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第7部 公海

第1節 総則

第86条  この部の規定の適用

 この部の規定は、いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用する。この条の規定は、第58条の規定に基づきすべての国が排他的経済水域において享有する自由にいかなる制約も課するものではない。

第87条  公海の自由

 1   公海は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国に開放される。公海の自由は、この条約及び国際法の他の規則に定める条件に従って行使される。この公海の自由には、沿岸国及び内陸国のいずれについても、特に次のものが含まれる。
a 航行の自由
b 上空飛行の自由
c 海底電線及び海底パイプラインを敷設する自由。ただし、第6部の規定の適用が妨げられるものではない。
d 国際法によって認められる人工島その他の施設を建設する自由。ただし、第6部の規定の適用が妨げられるものではない。
e 第2節に定める条件に従って漁獲を行う自由
f 科学的調査を行う自由。ただし、第6部及び第13部の規定の適用が妨げられるものではない。
 2   1に規定する自由は、すべての国により、公海の自由を行使する他の国の利益及び深海底における活動に関するこの条約に基づく権利に妥当な考慮を払って行使されなければならない。

第88条  平和的目的のための公海の利用

 公海は、平和的目的のために利用されるものとする。

第89条  公海に対する主権についての主張の無効

 いかなる国も、公海のいずれかの部分をその主権の下に置くことを有効に主張することができない。

第90条  航行の権利

 いずれの国も、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、自国を旗国とする船舶を公海において航行させる権利を有する。

第91条  船舶の国籍

 1   いずれの国も、船舶に対する国籍の許与、自国の領域内における船舶の登録及び自国の旗を掲げる権利に関する条件を定める。船舶は、その旗を掲げる権利を有する国の国籍を有する。その国と当該船舶との間には、真正な関係が存在しなければならない。
 2   いずれの国も、自国の旗を掲げる権利を許与した船舶に対し、その旨の文書を発給する。

第92条  船舶の地位

 1   船舶は、一の国のみの旗を掲げて航行するものとし、国際条約又はこの条約に明文の規定がある特別の場合を除くほか、公海においてその国の排他的管轄権に服する。船舶は、所有権の現実の移転又は登録の変更の場合を除くほか、航海中又は寄港中にその旗を変更することができない。
 2   2以上の国の旗を適宜に使用して航行する船舶は、そのいずれの国の国籍も第三国に対して主張することができないものとし、また、このような船舶は、国籍のない船舶とみなすことができる。

第93条  国際連合、その専門機関及び国際原子力機関の旗を掲げる船舶

 前諸条の規定は、国際連合、その専門機関又は国際原子力機関の公務に使用され、かつ、これらの機関の旗を掲げる船舶の問題に影響を及ぼすものではない。

第94条  旗国の義務

 1   いずれの国も、自国を旗国とする船舶に対し、行政上、技術上及び社会上の事項について有効に管轄権を行使し及び有効に規制を行う。
 2   いずれの国も、特に次のことを行う。
a 自国を旗国とする船舶の名称及び特徴を記載した登録簿を保持すること。ただし、その船舶が小さいため一般的に受け入れられている国際的な規則から除外されているときは、この限りでない。
b 自国を旗国とする船舶並びにその船長、職員及び乗組員に対し、当該船舶に関する行政上、技術上及び社会上の事項について国内法に基づく管轄権を行使すること。
 3   いずれの国も、自国を旗国とする船舶について、特に次の事項に関し、海上における安全を確保するために必要な措置をとる。
a 船舶の構造、設備及び堪航性
b 船舶における乗組員の配乗並びに乗組員の労働条件及び訓練。この場合において、適用のある国際文書を考慮に入れるものとする。
c 信号の使用、通信の維持及び衝突の予防
 4   3の措置には、次のことを確保するために必要な措置を含める。
a 船舶が、その登録前に及びその後は適当な間隔で、資格のある船舶検査員による検査を受けること並びに船舶の安全な航行のために適当な海図、航海用刊行物、航行設備及び航行器具を船内に保持すること。
b 船舶が、特に運用、航海、通信及び機関について適当な資格を有する船長及び職員の管理の下にあること並びに乗組員の資格及び人数が船舶の型式、大きさ、機関及び設備に照らして適当であること。
c 船長、職員及び適当な限度において乗組員が海上における人命の安全、衝突の予防、海洋汚染の防止、軽減及び規制並びに無線通信の維持に関して適用される国際的な規則に十分に精通しており、かつ、その規則の遵守を要求されていること。
 5   いずれの国も、3及び4に規定する措置をとるに当たり、一般的に受け入れられている国際的な規則、手続及び慣行を遵守し並びにその遵守を確保するために必要な措置をとることを要求される。
 6   船舶について管轄権が適正に行使されず又は規制が適正に行われなかったと信ずるに足りる明白な理由を有する国は、その事実を旗国に通報することができる。旗国は、その通報を受領したときは、その問題の調査を行うものとし、適当な場合には、事態を是正するために必要な措置をとる。
 7   いずれの国も、自国を旗国とする船舶の公海における海事損害又は航行上の事故であって、他の国の国民に死亡若しくは重大な傷害をもたらし又は他の国の船舶若しくは施設若しくは海洋環境に重大な損害をもたらすものについては、適正な資格を有する者によって又はその立会いの下で調査が行われるようにしなければならない。旗国及び他の国は、海事損害又は航行上の事故について当該他の国が行う調査の実施において協力する。

第95条  公海上の軍艦に与えられる免除

 公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

第96条  政府の非商業的役務にのみ使用される船舶に与えられる免除

 国が所有し又は運航する船舶で政府の非商業的役務にのみ使用されるものは、公海において旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

第97条  衝突その他の航行上の事故に関する刑事裁判権

 1   公海上の船舶につき衝突その他の航行上の事故が生じた場合において、船長その他当該船舶に勤務する者の刑事上又は懲戒上の責任が問われるときは、これらの者に対する刑事上又は懲戒上の手続は、当該船舶の旗国又はこれらの者が属する国の司法当局又は行政当局においてのみとることができる。
 2   懲戒上の問題に関しては、船長免状その他の資格又は免許の証明書を発給した国のみが、受有者がその国の国民でない場合においても、適正な法律上の手続を経てこれらを取り消す権限を有する。
 3   船舶の拿捕又は抑留は、調査の手段としても、旗国の当局以外の当局が命令してはならない。

第98条  援助を与える義務

 1   いずれの国も、自国を旗国とする船舶の船長に対し、船舶、乗組員又は旅客に重大な危険を及ぼさない限度において次の措置をとることを要求する。
a 海上において生命の危険にさらされている者を発見したときは、その者に援助を与えること。
b 援助を必要とする旨の通報を受けたときは、当該船長に合理的に期待される限度において、可能な最高速力で遭難者の救助に赴くこと。
c 衝突したときは、相手の船舶並びにその乗組員及び旅客に援助を与え、また、可能なときは、自己の船舶の名称、船籍港及び寄港しようとする最も近い港を相手の船舶に知らせること。
 2   いずれの沿岸国も、海上における安全に関する適切かつ実効的な捜索及び救助の機関の設置、運営及び維持を促進し、また、状況により必要とされるときは、このため、相互間の地域的な取極により隣接国と協力する。

第99条  奴隷の運送の禁止

 いずれの国も、自国の旗を掲げることを認めた船舶による奴隷の運送を防止し及び処罰するため並びに奴隷の運送のために自国の旗が不法に使用されることを防止するため、実効的な措置をとる。いずれの船舶(旗国のいかんを問わない。)に避難する奴隷も、避難したという事実によって自由となる。

第100条  海賊行為の抑止のための協力の義務

 すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。

第101条  海賊行為の定義

 海賊行為とは、次の行為をいう。
a 私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為であって次のものに対して行われるもの
b 公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しくは財産
c いずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人又は財産
d いずれかの船舶又は航空機を海賊船舶又は海賊航空機とする事実を知って当該船舶又は航空機の運航に自発的に参加するすべての行為
e(a)又は(b)に規定する行為を扇動し又は故意に助良するすべての行為

第102条  乗組員が反乱を起こした軍鑑又は政府の船舶若しくは航空機による海賊行為

 前条に規定する海賊行為であって、乗組員が反乱を起こして支配している軍艦又は政府の船舶若しくは航空機が行うものは、私有の船舶又は航空機が行う行為とみなされる。

第103条  海賊船舶又は海賊航空機の定義

 船舶又は航空機であって、これを実効的に支配している者が第101条に規定するいずれかの行為を行うために使用することを意図しているものについては、海賊船舶又は海賊航空機とする。当該いずれかの行為を行うために使用された船舶又は航空機であって、当該行為につき有罪とされる者により引き続き支配されているものについても、同様とする。

第104条  海賊船舶又は海賊航空機の国籍の保持又は喪失

 船舶又は航空機は、海賊船舶又は海賊航空機となった場合にも、その国籍を保持することができる。国籍の保持又は喪失は、当該国籍を与えた国の法律によって決定される。

第105条  海賊船舶又は海賊航空機の拿捕

 いずれの国も、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において、海賊船舶、海賊航空機又は海賊行為によって奪取され、かつ、海賊の支配下にある船舶又は航空機を拿捕し及び当該船舶又は航空機内の人を逮捕し又は財産を押収することができる。拿捕を行った国の裁判所は、科すべき刑罰を決定することができるものとし、また、善意の第三者の権利を尊重することを条件として、当該船舶、航空機又は財産についてとるべき措置を決定することができる。

第106条  十分な根拠なしに拿捕が行われた場合の責任

 海賊行為の疑いに基づく船舶又は航空機の拿捕が十分な根拠なしに行われた場合には、拿捕を行った国は、その船舶又は航空機がその国籍を有する国に対し、その拿捕によって生じたいかなる損失又は損害についても責任を負う。

第107条  海賊行為を理由とする拿捕を行うとが認められる船舶及び航空機

 海賊行為を理由とする拿捕は、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできる船舶又は航空機でそのための権限を与えられているものによってのみ行うことができる。

第108条  麻薬又は向精神薬の不正取引

 1   すべての国は、公海上の船舶が国際条約に違反して麻薬及び向精神薬の不正取引を行うことを防止するために協力する。
 2   いずれの国も、自国を旗国とする船舶が麻薬又は向精神薬の不正取引を行っていると信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、その取引を防止するため他の国の協力を要請することができる。

第109条  公海からの許可を得ていない放送

 1   すべての国は、公海からの許可を得ていない放送の防止に協力する。
 2   この条約の適用上、「許可を得ていない放送」とは、国際的な規則に違反して公海上の船舶又は施設から行われる音響放送又はテレビジョン放送のための送信であって、一般公衆による受信を意図するものをいう。ただし、遭難呼出しの送信を除く。
 3   許可を得ていない放送を行う者については、次の国の裁判所に訴追することができる。
a 船舶の旗国
b 施設の登録国
c 当該者が国民である国
d 放送を受信することができる国
e 許可を得ている無線通信が妨害される国
 4   3の規定により管轄権を有する国は、公海において、次条の規定に従い、許可を得ていない放送を行う者を逮捕し又はそのような船舶を拿捕することができるものとし、また、放送機器を押収することができる。

第110条  臨検の権利

 1   条約上の権限に基づいて行われる干渉行為によるものを除くほか、公海において第95条及び第96条の規定に基づいて完全な免除を与えられている船舶以外の外国船舶に遭遇した軍艦が当該外国船舶を臨検することは、次のいずれかのことを疑うに足りる十分な根拠がない限り、正当と認められない。
a 当該外国船舶が海賊行為を行っていること。
b 当該外国船舶が奴隷取引に従事していること。
c 当該外国船舶が許可を得ていない放送を行っており、かつ、当該軍艦の旗国が前条の規定に基づく管轄権を有すること。
d 当該外国船舶が国籍を有していないこと。
e 当該外国船舶が、他の国の旗を掲げているか又は当該外国船舶の旗を示すことを拒否したが、実際には当該軍艦と同一の国籍を有すること。
 2   軍艦は、1に規定する場合において、当該外国船舶がその旗を掲げる権利を確認することができる。このため、当該軍艦は、疑いかある当該外国船舶に対し士官の指揮の下にボートを派遣することができる。文書を検閲した後もなお疑いがあるときは、軍艦は、その船舶内において更に検査を行うことができるが、その検査は、できる限り慎重に行わなければならない。
 3   疑いに根拠がないことが証明され、かつ、臨検を受けた外国船舶が疑いを正当とするいかなる行為も行っていなかった場合には、当該外国船舶は、被った損失又は損害に対する補償を受ける。
 4   1から3までの規定は、軍用航空機について準用する。
 5   1から3までの規定は、政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできるその他の船舶又は航空機で正当な権限を有するものについても準用する。

第111条  追跡権

 1   沿岸国の権限のある当局は、外国船舶が自国の法令に違反したと信ずるに足りる十分な理由があるときは、当該外国船舶の追跡を行うことができる。この追跡は、外国船舶又はそのボートが追跡国の内水、群島水域、領海又は接続水域にある時に開始しなければならず、また、中断されない限り、領海又は接続水域の外において引き続き行うことができる。領海又は接続水域にある外国船舶が停船命令を受ける時に、その命令を発する船舶も同様に領海又は接続水域にあることは必要でない。外国船舶が第33条に定める接続水域にあるときは、追跡は、当該接続水域の設定によって保護しようとする権利の侵害があった場合に限り、行うことができる。
 2   追跡権については、排他的経済水域又は大陸棚(大陸棚上の施設の周囲の安全水域を含む。)において、この条約に従いその排他的経済水域又は大陸棚(当該安全水域を含む。)に適用される沿岸国の法令の違反がある場合に準用する。
 3   追跡権は、被追跡船舶がその自国又は第三国の領海に入ると同時に消滅する。
 4   追跡は、被追跡船舶又はそのボート若しくは被追跡船舶を母船としてこれと一団となって作業する舟艇が領海又は、場合により、接続水域、排他的経済水域若しくは大陸棚の上部にあることを追跡船舶がその場における実行可能な算段により確認しない限り、開始されたものとされない。追跡は、視覚的又は聴覚的停船信号を外国船舶が規定し又は聞くことができる距離から発した後にのみ、開始することができる。
 5   追跡権は、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできる船舶又は航空機でそのための権限を与えられているものによってのみ行使することができる。
 6   追跡が航空機によって行われる場合には、
a 1から4までの規定を準用する。
b 停船命令を発した航空機は、船舶を自ら拿捕することができる場合を除くほか、自己が呼び寄せた沿岸国の船舶又は他の航空機が到着して追跡を引き継ぐまで、当該船舶を自ら積極的に追跡しなければならない。当該船舶が停船命令を受け、かつ、当該航空機又は追跡を中断することなく引き続き行う他の航空機若しくは船舶によって追跡されたのでない限り、当該航空機が当該船舶を違反を犯したもの又は違反の疑いがあるものとして発見しただけでは、領海の外における拿捕を正当とするために十分ではない。
 7   いずれかの国の管理権の及ぶ範囲内で拿捕され、かつ権限のある当局の審理を受けるためその国の港に護送される船舶は、事情により護送の途中において排他的経済水域又は公海の一部を航行することが必要である場合に、その航行のみを理由として釈放を要求することができない。
 8   追跡権の行使が正当とされない状況の下に領海の外において船舶が停止され又は拿捕されたときは、その船舶は、これにより被った損失又は損害に対する補償を受ける。

第112条  海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利

 1   すべての国は、大陸棚を越える公海の海底に海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利を有する。
 2   第79条5の規定は、1の海底電線及び海底パイプラインについて適用する。

第113条  海底電線又は海底パイプラインの損壊

 いずれの国も、自国を旗国とする船舶又は自国の管轄権に服する者が、故意又は過失により、電気通信を中断し又は妨害することとなるような方法で公海にある海底電線を損壊し、及び海底パイプライン又は海底高圧線を同様に損壊することが処罰すべき犯罪であることを定めるために必要な法令を制定する。この法令の規定は、その損壊をもたらすことを意図し又はその損壊をもたらすおそれのある行為についても適用する。ただし、そのような損壊を避けるために必要なすべての予防措置をとった後に自己の生命又は船舶を守るという正当な目的のみで行動した者による損壊については、適用しない。

第114条  海底電線又は海底パイプラインの所有者による他の海底電線又は海床パイプラインの損壊

 いずれの国も、自国の管轄権に服する者であって公海にある海底電線又は海底パイプラインの所有者であるものが、その海底電線又は海底パイプラインを敷設し又は修理するに際して他の海底電線又は海底パイプラインを損壊したときにその修理の費用を負担すべきであることを定めるために必要な法令を制定する。

第115条  海底電線又は海底パイプラインの損壊を避けるための損失に対する補償

 いずれの国も、海底電線又は海底パイプラインの損壊を避けるためにいかり、網その他の漁具を失ったことを証明することができる船舶の所有者に対し、当該船舶の所有者が事前にあらゆる適当な予防措置をとったことを条件として当該海底電線又は海底パイプラインの所有者により補償が行われることを確保するために必要な法令を制定する。

第2節 公海における生物資源の保存及び管理

第116条  公海における漁獲の権利

 すべての国は、自国民が公海において次のものに従って漁獲を行う権利を有する。
a 自国の条約上の義務
b 特に第63条2及び第64条から第67条までに規定する沿岸国の権利、義務及び利益
c この節の規定

第117条  公海における生物資源の保存のための措置を自国民についてとる国の義務

 すべての国は、公海における生物資源の保存のために必要とされる措置を自国民についてとる義務及びその措置をとるに当たって他の国と協力する義務を有する。

第118条  生物資源の保存及び管理における国の間の協力

 いずれの国も、公海における生物資源の保存及び管理について相互に協力する。2以上の国の国民が同種の生物資源を開発し又は同一の水域において異なる種類の生物資源を開発する場合には、これらの国は、これらの生物資源の保存のために必要とされる措置をとるために交渉を行う。このため、これらの国は、適当な場合には、小地域的又は地域的な漁業機関の設置のために協力する。

第119条  公海における生物資源の保存

 1   いずれの国も、公海における生物資源の漁獲可能量を決定し及び他の保存措置をとるに当たり、次のことを行う。
a 関係国が入手することのできる最良の科学的証拠に基づく措置であって、環境上及び経済上の関連要因(開発途上国の特別の要請を含む。)を勘案し、かつ、漁獲の態様、資源間の相互依存関係及び一般的に勧告された国際的な最低限度の基準(小地域的なもの、地域的なもの又は世界的なもののいずれであるかを問わない。)を考慮して、最大持続生産量を実現することのできる水準に漁獲される種の資源量を維持し又は回復することのできるようなものをとること。
b 漁獲される種に関連し又は依存する種の資源量をその再生産が著しく脅威にさらされることとなるような水準よりも高く維持し又は回復するために、当該関連し又は依存する種に及ばず影響を考慮すること。

 2   入手することのできる科学的情報、漁獲量及び漁獲努力量に関する統計その他魚類の保存に関連するデータは、適当な場合には権限のある国際機関(小地域的なもの、地域的なもの又は世界的なもののいずれであるかを問わない。)を通じ及びすべての関係国の参加を得て、定期的に提供し、及び交換する。
 3   関係国は、保有措置及びその実施がいずれの国の漁業者に対しても法律上又は事実上の差別を設けるものではないことを確保する。

第120条  海産哺乳動物

 第65条の規定は、公海における海産哺乳動物の保存及び管理についても適用する。


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第8部 島の制度

第121条  島の制度

 1   島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、満潮時においても水面上にあるものをいう。
 2   3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
 3   人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。


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第9部 閉鎖海又は半閉鎖海

第122条  定義

 この条約の適用上、「関領海又は半閉鎖海」とは、湾、海盆又は海であって、2以上の国によって囲まれ、狭い出口によって他の海若しくは外洋につながっているか又はその全部若しくは大部分が2以上の沿岸国の領海若しくは排他的経済水域から成るものをいう。

第123条  閉鎖海又は半閉鎖海に面した国の間の協力

 同一の閉鎖海又は半開鎖海に面した国は、この条約に基づく自由の権利を行使し及び義務を履行するに当たって相互に協力すべきである。このため、これらの国は、直接に又は適当な地域的機関を通じて、次のことに努める。
a 海洋生物資源の管理、保存、探査及び関発を調整すること。
b 海洋環境の保護及び保全に関する自国の権利の行使及び義務の履行を調整すること。
c 自国の科学的調査の政策を調整し及び、適当な場合には、当該水域における科学的調査の共同計画を実施すること。
d 適当な場合には、この条の規定の適用の促進について協力することを関係を有する他の国又は国際機関に要請すること。


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第10部 内陸国の海への出入りの権利及び通過の自由

第124条  用語

 1   この条約の適用上、
a 「内陸国」とは、海岸を有しない国をいう。
b 「通過国」とは、内陸国と海との間に位置しており、その領域において通過運送が行われる国(海岸の有無を問わない。)をいう。
c 「通過運送」とは、人、荷物、物品及び輸送手段の一又は二以上の通過国の領域における通過をいう。ただし、その通過が、積換、倉入れ、荷分け又は輸送方法の変更を伴うかどうかを問わず、内陸国の領域内に始まり又は終わる全行程の一部にすぎないときに限る。
d 「輸送手段」とは、次のものをいう。
  i 鉄道車両並びに海洋用、湖用及び河川用船舶並びに道路走行車両
  ii 現地の状況が必要とする場合には、運搬人及び積載用動物

 2   内陸国及び通過国は、相互間の合意により、パイプライン(ガス用輸送管を含む。)及び1(d)に規定するもの以外の輸送の手段を輸送手段に含めることができる。

第125条  海への出入りの権利及び通過の自由

 1   内陸国は、公海の自由及び人類の共同の財産に関する権利を含むこの条約に定める権利の行使のために海への出入りの権利を有する。このため、内陸国は、通過国の領域においてすべての輸送手段による通過の自由を享有する。
 2   通過の自由を行使する条件及び態様については、関係する内陸国と通過国との間の2国間の、小地域的な又は地域的な協定によって合意する。
 3   通過国は、自国の領域における完全な主権の行使として、この部に定める内陸国の権利及び内陸国のための便益が自国の正当な利益にいかなる害も及ぼさないようすべての必要な措置をとる権利を有する。

第126条  最恵国条項の適用除外

 内陸国の特別な地理的位置を理由とする権利及び便益を定めるこの条約及び海への出入りの権利の行使に関する特別の協定は、最恵国条項の適用から除外する。

第127条  関税、租税その他の課徴金

 1   通過運送に対しては、いかなる関税、租税その他の課徴金も課してはならない。ただし、当該通過運送に関連して提供された特定の役務の対価として果される課徴金を除く。
 2   内陸国に提供され又は内陸国により利用される通過のための輸送手段及び他の便益に対しては、通貨国の輸送手段の利用に対して課される租税又は課徴金よりも高い租税又は課徴令を課してはならない。

第128条  自由地帯及び他の通関上の便益

 通過運送の便宜のため、通過国と内陸国との間の合意によっ、通過国の出入港において自由地帯及び他の通関上の便益を設けることができる。

第129条  輸送手段の建設及び改善における協力

 通過国において通過の自由を実施するための輸送手段がない場合又は現存の手段(港の施設及び設備を含む。)が何らかの点で不十分な場合には、関係する通過国及び内陸国は、そのような輸送手段又は現存の手段の建設及び改善について協力することができる。

第130条  通過運送における遅延又はその他の困難で技術的性質のものを回避し又は無くすための措置

 1   通過国は、通過運送における遅延又はその他の困難で技術的性質のものを回避するためすべての適当な措置をとる。
 2   1の遅延又は困難が生じたときは、関係する通過国及び内陸国の権限のある当局は、その遅延又は困難を迅速に無くすため協力する。

第131条  海港における国等の待遇

 内陸国を旗国とする船舶は、海港において他の外国船舶に与えられる待遇と同等の待遇を与えられる。

第132条  通過のための一層大きい便益の供与

 この条約は、この条約に定める通過のための便益よりも大きい便益であって、締約国間で合意され又は締約国が供すするものの撤回をもたらすものではない。この条約は、また、将来において一層大きい便益が供与されることを排除するものではない。


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