三軒茶屋 

 昨今、「国民年金」(基礎年金)のいわゆる「第3号被保険者」の取り扱いを巡って議論がおきている。「第3号保険者」とは、国民年金制度の被保険者の種類の一つで、被用者年金各制度の第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(但し、同一世帯に属し、年収が130万円未満の者)のことで、保険料を納付しなくても「保険料納付済期間」とされ、65歳から自分名義の老齢基礎年金が貰えるというものである(但し、届出が必要)。つまり、「専業主婦は保険料を払わずとも年金が貰える」ということだが、この制度を巡って最近、働く女性の間から「不公平だ」という批判がなされている。いわく、「女性の社会進出の流れに逆行する」「専業主婦の年金を働く女性が負担している」等々である。
 しかし、これらの批判はいずれも感情的な、的を得ていないものではないだろうか。「国民年金」は全国民を対象に「国民皆年金」を達成するためのものであり、所得が少ない人に対しては一定の割合で免除措置が取られている。専業主婦は無収入である以上、その保険料までも夫の給与所得から差し引くのは不公平であり、さりとて専業主婦を無年金とするわけにもゆかないので、一種の低所得者免除措置としてこの第3号被保険者制度が存在するのであって、「働く女性の差別」云々の問題ではない(だからこそ、妻に130万円以上の所得がある場合は、この措置は適用されないのである)。また、我が国の年金システムは、実際には現在働いている世代が現在の老齢世代を支える制度になっており(つまり、将来は少子高齢化が進むので、現在働いている世代は現在支えられている世代よりも「取り分」は遥かに少なくなると予想されている)、そもそも「働いていない者を支える」制度になっている。「専業主婦の年金を働く女性が負担しているのは不公平だ」といった主張は、社会保障制度の根本的原理(社会的弱者に対する所得移転)を疑問視するもので、到底妥当とは言えないのである。

※参考
■第1号被保険者
 20歳以上60歳未満で自営業・農林漁業を営む人や自由営業者、学生等。加入の届け出と保険料の納付は自分で行う。学生等については納付延期が可能。
■第2号被保険者
 厚生年金保険や共済組合に加入している会社員や公務員等。国民年金へも同時に加入し、保険料は各制度から拠出金として国民年金へ支払われるため、個人で納める必要はない。
■第3号被保険者
 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者。保険料は第2号被保険者が加入している制度から国民年金へ拠出金として支払われるため、個人で納める必要はないが、届け出が必要。

中島 健(なかじま・たけし) 大学生


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