『STREET SMARTS』(『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』)が発売されたので、パン・ローリング株式会社の許可の下、『STREET SMARTS』を抜粋し、少し内容を紹介したいと思います。

まず、『STREET SMARTS』の中で一番有名な手法は、「タートル・スープ」だと思いますが、この説明に 入る前に、目次と『STREET SMARTS』の一番素晴らしい、冒頭部分からの抜粋から始めようと思います。ここを読めば、個人投資家、少額投資家のバイブルであることがよく分かると思います。その前に目次です。

●目次
第1章 はじめに

第2章 スイング・トレーディング

第3章 資金管理

<パート1> 試し
第4章 タートル・スープ

第5章 タートル・スープ・プラス・ワン

第6章 80-20's

第7章 モメンタム・ピンボール

第8章 2期間変化率

<パート2> 押し/戻り
第9章 アンチ

第10章 聖杯

第11章 ADXギャッパー

<パート3> クライマックス・パターン
第12章 鞭打ち

第13章 3営業日以内に窓を埋める反転

第14章 百聞は一見に如かず

第15章 ウォルフ波動

第16章 ニュース

第17章 朝のニュース・リバーサル

第18章 ビッグ・ニュース・リバーサル

<パート 4> ブレイク・アウト・モード
第19章 値幅収縮

第20章 ヒストリカル・ボラティリティがトビー・クラベルの条件に適合

<パート5> 相場を考える
第21章 スマート・マネー・インディケーター

第22章 再びトレード管理について

第23章 準備を怠るな

第24章 終わりに

第25章 トレーディングで成功する秘訣

付録
  ヒストリカル・ボラティリティの計算
  ムーア・リサーチ・センター――統計による研究
      図表A.1 過去のデータにおいて、終値の位置が日足の幅90%以上の結果
      図表A.2 過去のデータにおいて、終値の位置が日足の幅80%以上の結果
      図表A.3 過去のデータにおいて、終値の位置が日足の幅10%以下の結果
      図表A.4 過去のデータにおいて、終値の位置が日足の幅20%以下の結果
      図表A.5 過去のデータにおいて、WR7と高値付近での大引けの結果
      図表A.6 過去のデータにおいて、WR7と安値付近での大引けの結果
    過去のデータにおけるROCの調査報告
      図表A.7 過去のデータにおけるROCRSIでの買いの結果
      図表A.8 過去のデータにおけるROCRSIでの売りの結果
    2期間ROCの研究
      図表A.9 過去のデータにおける最新のROCで買いを仕掛けた場合
      図表A.10 過去のデータにおける最新のROCで売りを仕掛けた場合
    14期間ADXの図表
      図表A.11 先物市場での14日間ADXの統計
    過去のデータにおけるウップスの調査報告
      図表A.12 過去のデータにおけるウップスによる買いの結果
      図表A.13 過去のデータにおけるウップスによる売りの結果
      図表A.14 過去のデータにおけるウップス(ADXギャッパー)による買いの結果
      図表A.15 過去のデータにおけるウップス(ADXギャッパー)による売りの結果
    ADXによる売買の記録
      図表A.16 過去のデータにおける最新のADXによる買いの結果
      図表A.17 過去のデータにおける最新のADXによる売りの結果
    窓空けの調査結果
      図表A.18 過去のデータにおける窓空け買い50%の結果
      図表A.19 過去のデータのおける窓空け売り50%の結果
    2日チャネル・ブレイク・アウト
      図表A.20 過去のデータにおけるチャネル・ブレイク・アウトの結果
  リンダ・ブラッドフォード・ラシュキが使用している日々の場帖

<第1章>より抜粋

このマニュアルでは、「スイング・トレーディング」について私たちの知っていることのすべてを披露するつもりである。スイング・トレーディングとは、マーケットの支持/抵抗レベルを測定し、その範囲内で活発に売買することである。損切りはリスクを最小限にするために、支持のすぐ下、もしくは抵抗のすぐ上に置かれる。あなたは、これらの支持/抵抗レベル内での最高の売買ルールを認識し、また売買が利益を生み出した時に、いかにしてがっちりつかむかを学ぶであろう。

これらの売買ルールの多くを会得するために、ポイントをいくつか把握しておく必要がある。

(ほとんどの投資家の方が、この趣旨に沿って書かれた「相場の本」を求めていたのではないでしょうか?また、多くの投資家は、自分に合う1つのパターンや戦略・技法を探し求めているはずです。しかし、それを見つけられないのが現実です。どんな本を読んでも、証券・商品会社のHPや営業マンのアドバイスを聞いても、ほとんど最後は個人的な相場観というなんとも当てにならない「占い」の世界の話になってしまいます。

この本には、約20に及ぶ戦略が紹介されています。どれもコンピューターではサインを出しにくいものばかりで、著者も手描きのチャートと場帳から判断するのが一番だと書いています。21世紀になろうとしている今、この発言は注目すべきことではないでしょうか?

相場を分析するのは、コンピューターよりも人間の方が余程、すぐれているということでしょう。

さらに嬉しいことに、これらの手法は大口投資家や機関投資には真似できないものだと書いている点です。私たちは、機関投資家は技法面でも、情報面でも私たちより一歩も二歩も進んでいると思っています。『新マーケットの魔術師』中でビル・リップシュッツも言っていましたが、シティバンクのディーラーは少なくとも数百億円はトレードで失敗していると。

また、この本が日本では史上初めてなのは、損切りの規定を明確にしている点でしょう。普通、「損小利大」という言葉はよく聞きますが、どこで損切りをするか、損切りのポイントはどこかのか、誰もどんな本も教えてくれません。しかし、この本は、日本相場史上初めて、それを書いているということで、歴史に残ると思っています。「損小」ではないのです。損切り、ストップ、仕切り逆指値とかIROというのは、仕掛けたときに置くポイントが決まっているもので、「損になったけれど、明日は戻るだろうから、少し戻ったところで、少し損を少なくしたところで損切ろう」というものではないのです。初心者であれば初心者であるほど、「損小」なんてできないというのは、相場をかじったことがある方なら、よく分かると思いますし、初めに損切りポイントを習っていたら、今では・・・・と「トラタヌ」しているかもしれません。

では、戦略を少し紹介しましょう。)

まずは、第4章と5章の「タートル・スープ」系戦略の紹介です。

この戦略のルールは、以下の通りです。

《買いルール(売りはその逆)》

  1. 今日、過去20日間の最安値を更新しなければならない──安ければ、安いほどよい。
  2. 前回の過去20日間での最安値は、少なくとも今日より4営業日前に生じていなければならない。これは大変重要である。
  3. マーケットが前回の過去20日間での最安値を下回った後、その前回の過去20日間での最安値から上に5〜10ティックの範囲を逆指値とした買い注文を仕掛ける。この逆指値の買い注文は、今日のみ有効である。

「タートル・スープ・プラス・ワン」は、1日後に起こるということで、ほとんどタートル・スープと同じです。例えば、買いの場合、20日目に安値を更新し、安値引けし(陰線で下影がないか、短い)、その翌日に上げて来たときような場合を想像して欲しい。本書に載っているチャートはきれいなタートル・スープを形成していますが、タートル・スープが失敗に終わる場合は、本書に書いてあるように損切りを初めに設定しているので、損失は小さい。また、タートル・スープが失敗に終わる場合は、仕掛けそのものが通らないことも多いので、非常に安心な戦略と言えます。日中に値段を見ることができない人は、翌日に起こるタートル・スープ・プラス・ワンを狙うのが最も効果的だと思います。両著者も、プラス・ワン戦略の方が好きだと言っています。

では、具体的に日本の市場で見てみましょう。

パラジウム2月限がゴールデン・ウイーク前に微妙な売りのタートル・スープ・プラス・ワンのサインが出ています。,裡慣20日、過去20日間の最高値を更新しました。3月29日の1327円まで下がってくれば、タートル・スープに注視しなければなりませんが、4月20日にはそれが実現しませんでした。△陵眛、1324円が最安値ですが、積極的な投資家なら1327〜1324円の間で仕掛けたでしょう。しかし、保守的な投資家なら、5ティック(1ティックは最小単位のことで、パラジウムは1ティックが1円)下がらなかったので、仕掛けられなかったかもしれません。一応、損切りにはヒットしませんでした。

その日は1338円が引けでしたから、「タートル・スープのために損をした」とぼやいている人が出てきているかもしれませんが、その後の150円に及ぶ下落には笑いが止まらなかったでしょう。

次に、日経平均を見てみます。これまた、5月7日に素晴らしいタートル・スープ・プラス・ワンが出ています。これも1000円以上の下落ですから、非常に素晴らしいサインでした。しかし、Aの陽線のときに、仕切りの注文に後を追わせている人は引っかかったかもしれません。

5月31日にもタートル・スープ・プラス・ワンが出ています。翌日の素晴らしい陽線で短期売買の人なら手仕舞ったかもしれません。もう少し保持しようと思った人でも、Bの陰線はなんとも怪しい感じで、仕切り注文に引っかかったかもしれません。

しかし、目先天井や底でこの戦略は出る確率が高いので、5月から6月の日経平均では、往復取れたということになります。

それから、このチャートの中に、1つタートル・スープ・プラス・ワンのサインが出ています。探してください。因みに、これは損切りになりました。

次に、今までは日足で見てきましたが、違う時間枠で見てみましょう。

このチャートはパラジウム4月限の7月1日の5分足です。これは、5分足でもタートル・スープが機能していることに注目してください。もうこの日は2度と、Aの高値には戻ることはありませんでした。この場合は、20分くらいで利益になっていますから、買い仕切りの注文のIROで後を追って、手数料抜けは確保するべきでしょう。

因みに、このA点は、第9章で紹介されているANTIで、%Dは下げトレンドを示しているにもかかわらず、%Kが3期間連続して逆行して、売りであることを示しています。ANTIはリンダ・ブラッドフォード・ラシュキが気に入っている戦略なので、ぜひ本で研究して欲しいと思います(このANTIは、英語の原書を忠実に訳しただけでは修正ストキャクティクを算出できないことが判明しましたので、日本語版ではエクセル等で算出できるように訳を補っています。また、その他の戦略も、同様の措置を施して訳しています)。

このチャートにあるBは、モメンタム・ピンボールの仕掛けの値段です。前日にモメンタム・ピンボールが買いのサインを出しています。この場合は、あまりいい仕掛けではなかったようですが、モメンタム・ピンボールのようなサインは1日前に出ると言うことと、買い方針なのか、売り方針なのか、マーケットが始まる前に分かっているというのはマーケットの値動きに翻弄されることがないので助かるサインです。しかし、これら5分足でみている戦略の多くは日計りですから、20円も30円も期待すべきではないのです。マーケットが今日は5円だというのなら、静かに淡々とそれを受け入れるべきなのではないでしょうか。

Pan Report 419-421 号 「タートル・スープ・プラス・ワン戦略」

次は、私が最も気に入っている「スリー・リトル・インディアン」とウォルフ波動です。これはチャートを見ているだけですから、非常に簡単です。本書には出ていませんが、これらは週足でも見ることが可能なようです。まず、東京コーン5月限のチャートを見てください。

《ルール》

  1. △賄薫罎任△襦
  2. は最初の下落で付けた底である。
  3. ,廊◆陛薫罅砲料阿猟譴任△襦は,茲蠶磴なければならない。
  4. い廊の次に来る天井である。い廊,猟譴茲蟾發なければならない。
  5. トレンド・ラインを,らへと引くことができる。このトレンド・ラインの延長は、私たちが第5 波と呼んでいる、予期された反転ポイントを示す。ここが建玉をするポイントであり、そして、,らい悵かれた線であるEPA(到達すべき推定価格)線に到達することを目指すことになる。
  6. EPAは、,らい悵かれるトレンド・ラインである。これは目標価格を予測する。最初の損切りは、反転したイ硫爾肪屬。それを速やかに損益分岐点までマーケットの動きに合わせて動かす。

<重要な点>

´↓とい構成されるまで、ウォルフ波動を探し始めることはできない。買いのシグナルのためには、は,茲蠶磴なければならないということを心に留めておくこと。売りのシグナルのためには、は,茲蟾發なければならない。同様に、い蓮買いのシグナルのためには,茲蟾發、売りのシグナルのためには,茲蠶磴なければならない。これは、無制限にコントロールが効かなくなったマーケットは存在しないことを意味している。

東京コーン5月限はきれいな、ウォルフ波動を形成しています。しかし、残念なことにΔ量槁乎佑肪する前に失速してしまいました。これでは後を追わせている仕切りの逆指値にヒットしてしまったことでしょう。しかし、また3を1として基点としたウォルフ波動が形成されつつあるとも見えます。

それから、1から3を通って、5に引かれるトレンド・ライン上にきれいに3つのコブがあるのが、「スリー・リトル・インディアン」です。私は、日足、週足で、それなりの流動性のあるマーケットで毎日、この「スリー・リトル・インディアン」とウォルフ波動を見ています。また、商品会社から支給されるチャートなどは限月ごとに描かれておらず、先限の継ぎ足になっていることが多いので、注意が必要でしょう。週足は、継ぎ足で見る以外に方法がないと思っていますが、本書には週足のことは書いていないので、分かりません。何か情報をお持ちの方はご教授ください。

その他に2つチャートを載せておきます。きれいな「スリー・リトル・インディアン」とウォルフ波動のチャートを見てください。

最後に、最近、パン・レポートに日本の市場におけるADXギャッパー(第11章)の検証結果が掲載されたので、それを添付します。驚くべき勝率に度肝を抜かれるかもしれませんが、これが『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』の真の姿ともいうべきものでしょう。

Pan Report 405-408 号

最後に、感銘を受けた第23章を引用してみたいと思います。


前夜、翌日の売買に備えて準備しておくことの重要性については、どれだけ強調してもし過ぎることはない。スイング・トレーディングの目的とは、絶好のトレーディング機会が現れるのを予測することに尽き、その結果として翌日衝動的にトレードしてしまうようなことを避けられるのである。衝動的に行動を起こし てしまうようなトレーダーが、トレーディングで生計を立てることは難しい。プロのスポーツ選手が事前にゲーム・プランを立てるように、トレーダーとしてプロになるためにはゲーム・プランを事前に立てることが必要なのである。どれだけのアスリートがゲーム前にルーティーン・ワークをこなしているかご存知だろうか。ルーティーン・ワークをこなし、決まった行動パターンを確立することこそ、平常心を保ち続けることにつながるのである。そして、このビジネスでやるべきことのみに集中できるようになるのである。

翌日の売買に対し、われわれ2人が実際にはどのように準備しているのかを比較し始めると、基本的に同じようなことを行っていることに気付いたのである。2人とも夜に翌日の準備を行っており(2人とも家庭を持っているため、時間のやりくりを考えなければならないのである)、かなりの数のノートを保管していることも共通していたのである。

リンダ

私はこの仕事を始めた当初から、お手本になるような人たちが周りにいたという幸運に恵まれたと思いますね。なぜなら、私は性格的に何事もぐずぐず引き伸ばしてしまうような傾向があるからです。もし翌日に備えることを怠れば、マーケットの動きに圧倒されっぱなしで、恐らく売買することすらおぼつかなかったと思います。私は80年代前半に仕えていた2人の上司から、ルーティーン・ワークを忠実に行うことについて学びました。この規律がなければ、現在のような成功を収めること絶対にあり得なかったと言い切れますね。

1人目の上司は、ルーティーン・ワークとして、マーケットの終値、アームズ・インデックスの10日間移動平均線、騰落レシオ、プット/コール・レシオなどを毎日記録していました。また、セキュリティー・マーケット・リサーチ社が出版しているチャート・ブックも毎晩更新していましたね。このチャート・ブックは手書きのオシレーター指標も含まれていました。このルーティーン・ワークをこなすのに45分かかりましたが、それを毎晩行っていたのです。翌朝、そのチャートをサンフランシスコに向かうBART線の中で、1時間ほどかけて分析していたんですね。そして、その間に重要な買い機会・売り機会を書き出していたのです。サンフランシスコの街中に入ってからは、前日のトレードをチェックし、新たに出す注文を書き出すのにさらに1時間程かけていたいました。この上司は1978年に株価オプションのフロアー・トレーダーとしてこのビジネスでスタートし、今日でもプロのトレーダーとして働いています。

2人目の上司も、株価オプションのフロアー・トレーダーとして、このビジネスのスタートした人です。彼は寄り付きの1時間30分前には仕事を開始し、大引け後も2時間ほど仕事をしていました。彼は何をしていたかというと、チャートを手書きで更新し、トレンド・ラインを引き、当日のトレードを分析し、私のトレードをチェックした上でそれらについてコメントし、翌日のトレーディング・カードを作り、窓を空けて寄り付いたことで、前日から持ち越されたトレードに思いがけない利が乗ったときのためにあらかじめ指値の仕切り注文を入れておき、他のトレーダーたちが忘れているような割安なアウト・オブ・ザ・マネーのコール・オプションが存在するかどうか、取引所の記録を調べるのです。この上司のルーティーン・ワークについてだけでも1冊の本が書けるくらいですよ。何が言いたいのかというと、彼はフロアで最も目立たないトレーダーだったにもかかわらず、最も利益を上げていたトレーダーの1人だったということです。そして、私が何を言おうとしているか分かるでしょうか。そう、彼は今日でもまだフロアに立って売買しているのです。彼はある特定の手法だけを使ってトレードしているのです。私は彼がその手法以外の方法で売買するようなことは、見たことがありません。

1人目の上司はオプション・プレミアムを売って生計を立てた一方、2人目の上司は逆にそれを買って生計を立てていました。しかし二人共、自分のトレーディング・スタイルを変えることはなかったのです。私は2人目の上司が言った「トレーディング・ビジネスというものは他のビジネスと何ら変わりがない。卸値で買い、小売り値で売ることを覚えればいいのであるのだ。在庫が損失を抱えてしまったら、値下げを行い、在庫整理を行うのである(ついでではあるが、これが損切りに当たるのである)」という言葉を決して忘れることができない。

私は1人目の上司から、ルーティーン・ワークとして毎日データを記帳することを学びました。私も現在では同じ情報をコンピューターの中に記録していますが、実際、手書きで記帳しない限り私にとって何の意味もなさないのです。私は家の地下室に数字で埋め尽くされたノートを何冊も保管していますが、そのノートを再び見ることはありません。しかし、それは私が毎晩ホームワークを行ったという証なのです。これは私が初めに発見したラリーと私の共通点だったのです、この「ノート狂」ともいうべきことが……。

ラリー

僕は日々の損益に加え、すべての売買を記帳していますよ。これで毎日いくら儲けたのか、いくら損したのかを把ャすることができます。また、すべてのノートも保管しています。

リンダ

いつからノートをつけ始めたのですか?

ラリー

プロのトレーダーになろうと決めたときからです。それが今では習慣になってしまいました。

リンダ

日々どのような種類のワークシートを記帳し続けているのですか?

ラリー

S&Pマーケットの特別なものを1つ記帳し続けています。また、翌日、先物市場で現れると予想される特別なトレーディング機会についても記帳していますし、日々の高安も記帳しています。そしてこの情報をブルームバーグ端末に入力します。加えて、予想されるすべての種類の売買機会についても、トレード・ステーションが毎日プリントアウトするようになっています。ただ正直言って、僕は個々のマーケットを1つずつ調べ、チャート上に現れるトレーディング機会を探す方が好きですね。その方が面倒ですが、マーケットの動きを把握しやすいのです。

リンダ

先物市場に加え、株式市場についても同じようにしているのですか?

ラリー

はい。大体、100銘柄くらいはしていますね。また、朝と夜にニュースをチェックすることも続けていますよ。

リンダ

大変な情報量になりますね。

ラリー

それでも、最も可能性が高い売買機会に関するものだけに絞ろうとはしているんです。あまりに多くの情報を扱おうとすると、振り回されてしまいますから。

リンダ

同感です。前夜に予想されるいくつもトレード機会を確認しているんだけど、実際にはその中の1つから3つ程度(1回から3回程度)しか実行できないですね。完璧な形でトレード機会が現れないか、寄り付き方が気に入らないかのどちらかなんです。また、売買機会を逃してしまうことも多々ありますね。ずさんになったり収拾がつかなくなるよりは、少ないマーケットに集中し、たった1度だけでも素晴らしい売買を行う方がいい結果をもたらしますから。ちょうど、ポーカーのようなものです。良い手が巡ってくるまで、賭けるべきではないのです。

ラリー

忍耐のゲームですね。リンダは売買を記帳していますよね。

リンダ

当然です。売買記録を手書きで付けることは、この世界で一番大切なことです。私は仕掛けの日付と時間、売り買いの別、枚数、限月、約定値を記録しています。仕切るときまでその記録には空欄が残ります。そして仕切ったときにその日付と値段を書き込むのです。そのときになって初めて、利益・損失を計算するので す。言うまでもありませんが、大きな損失を出したときにはすごく目立ちます。実際に利益を記帳できるという点においても、利益を確保することは、精神的に良い影響を与えてくれます。

ここである話を紹介したいと思います。私も実践していることですが、毎日資金の増減を記録していくことは非常に大切なことです。しかし私は以前、取引口座の資金がそれまでで最大になったとき、それは1988年4月のことでしたが、そのことが常に頭の中にとどまっていても構わないと考えていました。しかし、それが不幸の始まりでした。私の口座にとんでもないことが起こったのです。それ以後、利益を上げることができなくなってしまったのです。そのため今では、月初には口座資金をゼロと見なし、その増減は1カ月単位でのみ記録するようにしています。

ラリー

満足してしまうこと(幸福感)が最も危険なのですね。『マーケットの魔術師』(日経新聞社刊)でインタビューされた私の友人は、毎年1月にゼロから出発することにしていますよ。そして、その後に得た利益をその年の利益と見なしているのです。

リンダ

実際、その方法はフロア・トレーダーの間ではかなり一般的です。以前、私が仕えていた人たちはその方法をさらに発展させていました。かれらは毎月上げた利益を口座から引き出し、ある決まった金額まで口座資金を減額していました。彼らは、口座に利益が蓄積されなければ、それを失うこともないと考えたのです。

ラリー

ちょっといいですか、先程、あなたが取り上げたことに関して少しコメントをしておく必要があります。あなたがどのように毎日のルーティーン・ワークを行っているかということ、売買を厳選し、そして1カ月に2〜3回完璧な機会をとらえ、すばらしい利益を得ていると話したことに関してです。これはまさに僕が行っていることです。元々、僕は自分が運に恵まれているのであり、優れたトレーダーになるということと、あなたの指摘したようなことを実践するということは何の関係もないと考えていました。しかし、今では全く違います。

リンダ

そうですね。優れたトレーダーとは、普段はトントンを確保でき、大きな利益機会を伴う数少ないトレードを見逃さない人たちだと言えます。本当に大事な技術とは、資金を失わないことなのですから。


 

 

以上ですが、近いうちにチャートなどを更新するつもりです。また、きれいなサインが出ていれば、メールいただければ、そのチャートを載せてみようと思います。

また、用語が分かりにくいと思われている方がおられましたら、トップ・ページのグロッサリーに載っているはずですので、そちらを参照してください。