S高校の卒業式に関して


平成14年3月9日(EXさん)

 九九九先生、はじめまして。僕は、今年S高校を卒業した者です。いつも楽しく先生のホームページを拝見しています。今年度の卒業式においての国歌斉唱の実施をめぐる校内での動きに疑問を感じています。結局、卒業式において国歌は流されることになったのですが、一方の勢力の批判を恐れたのか、式の司会(教頭先生です)が出席者を起立させないままの状態で国歌が流れ、ごく少数の出席者が起立、斉唱するのみという、中途半端で非常に妙な結果となってしまいました。君が代が流れた際、自分は普通に歌いましたが、周りの生徒は座ったままという状態で、前のほうの列の何人かは立ち上がろうとしていたのですが、やはり、周りの雰囲気に飲まれたのか、座ってしまいました。自国の国歌であれ、他国の国歌であれ、座ったままというのは、失礼な行動です。結局、多くの出席者が周りの雰囲気に飲まれたのでしょう。一方、校歌斉唱の時には、司会は出席者に起立を促していました。

 この妙な現象の原因の一つに、
とある倫理の教師の授業があると僕は考えています。その先生が組合の関係者かどうかは結局分かりませんでした。その授業の中での妙な発言を紹介します。

  1. 僕はいつも正しいことを言っているとは限りません。でも、これによってあなた達の思考力を高めているのです。
  2. 冗談を言わないと授業はつまらない。でもその冗談の中にも大切なことが含まれています。そういう崇高な授業なのです。
  3. 君が代、歌いたい人はどうぞお風呂で歌ってください公的な場で天皇を賛美する歌が流されるのが問題なのです。
  4. 日の丸の赤は血の赤だ。
  5. 校舎の階段の吹き抜けに関して、「これは良くないね。生徒が自殺する。
  6. この教科書には嘘が書かれています。聖徳太子などいなかったのです。
  7. 弓道部の弓矢は戦力です。あれは、憲法第9条違反です。ついでに剣道部も。空手部はいいか。手足を折ってやればいいから。
  8. 「同僚にも恵まれない、生徒にも恵まれない。」ところが校長と生徒との国歌に関する意見交換会の後、「素晴らしい良識のある生徒諸君の発言に対し、校長の態度は何ですか。話をきちんと聞こうともしない。」
  9. 今の校長、天下りじゃないですか。それにしてもよく出張しますね。カラ出張ではないですか。
  10. マルクスの思想を紹介して、「あなた方の中には、過激に感じる人もいると思いますが、決して過激ではないのです。」「今、良識のある人々によって再び注目されているのです。」「社会主義は資本主義に破れたという人がいますが、決してそうではないのです。旧ソ連や中国は本当の社会主義ではない。これらの国は封建制から資本主義を経ずに社会主義に移行したのです。事実、中国は資本主義をやり直しています。資本主義を超えつつあるヨーロッパは社会民主主政策をとっています。アメリカはどうですか。バリバリの資本主義ですね。だから今行き詰まっているのです。」「あなた方のお父さんお母さんの中には労働疎外を感じている人もいるのではないですか。」生徒一人を指して、「君の家は資本家ではないのかい。どうも裕福な家のお坊ちゃんに見えるなあ。」「マルクスの思想は革命を起こす理論ではないのです。資本主義を分析する理論なのです。」
  11. 人類が新たに開発したものはこれまでの蓄積によるものだから人類共通の財産にすべきである。
  12. 自衛官派遣に関するニュースにおいて、派遣に賛成したお年寄りに対し、「あんなのは早く死ねばよいのです。その方が日本の平和につながる。」
  13. 日本国憲法にも間違いがあります。第1条の天皇についての記載などいらないのです。特権階級などいらないのです。
  14. 苔のムースって何ですか。
  15. S地裁の玄関に日章旗が2本掲揚されていた話をして、「何かおかしくありませんか。」
  16. 授業前の礼などいりません。あれは戦前の教育の名残なのです。
  17. 書道など芸術ではありません。
  18. 君が代をわざと音痴に歌って「音程が分からないのです。本当に。」
  19. 君が代を支持する人の考え方には何の根拠もありません。
  20. 日章旗を見て「うぇ、胸が苦しい。
  21. 新しい歴史教科書はひどいですね。天皇を賛美している。
  22. 「理」がつく教科は高等な科目です。数学なんて何になるのですか。
  23. 僕はもともと理系でしたが、漸化式を見て、これは人間がやるものではないと思いましたね。
  24. 僕は愛国者です。民族の血が煮えたぎります。
  25. 読売新聞や日本テレビは日本の平和に貢献しない。
  26. 「この中にも校長の手の者がいるのではないのですか。」廊下にいる人を見て、「あっ、校長の手の者かな、スパイかな。」
  27. さっき廊下で**先生(国歌斉唱に賛成の立場をとる数学の先生です。)を見かけました。足をかけてやろうと思いましたね。

 これは全て実話です。非常におかしな話が含まれています。この調子で3年生10クラス中7クラスの授業をしていました。冗談による発言も多いと思いますが、本気で言っている発言も含まれています。まあ、大方の生徒は関心が無く寝るか内職をしていたのですが、この先生の言うことを素晴らしいと考えてしまう生徒も少なからずいて、気の毒に思ってしまいました。また、この教師は授業中に社民党を支持しているようなことを言っていました。特定の教師の悪口を言ったり、自らの一方的な政治思想を言いたい放題言って生徒に広めようとする、この教師の授業中の発言には大きな疑問が生じました。反面教師としては良かったのではないかと・・・。

 さて、この教師と数名の社会科教師、他の教科の教師が職員会議において、卒業式での国歌斉唱に関して生徒との意見交換会を実施するように要求しました。そして、昨年12月に生徒希望者との意見交換会が行われました。それぞれ100人以上の生徒が出席しましたが、意見交換会において反対派の生徒からは、一応論理的と思われる発言もありましたが、妥協案を提案しようとした
生徒の発言を妨害したり、他人の発言を遮ったり、やたらにヤジを飛ばしたりという明らかな常識外の行動も目立ち、さらに校長先生に対し、国歌斉唱に反対して処分を受けて欲しいといった趣旨の発言も飛び出す始末で、呆れてしまいました。とある倫理教師は上記の通り、生徒の発言の多くを支持していました。

 しかしながら、校長先生は着任当初に新聞局のインタビューに答え、国歌斉唱を実施したいと明言されています。何故反対派の生徒がそのとき行動を起こさなかったのか、疑問が生じてしまいました。結局のところ、
自発的な行動のように思えないのです。。本当に思想的な観点から活動をしていた者は少ないと、僕は思っています。恐らく、現在のS高の校長に対する反感から、活動をした者もいると思います。事実、そのような話をする生徒もいます。国旗国歌はどうでもよく、校長先生側の意見交換会における対応に不満を持ち、様々な理由を付けて国旗国歌を利用し、批判していた者も多かったのではないかと思います。 
 
 さて、以前にS高の生徒が大勢いる前で、君が代が流れたことがありました。それは、高校野球の地区大会(だったかな?)でS高が優勝し、他の地区の優勝校とともに表彰式を行う場面でした。このとき、意識的に座った生徒もいましたが、大方は、立ったままでした。つまり、周りの雰囲気に飲まれて行動する事になるということです。
 もし、卒業式で、司会が国歌斉唱の際に起立を促していれば、大方の出席者は起立していたでしょう。

 自分の小学校、中学校(普通の市立の学校です。)の卒業式を振り返ってみると、国旗掲揚、国歌斉唱は普通に行われていました。中学校の社会科の先生も出来るだけ中立公正な授業を心がけていたと思います。別に特別な事ではないのですが、今回の騒動のせいで、有り難ささえ感じてしまいます。

 S弁護士会が校長に勧告をしたことに対し、疑問に思いました。本来ならばS高の中で解決すべき問題です。外部から学校側に圧力をかけ、事態を打開させようとしたことには残念に思わざるを得ません。外部からの圧力を許すとなれば、他の様々な団体等からの圧力が充分に考えられます。S高生10人が人権救済の申し立てをしたとありますが、この10人は、全校生徒の了承を取ることなく弁護士会に申し立てをしています。時間が無かったというのかもしれませんが、せめて生徒に何らかの通知をすべきだったと思います。つまり、この
10人の行動は全校生徒の総意ではない、と言いたいのです。総意だと思う生徒も、もちろんいると思います。しかし、そうでないと考える生徒も多くいると思います。
 
 さて、とある地方紙にもS高での出来事が掲載されていました。ただ、
正確とはいえない記事がありました。まず、S高において、卒業式における国歌斉唱に反対していた生徒は全校生徒の8割強のように思わせる記事がありましたが、正確には回収率64.74%の84%です。恐らくこの事実をとある地方紙の記者は把握していたと思うのですが、記事からは全校生徒の8割強が国歌斉唱に反対のように読めてしまいます。
 さらに、S高において国旗掲揚、国歌斉唱に反対していた生徒は、国旗国歌そのものに反対していた者が全てではない、ということです。校内で発行された生徒有志からの文章にもそのように書かれていました。それがいつの間にか国歌国旗そのものに全S高生が反対しているとの印象を与えかねないような記事が掲載されました。
 恐らく、国歌強制反対を主張した生徒の多くは、学校側の対応を問題にしたかったものと思われます。多くの生徒は特に意図的に国歌斉唱を問題にしたかったわけではなく、今回たまたま国歌斉唱について問題にした、というわけです。これが国歌斉唱問題ではなく別の問題なら、とある地方紙も弁護士会も、特に取り上げなかっただろうと僕は思っています。どうも国旗国歌を悪者に仕立て上げようとするような気がしてならないのです。また、学校側=悪、生徒側=善、というような構図を作ろうとしているように感じられてしまうのです。
 
 今回の騒動の中で、様々な面で様々な利益を得た方も多いはずです。今回の騒動の一部の生徒の行動が本来の目的を離れ、別の目的に利用されるのではないかと僕は危惧しています。このように考える生徒や教職員も多いのではないかと思います。実際、外部に悪い影響を与えることを危惧するS高の先生もいらっしゃいます。

 最後に、報道機関の多くは都合の良い意見を大々的に載せ、そうでないものは殆ど取り扱わないという事が多いと感じています。今回、S高の卒業生という、取材を受ける当事者となり、改めてこのことを実感しています。中立公正な紙面というのは限りなく難しいと思いますが、それに近づけて欲しいと考えています。

 高校卒業間も無い者による、長文、駄文ですみませんでした。参考になる部分があれば幸いです。

九九九より:こういった内容は,報道を見ているだけでは,全くわかりません.それにしても,ものすごく詳しい内容の提供,ありがとうございました.


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