卒業式・入学式・・・

“国旗・国歌”への対応Q&Aその3

卒業式・入学式で“国旗・国歌”にどう対応すればいいのか,不安を持つ方は少なくない.
早稲田大学の下村哲夫教授にQ&A形式で答えていただいた.

その1 その2


 「国旗・国歌」の扱いは諸外国ではどうなっているのか.

 詳しくは,文部省が発行した国旗・国歌の指導をめぐる資料集の中に一覧表がありますので,ご覧になっていただくことにして,第一に言えることは,アメリカ,イギリス,フランス,ドイツなどの先進諸国では,入学式や卒業式等の儀式自体がないか,あるいは儀式は行われても,その中で国旗掲揚や国歌斉唱を行う習慣がないため,日本のような問題は生じていません.
 また,アメリカの学校などでは,国旗と州旗を揚げている教室が多いのですが,アメリカは多民族国家であるため,国旗や国歌は国の理念のシンボルとしての意味を持つととらえられています.
 学校教育の中で国旗や国歌がしばしば登場するのは,中国や韓国です.入学式や卒業式で国旗掲揚や国歌斉唱が行われるばかりでなく,中国では毎週月曜日に国旗の掲揚と国歌の斉唱が行われていますし,韓国では基本的に毎日国旗を揚げています.

九九九 注:こちらのQ4(日教組)やこちらのQ4(九九九)も参照のこと.


 国旗・国歌の必要性は認めても,それが君が代であることに疑問を持っているが,それを授業中に話してもよいものか.

 国旗・国歌法が制定されたことによって,「それが君が代であること」への疑問は,もはや法的には成立しなくなりました.ただし,教員が個人的に授業中に「日の丸・君が代の裏の歴史や影の部分に私は疑問を感じるけれども,公務員としては指導するので,君らがどうするかはそれぞれの考えで決めてほしい」などと伝えることはできるでしょうし,この程度の意見表明が処分理由になり得るとは私には思えませんが,最近ではこの程度の言動で処分が出た例があるのも事実です.


 公務員関係における職務命令とはいえ,歌いたくない教員に無理に歌わせることまで強制できるのか.

 現実問題として,無理に歌わせることは不可能です.歌っているかいないか,声が出ているかいないかまでは確認できても,声を出さない教員に,声を出させることは物理的に不可能だからです.歌うことを拒否すれば,職務命令違反に問われますが,実際にはさほど重い処分にはならないでしょう.訓告か,校長からの注意が一般的だと思います.


 国歌斉唱の時,教員が1人だけ立たないでいた場合,処分の対象になるか.また,起立しない教員について,校長は教育委員会に報告する義務はあるのか.

 福岡県では,国歌斉唱で起立しなかった教員に対して,懲戒処分を行っています.国歌は起立して歌うことになっていますから,座っていたら明らかに職務命令違反に問われます.ただし現実には,そこまで仔細に教育委員会に報告して,処分を出すかどうかは,現場の校長の腹ひとつでしょう.
 式当日の夕方,教育委員会から校長に電話がかかってきて,国旗の掲揚場所や国歌斉唱時に起立しなかった教員についてなど,細かい報告を求めるケースが多いようです.その報告義務に関しては,学校は教育委員会の管理下にあるため,報告を命じられれば,校長は報告しなければならない義務はあります
 しかし私は,国旗・国歌法の制定を機に,現場があまりにも仔細な報告を教育委員会に行うといった慣行はよした方がいいのでは,と考えています.起立しなかった程度で処分を出せば,当然裁判闘争が起きて,長引くことを覚悟しなければなりません.現場では,起立しない教員というのは事前に見当がつくわけですから,当日の斉唱時には一時的に受付に回すなど適宜工夫するのも,ひとつの考え方ではないでしょうか.


 生徒に,国歌は聞くだけで歌わなくてもよいというような指導はできないか.

 学年によります.学習指導要領によれば,小学校低学年までは君が代を「聞く」指導が中心になりますが,それ以上の学年の子供には歌うよう指導するのであって,歌わなくてもよいという指導はできません.


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日の丸・君が代問題の法的検討


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