国立二小問題と国旗指導のヒント

東京大学教授 藤岡信勝


ならばアメリカに
思想信条の自由はないのか


 東京都国立市の国立第二小学校(沢幡勇治校長)では,3月24日の卒業式で,式場に国旗を掲揚する校長の方針に教師が反対し,校長はやむなく校舎の屋上に日の丸の旗を立てた.これに反発した教師7人,児童約30人が,屋上や校庭などで校長と教頭を約2時間にわたってつるし上げ,興奮した児童が校長に謝れとつめより,土下座まで要求した事件が,産経新聞の報道によって明るみに出た.
 日頃から左翼教師に「指導」された子どもたちが,歪んだ正義感から校長に食ってかかるというような場面は,偶発的にはあり得ることだろうと想像はできる.しかし,その「追及」時間が2時間に及ぶとは,あまりに常軌を逸している.その執拗さには薄気味の悪さを感じる.教師も児童も,すでに狂信の徒になっているのだ.また,その2時間ものあいだ「追及」に耐えた校長の忍耐力もまた希有のものである.これは,さながら,1970年前後の,かの学園紛争の小学校バージョンである.
 
5月26日付けの産経新聞には,卒業式前日の9時間(!)に及ぶ職員会議の主な内容と,右に述べた2時間に及ぶ校長と児童との主なやりとりの記録が掲載されている.職員会議では,たとえば次のような発言がある.
 ≪教師 (学習指導要領などは)諸外国の国旗国歌も同様に尊重するとある.それを日本の「国旗」に限定し,思想信条の違う人を排除して要求するのは憲法違反ではないか≫
 これが本当に教師が職員会議で発言なのか疑わしくなるほどの,幼稚な議論である.どこの国の国民でも,まずは自国の「国旗」に「限定して」,敬意を払うことを学ぶのである.国旗は国民統合のシンボルだからである.そこから,他国もまたそれぞれ「自国」の国旗を大切にしていることを当然のこととみなし,他国の国旗をわれわれも尊重しなければならないことが自然に理解されるのである.そんなことは,取り立てて議論する必要すらない自明のことではないか.
 日本の国旗に敬意を払うことを教えられなかった日本人の青年が,アフリカのケニアで同国の国旗が掲揚されたとき,その国旗に敬意を払う姿勢をとらなかったために危うく現地の警察に逮捕されそうになったという事件があった.日の丸への敬意を学ぶことは,海外での身の安全を保障するためにも重要なのである.(
九九九注:その話と似たような話は,こちら<リンク先HP内>やこちら<リンク先イドラ教育研究所のホームページ>に書いてある.
 また,国旗を尊重することと思想信条の自由とは関係がない.アメリカの学校で国旗への忠誠を誓う言葉を暗唱させているからといって,そのことからアメリカには思想信条の自由がないなどという者はいない.


九九九より:国立二小の東京都教職員組合(全教系列)の組合員13人は,8月10日に地方公務員法第35条(職務に専念する義務)違反または地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)違反で,戒告または文書訓告の処分を受けました.事の重大さを考えると,この処分は甘すぎると言わざるを得ません.

引用集にもどる すすむ