
本号で公布された法令のあらまし〔平成11年5月26日付官報掲載〕
◇児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(法律第五
二号)(法務省)
1 目的(第一条関係)
この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害するこ
との重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、こ
れらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めるこ
とにより、児童の権利の擁護に資することを目的とすることとした。
2 定義
(一) 児童とは、一八歳に満たない者をいうこととした。(第二条第一項関係)
(二) 児童買春とは、児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当
該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心
を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせる
ことをいう。)をすることをいうこととした。(第二条第二項関係)
(三) 児童ポルノとは、写真、ビデオテープその他の物であって、次のいずれかに該
当する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものを
いうこととした。(第二条第三項関係)
(1) 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿
態
(2) 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る
児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
(3) 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺
激するもの
3 適用上の注意(第三条関係)
この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなけれ
ばならないこととした。
4 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰
(一) 次に掲げる各行為について、所要の罰則を設けるとともに、国民の国外犯を処
罰することとした。(第四条〜第八条、第一〇条関係)
(1) 児童買春
(2) 児童買春周旋
(3) 児童買春勧誘
(4) 児童ポルノ頒布等
(5) 児童買春等目的人身売買等
(二) 児童の年齢の知情(第九条関係)
児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、児童買春周旋、
児童買春勧誘、児童ポルノ頒布等及び児童買春等目的人身売買等の規定による処
罰を免れることができない(ただし、過失がないときは、この限りでない。)こ
ととした。
(三) 両罰規定(第一一条関係)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法
人又は人の業務に関し、児童買春周旋、児童買春勧誘又は児童ポルノ頒布等の罪
を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して所定の罰金刑を
科することとした。
5 児童の保護等
(一) 捜査及び公判における配慮等(第一二条関係)
この法律で規定する罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者は、そ
の職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び
尊厳を害しないよう注意しなければならないこととし、国及び地方公共団体は、
これらの者に対し、訓練及び啓発を行うよう努めるものとした。
(二) 記事等の掲載等の禁止(第一三条)
この法律で規定する罪に係る事件に係る児童については、当該児童が当該事件
に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番
組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならないこととした。
(三) 教育、啓発等(第一四条関係)
国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為を未然に防止す
ることができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓
発等に努めるものとした。
(四) 心身に有害な影響を受けた児童の保護(第一五条関係)
関係行政機関は、心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつ
つ、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適
切に講ずるものとし、さらに、必要があると認めるときは、その保護者に対し、
相談、指導その他の措置を講ずるものとした。
(五) 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備(第一六条関係)
国及び地方公共団体は、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する調査研
究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保
護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保
護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものと
した。
(六) 国際協力の推進(第一七条関係)
国は、この法律で規定する罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査
のため、国際協力の推進に努めるものとした。
6 施行期日等
(一) 施行期日
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定め
る日から施行することとした。
(二) 条例との関係(附則第二条第一項関係)
地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めて
いるものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力
を失うものとした。
(三) 検討(附則第六条関係)
児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を性的搾取及び性的虐待から守る
ための制度については、施行後三年を目途として、施行状況等を勘案し、検討が
加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとした。