一律勤務評定や時間内組合活動
「慣行」見直し、揺れる三教組

平成12年2月1日の中日新聞の三重版
提供:個無想(COM僧)氏


 以下は、平成12年2月1日の中日新聞の三重版からの転載です。
 なお、三教組、県教委双方の話の部分は省略しました。

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 三重県教職員組合(三教組)が、長年、県教委との労使間で黙認されてきた先生の“通信簿”や組合活動の在り方を問われ、揺れている。教員の勤務評定が一律「B」評価され、組合役員による勤務時間中の組合活動が多いことについて、保守系の県議員から「処分も検討すべきだ」との声が上がり、県教委が実態調査に乗り出した。この背景には、戦後の歴史教育をめぐる思想の対立や、政治的な思惑も交錯している。これまでの動きをまとめ、三教組、県教委双方の話を聞いた。

『処分を』一部県議
長年の黙認、政治的思惑も

 議論されている問題点のうち、大きな論点に学校教員の「勤務評定」と「服務規程」がある。
 県の規則では、県立、市町村立学校の教員の勤務評定は、人事や研修の参考にするため「学級経営」「責任感」など3分野9項目について、校長が3段階(ABC)で評価することになっている。
 ところが、議会からの指摘で県教委が調査したところ、実際は全ての小中学校の全教員が「オールB」と評価されていて、県立高校、特殊学校でも約7割がオールB評価だった。
 一方、組合役員を務める222人の1週間の受持ち授業時間は、少ない教員で4時間、約半数が10時間以下だった。県内全教員の平均は小学校21.5時間、中学、高校15時間で、大きく下回っている。県教委は「ほかにも勤務時間中に組合活動をしている実態がある」としている。
 一連の議論の発端は、昨秋から相次いで月刊誌に掲載された県内の中学教員と大学助教授による三教組批判記事だった。勤務評定や組合活動をめぐる非難に加え、三教組が掲げる歴史・平和教育を「反日・自虐史観」「毒の花」などと刺激的な言葉で糾弾した。
 これらを受け、県議会の自民、県政会の保守系議員は「三教組の活動は、正常な組合活動の範囲を超えている」と批判を展開。議会で「なれ合いを断ち、処分や給与返還を指せるべきだ」と県教委に迫った。中には組合の選挙運動への批判もあり、「選挙に強い」と言われる三教組をめぐる議員の「政治的思惑」を指摘する関係者も多い。
 県教委は「教育行政システム改革」を掲げ、学校運営の見直しを進めていた。県庁内で「知事部局に比べ、数年は遅れている」などと言われてきた教育部門の行政改革を進めるため、昨年4月、教育長に行政畑を歩いてきた中林正彦氏が就任。同10月には津市内で「教育行政システム改革キックオフ大会」を開き、経営コンサルタントによる講演会を催した。
 こうした行革の動きに組合批判が絡んだ格好になり、同11月24日には教育長名で「勤務評定の適正化と教職員の服務規律の確保について」と題する通知を県立学校長や市町村の教育長に出し、同12月には県教委幹部や校長らで作る「学校管理に関する代表者会議」を設置した。
 代表者会議では、勤務時間中に行った組合活動の時間数などを過去3年間にさかのぼって校長を通じて教職員から聞き取り調査し、現在、集まった調査票の分析や処分の在り方を検討している。
 指摘されている問題の多くは、60年安保闘争の時代に「教員の差別化につながる」として反対運動が繰り広げられた「勤評闘争」など、過去の激しい対立の歴史を経て、県教委と三教組の間で形作られてきた経緯がある。
 一方、文部省は県教委に事実関係の確認を求めると同時に、全国と比べて実施率の低い国旗・国歌の掲揚、斉唱を指導してきている。2月下旬には会計検査院が県教委へ調査に入る予定で、勤務実態などから不正な給与支出がなかったか調べるとみられている。


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