1.世界一の長寿国日本。
その昔、世界各地の王や支配者、権力者達は富みと名声の次に、不老長寿を求めた。多くの犠牲と引き換えに、世界中に秘薬や秘法を求めた。しかしそのほとんどは徒労に終わり、長寿を求めた者は失意のうちに命耐えていった。

そして現代。不老長寿に最も近いところにいるのは、我々日本人である。西洋医学発祥の地ヨーロッパを凌いで長寿国家を築きあげた力はどこからきたのか?それは日本人が古くから育んできた衣食住のスタイルが大きく影響してる。そして日本国の国土と風土がその土台となりなし得た、生粋の“日本文化”なのだ。

第一に日本の気候が平均して温暖湿潤であり、火山の多い列島国であることが上げられる。火山の恩恵で日本には膨大な数の温泉が湧き出る。湿気の多さは入浴を促進する。日本人は古来からこの“湯につかる”という習慣を身につけてきていた。温泉から出る超音波は骨髄を刺激して代謝機能を促進し、同時に体内の老廃物を分解する働きもある。さらに西洋に見られるような“浴びる”入浴ではなく“浸かる”入浴は、身体全体に水圧を与え、血行の促進に役立つ。日本人は古くからこの“湯”の文化を大切にしてきた数少ない民族である。水と湯を全く別のものとして考えてきた民族は日本人のみである。英語で“湯”は“Hot Water”であり、意味するところは“温めた水”である。中国でも湯は“タン”でありスープを意味する。“湯あがり”“湯の華”“出湯”など、日本には湯のつく情緒あふれる言葉が多い。この湯との密接な関係が日本人の健康を育んできたのだ。

第二に海国であり、潮流に恵まれた漁場を持っていたことにある。肉ではなく魚や野菜や海藻、味噌、納豆、などの栄養価が高く、同時に身体に対する負担の少ない食生活が大きく貢献している。かつて日本人は肉食の習慣が少なく、身体こそ小柄だったが、魚の摂取が多かったために明晰な頭脳も保持できたのだ。そして同時に衛生感覚が優れていた点も無視できない。

第三に家族制度の形が上げられる。昔日本では核家族ではなく大家族の形が基本であった。曾祖父母、祖父母、親、子と世代を越えた同居の形が保たれていた。これは良き文化を直接継承していくと同時に、お年寄りを尊敬し大切にする理念が自然と発生するものである。多くの家族に囲まれた平穏な生活が長寿の理由であることも否定できない。日本人は元来、個人ではなく“家”や“一族”という物を尊重してきた。結婚がいまだに“両家の繋がり”と認識されるのはその証拠である。

第四に極めて優秀な治安がある。アメリカの様に銃を持ち自衛することが“基本的人権”とされる社会とは違い、鍵をかける習慣すら持たない民族であった。それは自分が属する集団(村や班や組)での横の繋がりと、第三に述べた家族内での横の繋がりが明確に存在し、かつ、顔見知りを“善人”と判断する傾向が強かったからである。現在では日本国内でも凶悪な犯罪が頻発するようになってきているが、それでも世界的相対でみれば治安のレベルは最上級に入る。治安が良いということは事件に巻き込まれる可能性が低いことを表し、痛ましい犠牲が少ないということになる。

日本国が世界の長寿大国になって幾久しい。当の我々日本人はそのことに慣れてしまい、もはや当たりまえのことと感じているかもしれないが、良く考えてみてほしい。極東に浮かぶ小さな島国の民族が、ダントツの長寿を達成している事実を。医学の進歩が理由であれば、西洋医学の本場である欧米も長寿を達成しているはずである。日本人の長寿の秘密は日本人が育んできた素晴らしい生活習慣と西洋医学の融合の結果であり、現段階においてはその形が人間の長寿に対して最も効果的であるのだ。

 

                               参考文献:「日本文明」の真価/清水馨八郎 著/祥伝社

日本国の潜在力