求めたことはないし、その必要もないだろう。
 「基本的に別の問題だ」と勤務時間中の組合活動問題との関与を否定する。
 そして、国歌の斉唱率が急激に上がったことについては「ちゃんとした分析はしていないが県教委の徹底した指導の結果ではないか」と話す。
 従来教育関係者を集めて行っていた国旗国歌の指導を、県教委事務局職員自らが各地区に足を運んで訴えたからという。
 「指導される人にもよるだろうが、県に呼ばれるのと、県が自分のところへ来るのでは全然意味合いが違うと思う」と話し、県教委の熱意が学校幹部を動かしたと見る。
 三教組は今年、国旗国歌問題の運動方針を部分修正した。これまで「強制には反対、だが斉唱そのものに反対していない。職場会議での話し合いを尊重していた」が“開かれた学校”を目指し、議論対象を学校内部だけでなく地域や家庭、子供にもに広げたという。

■中身が重要
 県教委の指導などいくつかの要因が上げられてはいるものの、結局のところ国歌斉唱率アップの明確な答えは教育関係者の間でまだ出ていない。ただ「法制定のきっかけにもなった広島県世羅高校で起きた校長の自殺が教職員、校長の立場を問わず、大きな衝撃を与えたことは間違いない。「教職員、校長の立場の違いこそあれ、同じ職場で働く仲間。一人だけに負担させ、自殺にまで追いやってはならない」(ある教育長)。「そこまでしてやろうというものでもないはず。自殺者が出るのはおかしいし、そうなってはいけない」(三教組)
 これら管理職・教職員双方の共通の感情が、国歌斉唱へと静かに導き、「これまでやってこなっかたんだからという慣例を変化させたのかもしれない。
 しかしそうした場合、国旗・国歌について深い議論があったとはあまり言えず、ただ数字が上がっただけということになる。県教委学校指導課の見並主幹は「これからは実施率より」国際的な勉強の中で国旗、国歌を教えていくなど中身が重要となってくるのではないだろうか」と話している。


■三重タイムズ4月21日号掲載1面「トップ記事」

教員が勤務時間内活動
同和教育研究会への補助金に問題
他団体の資金源にも
会費収入は予算のわずか3割


 本紙3月31日号で、久保憲一鈴鹿国際大学教授の「教授解任」に関連して、三重県人権センターに入居している三重県同和教育研究協議会(三同教)など任意団体の問題を取り上げたが、新たに、別の任意団体の問題が浮上している。三重県では、県内のすべての市町村(69)に「同和教育研究会」(同研)という任意団体が設置され、多額の補助金を受けているほか、教員の勤務時間中の事務局活動なども認められている。さらに同研活動に支給されている補助金がさまざまな名目で、三同教などの資金源として吸い上げられていることが分かった。津同研の実態を取材した。

 津市同和教育研究会(津同研)は昭和46年に発足。市の補助金は、記録上では昭和61年までしかたどることが出来ないが、発足時から支給されていたことはほぼ間違いない。補助金の額は昭和61年度から平成5年度までが60万円(年間)。平成6年度から11年度まで70万円。12年度は50万円となっている。
 平成10年度の決算報告では、収入総額が約120万円。内訳は前年度繰越金16万1千円、津市補助金70万円、会費30万8千円、雑収入(利子など)3万円などとなっている。支出総額は96万6千円で、残金23万4千円が11年度に繰り越されている。
 10年度の決算報告を取材して、いくつかの疑問が出てきた。なにを対象に補助金が支給されているのか。毎年16万円とか20数万円もの残金がなぜ出るのか。また本来、任意団体は構成員の自助努力と責任で運営されるべきもので、実質的予算の7割が補助金というのはほかの団体と比べても突出しているのではないか。
 これに対して津市教育委員会同和教育室(現人権教育課)は、「毎年多くの繰越金があるため、12年度から補助金を50万円に減額した。会員の会費についても、自助努力の観点から年間300円を500円に増額した」としている。
 民間の任意団体が公的補助金を受ける場合、予算書や事業計画、実施時期など一つ一つについて厳しく精査される。これは税金を投入する限り、それだけの“公益性の担保”が必要だということにほかならない。
 “同和”と名がつくと、使うあてのない多額の残金(繰越金)が出ても認められるのか。どういう事業計画や積算根拠で予算を付けたのか、との本紙の質問に当局は答えられなかった。
 会員の会費についても年間3百円を5百円にしたと当局はいうが、ほかのNPOや民間団体の年間会費と比べても格段に低いといえる。
 津同研の役員は会長に津市公立小学校長会会長。副会長は同中学校長会会長と三教組津支部長が慣例として就任することになっている。実質上は同和教育推進教員6人で構成する事務局員が取り仕切っているとされている。会員は津市立の保育園、幼稚園、小中学校教員、園長、校長ら約1500人。事務局は会長をしている校長の小学校(現在は敬和小)に置かれている。
 「会員はすべて教員であり、校長が会長をしている。公益性が高い。任意団体といってもまったく民間団体とはいえない」(田中彌教育長)としている。しかしその津同研の事業活動に支給された市の補助金が、ほかの任意団体に流れていることが本紙の調べで判明した。
 10年度の支出一覧によると、津同研の事業費として支出された金額が79万6350円。一方、三同教などほかの任意団体への支出は14万9730円となっている。
 「公益性が高い」とされて補助金を受けた任意団体が、さらに別の任意団体に参加費や分担金などの名目で補助金を流し、他団体の事実上の活動資金になっているのではないか。
 三同教を取材した時に、担当者が「同和地区のある市町村同研からは5万円、そうでない同研は3万円の分担金を徴収している(年間約280万円)。大会などの収益金(参加費など)が800万から900万円ある」と豪語していたが、この金は住民が額に汗して市町村に納めた税金ではないのか。
 津市民の税金が、津同研の活動に使われているのならともかく、なぜ三同教や全同教という、津市民に直接関係のない任意団体に毎年、十数万円もの大金が流れているのか。なぜ市教委は黙認しているのか。
 津同研の情報公開と共に、市教委の主体性、公正公平性が強く求められている。


■ 三重タイムズ4月21日号掲載3面「読者の声」

●教師の仕事は教壇に立つこと

一読者


 4月7日号の「寄稿」に現職の先生の声が掲載されました。拝読して驚いたのだが、組合の役員を選出することが先んじられ、教員が定数以下になっている学校があるという。この先生が述べられているように教師は教壇に立つことが仕事ではないのか。夢と希望をもって教職につかれた先生方の現実が、組合活動や他団体の専従になっているなんて、こんなに気の毒な話はないと思う。
 「嫌だ」といえない圧力があることが予想される。学級崩壊などで学校現場が大変な時に、本気で子どもたちのためにと思ってやっているのか。三教組のいっていることがいよいよ口先だけに思えてならない。最近の時勢をみて勇気を出して、誰もが声を挙げる時なのではないだろうか。


●市民大学で同和問題を

四日市市・一読者


 三重タイムズ社の「市民文化大学」に出席させて頂き、上杉、松浦両先生の「魂」を聞くことができて大変感銘しました。松浦先生の最近の女子高生の“動物”のたとえ話には、笑うに笑えないものがあり、国家崩壊の現実が確実に迫っていて恐怖を感じたものでした。
 私は県外の出身ですが、三重県にきて同和問題がさかんにいわれているのに驚いています。私は同和問題にまったく無知なので、同和教育の実態について話を聞く機会があればと思っています。「市民文化大学」のテーマに相応しくないかも知れませんが、一度、その問題に詳しい先生のご指導を頂けたらと思います。


『祖国と青年』4月号

三重の教育正常化運動はいま(下)

皇學館大學助教授 新田均


処分・返還の決定
 2月21日、ついに県教委から勤務時間中の組合活動に関する調査結果が発表された。調査対象教員は3年間で延べ4万8千人。その内の66%に当たる約3万2千人が不正な組合活動を行っており、その総時間数は約68万時間にものぼることが明らかになった。県教委は、勤務時間中の組合活動を地方公務員法違反と断定し、給与返還の対象となるとの認識を示すとともに、今後は3、4カ月をかけて集計結果を確認・精査して、返還作業を進めていくと発表した。新聞報道によれば、その金額は16億円にものぼると予想されている。
 また、これに対する是正措置を怠ってきたことを理由として、県教委は、県教育長・教育次長(2人)・前教育次長を減給処分、審議監・教職員課長・前教職員課長を戒告、事務局各課長等(8人)・教育事務所長(7人)、県立学校長(75人)を戒告処分とした。その後、3月末をめどとして、順次、県内69の市町村教委においても教育長および小中学校長の処分が進み、最終的な処分者は8〜9百人にのぼると予想されている。
 なお、この調査に応じなかった教員が14名おり、これについては再度調査に応じるよう要請し、それでもダメな場合には職務命令を出すこともありえる、と県教育長は述べている。このような県教委の発表を受けて、三重県議会予算決算特別委員会は、同日、平成10年度決算の「不認定」を決定した。県職員のカラ主張の発覚以来2度目の出来事である。平成12年2月21日という日は「三重県教育界の一番長い日」として、後世まで語り継がれるに違いない。
 さらに、2月28日から3月3日まで会計検査院の6人の担当者が監査に入った。ある公務員によれば、この人数の多さ、期間の長さは、「通常の監査」としては異例であるという。中林県教育長によれば、会計検査院は「この問題は国庫負担金の対象金額にかかわるものであるので今後も引き続き調査検討する。さらに県教委の精査・確認結果の報告を待つ」との講評を述べたらしい。
 3月2日には、県内公立高校の卒業式における国旗掲揚率、国歌斉唱率が発表された。それによれば、国旗掲揚率は昨年の91.9%から100%に、国歌斉唱率は6.5%から、なんと98.4%にはねあがった。三教組幹部の自民党への約束は、どうやら果たされたと言えそうだ。それにしても、「それでは今までは何だったのか」と皮肉の一つも言いたくなるのは私だけではあるまい。

自民党県議団「車がかりの戦法」
 3月2日に開かれた県議会の一般質問において、自民党県議団は教育改革の大勢を決すべく、上杉謙信ばりの「車がかりの戦法」に出た。橋川すきや県議(度会郡)が全ての質問を教育改革一本に絞ったのを皮切りに、津田健児(四日市市)・浜田耕司(伊勢市)・中村敏(鈴鹿市)・山本勝(桑名市)・森本繁史(熊野市)といった一期生議員が「教育問題プロジェクトチーム」を結成して次々に関連質問に立ち、さらに貝増吉郎県議(桑名市)も一般質問で教育問題を取り上げて追い打ちをかけたのである(『中日新聞』は、この日の議会を「さながら教育問題集中審議」と評している)。
 橋川県議と中林県教育長とのやりとりは以下のようである。
問い「教員の意識改革をどのようにすすめるのか」。
答え「中途半端ではダメで徹底した改革を行う。学校運営に関するマネイジメント研修を実施する。自己評価システムを構築する」。
問い「勤務評定の基準の見直しはどうなっているか」。
答え「勤務評定の見直しは、知事部局の案を参考にして、実施は知事部局に着かず離れずでおこなう」。
問い「教員の研修をどのように考えているか」。
答え「研修の大幅な見直しを行う。個々の教員の研修やグループ研修を県教委がサポートする」。
問い「職員団体や運動団体との関係をどのように考えているか」。
答え「主体的に行政を推進し、職員団体は緊張感のあるパートナーと考えている。運動団体に対しては行政の中立性を守り、是々非々で対応する」。
問い「今後、人事システムをどのように構築していくのか」。
答え「見直しをおこなう」。
問い「教員の公務員としての自覚や遵法精神をどのようにして高めるのか」。
答え「各種の研修に関係法規に関する研修を取り入れ、公務員の義務や自覚を強化するようにする」。
 つづいて5人の県議が関連質問をあびせかけた。津田県議は、「国旗・国歌を実施しなかった校長や教員を処罰する権限が県教委にあるのか」「職員団体への加入・不加入を理由に、昇進や学校運営において、優遇策や不利な扱いをすることは許されるのか」と、人事委員会委員長に質した。これに対して、同委員長は、「教育委員会の権限に属することなので判断を控えさせていただきますが、申し立てがあれば、その時に対応します」「地方公務員法の規定により、不利な取扱を受けてはならないことになっております。申し立てがあれば、対応いたします」と答えた。また、県教育長は、「授業数などについて優遇されることはない。研修についても、授業を犠牲にするようなことがあってはならない」とした。
 浜田県議が「教師の選挙活動についてどのように考えているのか」と質したのに対して、県教育長は「その都度通知してきたが、県民の疑惑を招くことのないように対処したい」と、県警本部長は「法に触れるような行為があれば主体の如何を問わず取り締まります」と、選挙管理委員会委員長は「父母に働きかけることも教師の地位利用にあたり公職選挙法違反です」と、それぞれ答えた。
 中村県議は「三教組が編集し、三教組幹部が役員を務める有限会社・三重県学校厚生会が発行している夏休みの宿題帳『夏休みの友』(県内の小学校の約85%で使用)について、その内容に「学習指導要領」を逸脱した部分のあること、三教組幹部が理事を務める財団法人・三重県教育文化会館所有のビルに、校長会が職員団体とともに入居していること」を問題にした。教育長は、「『夏休みの友』の内容が、『学習指導要領』や昭和49年9月の『学校における補助教材の適正な取扱いについて』と題する文部省の通達に照らして問題があることを認め、市町村教育委員会に学校を指導するように要請すること、発行元である有限会社・三重県学校厚生会に内容の是正を申し入れること」を約束した。また、「任意団体である校長会が、財団法人のビルに入居していることは法的には問題はない」としながらも、「県民の疑惑を招く恐れがあることを校長会に申し入れる」とした。中村県議はさらに「教育文化会館が主宰し、学校が協力し、三重県や県教委が後援している『三重県小中学校書初め展』の出品用紙が、有限会社・三重県学校厚生会のものに限られている事実」を指摘するとともに、「旅行代理業や建物の維持管理業務もこの会社の事業に含まれている」と述べて、「公平な商取引が行われるように県教委が監督すること」を要望した。
 山本県議は 「主任の選出が4月始めの組合の職場会議で、校長・教頭のいないところで行われている実態」「教員には教職調整額という名で4%の時間外勤務手当が一律に支給されているにもかかわらず、三重県では『回復時間』と称して、勤務時間外の勤務に対して後日休暇が与えられている事実」「事務職員も教師と同様に休みをとり、仕事の有無に関わらず一定の超過勤務手当を請求することが認められている事実」を指摘した。教育長は「主任は校長の責任で任命するように強く指導する」「『回復時間』の慣行は、制度上認められないことなので、管理職へさらに指導する」「事務職員に関する慣行は、公務員にあるまじき行為なので厳正に対処する」と答えた。
 森本県議は「県教委に教員出身者が多く(約45%)、中には教組幹部を務めたものや、組合に所属したままの職員もいる事実を指摘し、県教委の主体性を守るために人員構成の比率を変えてはどうか」と提案した。
 最後に一般質問に立った貝増県議は「教科書採択の情報公開について」「国旗・国歌に関する教育について」「歴史教育の内容の早期是正について」質した。これに対して、教育長は、「教科書採択については、本年度からはある程度公開してきた。これからは議事録や選定委員名の公開も検討していく」「国旗・国歌については、『学習指導要領』にそって小学校から中学校まで尊重する態度を育てる。教える科目は社会科・音楽・特別活動。年間指導計画に入れるように指導する」「歴史教育については、国民としての自覚を育てるような教育が大切。『正論』12月号で指摘された授業は、一面的で不適切であり、校長・担当教員を指導した。今後、歴史教育の是正を指導していく」と答えた。最後に貝増県議は「『三教組新聞』では嵐が過ぎ去るのを待てばよいというようなことを言っているが、我々はずっとチェックを続けていく」と釘を刺した。

芝博一県議の奮戦
 3月6日の県議会では、知事与党・県政会の芝博一県議(鈴鹿市)が質問に立ち、再び教育問題を追及した。芝県議はまず、3月1日の参議院予算委員会において、自民党の上杉光広議員と中曽根文部大臣との間で次のようなやりとりが行われたことを紹介し、北川正恭知事の見解を質した。
上杉氏「広島や三重で勤務中に組合活動をした日教組組合員が不正に給与を受け取っていた。各都道府県教委を指導すべきだ」。
中曽根文部大臣「公立学校職員が給与を受けながら、勤務時間中に職員団体のための活動を行うことは地方公務員法で禁止されている。各教委で適正な勤務管理が行われるよう指導していきたい」。
 この質問に対して北川知事は「重く受けとめている。県民に説明できるように県教委が対応することを期待している」と述べた。
 つづいて芝県議は、作野史朗県教育委員長に対して「これまで県教委事務局が提案した議案が、委員による審議の中で修正ないし否決されたことがあったか」と質した。これについて、作野委員長は「事務局が慎重に用意した議案なので、修正ないし否決されたことはない」と答えて、県教委の審議の形骸化を露呈した。また、芝県議が県教委議事録の公開を迫ったのに対し、作野委員長は公表に努めると約束した。
 さらに、芝県議は、中林県教育長に対して、次のような質問をたたみかけた。
問い「給食費などの父兄から徴収するお金を口座引き落としとする『学校徴収金制度』というものがあるが、これを財団法人・三重県教育文化会館が請負い、手数料を徴収すると同時に、父兄のデータ管理を行い、資金が教育文化会館の口座に集められる制度になっていることをどのように考えるのか」。
答え「市町村教育委員会や校長の権限に属することがらなので実態を把握した上で、問題があれば是正に努めたい」。
問い「三教組と表裏一体の三重県教育文化会館に入居している様々な団体の役員に校長が名を連ねている事実をどのように考えているのか」。
答え「各種団体の性格を検討して個々に対応したい」。
問い「新任の校長に対して、職場の労働慣行を認めさせるために『着任団交』と称する団体交渉を行っている学校があるが、これをどのように考えているのか」。
答え「是正する」。
問い「各学校には職員会議の前に開かれる運営委員会なるものがあり、その構成員に組合員の代表である職場委員が名をつらねている。これは、校長権限を束縛する制度ではないか」。
答え「学校長の権限を強化するために『三重県立学校の管理に関する規則』を全面改訂し、4月1日から施行する。また、同様の改正を市町村教委にもお願いする。この趣旨に沿って運営委員会の構成メンバーも任命されるべきだと考える」。
問い「地域によっては毎週水曜日を半日授業とし、午後に組合の職場会議や研修を行っているが、これをどう考えているのか」。
答え「教職員側の都合でそのようなことになっているのであれば、是正を指導する」。
問い「ある組合支部の議案書には、『初任者研修の意図を形骸化させる』『県教委の行う研修は三教組と県教委との確認により、事前協議で基本的合意を得て開催することを定着させている』と記されているが、これをどう考えるのか」。
答え「これは大変遺憾である。研修内容にも不適切なものが含まれていると認識している。今後は、県教委が主体的に研修を実施していく」。

新たな局面へ
 3月初旬の三重県議会における議論を通じて、三教組に関わる不正についてはほぼ論点が出尽くした感があり、県教委はそのほとんどについて是正を約束した。ここまでの流れは、予想を絶した大勝利、まさに“パーフェクト・ゲーム”と言えそうだ。けれどもそれは、三重県教育界の「パンドラの箱を開けた」に過ぎなかったのかもしれない。三教組問題に関心が注がれている間に、予想もしないところから、いっそう深刻な問題が浮かび上がりつつあった。
 元々この連載は3回で終了する予定だったが、三教組問題についての今後の課題と、新たに出現した問題とを取り扱うために、編集部に無理を申し上げて、もうすこし継続させていただくことにした。


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