鑑定事例の紹介

1. 二輪車とトラックの衝突事故

2. 自転車とトラックの衝突事故


鑑定事例 2. 自転車とトラックの衝突事故

 中学生のA君が自転車で県道の下り坂を走行中右カーブで転倒前方から走行していたB氏運転の小型トラックと衝突、A君は頭などを強く打ち死亡した。

 警察の調べではA君が転倒したはずみに対向車線に飛び出してトラックに衝突したとされていた。

 運転者Bの証言にも疑問を持ったA君の両親が私に鑑定を依頼して来た。幸い事故直後の現場の状況、自転車、相手の車の写真などを両親が保存していた為、鑑定が可能であった。争点は衝突地点(相手がセンターラインをオーバーしていたか?)の鑑定である。

 当初の警察発表によりBの方に過失は無く自賠責による保険金も出ないと言われたが、鑑定の結果Bの方がセンターラインをオーバーして衝突した事が判明した。A君が転倒に至ったのもBのトラックがセンターラインをオーバーしていた為に慌てて急ブレーキを掛けた為と推測出来る。

事故直後の現場の見取り図

留遺品などの特徴

・A君の自転車はほとんど無傷であった

・A君の授傷部分、頭蓋骨骨折、脳幹挫傷、右第2〜第5助骨骨折、右腕肘上外側に傷

・A君上着の背中右付近にトラックのバンパーによると思われる白色の擦過痕、右脇腹付近に細い擦過痕があった、またズボンの尻ポケット部が裂けていた。

・トラックの傷、ヘッドライト右脇のパネルにひび割れ(地上から約600mmの高さ)、バンパー右端部の凹み(地上から約400mmの高さ)、右前タイヤサイド部に擦過痕がある。


     頭部衝突によると考えられる割れ

<鑑定結果>

(1)自転車の運動経路

 自転車はマンホール脇通過地点から後輪をロックさせて、後輪を振り出す形で転倒に至った。転倒した地点は自転車のブレーキ痕終了地点付近である。
 転倒した後はタイヤによるコーナリング力が無くなる為、それまでの円弧運動の接線方向に直線運動する。
 自転車は転倒後10m以上滑走したと見られるが、停止位置はセンターライン上付近であるから、転倒時の重心位置はブレーキ痕の位置より内側に在った事は明らかである

 A君が乗車姿勢のままで自転車と共に倒れていた場合、自転車と全く同じ運動経路を取っていたと考えられるが、通常は転倒する前に足を着くなどしてバランスを取ろうとする。A君の場合も足を着くなどした為、自転車が転倒するより前に体が自転車から離れて転倒したものと考えられる。
 この為、自転車よりやや外側(センターライン寄り)へ倒れたと考えられる。
 但し自転車の重心点の運動の軌跡はほぼセンターラインと平行だった事から、転倒直後に対向車線まで飛ばされる事は考えられない。



(2)衝突時の体の状態

 衝突の順序として、バンパーの角部が、右背中部と当たり、次にヘッドライト横パネルと頭部が衝突、トラックに押される形で体を前屈させながら、更に右脇腹をステップ部に衝突させ、タイヤの側面で右腕を擦過し、車輪が通過後、仰向けに倒れたものである。
 ズボン左ポケット部の破れは、尻餅をついた状態で強くトラックに押された為に、発生したと考えられる。

 衝突の反動により車の進行方向及び車の側面に押し出す力が発生しているが、同時にバンパー下に潜り込もうとする力も発生して、尻が路面に押しつけられていたと考えられる為、衝撃により僅かに押し出される事は有っても、大きく跳ね飛ばされる事は無い。
 よって衝突が発生したのは、A君が倒れていた位置付近と考えて間違いない。
 具体的な衝突地点は、仰向けになって倒れていた状態の腰の位置から半径30cm以内が衝突地点と考えられる。
 A君がセンターライン中心を頭に路面に直角方向に倒れていたとすると、センタラインから30cm程度A君側の車線に入った場所付近が衝突地点である。


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