平成17年1月26日付官報(号外第14号)
本号で公布された法令のあらまし

◇児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書
 (条約第二号)(外務省)
 この議定書は、性的搾取等から児童を保護するため、児童の売買、児童買春及び児童
ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引渡し、国際協力等について
定めるものであって、前文及び本文一七箇条から成り、その概要は、次のとおりである。
1 児童の売買、児童買春及び児童ポルノの禁止(第一条) 
 締約国は、この議定書に従って児童の売買、児童買春及び児童ポルノを禁止する。
2 定義(第二条)
 (一) 「児童の売買」とは、報酬その他の対償のために、児童が個人若しくは集団に
   より他の個人若しくは集団に引き渡されるあらゆる行為又はこのような引渡しに
   ついてのあらゆる取引をいう。
 (二) 「児童買春」とは、報酬その他の対償のために、児童を性的な行為に使用する
   ことをいう。 
 (三) 「児童ポルノ」とは、現実の若しくは擬似のあからさまな性的な行為を行う児
   童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない。)又は主として性的な目的のため
   の児童の身体の性的な部位のあらゆる表現をいう。
3 犯罪化(第三条)
 (一) 各締約国は、次の行為が自国の刑法又は刑罰法規の適用を完全に受けることを
   確保する。
   (1) 児童の売買に関し、児童を性的搾取、営利目的の臓器の引渡し又は強制労働
    の目的のため提供し、移送し又は収受すること(手段のいかんを問わない。)。
   (2) 児童買春のため、児童を提供し、取得し、あっせんし及び供給すること。
   (3) 児童ポルノを製造し、配布し、頒布し、輸入し、輸出し、提供し若しくは販
    売し又はこれらの行為の目的で保有すること。
 (二) 締約国の国内法の規定に従って、(一)の行為の未遂及びこれらの行為を共謀し
   又はこれらの行為に加担する行為についても、自国の刑法又は刑罰法規の適用を
   完全に受けることを確保する。
 (三) 各締約国は、自国の国内法の規定に従って、適当な場合には、(一)の犯罪につ
   いての法人の責任を確立するための措置をとる。
4 裁判権(第四条)
 (一) 各締約国は、第三条1に定める犯罪が自国の領域内で又は自国において登録さ
   れた船舶若しくは航空機内で行われる場合において当該犯罪についての自国の裁
   判権を設定するため、必要な措置をとる。各締約国は、容疑者が自国の国民であ
   る場合等においても自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとることができ
   る。
 (二) 各締約国は、容疑者が自国の領域内に所在し、かつ、犯罪が自国の国民によっ
   て行われたことを理由として他の締約国に対して当該容疑者の引渡しを行わない
   場合において第三条1に定める犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必
   要な措置をとる。
5 犯罪人引渡し(第五条)
 (一) 第三条1に定める犯罪は、締約国間の現行の犯罪人引渡条約における引渡犯罪
   とみなされる。
 (二) 条約の存在を犯罪人引渡しの条件としない締約国は、犯罪人引渡しの請求を受
   けた国の法令に定める条件に従い、相互間で、第三条1に定める犯罪を引渡犯罪
   と認める。
 (三) 第三条1に定める犯罪に関して引渡しの請求を受けた締約国は、犯人の国籍を
   理由として引渡しを行わないときは、訴追のため自国の権限のある当局に事件を
   付託するための適当な措置をとる。
6 犯罪の捜査等についての締約国間の相互援助(第六条)
 締約国は、第三条1に定める犯罪について行われる捜査、刑事訴訟又は犯罪人引渡し
 に関する手続について、相互に最大限の援助を与える。
7 押収及び没収(第七条)
 締約国は、自国の国内法の規定に従って、この議定書に定める犯罪を行い又は助長す
 るために使用された物及びこの犯罪から生じた収益を押収し又は没収することを定め
 るための措置をとる。また、自国の国内法に従って、物又は収益の押収又は没収につ
 いての他の締約国からの要請を実施する。
8 刑事司法手続における被害児童に対する保護措置(第八条)
 締約国は、刑事司法手続において、この議定書によって禁止されている行為の被害者
 である児童の権利及び利益を保護するための適当な措置をとる。
9 犯罪の防止措置及び被害児童に対する援助(第九条)
 (一) 締約国は、この議定書に定める犯罪を防止するため、法律、行政措置等を採用
   し又は強化し、実施し及び周知させる。また、締約国は、この議定書に定める犯
   罪の防止措置等に関し、すべての適当な手段による広報等を通じ、公衆一般の意
   識を向上させる。
 (二) 締約国は、この議定書に定める犯罪の被害者に対し、すべての適当な援助を確
   保するためのすべての実行可能な措置をとる。
10 国際協力(第一〇条)
 (一) 締約国は、児童の売買、児童買春、児童ポルノ等の行為の防止、発見、捜査等
   のための国際協力を強化するためのすべての必要な措置をとる。
 (二) 締約国は、被害者である児童の社会復帰等を援助するための国際協力を促進す
   る。
 (三) 締約国は、貧困、不十分な開発等に対処するための国際協力の強化を促進する。
   締約国は、可能な場合には、既存の多数国間等の計画を通じて財政的、技術的そ
   の他の援助を提供する。
11 実施に関する報告(第一二条)
 各締約国は、この議定書が自国について効力を生じた後二年以内に、この議定書の規
 定の実施のためにとった措置に関する包括的な情報を提供する報告を児童の権利に関
 する委員会に提出する。各締約国は、その後は、児童の権利に関する条約第四四条の
 規定に従って同委員会に提出する報告に、この議定書の実施に関する追加の情報を含
 める。
12 署名、批准及び加入(第一三条)
 この議定書は、児童の権利に関する条約の締約国であるか又は同条約に署名したすべ
 ての国による署名のために開放しておく。この議定書は、批准されなければならず、
 また、同条約の締約国であるか又は同条約に署名したすべての国による加入のために
 開放しておく。批准書又は加入書は、国際連合事務総長に寄託する。
13 効力発生(第一四条)
 この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が寄託された後三箇月で効力を生ずる。