
<施行> 1960.1.1
<改正> 1962法律1237号、法律1250号、1964法律1668号、1970法律2200号、1977法律3051号、1984法律3723号、1990法律4199号
<目次>
| 第1編 総則 | 第2編 物権 |
| 第1章 通則 1条〜2条
第1節 能力 3条〜17条 第2節 住所 18条〜21条 第3節 不在及び失踪 22条〜30条 第1節 総則 31条〜39条 第2節 設立 40条〜56条 第3節 機関 57条〜76条 第4節 解散 77条〜96条 第5節 罰則 97条 第4章 物 98条〜102条 第1節 総則 103条〜106条 第2節 意思表示 107条〜113条 第3節 代理 114条〜136条 第4節 無効及び取消 137条〜146条 第5節 条件及び期限 147条〜154条 第6章 期間 155条〜161条 第7章 消滅時効 162条〜184条 |
第1章 総則 185条〜191条 第2章 占有権 192条〜210条 第1節 所有権の限界 211条〜244条 第2節 所有権の取得 245条〜261条 第3節 共同所有 262条〜278条 第4章 地上権 279条〜290条 第5章 地役権 291条〜302条 第6章 伝貰権 303条〜319条 第7章 留置権 320条〜328条 第1節 動産質権 329条〜344条 第2節 権利質権 345条〜355条 第9章 抵当権 356条〜372条 |
| 第3編 債権 | 第4編 親族 |
| 第1章 総則 第2章 契約 第3章 事務管理 第4章 不当利得 第5章 不法行為 |
第1章 総則 第2章 戸主及び家族 第3章 婚姻 第4章 父母及び子 第5章 後見 第6章 親族会 第7章 扶養 第8章 戸主承継 |
| 第5編 相続 |
| 第1章 相続 第2章 遺言 第3章 遺留分 附則 |
第1条(法源)民事に関して、法律に規定がないときは、慣習法により、慣習法がないときは、条理による。
第2条(信義誠実)@権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実にしなければならない。
A権利は、濫用することができない。
第1節 能力
第3条(権利能力の存続期間)人は、生存している間、権利及び義務の主体となる。
第4条(成年期)満20歳で成年となる。
第5条(未成年者の能力)@未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければならない。ただし、権利のみを得、又は義務のみを免れる行為は、この限りでない。
A前項の規定に違反する行為は、取り消すことができる。
第6条(処分を許諾した財産)法定代理人が範囲を定めて処分を許諾した財産は、未成年者が任意に処分することができる。
第7条(同意及び許諾の取消し)法定代理人は、未成年者がまだ法律行為をする前には、前2条の同意及び許諾を取り消すことができる。
第8条(営業の許諾)@未成年者が法定代理人から許諾を得た特定の営業に関しては、成年者と同一の行為能力がある。
A法定代理人は、前項の許諾を取り消し、又は制限することができる。ただし、善意の第三者に対抗することができない。
第9条(限定治産の宣告)心神が薄弱であり、又は財産の浪費により自己若しくは家族の生活を窮迫させるおそれのある者に対しては、裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人又は検事の請求により、限定治産を宣告しなければならない。
第10条(限定治産者の能力)第5条から第8条までの規定は、限定治産者に準用する。
第11条(限定治産宣告の取消し)限定治産の原因が消滅したときは、裁判所は、第9条に規定した者の請求により、その宣告を取り消さなければならない。
第12条(禁治産の宣告)心神喪失の状態にある者に対しては、裁判所は、第9条に規定した者の請求により、禁治産を宣告しなければならない。
第13条(禁治産者の能力)禁治産者の法律行為は、取り消すことができる。
第14条(禁治産豊告の取消し)第11条の規定は、禁治産者に準用する。
第15条(無能力者の相手方の催告権)@無能力者の相手方は、無能力者が能力者となった後に、これに対して、1月以上の期間を定めて、その取り消すことができる行為を追認するか否かの確答を催告することができる。能力者となった者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
A無能力者がまだ能力者となることができないときは、その決定代理人に対して前項の催告をすることができ、法定代理人がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
B特別の手続を要する行為に関しては、その期間内に、その手続を踏んだ確答を発しないときは、取り消したものとみなす。
第16条(無能力者の相手方の撤回権及び拒絶権)@無能力者の契約は、追認があるときまで、相手方がその意思表示を撤回することができる。ただし、相手方が契約当時に無能力者であることを知っていたときは、この限りでない。
A無能力者の単独行為は、追認があるときまでは、相手方が拒絶することができる。
B前2項の撤回又は拒絶の意思表示は、無能力者に対しても、することができる。
第17条(無能力者の詐術)@無能力者が詐術により能力者と信じさせたときは、その行為を取り消すことができない。
A未成年者又は限定治産者が詐術により法定代理人の同意があるものと信じさせたときも、前項と同様である。
第2節 住所
第18条(住所)@生活の根拠となる場所を住所とする。
A住所は、同時に2箇所以上あることができる。
第19条(居所)住所を知ることができないときは、居所を住所とみたす。
第20条(居所)国内に住所がない者に対しては、国内にある居所を住所とみなす。
第21条(仮住所)ある行為において仮住所を定めたときは、その行為に関しては、これを住所とみなす。
第3節 不在及び失踪
第22条(不在者の財産の管理)@従来の住所又は居所を去った者が財産管理人を定めなかったときは、裁判所は、利害関係人又は検事の請求により、財産管理に関して必要な処分を命じなければならない。本人の不在中に、財産管理人の権限が消滅したときも同様である。
A本人がその後に財産管理人を定めたときは、裁判所は、本人、財産管理人、利害関係人又は検事の請求により、前項の命令を取り消さなければならない。
第23条(管理人の改任)不在者が財産管理人を定めた場合に、不在者の生死が明らかでないときは、裁判所は、財産管理人、利害関係人又は検事の請求により、財産管理人を改任することができる。
第24条(管理人の職務)@裁判所が選任した財産管理人は、管理すべき財産目録を作成しなければならない。
A裁判所は、その選任した財産管理人に対して、不在者の財産を保存するために必要な処分を命ずることができる。
B不在者の生死が明らかでない場合には、利害関係人又は検事の請求があるときは、裁判所は、不在者が定めた財産管理人に前2項の処分を命ずることができる。
C前3項の場合に、その費用は、不在者の財産により支払う。
第25条(管理人の権限)裁判所が選任した財産管理人が第118条に規定する権限を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。不在者の生死が明らかでない場合において、不在者が定めた財産管理人が権限を超える行為をするときも、同様である。
第26条(管理人の担保提供、報酬) @裁判所は、その選任した財産管理人をして、財産の管理及び返還に関して相当な担保を提供させることができる。
A裁判所は、その選任した財産管理人に対して、不在者の財産により相当な報酬を支払うことができる。
B前2項の規定は、不在者の生死が明らかでない場合に、不在者が定めた財産管理人に準用する。
第27条(失綜の宣告)@不在者の生死が5年間明らかでないときは、裁判所は、利害関係人又は検事の講求により、失踪宣告をしなければならない。
A戦地に臨んだ者、沈没した船舶中に在った者、墜落した航空機中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭った者の生死が戦争終止後又は船舶の沈没、航営機の墜落その他の危難が終了した後1年間明らかでないときも、前項と同様である。
第28条(失踪宣告の効果)失踪宣告を受けた者は、前条の期間が満了した時に死亡したものとみなす。
第29条(失踪宣告の取消し)@失踪者の生存した事実又は前条の規定と異なる時に死亡した事実の証明があるときは、裁判所は、本人、利害関係人又は検事の請求により、失踪宣告を取り消さなければならない。ただし、失踪宣告後その取消前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
A失踪宣告の取消しがあったときに、失踪の宣告を直接原因として財産を取得した者が善意の場合には、その受けた利益が現存する限度で返還する義務があり、悪意の場合には、その受けた利益に利子を付して返還し、損害があるときは、これを賠償しなければならない。
第30条(同時死亡)2人以上が同一の危難で死亡した場合には、同時に死亡したものと推定する。
第1節 総則
第31条(法人成立の準則)法人は、法律の規定によらなければ成立することができない。
第32条(非営利法人の成立及び許可)学術、宗教、慈善、技芸、社交その他営利でない事業を目的とする社団又は財団は、主務官庁の許可を得て、これを法人とすることができる。
第33条(法人設立の登記)法人は、その主たる事務所の所在地において設立登記をすることにより成立する。
第34条(法人の権利能力)法人は、法律の規定に従い、定款で定めた目的の範囲内において、権利及び義務の主体となる。
第35条(法人の不法行為能力)@法人は、理事その他の代表者が、その職務に関して他人に加えた損害を賠償する責任がある。理事その他の代表者は、これにより自己の損害賠償責任を免れることはできない。
A法人の目的範囲外の行為により他人に損害を加えたときは、その事項の議決に賛成し、又はその議決を執行した社員、理事及びその他の代表者が連帯して賠償しなければならない。
第36条(法人の住所)法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第37条(法人の事務の検査、監督)法人の事務は、主務官庁が検査し、監督する。
第38条(法人の設立許可の取消し)法人が目的以外の事業を行い、又は設立許可の条件に違反し、又はその他公益を害する行為をしたときは、主務官庁は、その許可を取り消すことができる。
第39条(営利法人)@営利を目的とする社団は、商事会社設立の条件に従い、これを法人とすることができる。
A前項の社団法人には、すべて商事会社に関する規定を準用する。
第2節 設立
第40条(社団法人の定款)社団法人の設立者は、次の各号の事項を記載した定款を作成して、記名捺印しなければならない。
1 目的
2 名称
3 事務所の所在地
4 資産に関する規定
5 理事の任免に関する規定
6 社員資格の得喪に関する規定
7 存立時期又は解散事由を定めるときは、その時期又は事由
第41条(理事の代表権に対する制限)理事の代表権に対する制限は、これを定款に記載しなければその効力がない。
第42条(社団法人の定款の変更)@社団法人の定款は、総社員の3分の2以上の同意があるときに限り、これを変更することができる。ただし、定数に関して定款に異なる規定があるときは、その規定による。
A 定款の変更は、主務官庁の許可を得なければ、その効力がない。
第43条(財団法人の定款)財団法人の設立者は、一定の財産を出捐して、第4O条第1号から第5号までの事項を記載した定款を作成して、記名捺印しなければならない。
第44条(財団法人の定款の補充)財団法人の設立者が、その名称、事務所所在地又は理事任免の方法を定めずに死亡したときは、利害関係人又は検事の請求により、裁判所がこれを定める。
第45条(財団法人の定款変更)@財団法人の定款は、その変更方法を定款に定めたときに限り、変更することができる。
A財団法人の目的達成又はその財産の保全のために適当なときは、前項の規定にかかわらず、名称又は事務所の所在地を変更することができる。
B第42条第2項の規定は、前2項の場合に準用する。
第46条(財団法人の目的その他の変更)財団法人の目的を達成することができないときは、設立者又は理事は、主務官庁の許可を得て、設立の趣旨を参酌して、その目的その他の定款の規定を変更することができる。
第47条(贈与、遺贈に開する規定の準用)@生前処分により財団法人を設立するときは、贈与に関する規定を準用する。
A遺言により財団法人を設立するときは、遺贈に関する規定を準用する。
第48条(出捐財産の帰属時期)@生前処分により財団法人を設立するときは、出捐財産は、法人が成立された時から法人の財産となる。
A遺言により財団法人を設立するときは、出捐財産は、遺言の効力が発生した時から法人に帰属したものとみなす。
第49条(法人の登記事項)@法人設立の許可があるときは、3週間内に、主たる事務所の所在地において設立登記をしなければならない。
A前項の登記事項は、次のとおりとする。
1 目的
2 名称
3 事務所
4 設立許可の年月日
5 存立時期又は解散事由を定めたときは、その時期又は事由
6 資産の総額
7 出資の方法を定めたときは、その方法
8 理事の氏名及び住所
9 理事の代表権を制限したときは、その制限
第50条(分事務所設置の登記)@法人が分事務所を設置したときは、主たる事務所の所在地においては3週間内に分事務所を設置したことを登記し、その分事務所の所在地においては同期間内に前条第2項の事項を登記し、他の分事務所の所在地においては同期間内にその分事務所を設置したことを登記しなければならない。
A主たる事務所又は分事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に分事務所を設置したときは、前項の期間内に、その事務所を設置したことを登記すればよい。
第51条(事務所移転の登記)@法人がその事務所を移転するときは、旧所在地においては3週間内に移転の登記をし、新所在地においては同期間内に第49条第2項に掲げた事項を登記しなければならない。
A同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転したことを登記すれば足りる。
第52条(変更登記)第49条第2項の事項中に変更があるときは、3週間内に変更の登記をしなければならない。
第53条(登記期間の起算)前3条の規定により登記すべき事項として官庁の許可を要するものは、その許可書が到着した日から登記の期間を起算する。
第54条(設立登記以外の登記の効力及び登記事項の公告)@設立登記以外の本節の登記事項は、その登記後でなければ第三者に対抗することができない。
A登記した事項は、裁判所が遅滞なく公告しなければならない。
第55条(財産目録及び社員名簿)@法人は、成立した時及び毎年3月内に、財産目録を作成して、事務所に備え置かなければならない。事業年度を定めた法人は、成立した時及びその年度未に、これを作成しなければならない。
A社団法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるときは、これを記載しなければならない。
第56条(社員権の譲渡及び相続の禁止)社団法人の社員の地位は、譲渡し、又は相続することができない。
第3節 機関
第57条(理事)法人は、理事を置かなければならない。
第58条(理事の事務執行)@理事は、法人の事務を執行する。
A理事が数人である場合には、定款に異なる規定がないときは、法人の事務執行は、理事の過半数により決定する。
第59条(理事の代表権)@理事は、法人の事務に関して、各自法人を代表する。ただし、定款に規定した趣旨に違反することができず、特に、社団法人は、総会の議決によらなければならない。
A法人の代表に関しては、代理に関する規定を準用する。
第60条(理事の代表権に対する制限の対抗要件)理事の代表権に対する制限は、登記しなければ第三者に対抗することができない。
第61条(理事の注意義務)理事は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
第62条(理事の代理人選任)理事は、定款又は総会の決議により禁止されない事項に限り、他人に特定の行為を代理させることができる。
第63条(臨時理事の選任)理事がおらず、又は欠員がある場合に、これにより損害が生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検事の講求により、臨時理事を選任しなければならない。
第64条(特別代理人の選任)法人と理事との利益が相反する事項に関しては、理事は、代表権がない。この場合には、前条の規定により、特別代理人を選任しなければならない。
第65条(理事の任務懈怠)理事が、その任務を怠ったときは、その理事は、法人に対し連帯して損害賠償の責任がある。
第66条(監事)法人は、定款又は総会の決議により、監事を置くことができる。
第67条(監事の職務)監事の職務は、次のとおりである。
1 法人の財産状況を監査すること。
2 理事の業務執行の状況を監査すること。
3 財産状況又は業務執行に関して不正、不備なものがあることを発見したときは、これを総会又は主務官庁に報告すること。
4 前号の報告をするために必要があるときは、総会を召集すること。
第68条(総会の権限)社団法人の事務は、定款により理事又はその他の役員に委任した事項のほかは、総会の決議によらなければならない。
第69条(通常総会)祉団決人の理事は、毎年1回以上通常総会を召集しなければならない。
第70条(臨時総会)@社団法人の理事は、必要であると認めるときは、臨時総会を召集することができる。
A総社員の5分の1以上から会議の目的事項を提示して請求したときは、理事は、臨時総会を召集しなければならない。この定数は、定款で増減することができる。
B前項の請求があった後2週間内に理事が総会召集の手続きを踏まないときは、請求した社員は、裁判所の許可を得て、これを召集することができる。
第71条(総会の召集)総会の召集は、1週間前にその会議の目的事項を記載した通知を発し、その他定款に定めた方法によらなければならない。
第72条(総会の決議事項)総会は、前条の規定により通知した事項に関してのみ決議することができる。ただし、定款に異なる規定があるときは、その規定による。
第73条(社員の決議権)@各社員の決議権は、平等とする。
A社員は、書面又は代理人によって決議権を行使することができる。
B前2項の規定は、定款に異なる規定があるときは、適用しない。
第74条(社員が決議権なき場合)社団法人とある社員との関係事項を議決する場合には、その社員は、決議権がない。
第75条(総会の決議方法)@総会の決議は、本決又は定款に異なる規定がないときは、社員の過半数の出席及び出席社員の決議権の過半数により行う。
A第73条第2項の場合には、当該社員は、出席したものとする。
第76条(総会の議事録)@総会の議事に関しては、議事録を作成しなければならない。
A議事録には、議事の経過、要領及び結果を記載し、議長及び出席した理事が記名捺印しなければならない。
B理事は、議事録を主たる事務所に備え置かなければならない。
第4節 解散
第77条(解散事由)@ 法人は、存立期間の満了、法人の目的の達成若しくは達成の不能、その他定款に定める解散事由の発生、破産又は設立許可の取消しにより解散する。
A 社団法人は、社員の欠亡又は総会の決議によっても解散する。
第78条(社団法人の解散決議)社団法人は、総社員の4分の3以上の同意がなければ、解散を決議することができない。ただし、定款に異なる規定があるときは、その規定による。
第79条(破産申請)法人が債務を完済することができなくなったときは、理事は、遅滞なく破産申請をしなければならない。
第80条(残余財産の帰属)@ 解散した法人の財産は、定款で指定した者に帰属する。
A 定款で帰属権利者を指定せず、又はこれを指定する方法を定めなかったときは、理事又は清算人は、主務官庁の許可を得て、その法人の目的に類似した目的のために、その財産を処分することができる。ただし、社団法人においては、総会の決議を経なければならない。
B 前2項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
第81条(清算法人)解散した法人は、清算の目的の範囲内においてのみ、権利が義務を負担する。
第82条(清算人)法人が解散したときは、破産の場合を除いては、理事が清算人となる。ただし、定款又は総会の決議により、別に定めたところがあれば、それによる。
第83条(裁判所による清算人の選任)前条の規定により清算人となる者がないとき又は清算人の欠員により損害が生ずるおそれがあるときは、裁判所は、職権又は利害関係人若しくは検事の請求により、清算人を選任することができる。
第84条(裁判所による清算人の解任)重要な事由があるときは、裁判所は、職権又は利害関係人若しくは検事の請求により、清算人を解任することができる。
第85条(解散登記)@清算人は、破産の場合を除いては、その就任後3週間内に、解散の事由及び年月日、清算人の氏名及び住所並びに清算人の代表権を制限したときはその制限を、主たる事務所及び分事務所の所在地において登記しなければならない。
A第52条の規定は、前項の登記に準用する。
第86条(解散申告)@清算人は、破産の場合を除いては、その就任後3週間内に、前条第1項の事項を主務官庁に申告しなければならない。
A清算中に就任した清算人は、その氏名及び住所を申告すればよい。
第87条(清算人の職務)@清算人の職務は、次のとおりである。
1 現存事務の終結
2 債権の取立て及び債務の弁済
3 残余財産の引渡し
A清算人は、前項の職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
第88条(債権申告の公告)@清算人は、就任した日から2月内に、3回以上の公告で債権者に対し一定の期間内にその債権を申告すべき旨を催告しなければならない。その期間は、2月以上でなければならない。
A前項の公告には、債権者が期間内に申告しないときは、清算から除外されるべきことを表示しなければならない。
B第1項の公告は、裁判所の登記事項の公告と同一の方法でしなければならない。
第89条(債権申告の催告)清算人は、知れている債権者に対しては、各別にその債権申告を催告しなければならない。知れている債権者は、清算から除外することができない。
第90条(債権申告期間内の弁済禁止)清算人は、第88条第@項の債権申告期間内には、債権者に対して弁済することができない。ただし、法人は、債権者に対する遅延損害賠償の義務を免れることができない。
第91条(債権弁済の特例)@清算中の法人は、弁済期に至らない債権に対しても弁済することができる。
A前項の場合には、条件付債権、存続期間の不確定な債権その他価額の不確定な債権に関しては、裁判所が選任した鑑定人の評価により弁済しなければならない。
第92条(清算から除外された債権)清算から除外された債権者は、法人の債務を完済した後、帰属権利者に引き渡さない財産に対してのみ弁済を請求することができる。
第93条(清算中の破産)@清算中に法人の財産がその債務を完済するのに不足することが明らかになったときは、清算人は、遅滞なく破産宣告を申請し、これを公告しなければならない。
A清算人は、破産管財人にその事務を引き継ぐことにより、その任務が終了する。
B第88条第3項の規定は、第1項の公告に準用する。
第94条(清算終結の登記及び申告)清算が終結したときは、清算人は、3週間内にこれを登記し、主務官庁に申告しなければならない。
第95条(解散、清算の検査、監督)法人の解散及び清算は、法人が検査し、監督する。
第96条(準用規定)第58条第2項、第59条から第62条まで、第64条、第65条及び第70条の規定は、清算人にこれを準用する。
第5節 罰則
第97条(罰則)法人の理事、監事又は清算人は、次の各号の場合には、5万ウォン以下の過料に処する。
1 本章に規定する登記を怠ったとき。
2 第55条の規定に違反し、又は財産目録若しくは社員名簿に不正記載をしたとき。
3 第37条、第95条に規定した検査、監督を妨害したとき。
4 主務官庁又は総会に対して事実でない申告をし、又は事実を隠ぺいしたとき。
5 第76条及び第90条の規定に違反したとき。
6 第79条、第93条の規定に違反して破産宣告の申請を怠ったとき。
7 第88条、第93条に定めた公告を怠り、又は不正な公告をしたとき。
第98条(物の定義) 本法において物とは、有体物及び電気その他管理することができる自然力をいう。
第99条(不動産及び動産)@土地及びその定着物は、不動産である。
A不動産以外の物は、動産である。
第100条(生物及び従物)@物の所有者がその物の常用に供するために自己の所有である他の物をこれに付属させたときは、その附属物は、従物である。
A従物は、主物の処分に従う。
第101条(天然果実及び法定果実)@物の用法により収取する産出物は、天然果実である。
A物の使用の対価として受ける金銭その他の物は、法定果実とする。
第102条(果実の取得)@天然果実は、その元物から分離するときにこれを収取する権利者に属する。
A 法定果実は、収取する権利の存続期間日数の比率により取得する。
第1節 総則
第103条(反社会秩序の法律行為)善良な風俗その他社会秩序に違反した事項を内容とする法律行為は、無効とする。
第104条(不公平な法律行為)当事者の窮迫、軽率又は無経験により著しく公正を失った法律行為は、無効とする。
第105条(任意規定)法律行為の当事者が法令中の善良な風俗その他社会秩序に関係しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思による。
第106条(事実たる慣習)法令中の善良な風俗その他社会秩序に関係しない規定と異なる慣習がある場合に、当事者の意思が明確でないときは、その慣習による。
第2節 意思衷示
第107条(真意でない意思表示)@意思表示は、表意者が真意でないことを知ってしたものでも、その効力がある。ただし、相手方が表意者の真意でないことを知り、又はこれを知ることができた場合には、無効とする。
A 前項の意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
第1O8条(通情した虚偽の意思表示)@相手方と情を通じた虚偽の意思表示は、無効とする。
A前項の意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
第109条(錯誤による意思表示)@意思表示は、法律行為の内容の重要な部分に錯誤があるときは、取り消すことができる。ただし、その錯誤が表意者の重大な過失によるときは、取り消すことができない。
A前項の意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
第110条(詐欺、強迫による意思表示)@詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
A相手方ある意思表示に関して、第三者が詐欺又は強迫を行った場合には、相手方がその事実を知り、又は知ることができた場合に限り、その意思表示を取り消すことができる。
B前2項の意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
第111条(意思表示の効力発生時期)@相手方ある意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力が生ずる。
A表意者がその通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失しても、意思表示の効力に影響を及ぼさない。
第112条(意思表示の受領能力)意思表示の相手方が、これを受けたときに無能力者であった場合には、その意思表示をもって対抗することができない。ただし、法定代理人がその到達を知った後は、この限りでない。
第113条(意思表示の公示送達)表意者が過失なく相手方を知ることができず、又は相手方の所在を知ることができない場合には、意思表示は、民事訴訟法の公示送達の規定により送達することができる。
第3節 代理
第114条(代理行為の効力)@代理人が、その権限内において本人のためにするものであることを表示した意思表示は、直接本人に対して効力が生じる。
A前項の規定は、代理人に対する第三者の意思表示に準用する。
第115条(本人のためにするものであることを表示しない行為)代理人が本人のためにするものであることを表示しないときは、その意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が代理人としてしたものであることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
第116条(代理行為の瑕疵)@意思表示の効力が意思の欠缺、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは過失により知ることができなかったことにより影響を受けるベき場合に、その事実の有無は、代理人を標準として決定する。
A特定の法律行為を委任した場合に、代理人が本人の指示に従ってその行為をしたときは、本人は、自己が知っていた事情又は過失により知ることができなかった事情に関して代理人の不知を主張することができない。
第117条(代理人の行為能力)代理人は、行為能力者であることを要しない。
第118条(代理権の範囲)権限を定めなかった代理人は、次の各号の行為のみをすることができる。
1 保存行為
2 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲において、それを利用し、又は改良する行為
第119条(各自代理)代理人が数人であるときは、各自が本人を代理する。ただし、法律又は授権行為に別に定めたところがあるときは、この限りでない。
第120条(任意代理人の復任権)代理権が法律行為により付与された場合には、代理人は、本人の承諾があるとき又はやむを得ない事由があるときでなければ、後代理人を選任することができない。
第121条(任意代理人の復代理人選任の責任)@前条の規定により代理人が復代理人を選任したときは、本人に対して、その選任監督に関する責任がある。
A代理人が本人の指名により復代理人を選任した場合には、その不適任若しくは不誠実であることを知りながら本人に対する通知、又はその解任を怠ったときでなければ、責任がない。
第122条(法定代理人の復任権及びその責任)法定代理人は、その責任で復代理人を選任することができる。ただし、やむを得ない事由によるときは、前条第1項に定めた責任のみがある。
第123条(復代理人の権限)@復代理人は、その権限内において本人を代理する。
A復代理人は、本人又は第三者に対して代理人と同一の権利義務がある。
第124条(自己契約・双方代理)代理人は、本人の許諾がなければ、本人のために自己と法律行為をし、又は同一の法律行為に関して当事者双方を代理することができない。ただし、債務の履行は、することができる。
第125条(代理権授与の表示による表見代理)第三者に対して他人に代理権を授与することを表示した者は、その代理権の範囲内で行ったその他人及びその第三者の間の法律行為に対して、責任がある。ただし、第三者が代理権のないことを知り又は知ることができたときは、この限りでない。
第126条(権限を超える表見代理)代理人がその権限外の法律行為をした場合に、第三者がその権限があると信ずるに足りる正当な理由があるときは、本人は、その行為に対して責任がある。
第127条(代理権の消滅事由)代理権は、次の各号の事由により消滅する。
1 本人の死亡
2 代理人の死亡、禁治産又は破産
第128条(任意代理の終了)法律行為により授与された代理権は、前条の場合以外に、その原因となった法律関係の終了により消滅する。法律関係の終了前に本人が授権行為を撤回した場合も、同様である。
第129条(代理権消滅後の表見代理)代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によりその事実を知ることができなかったときは、この限りでない。
第130条(無権代理)代理権のない者が他人の代理人としてした契約は、本人がこれを追認しなければ、本人に対して効力がない。
第131条(相手方の催告権)代理権のない者が他人の代理人として契約をした場合に、相手方は、相当な期間を定めて、本人にその追認するか否かの確答を催告することができる。本人がその期間内に確答を発しないときは、追認を拒絶したものとみなす。
第132条(追認、拒絶の相手方)追認又は拒絶の意思表示は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
第133条(追認の効力)追認は、異なる意思表示がないときは、契約時に遡及してその効力が生ずる。ただし、第三者の権利を害することができない。
第134条(相手方の撤回権)代理権のない者がした契約は、本人の追認があるときまで、相手方は本人又はその代理人に対してこれを撤回することができる。ただし、契約当時、相手方が代理権のないことを知っていたときは、この限りでない。
第135条(無権代理人の相手方に対する責任)@他人の代理人として契約をした者が、その代理権を証明することができず、また、本人の追認を得られなかったときは、相手方の選択に従い、契約の履行又は損害賠償の責任がある。
A相手方が代理権のないことを知っており、若しくは知ることができたとき又は代理人として契約した者が行為能力がないときは、前項の規定を適用しない。
第136条(単独行為及び無権代理)単独行為には、その行為当時、相手方が代理人と称する者の代理権なき行為に同意し、又はその代理権を争わなかったときに限り、前6条の規定を準用する。代理権のない者に対してその同意を得て単独行為をしたときも、同様である。
第4節 無効及び取消し
第137条(法律行為の一部無効)法律行為の一部分が無効であるときは、その全部を無効とする。ただし、無効の部分がなくても法律行為をしたものと認められるときは、残りの部分は、無効とならない。
第138条(無効行為の転換)無効の法律行為が、他の法律行為の要件を具備し、当事者がその無効を知っていたとすれば他の法律行為をすることを欲したと認められるときは、他の法律行為としての効力がある。
第139条(無効行為の追認)無効の法律行為は、追認してもその効力が生じない。ただし、当事者がその無効であることを知り追認したときは、新たな法律行為とみなす。
第140条(法律行為の取消権者)取り消すことができる法律行為は、無能力者、瑕疵のある意思表示をした者、その代理人又は承継入に限り、取り消すことができる。
第141条(取消しの効果)敗り消した法律行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、無能力者は、その行為により受けた利益が現存する限度において償還する責任がある。
第142条(取消しの相手方)取り消すことができる法律行為の相手方が確定した場合には、その取消しは、相手方に対する意思表示によりしなければならない。
第143条(追認の方法、効果)@取り消すことができる法律行為は、第140条に規定した者が追認することができ、追認後は、取り消すことができない。
A前条の規定は、前項の場合に準用する。
第144条(追認の要件)@追認は、取消しの原因が終了した後にしなければ効力がない。
A前項の規定は、法定代理人が追認する場合には、適用しない。
第145条(法定追認)取り消すことができる法律行為に関して、肪条の規定により追認することができる後に、次の各号の事由があれば、追認したものとみなす。ただし、異議を保留したときは、この限りでない。
1 全部又は一部の履行
2 履行の請求
3 更改
4 担保の提供
5 取り消すことができる行為により取得した権利の全部又は一部の譲渡
6 強制執行
第146条(取消権の消滅)取消権は、追認することができる日から3年内に、法律行為をした日から10年内に行使しなければならない。
第5節 条件及び期限
第147条(条件成就の効果)@停止条件付法律行為は、条件が成就した時からその効力が生ずる。
A解除条件付法律行為は、条件が成就した時からその効力を失う。
B当事者が、条件成就の効力をその成就前に遡及させる意思を表示したときは、その意思に従う。
第148条(条件付権利の侵害禁止)条件付法律行為の当事者は、条件の成否が未定の間に、条件の成就により生ずる相手方の利益を害することができない。
第149条(条件付権利の処分等)条件の成就が未定の権利義務は、一般の規定により、処分、相続、保存又は担保することができる。
第150条(条件成就、不成就に対する背信行為)@条件の成就により不利益を受ける当事者が信義誠実に反して条件の成就を妨害したときは、相手方は、その条件が成就したものと主張することができる。
A条件の成就により利益を受ける当事者が信義誠実に反して条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものと主張することができる。
第151条(不法条件、既成条件)@条件が善良な風俗その也祉会秩序に違反したものであるときは、その法律行為は無効とする。
A条件が法律行為の当時既に成就したものである場合には、その条件が停止条件であれば、条件のない法律行為とし、解除条件であれば、その法律行為は、無効とする。
B条件が法律行為の当時既に成就することができないものである場合には、その条件が解除条件であれば、条件のない法律行為とし、停止条件であれば、その法律行為は、無効とする。
第152条(期限到来の効果)@始期付法律行為は、期限が到来した時からその効力が生ずる。
A終期付法律行為は、期限が到来した時からその効力を失う。
第153条(期限の利益及びその放棄)@期限は、債務者の利益のためのものと推定する。
A期限の利益は、これを放棄することができる。ただし、相手方の利益を害することができない。
第154条(期限付権利及び準用規定)第148条及び第149条の規定は、期限付法律行為に準用する。
第155条(本章の適用範囲)期間の計算は、法令、裁判上の処分又は法律行為に別に定めたところがなければ、本章の規定による。
第156条(期間の起算点)期間を時、分又は秒で定めたときは、即時から起算する。
第157条(期間の起算点)期間を日、週、月又は年で定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前0時から始まるときは、この限りでない。
第158条(年齢の起算点)年齢の計算には、出生日を算入する。
第159条(期間の満了点)期間を日、週、月又は年で定めたときは、期間末日の終了で期間が満了する。
第160条(暦による計算)@期間を週、月又は年で定めたときは、暦により計算する。
A週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、最後の週、月又は年においてその起算日に該当した日の前日で期間が満了する。
B月又は年で定めた場合に、最後の月に該当日がないときは、その月の末日で期間が満了する。
第161条(公休日及び期間の満了点)期間の末日が公休日に該当したときは、期間は、その翌日をもって満了する。
第162条(債権、財産権の消滅時効)@債権は、10年間行使しなければ消滅時効が完成する。
A債権及び所有権以外の財産権は、20年間行使しなければ消滅時効が完成する。
第163条(3年の短期消滅時効)次の各号の慎権は、3年間行使しなければ消滅時効が完成する。
1 利子、扶養料、給料、使用料その他の1年以内の期間で定めた金銭又は物の支給を目的とした債権
2 医師、助産員、看護員及び薬剤師の治療、勤労及び調剤に関する債権
3 請負人、技師その他工事の設計又は監督に従事する者の工事に関する債権
4 弁護士、弁理士、公証人、計理士及び司法書士に対する職務上保管した書類の返還を請求する債権
5 介護士、弁理士、公証人、計理士及び司法書士の職務に関する債権
6 生産者及び商人が販売した生産物及び商品の代価
7 手工業者及び製造者の業務に関する債権
第164条(1年の短期消滅時効)次の各号の債権は、1年間行使しなければ消滅時効が完成する。
1 旅館、飲食店、貸席及び娯楽場の宿泊料、飲食料、貸席料、入場料、消費物の代価及び立替金の債権
2 衣服、寝具、葬具その他の動産の使用料の債権
3 労役、演芸人の賃金及びそれに供給した物の代金債権
4 学生及び修業者の教育、衣食及び宿泊に関する校主、塾主及び教師の債権
第165条(判決等により確定した債権の消滅時効)@判決により確定した債権は、短期の消滅時効に該当するものでも、その消滅時効は、10年とする。
A破産手続により確定した債権及び裁判上の和解、調停その他判決と同一の効力があるものにより確定した債権も、前項と同様とする。
B前2項の規定は、判決確定当時に弁済期が到来していない債権に、適用しない。
第166条(消滅時効の起算点)@消滅時効は、権利を行使することができるときから進行する。
A不作為を目的とする債権の消賊時効は、違反行為をした時から進行する。
第167条(消滅時効の遡及効)消滅時効は、その起算日に遡及して効力が生ずる。
第168条(消滅時効の中断事由)消滅時効は、次の各号の事由により中断する。
1 請求
2 差押え、仮差押え又は仮処分
3 承認
第169条(時効中断の効力)時効の中断は、当事者及びその承継人間においてのみ効力がある。
第170条(裁判上の請求及び時効中断)@裁判上の請求は、訴訟の却下、棄却又は取下げの場合には、時効中断の効力がない。
A前項の場合に、6月内に裁判上の請求、破産手続参加、差押え又は仮差押え、仮処分をしたときは、時効は、最初の裁判上の請求により中断したものとみなす。
第171条(破産手続参加及び時効中断)破産手続参加は、債権者がこれを取り消し、又はその請求が却下されたときは、時効中断の効力がない。
第172条(支払命令及び時効中断)支払命令は、債権者が法定期間内に仮執行申請をしないことによりその効力を失うときは、時効中断の効力がない。
第173条(和解のための召喚、任意出頭及び時効中断)和解のための召喚は、相手方が出頭せず又は和解が成立しないときは、1月内に訴を提起しなければ時効中断の効力がない。任意出頭の場合に、和解が成立しないときも、同様である。
第174条(催告と時効中断)催告は、6月内に裁判上の講求、破産手続参加、和解のための召喚、任意出頭、差押え又は仮差押え、仮処分をしなければ、時効中断の効力がない。
第175条(差押え、仮差押え、仮処分及び時効中断)差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効中断の効力がない。
第176条(差押え、仮差押え、仮処分及び時効中断)差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受けた者に対してしないときは、これをその者に通知した後でなければ時効中断の効力がない。
第177条(承認及び時効中断)時効中断の効力がある承認には、相手方の権利に関する処分の能力又は権限があることを要しない。
第178条(中断後の時効進行)@時効が中断されたときは、中断までに経過した時効期間は、これを算入せず、中断事由が終了した時から新たに進行する。
A裁判上の請求により中断した時効は、前項の規定により裁判が確定した時から新たに進行する。
第179条(無能力者及び時効停止)消滅時効の期間満了前6月内に、無能力者の法定代理人がないときは、その者が能力者となり、又は法定代理人が就任したときから6月内は、時効が完成しない。
第180条(財産管理者に対する無能力者の権利、夫婦間の権利及び時効の停止)@財産を管理する父、母又は後見人に対する無能力者の権利は、その者が能力者となり、又は後任の法定代理人が就任した時から6月内は、消滅時効か完成しない。
A夫婦の一方の他方に対する権利は、婚姻関係の終了した時から6月内は、消滅時効が完成しない。
第181条(相続財産に関する権利及び時効停止)相続財産に属する権利又は相続財産に対する権利は、相続人の確定、管理人の選任、又は破産宣告がある時から6月内は、消滅時効が完成しない。
第182条(天災その他事変及び時効停止)天災その他事変により消滅時効を中断することができないときは、その事由が終了した時から1月内は、時効が完成しない。
第183条(従属する権利に対する消滅時効の効力)主たる権利の消滅時効が完成したときは、従属する権利にその効力が及ぶ。
第184条(時効の利益の放棄その他)@消滅時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
A消滅時効は、法律行為によりこれを排除し、延長し、又は加重することができないが、これを短縮し、又は軽減することができる。
第185条(物権の種類)物権は、法律又は慣習法によるもののほかは、任意に創設することができない。
第186条(不動産物権変動の効力)不動産に関する法律行為による物権の得喪、変更は、登記しなければその効力が生じない。
第187条(登記を要しない不動産物権取得)相続、公用徴収、判決、競売その他法律の規定による不動産に関する物権の取得は、登記を要しない。ただし、登記をしなければこれを処分することができない。
第188条(動産物権譲渡の効力、簡易引渡し)@動産に関する物権の譲渡は、その動産を引き渡さなければ効力が生じない。
A譲受人が既にその動産を占有しているときは、当事者の意思表示のみにより、その効力が生ずる。
第189条(占有改定)動産に関する物権を譲渡する場合に、当事者の契約により譲渡人がその動産の占有を継続するときは、譲受人が引渡しを受けたものとみなす。
第190条(目的物返還請求権の譲渡)第三者が占有している動産に関する物権を譲渡する場合には、讓渡人がその第三者に対する返還請求権を譲受人に續渡することにより動産を引き渡したものとみなす。
第191条(混同による物権の消滅)@同一物に対する所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、他の物権は、消滅する。ただし、その物権が第三者の権利の目的となっているときは、消滅しない。
A前項の規定は、所有権以外の物権及びそれを目的とする他の権利が同一人に帰属した場合に準用する。
B占有権に関しては、前2項の規定を適用しない。
第192条(占有権の取得及び消滅)@物を事実上支配する者は、占有権がある。
A占有者が物に対する事実上の支配を喪失したときは、占有権が消滅する。ただし、第204条の規定により占有を回収したときは、この限りでない。
第193条(相続による占有権の移転)占有権は、相続人に移転する。
第194条(間接占有)地上権、伝貰権、質権、使用貸借、賃貸借、寄託その他の関係により、他人に物を占有させている者は、間接に占有権がある。
第195条(占有補助者)家事上、営業上その他類似した関係により他人の指示を受けて物に対する事実上の支配をするときは、その他人のみを占有者とする。
第196条(占有権の譲渡)@占有権の譲渡は、占有物の引渡しによりその効力が生ずる。
A前項の占有権の譲渡には、第188条第2項、第189条及び第190条の規定を準用する。
第197条(占有の態様)@占有者は、所有の意思で善意、平穏かつ公然に占有するものと推定する。
A善意の占有者でも、本権に関する訴に敗訴したときは、その訴が提起された時から悪意の占有者とみなす。
第198条(占有継続の推定)前後両時に占有した事実があるときは、その占有は、継続したものと推定する。
第199条(占有の承継の主張及びその効果)@占有者の承継人は、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有及び前占有者の占有を併せて主張することができる。
A前占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵も承継する。
第200条(権利の適法の推定)占有者が占有物に対して行使する権利は、適法に保有するものと推定する。
第201条(占有者及び果実)@善意の占有者は、占有物の果実を取得する。
A悪意の占有者は、収取した果実を返還しなければならず、また、消費し、過失により毀損し、又は収取ができなかった場合には、その果実の代価を補償しなければならない。
B前項の規定は、暴力又は隠秘による占有者に準用する。
第202条(占有者の回復者に対する責任)占有物が占有者の責任がある事由により滅失又は毀損したときは、悪意の占有者は、その損害の全部を賠償しなければならず、善意の占有者は、利益が現存する限度において賠償しなければならない。所有の意思がない占有者は、善意である場合にも、損害の全部を賠償しなければならない。
第203条(占有者の償還請求権)@占有者が占有権を返還するときは、回復者に対して占有物を保存するために支出した金額その他の必要費の償還を請求することができる。ただし、占有者が果実を取得した場合には、通常の必要費は、請求することができない。
A占有者が占有物を改良するために支出した金額その他の有益費に関しては、その価額の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出金額又は増加額の償還を講求することができる。
B前項の場合に、裁判所は、回復者の請求により、相当な償還期間を許与することができる。
第204条(占有の回収)@占有者が占有を侵奪されたときは、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
A前項の請求権は、侵奪者の特別承継人に対しては、行使することができない。ただし、承継人が悪意であるときは、この限りでない。
B第1項の請求権は、侵奪された日から1年内に行使しなければならない。
第205条(占有の保有)@占有者が占有の妨害を受けたときは、その妨害の除去及び損害の賠償を請求することができる。
A前項の請求権は、妨害が終了した日から1年内に行使しなければならない。
B工事により占有の妨害を受けた場合には、工事着手後1年を経過し、又はその工事が完成したときは、妨害の除去を請求することができない。
第206条(占有の保全)@占有者が占有の妨害を受けるおそれがあるときは、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
A 工事により占有の妨害を受けるおそれがある場合には、前条第3項の規定を準用する。
第207条(間接占有の保護)@前3条の請求権は、第194条の規定による間接占有者も、これを行使することができる。
A占有者が占有を侵奪された場合に、間接占有者は、その物を占有者に返還することを請求することができ、また、占有者がその物の返還を受けることができず、又はこれを欲しないときは、自己に返還することを請求することができる。
第208条(占有の訴と本権の訴との関係)@占有権に起因する訴及び本権に起因する訴は、互いに影響を及ぼさない。
A占有権に起因する訴は、本権に関する理由によって裁判することができない。
第209条(自力救済)@占有者は、その占有を不正に侵奪又は妨害する行為に対して自力によりこれを防衛することができる。
A占有物が侵奪された場合に、不動産であるときは、占有者は、侵奪後直ちに加害者を排除してこれを奪還することができ、動産であるときは、占有者は、現場において又は追跡して加害者からこれを奪還することができる。
第210条(準占有)本章の規定は、財産権を事実上行使する場合に準用する。
第1節 所有権の限界
第211条(所有権の内容)所有者は、法律の範囲内においてその所有物の使用、収益及び処分する権利がある。
第212条(土地所有権の範囲)土地の所有権は、正当な利益がある範囲内において土地の上下に及ぶ。
第213条(所有物返還請求権)所有者は、その所有に属した物を占有した者に対して返還を請求することができる。ただし、占有者がその物を占有する権利があるときは、返還を拒否することができる。
第214条(所有物妨害除去、妨害予防請求権)所有者は、所有権を妨害する者に対して妨害の除去を請求することができ、また、所有権を妨害するおそれがある行為をする者に対して、その予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
第215条(建物の区分所有)@数人が1軒の建物を区分して各々その一部分を所有するときは、建物及びその附属物中共用する部分は、それらの者の共有と推定する。
A共用部分の保存に関する費用その他の負担は、各人の所有部分の価額に比例して分担する。
第216条(隣地使用請求権)@土地所有者は、境界又はその近傍において障壁又は建物を築造又は修繕するために必要な範囲内において隣地の使用を清求することができる。ただし、隣人の承諾がなければその住居に立ち入ることができない。
A前項の場合に、隣人が損害を受けたときは、補償を請求することができる。
第217条(煤煙等による隣地に対する妨害禁止)@土地所有者は、煤煙、熱気体、液体、音響、振動、その他これに類似したものにより隣地の使用を妨害し、又は隣地居住者の生活に苦痛を与えないように、適当な措置を講じる義務がある。
A隣地居住者は、前項の事態が隣地の通常の用途に適当なものであるときは、これを忍容する義務がある。
第218条(水道等施設)@土地の所有者は、他人の土地を通過しなければ必要な水道、疎水管、ガス管、電線等を施設することができず、又は過多な費用を要する場合には、他人の土地を通過して、これを設置することができる。ただし、これによる損害が最も少ない場所及び方法を選択してこれを施設し、他の土地の所有者の請求により損害を補償しなければならない。
A前項による施設をした後、事情の変更があるときは、他の土地の所有者は、その施設の変更を請求することができる。施設変更の費用は、土地所有者が負担する。
第219条(周囲土地通行権)@ある土地と公路との間に、その土地の用途に必要な通路がない場合に、周囲の土地を通行し、又はこれを通路としなければ公路に出入することができず、又は過多な費用を要するときは、その周囲の土地を通行することができ、必要な場合には、通路を開設することができる。ただし、これによる損害が最も少ない場所及び方法を選択しなければならない。
A 前項の通行権者は、通行地所有者の損害を補償しなければならない。
第220条(分割、一部譲渡及び周囲通行権)@分割により公路に通ずることができない土地があるときは、その土地の所有者は、公路に出入するために他の分割者の土地を通行することができる。この場合には、補償の義務がない。
A前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲渡した場合に準用する。
第221条(自然流水の承水義務及び権利)@土地所有者は、隣地から自然に流れて来る水を妨げることができない。
A高地所有者は、隣の低地に自然に流れて下る隣の低地において必要な水を、自己の正当な使用範囲を越えて、これを妨げることができない。
第222条(疎通工事権)流水が低地において閉塞したときは、高地所有者は、自費で疎通に必要な工事をすることができる。
第223条(貯水、排水、引水のための工作物に対する工事請求権)土地所有者が貯水、排水又は引水するために工作物を設置した場合に、工作物の破損若しくは閉塞により他人の土地に損害を加え、又は加えるおそれがあるときは、他人は、その工作物の補修、閉塞の疎通又は予防に必要な請求をすることができる。
第224条(慣習による費用負担)前2条の場合に、費用負担に関する慣習があれば、その慣習に従う。
第225条(軒水に対する施設義務)土地所有者は、軒水が隣に直接落下しないように適当な施設をしなければならない。
第226条(余水疎通権)@高地所有者は、授水地を乾燥するため又は家用若しくは農工業用の余水を疎通させるために公路、公流又は下水道に達するまで低地に水を通過させることができる。
A前項の場合には、低地の損害が最も少ない場所及び方法を選択しなければならず、損害を補償しなければならない。
第227条(流水用工作物の使用権)@土地所有者は、その所有地の水を疎通させるために隣地所有者の施設した工作物を使用することができる。
A前項の工作物を使用する者は、その利益を受ける比率で工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。
第228条(余水給与請求権)土地所有者は、過多な費用又は労力を要せずには家用又は土地利用に必要な水を得ることが困難であるときは、隣地所有者に補償して、余水の給与を請求することができる。
第229条(水流の変更)@溝渠その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有であるときは、その水路又は水流の幅を変更することができない。
A両岸の土地が水流地の所有者の所有であるときは、所有者は、水路及び水流の幅を変更することができる。ただし、下流は、自然の水路と一致するようにしなければならない。
B前2項の規定は、異なる慣習があれば、その慣習による。
第230条(堰の設置、利用権)@水流地の所有者が堰を設置する必要があるときは、その堰を対岸に接触させることができる。ただし、これによる損害を補償しなければならない。
A対岸の所有者は、水流地の一部が自己所有であるときは、その堰を使用することができる。ただし、その利益を受ける比率で堰の設置、保存の費用を分担しなければならない。
第231条(公有河川用水権)@公有河川の沿岸において農・工業を経営する者は、これに利用するために他人の用水を妨害しない範囲内において必要な引水をすることができる。
A前項の引水をするだめに必要な工作物を設置することができる。
第232条(下流沿岸の用水権保護)前条の引水又は工作物により下流沿岸の用水権を妨害するときは、その用水権者は、妨害の除去及び損害の賠償を請求することができる。
第233条(用水権の承継)農・工業の経営に利用する水路その他工作物の所有者又は受益者の特別承継人は、その用水に関する前所有者又は受益者の権利義務を承継する。
第234条(用水権に関する異なる慣習)前3条の規定は、異なる慣習があれば、その慣習による。
第235条(共用水及び用水権)相隣者は、その共用に属する源泉又は水道を、各需要の程度に応じて、他人の用水を妨害しない範囲内において各々用水する権利がある。
第236条(用水障害の工事及び損害賠償、原状回復)@必要な用途又は収益がある源泉又は水道が、他人の建築その他の工事により断水、減水その他の用途に障害が生じたときは、用水権者は、損害賠償を請求することができる。
A前項の工事により飲料水その他生活上必要な用水に障害があるときは、原状回復を請求することができる。
第237条(境界標、障壁の設置権)@隣接して土地を所有する者は、共同費用で通常の境界標又は障壁を設置することができる。
A前項の費用は、双方が折半して負担する。ただし、測量費用は、土地の面積に比例して負担する。
B前2項の規定とは、異なる慣習があれば、その慣習による。
第238条(障壁の特殊施設権)隣地所有者は、自己の費用で、障壁の材料を通常より良好なものとし、その高さを通常より高くし、又は防火壁その他特殊設備を施すことができる。
第239条(境界標等の共有推定)境界に設置された境界標、障壁、溝渠等は、相隣者の共有と推定する。ただし、境界標、障壁、溝渠等が相隣者の一方の単独費用により設置され、又は障壁が建物の一部である場合には、この限りでない。
第240条(樹枝、木根の除去権)@隣接地の樹木の枝が境界を越えたときは、その所有者に対して枝の除去を請求することができる。
A前項の講求に応じないときは、請求者がその枝を除去することができる。
B隣接地の樹木が境界を越えたときは、任意に除去することができる。
第241条(土地の深掘禁止)士地所有者は、隣接地の地盤が崩壊する程度に、自己の土地を深掘することができない。ただし、十分な防御工事をしたときは、この限りでない。
第242条(境界線付近の建築)@建物を築造する場合は、特別の慣習がなければ、境界から0.5メートル以上の距離を置かなければならない。
A隣接地所有者は、前項の規定に違反した者に対して建物の変更又は撤去を請求することができる。ただし、建築に着手した後1年を経過し、又は建物が完成した後は、損害賠償のみを請求することができる。
第243条(遮面施設義務)境界から2メートル以内の距離において、隣の住宅の内部を観室することができる窓又は縁側を設置する場合には、適当な遮面をしなければならない。
第244条(地下施設等に対する制限)@井戸を掘り、用水、下水又は汚物等を貯えておく地下施設をするときは、境界から2メートル以上の距離を置かなければならず、貯水池、溝渠又は地下室工事には、境界からその深さの半分以上の距離を置かなければならない。
A前項の工事をする場合には、土砂が崩壊し、又は下水若しくは汚液が隣に流れないように適当な措置を講じなければならない。
第2節 所有権の取得
第245条(占有による不動産所有権の取得期間)@20年間所有の意思で平穏、公然に不動産を占有する者は、登記することにより、その所有権を取得する。
A不動産の所有者として登記した者が、10年間所有の意思で平穏、公然に善意であり、過失なく、その不動産を占有したときは、所有権を取得する。
第246条(占有による動産所有権の取得期間)@10年間所有の意思で平穏、公然に動産を占有した者は、その所有権を取得する。
A前項の占有が善意であり、過失なく開始された場合には、5年を経過することによりその所有権を取得する。
第247条(所有権取得の遡及効、中断事由)@前2条の規定による所有権取得の効力は、占有を開始した時に遡及する。
A消滅時効の中断に関する規定は、前2条の所有権取得期間に準用する。
第248条(所有権以外の財産権の取得時効)前3条の規定は、所有権以外の財産権の取得に準用する。
第249条(善意取得)平穏、公然に動産を譲り受けた者が、善意であり、過失なくその動産を占有した場合には、譲渡人が正当な所有者でないときにも、直ちに、その動産の所有権を取得する。
第250条(盗品、遺失物に対する特例)前条の場合に、その動産が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失した日から2年内にその物の返還を請求することができる。ただし、盗品又は遺失物が金銭であるときは、この限りでない。
第251条(盗品又は遺失物に対する特例)譲受人が、盗品若しくは遺失物を競売若しくは公開市場において、又は同種類の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、譲受人が支払った代価を弁償し、その物の返還を請求することができる。
第252条(無主物の帰属)@無主の動産を所有の意思で占有した者は、その所有権を取得する。
A無主の不動産は、国有とする。
B野生する動物は、無主物とし、飼育する野生動物も再び野生状態にもどれば、無主物とする。
第253条(遺失物の所有権取得)遺失物は、法律に定めたところにより、公告した後1年内にその所有者が権利を主張しなければ、拾得者がその所有権を取得する。
第254条(埋蔵物の所有権取得)埋藏物は、法律に定めたところにより、公告した後1年内にその所有者が権利を主張しなければ、発見者がその所有権を取得する。ただし、他人の土地又はその他の物から発見した埋蔵物は、その土地その他の物の所有者及び発見者が折半して取得する。
第255条(文化財の国有)@学術、技芸又は考古の重要な材料となる物については、第252条第1項及び前2条の規定によらず、国有とする。
A前項の場合に、拾得者、発見者及び埋蔵物が発見された土地その他の物の所有者は、国に対して適当な報償を請求することができる。
第256条(不動産への附合)不動産の所有者は、その不動産に附合した物の所有権を取得する。ただし、他人の権原により附属したものは、この限りでない。
第257条(動産間の附合)動産と動産が附合して、毀損しなければ分離することができず、又はその分離に過多な費用を要する場合には、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に属する。附合した動産の主従を区別することができないときは、動産の所有者は、附合当時の価額の比率で合成物を共有する。
第258条(混和)前条の規定は、動産と動産が混和して識別することができない場合に準用する。
第259条(加工)@他人の動産に加工したときは、その物の所有権は、原材料の所有者に属する。ただし、加工による価額の増加が原材料の価額より著しく多額であるときは、加工者の所有とする。
A加工者が材料の一部を提供したときは、その価額は、前項の増加額に加算する。
第260条(添付の効果)@前4条の規定により動産の所有権が消滅したときは、その動産を目的とする他の権利も消滅する。
A動産の所有者が合成物、混和物又は加工物の単独所有者となったときは、前項の権利は、合成物、温和物又は加工物に存続し、その共有者となったときは、その持分に存続する。
第261条(添付による求償権)前5条の場合に、損害を受けた者は、不当利得に関する規定により、補償を請求することができる。
第3節 共同所有
第262条(物の共有)@物が持分により数人の所有となったときは、共有とする。
A共有者の持分は、均等なものと推定する。
第263条(共有持分の処分及び共有物の使用、収益)共有者は、その持分を処分することができ、共有物全部を持分の比率で使用、収益することができる。
第264条(共有物の処分、変更)共有者は、他の共有者の同意なく共有物を処分し、又は変更することができない。
第265条(共有物の管理、保存)共有物の管理に関する事項は、共有者の持分の過半数により決定する。ただし、保存行為は、各自がすることができる。
第266条(共有物の負担)@共有者は、その持分の比率で共有物の管理費用その他の義務を負担する。
A共有者が1年以上前項の義務履行を遅滞したときは、他の共有者は、相当な価額で持分を買い受けることができる。
第267条(持分放棄等の場合の帰属)共有者がその持分を放棄し、又は相続人なく死亡したときは、その持分は、他の共有者に各持分の比率で帰属する。
第268条(共有物の分割請求)@共有者は、共有物の分割を請求することができる。ただし、5年内の期間で分割しないことを約定することができる。
A前項の契約を更新したときは、その期間は、更新した日から5年を超えることができない。
B前2項の規定は、第215条、第239条の共有物には、適用しない。
第269条(分割の方法)@分割の方法に関して協議が成立しないときは、共有者は、裁判所にその分割を講求することができる。
A現物で分割することができず、又は分割により著しくその価額が減損するおそれがあるときば、裁判所は、その競売を命ずることができる。
第270条(分割による担保責任)共有者は、他の共有者が分割により、取得した物に対して、その持分の比率で売渡人と同一の担保責任がある。
第271条(物の合有)@法律の規定又は契約により数人が組合体として物を所有するときは、合有とする。金有者の権利は、合有物全部に及ぶ。
A合有に関しては、前項の規定又は契約によるほか、次の3条の規定による。
第272条(合有物の処分、変更及び保存)合有物を処分又は変更する場合には、合有者全員の同意がなければならない。ただし、保存行為は、各自がすることができる。
第273条(合有持分の処分及び合有物の分割禁止)@合有者は、全員の同意なく合有物に対する持分を処分することができない。
A合有者は、合有物の分割を靖求することができない。
第274条(合有の終了)@合有は、組合体の解散又は合有物の譲渡により終了する。
A前項の場合に、合有物の分割に関しては、共有物の分割に関する規定を準用する。
第275条(物の総有)@法人でない社団の社員が集合体として物を所有するときは、総有とする。
A総有に関しては、社団の定款その他の規約によるほか、次の2条の規定による。
第276条(総有物の管理、処分及び使用、収益)@総有物の管理及び処分は、社員総会の決議による。
A各社員は、定款その他の規約に従い、総有物を使用、収益することができる。
第277条(総有物に関する権利義務の得喪)総有物に関する社員の権利義務は、社員の地位を取得喪失することにより取得喪失される。
第278条(準共同所有)本節の規定は、所有権以外の財産権に準用する。ただし、他の法律に特別の規定があれば、それによる。
第279条(地上権の内容)地上権者は、他人の土地に建物その他の工作物又は樹木を所有するためにその土地を使用する権利がある。
第280条(存続期間を約定した地上権)@契約により地上権の存続期間を定める場合には、その期間は、次の年限より短くすることができない。
1 石造、石灰造、れんが造り若しくはこれと類似した堅固な建物又は樹木の所有を目的とするときは、30年
2 前号以外の建物の所有を目的とするときは、15年
3 建物以外の工作物の所有を目的とするときは、5年
A前項の期間より短縮した期間を定めたときは、前項の期間まで延長する。
第281条(存続期間を約定しない地上権)@契約により地上権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、前条の最短存続期間とする。
A地上権設定当時に工作物の種類及び構造を定めなかったときは、地上権は、前条第2号の建物の所有を目的としたものとみなす。
第282条(地上権の譲渡、賃貸)地上権者は、他人にその権利を譲渡し、又はその権利の存続期間内においてその土地を賃貸することができる。
第283条(地上権者の更新請求権、買受講求権)@地上権が消滅した場合に、建物その他の工作物又は樹木が現存するときは、地上権者は、契約の更新を講求することができる。
A地上権設定者が契約の更新を欲しないときは、地上権者は、相当な価額で前項の工作物又は樹木の買受けを請求することができる。
第284条(更新及び存続期間)当事者が契約を更新する場合には、地上権の存続期間は、更新した日から第280条の最短存続期間より短縮することができない。ただし、当事者は、これより長期の期間を定めることができる。
第285条(収去義務、買受請求権)@地上権が消滅したときは、地上権者は、建物その他の工作物又は樹木を収去して土地を原状に回復しなければならない。
A前項の場合に、地上権設定者が相当な価額を提供してその工作物又は樹木の買受けを講求したときは、地上権者は、正当な理由なくこれを拒絶することができない。
第286条(地代増減請求権)地代が土地に関する租税その他の負担の増減又は地価の変動により相当でなくなったときは、当事者は、その増減を請求することができる。
第287条(地上権消滅講求権)地上権者が2年以上の地代を支払わなかったときは、地上権設定者は、地上権の消滅を請求することができる。
第288条(地上権消滅請求及び抵当権者に対する通知)地上権が抵当権の目的であるとき又はその土地にある建物、樹木が抵当権の目的となっているときは、前条の請求は、抵当権者に通知した後相当な期間が経過することにより効力が生ずる。
第289条(強行規定)第280条から第287条までの規定に違反する契約であって、地上権者に不利なものは、その効力がない。
第289条の2(区分地上権)@地下又は地上の空間は、上下の範囲を定めて建物その他の工作物を所有するための地上権の目的とすることができる。この場合に、設定行為により地上権の行使のため土地の使用を制限することができる。
A前項の規定による区分地上権は、第三者が土地を使用・収益する権利があるときも、その権利者及びその権利を目的とする権利がある者全負の承諾があれば、これを設定することができる。この場合に、土地を使用・収益する権利がある第三者は、その地上権の行使を妨害してはならない。
第290条(準用規定)@第222条、第214条及び第216条から第244条までの規定は、地上権者間又は地上権者と隣地所有者の間に、これを準用する。
A第280条から第289条まで及び第1項の規定は、第289条の2の規定による区分地上権に関して、これを準用する。
第291条(地役権の内容)地役権者は、一定の目的物のために他人の上地を自己の土地の便益に利用する権利がある。
第292条(附従性)@地役権は、要役地所有権に附従して移転し、又は要役地に対する所有権以外の権利の目的となる。ただし、異なる約定があるときは、その約定による。
A地役権は、要役地と分離して讓渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
第293条(共有関係、一部譲渡及び不可分性)@土地共有者の1人は、その持分に関してその土地のための地役権又はその土地が負担した地役権を消滅させることができない。
A上地の分割又は土地の一部譲渡の場合には、地役権は、要役地の各部分のため又はその承役地の各部分に存続する。ただし、地役権が土地の一部分にのみ関するものであるときは、他の部分に対しては、この限りでない。
第294条(地役権取得期間)地役権は、継続かつ表現のものに限り、第245条の規定を準用する。
第295条(取得及び不可分性)@共有者の1人が地役権を取得したときは、他の共有者もこれを取得する。
A占有による地役権敗博期間の中断は、地役権を行使するすべての共有者に対する事由でなければ、その効力がない。
第296条(消滅時効の中断、停止及び不可分性)要役地が数人の共有である場合に、その1人による地役権消滅時効の中断又は停止は、他の共有者のために効力がある。
第297条(用水地役権)@用水承役地の水量が要役地及び承役地の需要に不足するときは、その需要の程度により、まず家用に供給して、他の用途に供給しなければならない。ただし、設定行為に異なる約定があるときは、その約定による。
A承役地に数個の用水地役権が設定されたときは、後順位の地役権者は、先順位の地役権者の用水を妨害することができない。
第298条(承役地所有者の義務及び承継)契約により承役地所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物の設置又は修繕の義務を負担したときは、承役地所有者の特別承継人もその義務を負担する、
第299条(委棄による負担の免除)承役地の所有者は、地役権に必要な部分の土地の所有権を、地役権者に委棄して、前条の負担を免れることができる。
第300条(工作物の共同使用)@承役地の所有者は、地役権の行使を妨害しない範囲内において地役権者が地役権の行使のために承役地に設置した工作物を使用することができる。
A前項の場合に、承役地の所有者は、受益の程度の比率により、工作物の設置、保存の費用を分担しなければならない。
第301条(準用規定)第214条の規定は、地役権に準用する。
第302条(特殊地役権)ある地域の住民が集合体の関係で各自が他人の土地において、草木、野生物及び土砂の採取、放牧その他の収益をする権利がある場合には、慣習によるほか、本章の規定を準用する。
第303条(伝貰権の内容)@伝貰権者は、伝貰金を支払って他人の不動産を占有し、その不動産の用途に従い使用・収益し、その不動産全部につき後順位権利者その他の債権者より伝貰金の優先弁済を受ける権利がある。
A農耕地は、伝貰金の目的とすることができない。
第304条(建物の伝貰権、地上権、賃借権に対する効力)@他人の土地にある建物に伝貰権を設定したときは、伝貰権の効力は、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権に及ぶ。
A前項の場合に、伝貰権設定者は、伝貰権者の同意なく地上権又は賃借権を消滅させる行為をすることができない。
第305条(建物の伝貰権及び法定地上権)@敷地及び建物が同一の所有者に属する場合に、建物に伝貰権を設定したときは、その敷地所有権の特別承継人は、伝貰権設定者に対して地上権を設定したものとみなす。ただし、地代は、当事者の請求により、裁判所がこれを定める。
A前項の場合に、敷地の所有者は、他人にその敷地を賃貸し、又はこれを目的とした地上権又は伝貰権を設定することができない。
第306条(伝貰権の譲渡、賃貸等)伝貰権者は、伝貰権を他人に譲渡し、又は担保として提供することができ、また、その存続期間内においてその目的物を他人に転伝貰又は賃貸することができる。ただし、設定行為によりこれを禁止したときは、この限りでない。
第307条(伝貰権譲渡の効力)伝貰権譲受人は、伝貰権設定者に対して伝貰権譲渡人と同一の権利義務がある。
第308条(転伝貰等の場合の責任)伝貰権の目的物を転伝貰又は賃貸した場合には、伝貰権者は、転伝貰又は賃貸しなかったならば免れることができる不可抗力による損害に対して、その責任がある。
第309条(伝貰権者の維持、修繕義務)伝貰権者は、目的物の現状を維持し、その通常の管理に属する修繕をしなければならない。
第310条(伝貰権者の償還請求権)@伝貰権者が目的物を改良するために支出した金額その他の有益費に関しては、その価額の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出額又は増加額の償還を請求することができる。
A前項の場合に、裁判所は、所有者の請求により相当な償還期間を許与することができる。
第311条(伝貰権の消滅請求)@伝貰権者が伝貰権設定契約又はその目的物の性質により定められた用法によりこれを使用・収益しない場合には、伝貰権設定者は、伝貰権の消滅を請求することができる。
A前項の場合に、伝貰権設定者は、伝貰権者に対して原状回復又は損害賠償を請求することができる。
第312条(伝貰権の存続期間)@伝貰権の存続期間は、10年を超えることができない。当事者の約定期間が10年を超えるときは、これを10年に短縮する。
A建物に対する伝貰権の存続期間を1年未満と定めたときは、これを1年とする。
B伝貰権の設定は、これを更新することができる。その期間は、更新した日から10年を超えることができない。
C建物の伝貰権設定者が伝賃権の存統期間満了前6月から1月までの間に、伝貰権者に対して更新拒絶の通知又は条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかった場合には、その期間が満了したときに、前伝貰権と同一の条件で再び伝貰権を設定したものとみなす。この場合に、伝貰権の存続期間は、その定めがないものとみなす。
第312条の2(伝貰金増減請求権)伝貰金が目的不動産に関する租税・公課金その他負担の増減又は経済事情の変動により相当でなくなったときは、当事者は、将来に対して、その増減を請求することができる。ただし、増額の場合には、大統領令が定める基準に従った比率を超えることができない。
第313条(伝貰権の消滅通告)伝貰権の存続期間を約定しなかったときは、各当事者は、いつでも相手方に対して伝貰権の消滅を通告することができ、相手方がこの通告を受けた日から6月が経過すれば、伝貰権は、消滅する。
第314条(不可抗力による滅失)@伝貰権の目的物の全部又は一部が不可抗力により滅失したときは、その滅失した部分の伝貰権は、消滅する。
A前項の一部滅失の場合に、伝貰権者がその残存部分により伝貰権の目的を達成することができないときは、伝貰権設定者に対して伝貰権全部の消滅を通告し、伝貰金の返還を請求することができる。
第315条(伝貰権者の損害賠償責任)@伝貰権の目的物の全部又は一部が伝貰権者に責任がある事由により滅失したときは、伝貰権者は、損害を賠償する責任がある。
A前項の場合に、伝貰権設定者は、伝貰権が消滅した後伝貰金により損害の賠償に充当し、剰余があれば、返還しなければならず、不足であるときは、更に請求することができる。
第316条(原状回復義務、買受請求権)@伝貰権がその存続期間の満了により消滅したときは、伝貰権者は、その目的物を原状に回復しなければならず、その目的物に附属させた物は、収去することができる。ただし、伝貰権設定者がその附属物の買受けを請求したときは、伝貰権者は、正当な理由なく拒絶することができない。
A前項の場合に、その附属物が伝貰権設定者の同意を得て附属させたものであるときは、伝貰権者は、伝貰権設定者に対してその附属物の買受けを請求することができる。その附属物が伝貰権設定者から買い受けたものであるときもまた同様である。
第317条(伝貰権の消滅及び同時履行)伝貰権が消滅したときは、その伝貰権設定者は、伝貰権者からその目的物の引渡し、及び伝貰権設定登記の抹消登記に必要な書類の交付を受けると同時に伝貰金を返還しなければならない。
第318条(伝貰権者の競売請求権)伝貰権設定者が伝貰金の返還を遅滞したときは、伝貰権者は、競売法の定めたところにより、伝貰権の目的物の競売を請求することができる。
第319条(準用規定)第213条、第214条及び第216条から第244条までの規定は、伝貰権者間又は伝貰権者と隣地所有者及び地上権者の間にこれを準用する。
第320条(留置権の内容)@他人の物又は有価証券を占有した者は、その物又は有価証券に関して生じた債権が弁済期にある場合には、弁済を受けるときまで、その物又は有価証券を留置する権利がある。
A前項の規定は、その占有が不法行為による場合には、適用しない。
第321条(留置権の不可分性)留置権者は、債権全部の弁済を受けるときまで留置物全部に対してその権利を行使することができる。
第322条(競売・簡易な弁済充当)@留置権者は、債権の弁済を受けるために留置物を競売することができる。
A正当な理由があるときは、留置権者は、鑑定人の評価に従い留置物で直接弁済に充当することを裁判所に請求することができる。この場合には、留置権者は、あらかじめ債務者に通知しなければならない。
第323条(果実収取権)@留置権者は、留置物の果実を収取して他の債権より先にその債権の弁済に充当することができる。ただし、果実が金銭でないときは、競売しなければならない。
A果実は、まず債権の利子に充当し、その剰余があれば、元本に充当する。
第324条(留置権者の善管義務)@留置権者は、善良な管理者の注意で留置物を占有しなければならない。
A留置権者は、債務者の承諾なく留置物の使用、貸与、又は担保として提供することができない。ただし、留置物の保存に必要な使用は、この限りでない。
B留置権者が前2項の規定に違反したときは、償務者は、留置権の消滅を請求することができる。
第325条(留置権者の償還請求権)@留置権者が留置物に関して必要費を支出したときは、所有者にその償還を請求することができる。
A留置権者が留置物に関して有益費を支出したときは、その価額の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従いその支出した金額又は増加額の償還を講求することができる。ただし、裁判所は、所有音の請求により、相当な償還期間を許与することがでぎる。
第326条(被担保債権の消滅時効)留置権の行使は、債権の消滅時効の進行に影響を及ぼさない。
第327条(他の担保の提供及び留置権の消滅)債務者は、相当な担保を提供し、留置権の消滅を請求することができる。
第328条(占有喪失及び留置権の消滅)留置権は、占有の喪失によって消滅する。
第1節 動産質権
第329条(動産質権の内容)動産質権者は、債権の担保として債務者又は第三者が提供した動産を占有し、その動産につき他の債権者より自己の債権の優先弁済を受ける権利がある。
第330条(設定契約の要物性)質権の設定は、質権者に目的物を引き渡すことによりその効力が生ずる。
第331条(質権の目的物)質権は、譲渡することができない物を目的とすることができない。
第332条(設定者による代理占有の禁止)質権者は、設定者に質物を占有させることができない。
第333条(動産質権の順位)数個の債権を担保するために同一の動産に数個の質権を設定したときは、その順位は、設定の前後による。
第334条(被担保債権の範囲)質権は、元本、利子、違約金、質権実行の費用、質物保存の費用及び債務不履行又は質物の瑕疵による損害賠償の債権を担保する。ただし、異なる約定があるときは、その約定による。
第335条(留置的効力)質権者は、前条の債権の弁済を受ける時まで買物を留置することができる。ただし、自己より優先権がある債権者に対抗することができない。
第336条(転質権)質権者は、その権利の範囲内において自己の責任で質物を転質することができる。この場合には、転質しなかったならば免れることができる不可抗力による損害に対しても責任がある。
第337条(転質の対抗要件)@前条の場合に、質権者が債務者に転質の事実を通知し又は債務者がこれを承諾しなければ、転質により債務者、保証人、質権設定者及びその承継人に対抗することができない。
A債務者が前項の通知を受け又は承諾をしたときは、転質権者の同意なく質権者に債務を弁済しても、これにより転質権者に対抗することができない。
第338条(競売・簡易な弁済充当)@質権者は、債務の弁済を受けるために質物を競売することができる。
A正当な理由があるときは、質権者は、鑑定人の評価により質物で直接弁済に充当することを裁判所に請求することができる。この場合には、質権者はあらかじめ債務者及び質権設定者に通知しなければならない。
第339条(流質契約の禁止)質権設定者は、債務弁済期前の契約で質権者に弁済に代えて質物の所有権を取得させ、又は法律に定めた方法によらず買物な処分することを約定することができない。
第340条(質物以外の財産からの弁済)@質権者は、質物により弁済を受けることができない部分の債権に限り、債務者の他の財産から弁済を受けることができる。
A前項の規定は、質物より先に他の財産に関する配当を実施する場合には、適用しない。ただし、他の債権者は、質権者にその配当金額の供託を請求することができる。
第341条(物上保証人の求償権)他人の債務を担保するための質権を設定した者がその債務を弁済し、又は質権の実行により質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定により債務者に対する求償権がある。
第342条(物上代位)質権は、質物の滅失、毀損又は公用徴収により質権設定者が受ける金銭その他の物に対してもこれを行使することができる。この場合には、その支払い又は引渡前に差し押えなければならない。
第343条(準用規定)第249条から第251条まで、及び第321条から第325条までの規定は、動産質権に準用する。
第344条(他の法律による質権)本節の規定は、他の法律の規定により設定された質権に準用する。
第2節 権利質権
第345条(権利質権の目的)質権は、財産権をその目的とすることができる。ただし、不動産の使用、収益を目的とする権利は、この限りでない。
第346条(権利質権の設定方法)権利質権の設定は、法律に異なる規定がなければ、その権利の譲渡に関する方法によらなければならない。
第347条(設定契約の要物性)債権を質権の目的とする場合に、債権証書があるときは、質権の設定は、その証書を質権者に交付することによりその効力が生ずる。
第348条(抵当債権に対する質権及び附記登記)抵当権により担保した債権を質権の目的としたときは、その抵当権の登記に質権の附記登記をしなければ、その効力が抵当権に及ばない。
第349条(指名債権に対する質権の対抗要件)@指名債権を目的とする質権の設定は、設定者が第450条の規定により第三債務者に質権設定の事実を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これにより第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
A第451条の規定は、前項の場合に準用する。
第350条(指図債権に対する質権の設定方法)指示債権を質権の目的とする質権の設定は、証書に裏書して質権者に交付することによりその効力が生ずる。
第351条(無記名債権に対する質権の設定方法)無記名債権を目的とする質権の設定は、証書を質権者に交付することによりその効力が生ずる。
第352条(質権設定者の権利処分制限)質権設定者は、質権者の同意なく質権の目的となった権利を消滅させ、又は質権者の利益を害する変更をすることができない。
第353条(質権の目的となった債権の実行方法)@質権者は、質権の目的となった債権を直接請求することができる。
A債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権の限度において直接請求することができる。
B前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期より先に到来したときは、質権者は、第三債務者に対してその弁済金額の供託を請求することができる。この場合に、質権は、その供託金に存在する。
C債権の目的物が金銭以外の物であるときは、質権者は、その弁済を受けた物に対して質権を行使することができる。
第354条(質権の目的たる債権の実行方法)質権者は、前条の規定によるほか、民事訴訟法に定めた執行方法により質権を実行することができる。
第355条(準用規定)権利質権には、本節の規定のほか、動産質権に関する規定を準用する。
第356条(抵当権の内容)抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転せず債務の担保として提供した不動産に対して、他の債権者より自己の債権の優先弁済を受ける権利がある。
第357条(根抵当)@抵当権は、その担保する債務の最高額のみを定め、債務の確定を将来に保留してこれを設定することができる。この場合には、その確定する時までの債務の消滅又は移転は、抵当権に影響を及ぼさない。
A前項の場合には、債務の利子は、最高額中に算入したものとみなす。
第358条(抵当権の効力の範囲)抵当権の効力は、抵当不動産に附合した物及び従物に及ぶ。ただし、法律に特別の規定又は設定行為に異なる約定があれば、この限りでない。
第359条(果実に対する効力)抵当権の効力は、抵当不動産に対する差押えがあった後に抵当権設定者がその不動産から収取した果実又は収取することができる果実に及ぶ。ただし、抵当権者が、その不動産に対する所有権、地上権又は伝貰権を取得した第三者に対しては、差し押えた事実を通知した後でなければ、これにより対抗することができない。
第36O条(被担保債権の範囲)抵当権は、元本、利子、違約金、債務不履行による損害賠償及び抵当権の実行費用を担保する。ただし、遅延賠償に対しては、元本の履行期日を経過した後の1年分に限り、抵当権を行使することができる。
第361条(抵当権の処分制限)抵当権は、その担保した債権と分離して他人に譲渡し、又は他の債権の担保とすることができない。
第362条(抵当物の補充)抵当権設定者の責任がある事由により抵当物の価額が著しく減少したときは、抵当権者は、抵当権設定者に対してその原状回復又は相当な担保の提供を請求することができる。
第363条(抵当権者の競売請求権、競買人)@抵当権者は、その債権の弁済を受けるために抵当物の競売を請求することができる。
A抵当物の所有権を取得した第三者も、競買人となることができる。
第364条(第三取得者の弁済)抵当不動産につき所有権、地上権又は伝貰権を取得した第三者は、抵当権者にその不動産により担保された債権を弁済し抵当権の消滅を請求することができる。
第365条(抵当地上の建物に対する競売請求権)土地を目的として抵当権を設定した後、その設定者がその土地に建物を築造したときは、抵当権者は、土地と共にその建物に対しても競売を請求することができる。ただし、その建物の競売代価に対しては、優先弁済を受ける権利がない。
第366条(法定地上権)抵当物の競売により土地及びその地上建物が異なる所有者にした場合には、土地所有者は、建物所有者に対して地上権を設定したものとみなす。ただし、地代は、当事者の請求により裁判所がこれを定める。
第367条(第三取得者の費用償還請求権)抵当物の第三取得者がその不動産の保存、改良のために必要費又は有益費を支出したときは、第203条第1項、第2項の規定により抵当物の競売代価から優先償還を受けることができる。
第368条(共同抵当及び代価の配当、次順位者の代位)@同一の債権の担保として数個の不動産の上に抵当権を設定した場合に、その不動産の競売代価を同時に配当するときは、各不動産の競売代価に比例してその債権の分担を定める。
A前項の抵当不動産中一部の競売代価を先に配当する場合には、その代価からその債権全部の弁済を受けることができる。この場合には、その競売した不動産の次順位抵当権者は、先順位抵当権者が前項の規定により他の不動産の競売代価から弁済を受けることができる金額の限度で、先順位者に代位して抵当権を行使することができる。
第369条(附従性)抵当権で担保した債権が時効の完成その他の事由により消滅したときは、抵当権も消滅する。
第370条(準用規定)第214条、第321条、第333条、第340条、第341条及び第342条の規定は、抵当権に準用する。
第371条(地上権又は伝貰権を目的とする抵当権)@本章の規定は、地上権又は伝貰権な抵当権の目的とした場合に準用する。
A地上権又は伝貰権を目的として抵当権を設定した者は、抵当権者の同意なく地上権又は伝賃権を消滅させる行為をすることができない。
第372条(他の法律による抵当権)本章の規定は、他の法律により設定された抵当権に準用する。
民法2(債権)に続く。