民法債権

第3編 債権
 第1章 総則

  第1節 債権の目的 373条〜386条

  第2節 債権の効力 387条〜407条

  第3節 数人の債権者及び債務者

   第1款 総則 408条

   第2款 不可分債権及び不可分債務 409条〜412条

   第3款 連帯債務 413条〜427条

   第4款 保証債務 428条〜448条

  第4節 債権の譲渡 449条〜452条

  第5節 債務の引受け 453条〜459条

  第6節 債権の消滅

   第1款 弁済 460条〜486条

   第2款 供託 487条〜491条

   第3款 相殺 492条〜499条

   第4款 更改 500条〜505条

   第5款 免除 506条

   第6款 混同 507条

  第7節 指図債権 508条〜522条

  第8節 無記名債権 523条〜526条

第2章 契約

  第1節 総則

   第1款 契約の成立 527条〜535条

   第2款 契約の効力 536条〜542条

   第3款 契約の解約、解除 543条〜553条

  第2節 贈与 554条〜562条

  第3節 売買

   第1款 総則 563条〜567条

   第2款 売買の効力 568条〜589条

   第3款 買戻 590条〜595条

  第4節 交換 596条・597条

  第5節 消費貸借 598条〜608条

  第6節 使用貸借 609条〜617条

  第7節 賃貸借 618条〜654条

  第8節 雇用 655条〜663条

  第9節 請負 664条〜674条

  第10節 懸賞広告 675条〜679条

  第11節 委任 680条〜692条

  第12節 寄託 693条〜702条

  第13節 組合 703条〜724条

  第14節 終身定期金 725条〜730条

  第15節 和解 731条〜733条

 第3章 事務管理 734条〜740条

 第4章 不当利得 741条〜749条

 第5章 不法行為 750条〜766条

第3編 債権

第1章 総則

第1節 債権の目的

第373条(債権の目的)金銭で価額を算定することができないものでも、債権の目的とすることができる。

第374条(特定物引渡債務者の善管義務)特定物の引渡しが債権の目的であれば、債務者は、その物を引き渡すまで善良な管理者の注意で保存しなければならない。

第375条(種類債権)@債権の目的を種類のみで指定した場合に、法律行為の性質又は当事者の意思により品質を定めることができなければ、債務者は、中等品質の物で履行しなければならない。

A前項の場合に、債務者が履行に必要な行為を完了し又は債権者の同意を得て履行すべき物を指定したときは、その時からその物を債権の目的物とする。

第376条(金銭債権)債権の目的がある種類の通貨で支払うものである場合に、その通貨が弁済期に強制通用力を失ったときは、債務者は、他の通貨で弁済しなければならない。

第377条(外貨債権)@債権の目的が外国の通貨で支払うものである場合には、償務者は、自己が選択したその国の各種類の通貨で弁済することができる。

A債権の目的がある種類の外国通貨で支払うものである場合に、その通貨が弁済期に強制通用力を失ったときは、その国の他の通貨で弁済しなければならない。

第378条(外貨債権)債権額が外国の通貨で指定されたときは、債務者は、支払う時における履行地の換金市価により我が国の通貨で弁済することができる。

第379条(法定利率)利子がある債権の利率は、他の法律の規定又は当事者の約定がなければ、年5分とする。

第380条(選択債権)債権の目的が数個の行為中から選択に従い確定されるべき場合に、他の法律の規定又は当事者の約定がなければ、選択権は、債務者にある。

第381条(選択権の移転)@選択権行使の期間がある場合に、選択権者がその期間内に選択権を行使しなければ、相手方は、相当な期間を定めてその選択を催告することができ、選択権者がその期間内に選択しなければ、選択権は、相手方にある。

A選択権行使の期間がない場合に、債権の期限が到来した後相手方が相当な期間を定めてその選択を催告しても、選択権者がその期間内に選択しないときも、前項と同様である。

第382条(当事者の選択権の行使)@債権者又は債務者が選択する場合には、その選択は、相手方に対する意思表示により行う。

A前項の意思表示は、相手方の同意がなければ撤回することができない。

第383条(第三者の選択権の行使)@第三者が選択する場合には、その選択は、債務者及び債権音に対する意思表示により行う。

A前項の意思表示は、債権者及び債務者の同意がなければ撤回することができない。

第384条(第三者の選択権の移転)@選択すべき第三者が選択することができない場合には、選択権は、債務者に属する。

A第三者が選択しない場合には、債権者又は債務者は、相当な期間を定めてその選択を催告することができ、第三者がその期間内に選択しなければ、選択権は、債務者にある。

第385条(不能による選択債権の特定)@債権の目的として選択すべき数個の行為中に初めから不能なもの又は後に履行不能となったものがあれば、債権の目的は、残存するものに存在する。

A選択権なき当事者の過失により給付不能となったときは、前項の規定を適用しない。

第386条(選択の遡及効)選択の効力は、その債権が発生した時に遡及する。ただし、第三者の権利を害することができない。

 

第2節 債権の効力

 

第387条(履行期及び履行遅滞)@債務の履行の確定期限がある場合には、債務者は、期限が到来した時から遅滞責任がある。債務履行の不確定な期限がある場合には、債務者は、期限が到来したことを知った時から遅滞責任がある。

A債務履行の期限がない場合には、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞責任がある。

第388条(期限の利益の喪失)債務者は、次の各号の場合には、期限の利益を主張することができない。

 1 債務者が担保を損傷、減少又は滅失させたとき

 2 債務者が担保提供の義務を履行しないとき

第389条(強制雇行)@債務者が任意に債務を履行しなければ、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質が強割腹行を許さないものであれば、この限りでない。

A前項の債務が法律行為を目的とするときは、債務者の意思表示に代わるべき裁判を請求することができ、債務者の一身に専属しない作為を目的とするときは、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。

Bその債務が不作為を目的とする場合に、債務者がこれに違反したときは、債務者の費用によりその違反したものを除却し、将来に対する適当な処分を裁判所に請求することができる。

C前3項の規定は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。

第390条(債務不履行及び損害賠償)債務者が債務の内容に従った履行をしなければ、債権者は、損害賠償を請求することができる。ただし、債務者の故意又は過失なくして履行することができなくなったとぎは、この限りでない。

第391条(履行補助者の故意、過失)債務者の決定代理人が債務者のために履行し又は債務者が他人を使用して履行する場合には、法定代理人又は被用者の故意又は過失は、債務者の故意又は過失とみなす。

第392条(履行遅滞中の損害賠償)債務者は、自己に過失がない場合にも、その履行遅滞中に生じた損害を賠償しなければならない。ただし、債務者が履行期に履行しても損害を免れることができない場合は、この限りでない。

第393条(損害賠償の範囲)@債務不履行による損害賠償は、通常の損害をその限度とする。

A特別な事情による損害は、債務者がその事情を知り又は知ることができたときに限り、賠償の責任がある。

第394条(損害賠償の方法)異なる意思表示がなければ、損害は、金銭で賠償する。

第395条(履行遅滞及び填補賠償)債務者が債務の履行を遅滞した場合に、債権者が相当な期間を定めて履行を催告してもその期間内に履行せず、又は遅滞後の履行が債権者に利益がなければ、債権者は、受領を拒絶し、履行に代わる損害賠償を請求することができる。

第396条(過失相殺)債務の不履行に関して債権者に過失があれば、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを参酌しなければならない。

第397条(金銭債務不履行に対する特則)@金銭債務不履行の損害賠償の額は、決定利率による。ただし、法令の制限に違反しない約定利率があれば、その利率による。

A前項の損害賠償に関しては、債権者は、損害の証明を要せず、債務者は、過失がないことを抗弁することができない。

第398条(賠償額の予定)@当事者は、債務不履行に関する損害賠償額を予定することがでぎる。

A損害賠償の予定額が不当に過多である場合には、裁判所は、適当に減額することができる。

B損害賠償額の予定は、履行の請求又は契約の解除に影響を及ぼさない。

C違約金の約定は、損害賠償額の予定と推定する。

D当事者が金銭でないものにより損害の賠償に充当することを予定した場合にも、前4項の規定を準用する。

第399条(損害賠償者の代位)債権者がその債権の目的である物又は権利の価額全部を損害賠償として受けたときは、債務者は、その物又は権利に関して当然に債権者に代位する。

第400条(債権者遅滞)債権者が履行を受けることができず又は受けなければ、履行の提供があった時から遅滞責任がある。

第401条(債権者遅滞及び債務者の責任)債権者遅滞中には、債務者は、故意又は重大な過失がなければ不履行によるすべての責任がない。

第402条(債権者遅滞と債務者の責任)債権者遅滞中には、利子がある債権でも、債務者は、利子を支払う義務がない。

第4O3条(債権者遅滞及び債権者の責任)債権者遅滞によりその目的物の保管又は弁済の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。

第404条(債権者代位権)@債権者は、自己の債権を保全するために債務者の権利を行使することができる。ただし、1身に専属する権利は、この限りでない。

A債権者は、その債権の期限が到来する前には、裁判所の許可なくして前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

第4O5条(債権者代位権行使の通知)@債権者が前条第1項の規定により保存行為以外の権利を行使したときは、債務者に通知しなければならない。

A債務者が前項の通知を受けた後は、その権利を処分してもこれにより債権者に対抗することができない。

第4O6条(債権者取消権)@債務者が債権者を害することを知って財産権を目的とする法律行為をしたときは、債権者は、その取消及び原状回復を裁判所に請求することができる。ただし、その行為により利益を受けたき又は転得者がその行為又は転得の当時に僕権者を害することを知ることができなかった場合は、この限りでない。

A前項の訴は、債権者が取消原因を知った日から1年、法律行為日から5年内に提起しなければならない。

第407条(債権者取消の効力)航条の規定による取消し及び原状の回復は、総債権者の利益のためにその効力がある。

 

第3節 数人の債権者及び債務者

 

第1款 総則

 

第4O8条(分割債権関係)債権者又は債務者が数人である場合に、異なる意思表示がなければ、各債権者又は各債務者は、均等な比率により権利があり、義務を負担する。

 

第2款 不可分債権及び不可分債務

 

第4O9条(不可分債権)債権の目的がその性質又は当事者の意思表示により不可分である場合に、債権者が数人であれば、各債権者は、総債権者のために履行を請求することができ、債務者は、総債権者のために各債権者に履行することができる。

第410条(1人の債権者に生じた事項の効力)@前条の規定により総債権者に対して効力がある事項を除き、不可分債権者中の1人の行為又は1人に関する事項は、他の債権者に対して効力がない。

A不可分債権者中の1人と債務者間に更改又は免除があった場合に、債務全部の履行を受けた他の債権者は、その1人が権利を失わなければこれに分与すべき利益を債務者に償還しなければならない。

第411条(不可分債務及び準用規定)数人が不可分債務を負担する場合には、第422条から第415条まで、第422条、第424条から第427条まで、及び前条の規定を準用する。

第412条(可分債権、可分債務への変更)不可分債権又は不可分債務が可分債権又は可分債務に変更されたときは、各債権者は、自己部分のみの履行を請求する権利があり、各債務者は、自己負担部分のみを履行する義務がある。

 

第3款 連帯債務

 

第413条(連帯債務の内容)数人の債務者が債務全部を各自履行する義務があり、かつ、債務者1人の履行により他の債務者も義務を免れるときは、その債務は、連帯債務とする。

第414条(各連帯債務者に対する履行の請求)債権者は、ある連帯債務者に対し又は同時若しくは順次に総連帯債務者に対して債務の全部又は一部の履行を請求することができる。

第415条(債務者に生じた無効・取消)ある連帝債務者の1人に対する法律行為の無効又は取消しの原因は、他の連帯債務者の債務に影響を及ぼさない。

第416条(履行の請求の絶対的効力)ある連帯債務者に対する履行請求は、他の連帯債務者に対しても効力がある。

第417条(更改の絶対的効力)ある連帝債務者と債権者間に債務の更改があれば、債権は、総連帯債務者の利益のために消滅する。

第418条(相殺の絶対的効力)@ある連帯債務者が債権者に対して債権がある場合に、その債権者が相殺したときは、債権は、総連帯債務者の利益のために消滅する。

A相殺すべき債権がある連帯債務者が相殺しなければ、その債務者の負担部分に限り、他の連帯債務者が相殺することができる。

第419条(免除の絶対的効力)ある連帝債務者に対する債務免除は、その債務者の負担部分に限り、連帝債務者の利益のために効力がある。

第42O条(混同の絶対的効力)ある連帯債務者と債権者間に混同があれば、その債務者の負担部分に限り、他の連帯債務者も義務を免れる。

第421条(消滅時効の絶対的効力)ある連帯債務者につき消滅時効が完成したときは、その負担部分に限り、他の連帯債務者も義務を免れる。

第422条(債権者遅滞の絶対的効力)ある連帯債務者に対する債権者の遅滞は、他の連帯債務者にも効力がある。

第423条(効力の相対性の原則)前7条の事項を除くほか、ある連帯債務者に関する事項は、他の連帯債務者に効力がない。

第424条(負担部分の均等)連帯債務者の負担部分は、均等なものと推定する。

第425条(出財債務者の求償権)@ある連帯債務者が弁済その他自己の出財で共同免責されたときは、他の連帯債務者の負担部分に対して求償権を行使することができる。

A前項の求償権は、免責された日以後の法定利子及び避けることができない費用その他の損害賠償を含む。

第426条(求償要件としての通知)@ある連帯債務者が他の連帯債務者に通知せず弁済その他自己の出財により共同の免責を得た場合に、他の連帯債務者が債権者に対抗することができる事由があったときは、その負担部分に限りこの事由により免責行為をした連帯債務者に対抗することができ、その対抗事由が相殺であれば、相殺により消滅すべき債権は、その連帯債務者に移転する。

Aある連帯債務者が弁済その他自己の出財により共同免責されたことを他の連帯債務者に通知しなかった場合に、他の連帯債務者が善意で債権者に弁済その他有償の免責行為をしたときは、その連帯債務者は、自己の免責行為の有効を主張することができる。

第427条(償還無資力者の負担部分)@連帯債務者中に償還する資力がない者があれば、その債務者の負担部分は、求償権者及び他の資力がある債務者がその負担部分に比例して分担する。ただし、求償権者に過失があれば、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

A前項の場合に、償還する資力がない債務者の負担部分を分担すべき他の債務者が債権者から連帯の免除を受けたときは、その債務者の分担すべき部分は、債権者の負担とする。

 

第4款 保証債務

 

第428条(保証債務の内容)@保証人は、主たる債務者が履行しない債務を履行する義務がある。

A保証は、将来の債務に対してもすることができる。

第429条(保証債務の範囲)@保証債務は、主たる債務の利子、違約金、損害賠償その他主たる債務に従属する債務を包含する。

A保証人は、部の保証債務に関する違約金その他損害賠償の額を予定することができる。

第43O条(目的、形態上の附従性)保証人の負担が主たる債務の目的又は形態より重いときは、主たる債務の限度に減縮する。

第431条(保証人の条件)@債務者が保証人を立てる義務がある場合には、その保証人は、行為能力及び弁済の資力がある者でなければならない。

A保証人が弁済の資力を失うに至ったときは、債権者は、保証人の変更を請求することができる。

B債権者が保証人を指名した場合には、前2項の規定を適用しない。

第432条(他の担保の提供)債務者は、他の相当な担保を提供することにより保証人を立てる義務を免れることができる。

第433条(保証人及び主たる債務者の抗弁権)@保証人は、主たる債務者の抗弁により債権者に対抗することができる。

A主たる債務者の抗弁の放棄は、保証人に効力がない。

第434条(保証人及び主たる債務者の相殺権)保証人は、主たる債務者の債権による相殺により債権者に対抗することができる。

第435条(保証人及び主たる債務者の取消権等)主たる債務者が債権者に対して取消権又は解除権若しくは解約権がある間は、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒絶することができる。

第436条(取り消すことができる債務の保証)取消しの原因がある債務を深証した者が保証契約の当時その原因があることを知っていた場合に、主たる債務の不履行又は取消しがあったときは、主たる債務と同一の目的の独立の債務を負担したものとみなす。

第437条(保証人の催告、検索の抗弁)債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、主たる債務者の弁済資力がある事実及びその執行が容易であることを証明して、まず主たる債務者に請求すベきこと並びにその財産に対して執行すべきことを抗弁することができる。ただし、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、この限りでない。

第438条(催告、検索の懈怠の効果)前条の規定による保証人の抗弁にかかわらず債権者の惰怠により債務者から全部又は一部の弁済を受けることができなかった場合には、債権者が懈怠しなかったならば弁済を受けた限度に、保証人は、その義務を免れる。

第439条(共同保証の分別の利益)数人の保証人が各自の行為により保証債務を負担した場合にも、第4O8条の規定を適用する。

第44O条(時効中断の保証人に対する効力)主たる債務者に対する時効の中断は、保証人に対してその効力がある。

第441条(受託保証人の求償権)@主たる債務者の付託により保証人となった者が過失なくして弁済その他の出財により主たる債務を消滅させたときは、主たる債務者に対して求償権がある。

A第425条第2項の規定は、前項の場合に準用する。

第442条(受託保証人の事前求償権)@主たる債務者の付託により保証人となった者は、次の各号の場合に、主たる債務音に対してあらかじめ求償権を行使することができる。

 1 保証人が過失なくして債権者に弁済すべき裁判を受けたとき

 2 主たる債務者が破産宣告を受けた場合に、債権者が破産財団に加入しないとき

 3 債務の履行期が確定せず、その最長期も確定することができない場合に、保証契約後5年を経過したとき

 4 債務の履行期が到来したとき

A前項第4号の場合には、保証契約後に、債権者が主たる債務者に許与した期限で保証人に対抗することができない。

第443条(主たる債務者の免責請求)前条の規定により主たる債務者が保証人に賠償する場合に、主たる債務者は、自己を免責させ又は自己に担保を提供すべきことを保証人に請求することができ、賠償すべき金額を供託し、担保を提供し又は保証人に免責を得させることによりその賠償義務を免れることができる。

第444条(付託なき保証人の求償権)@主たる債務者の委託なくして保証人となった者が弁済その他自己の出財により主たる債務を消滅させたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度に賠償しなければならない。

A主たる債務者の意思に反して保証人となった者が弁済その他自己の出財により主たる債務を消滅させたときは、主たる債務者は、現存利益の限度に賠償しなければならない。

B前項の場合に、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因があることを主張したときは、その相殺により消滅すべき債権は、保証人に移転する。

第445条(求償要件としての通知)@保証人が主たる債務者に通知せず、弁済その他自己の出財により主たる債務を消滅させた場合に、主たる債務者が債権者に対抗することができる事由があったときは、この事由により保証人に対抗することができ、その対抗事由が相殺であれば、相殺により消滅すべき債権は、保証人に移転する。

A保証人が弁済その他自己の出財により免責されたことを主たる債務者に通知しなかった場合に、主たる債務者が善意で債権者に弁済その他有償の免責行為をしたときは、主たる債務者は、自己の免責行為の有効を主張することができる。

第446条(主たる債務者の保証人に対する免責通知義務)主たる債務者が自己の行為で免責したことをその委託により保証人となった者に通知しなかった場合に、保証人が善意で債権者に弁済その他有償の免責行為をしたときは、保証人は、自己の免責行為の有効を主張することができる。

第447条(連帯、不可分債務の保証人の求償権)ある連帯債務者又は不可分債務者のために保証人となった者は、他の連帯債務者又は不可分債務者に対して、その負担部分に限り求償権がある。

第448条(共同保証人間の求償権)@数人の保証人がある場合に、保証人の1人が自己の負担部分を超える弁済をしたときは、第444条の規定を準用する。

A主たる債務が不可分である場合又は各保証人が相互に連帯して若しくは主たる債務者と連帯して債務を負担した場合に、保証人の1人が自己の負担部分を超える弁済をしたときは、第425条から第427条までの規定を準用する。

 

第4節 債権の譲渡

 

第449条(債権の譲渡性)@債権は、譲渡することができる。ただし、債権の性質が譲渡を許さなければ、この限りでない。

A債権は、当事者が反対の意思を表示した場合には、譲渡することができない。ただし、その意思表示により善意の第三者に対抗することができない。

第45O条(指名債権讓渡の対抗要件)@指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し又は債務者が承諾しなければ債務者その他の第三者に対抗することができない。

A前項の通知又は承諾は、確定日附ある証書によらなければ債務者以外の第三者に対抗することができない。

第451条(承諾、通知の効果)@債務者が異議を保留せず、前条の承諾をしたときは、議波人に対抗することができる事由により譲受人に対抗することができない。ただし、債務者が債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあれば、これを回収することができ、また、譲渡人に対して負担した債務があれば、その成立していないことを主張することができる。

A譲渡人が譲渡通知のみをしたときは、債務者は、その通知を受ける時までに譲渡人に対して生じた事由により譲渡人に対抗することができる。

第452条(譲渡通知と禁反言)@譲渡人が債務者に債権譲渡を通知したときは、まだその譲渡せず、又はその譲渡が無効である場合にも、善意の債務者は、譲受人に対抗することができる事由により譲渡人に対抗することができる。

A前項の通知は、譲受人の同意がなければ撤回することができな

 

第5節 債務の引受け

 

第453条(債権者との契約による債務の引受け)@第三者は、債権者との契約により債務を引き受けて債務者の債務を免れさせることができる。ただし、債務の性質が引受けを許さなければ、この限りでない。

A利害関係なき第三者は、債務者の意思に反して債務を引き受けることができない。

第454条(債務者との契約による債務引受け)@第三者が債務者との契約により債務を引き受けた場合には、債権者の承諾によりその効力が生ずる。

A債権者の承諾又は拒絶の相手方は、債務者又は第三者である。

第455条(承諾するか否かの催告)@前条の場合に、第三者又は債務者は、相当な期間を定めて承諾するか否かの確答を債権者に催告することができる。

A債権者がその期間内に確答を発送しなければ、拒絶したものとみなす。

第456粂(債務引受けの撤回・変更)第三者と債務者との間の契約による債務引受けは、債権者の承諾がある時まで、当事者はこれを撤回し又は変更することができる。

第457条(債務引受けの遡及効)債権者の債務引受けに対する承諾は、異なる意思表示がなければ、債務を引き受けた時に遡及してその効力が生ずる。ただし、第三者の権利を害することができない。

第458条(前債務者の抗弁事由)引受人は、前債務者の抗弁することができる事由で債権者に対抗することができる。

第459条(債務引受け及び保証、担保の消滅)前債務者の債務に対する保証又は第三者が提供した担保は、債務引受けにより消滅する。ただし、保証人又は第三者が債務引受けに同意した場合は、この限りでない。

 

第6節 債権の消減

 

第1款 弁済

 

第460条(弁済提供の方法)弁済は、債務内容に従った現実の提供によりこれをしなければならない。ただし、債権者があらかじめ弁済を受けることを拒絶し又は債務の履行に債権者の行為を要する場合には、弁済準備の完了を通知し、その受領を催告すれば足りる。

第461条(弁済提供の効果)弁済の提供は、その時から債務不履行の責任を免れさせる。

第462条(特定物の現状引渡し)特定物の引渡しが債権の目的であれば、債務者は、履行期の現状のままその物を引き渡さなければならない。

第463条(弁済としての他人の物の引渡し)債務の弁済として他人の物を引き渡した債務者は、更に有効な弁済をしなければその物の返還を請求することができない。

第464条(譲渡能力のない所有者の物の引渡し)譲渡能力なき所有者が債務の弁済として物を引き渡した場合には、その弁済が取り消されたときも、更に有効な弁済をしなければその物の返還を請求することができない。

第465条(債権者の善意消費、譲渡及び求償権)@前2条の場合に、債権者が弁済として受けた物を善意で消費し又は他人に譲渡したときは、その弁済は、効力がある。

A前項の場合に、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、債務者に対して求償権を行使することができる。

第466条(代物弁済)債務者が債権者の承諾を得て本来の債務履行に代えて他の給付をしたときは、弁済と同一の効力がある。

第467条(弁済の場所)@債務の性質又は当事者の意思表示により弁済場所を定めなかったときは、特定物の引渡しは、債権成立当時その物があった場所にしなければならない。

A前項の場合に、特定物の引渡し以外の債務弁済は、債権者の現住所にしなければならない。ただし、営業に関する債務の弁済は、債権者の現営業所にしなければならない。

第468条(弁済期前の弁済)当事者の異なる意思表示がなければ、弁済期前でも、債務者は、弁済することができる。ただし、相手方の損害は、賠償しなければならない。

第469条(第三者の弁済)@債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、債務の性質又は当事者の意思表示により第三者の弁済を許さなければ、この限りでない。

A利害関係なき第三者は、債務者の意思に反して弁済することができない。

第470条(債権の準占有者に対する弁済)債権の準占有者に対する弁済は、弁済者が善意であり、過失がないときに限り、効力がある。

第471条(領収証所持者に対する弁済)領収証を所持する者に対する弁済は、その所持者が弁済を受ける権限がない場合も、効力がある。ただし、弁済者がその権限がないことを知り又は知ることができた場合は、この限りでない。

第472条(権限なき者に対する弁済)前2条の場合を除くほか、弁済を受ける権限なき者に対する弁済は、債権者が利益を受けた限度に効力がある。

第473条(弁済費用の負担)弁済費用は、異なる意思表示がなければ、債務者の負担とする。ただし、債権者の住所移転その他の行為により弁済の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。

第474条(領収証請求権)弁済者は、弁済を受ける者に領収証を請求することができる。

第475条(債権証書返還請求権)債権証書がある場合に、弁済者が債務全部を弁済したときは、債権証書の返還を請求することができる。債権が弁済以外の事由により全部消滅したときも、同様である。

第476条(指定弁済充当)@債務者が同一の債権者に対して同種の目的がある数個の債務を負担する場合に、弁済の提供がその債務全部を消減させることができなければ、弁済者は、その当時ある債務を指定してその弁済に充当することができる。

A弁済者が前項の指定をしなければ、弁済を受ける者は、その当時ある債務を指定して弁済に充当することができる。ただし、弁済者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

B前2項の弁済充当は、相手方に対する意思表示により行う。

第477条(法定弁済充当)当事者が弁済に充当すべき債務を指定しなければ、次の各号の規定に従う。

 1 債務中に履行期が到来したものと到来しないものとがあれば、履行期が到来した債務の弁済に充当する。

 2 債務全部の履行期が到来したとき又は到来しなければ、債務者に弁済利益が多い債務の弁済に充当する。

 3 債務者に弁済利益が同じときは、履行期が先に到来した債務又は先に到来すべき債務の弁済に充当する。

 4 前2号の事項が同じときは、その債務額に比例して各債務の弁済に充当する。

第478条(不足弁済の充当)1個の債務に数個の給付を要する場合に、弁済者がその債務全部を消滅させることができない給付をしたときは、前2条の規定を準用する。

第479条(費用、利子及び元本の弁済充当の順序)@債務者が1個又は数側の債務の費用及び利子を支払うべき場合に、弁済者がその全部を消滅させることができない給付をしたときは、費用、利子及び元本の順序により弁済に充当しなければならない。

A前項の場合には、第477条の規定を準用する。

第48O条(弁済者の任意代位)@債務者のために弁済した者は、弁済と同時に債権者の承諾を得て債権者に代位することができる。

A前項の場合には、第450条から第452条までの規定を準用する。

第481条(弁済者の法定代位)弁済すべき正当な利益がある者は、弁済により当然に債権者に代位する。

第482条(弁済者代位の効果・代位者間の関係)@前2条の規定により債権者を代位する者は、自己の権利により求償することができる範囲に債権及びその担保に関する権利を行使することができる。

A前項の権利行使は、次の各号の規定によらなければならない。

 1 保証人は、あらかじめ伝貰権又は抵当権の登記にその代位を附記しなければ、伝貰物又は抵当物の上に権利を取得した第三者に対して債権者に代位することができない。

 2 第三取得者は、保証人に対して債権者を代位することができない。

 3 第三取得者中の1人は、各不動産の価額に比例して他の第三取得者に対し債権者を代位する。

 4 自己の財産を他人の債務の担保として提供した者が数人ある場合には、前号の規定を準用する。

 5 自己の財産を他人の債務の担保として提供した者と保証人との間には、その人員数に比例して債権者を代位する。ただし、自己の財産を他人の債務の担保として提供した者が数人であれば、保証人の負担部分を除き、その残額に対して各財産の価額に比例して代位する。この場合に、その財産が不動産であれば、第1号の規定を準用する。

第483条(一部の代位)@債権の一部に対して代位弁済があれば、代位者は、その弁済した価額に比例して債権者と共にその権利を行使する。

A前項の場合に、債務不履行を原因とする契約の解約又は解除は、債権者のみがすることができ、債権者は、代位者にその弁済した価額及び利子を償還しなければならない。

第484条(代位弁済及び債権証書、担保物)@債権の全部の代位弁済を受けた債権者は、その債権に関する証書及び占有する担保物を代位者に交付しなければならない。

B債権の一部に対する代位弁済があれば、債権者は、債権証書にその代位を記入し、自己が占有する担保物の保存に関して代位者の監督を受けなければならない。

第485条(債権者の担保喪失、減少行為及び法定代位者の免責)第481条の規定により代位すべき者がある場合に、債権者の故意又は過失により担保が喪失又は減少したときは、代位すべき者は、その喪失又は減少により償還を受けることができない限度にその責任を免れる。

第486条(弁済以外の方法による債務消滅及び代位)第三者が供託その他自己の出財により債務者の債務を免れさせた場合にも、前6条の規定を準用する。

 

第2款 供託

 

第487条(弁済供託の要件、効果)債権者が弁済を受けず、又は受けることができなければ、弁済者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なくして債権者を知ることができない場合も、同様である。

第488条(供託の方法)@供託は、債務履行地の供託所にしなければならない。

A供託所に関して法律に異なる規定がなければ、裁判所は、弁済者の請求により供託所を指定し、供託物保管者を選任しなければならない。

B供託者は、遅滞なく債権者に供託通知をしなければならない。

第489条(供託物の取戻し)@債権者が供託を承認し、若しくは供託所に対して供託物を受け取ることを通告し、又は供託有効の判決が確定するまでは、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合には、供託しなかったものとみなす。

A前項の規定は、質権又は抵当権が供託により消滅したときは、適用しない。

第49O条(自助売却金の供託)弁済の目的物が供託に適当でなく、滅失若しくは毀損するおそれがあり、又は供託に過多の費用を要する場合には、弁済者は、裁判所の許可を得てその物を競売し、又は市価で売却して代金を供託することができる。

第491条(供託物受領及び相対義務履行)債務者が債権者の相対義務履行と同時に弁済すべき場合には、債権者は、その義務履行をしなければ供託物を受領することができない。

 

第3款 相殺

 

第492条(相殺の要件)@双方が互いに同じ種類の目的とする債務を負担する場合に、その双方の債務の履行期が到来したときは、各債務者は、対当額に関して相殺することができる。ただし、債務の性質が相殺を許さなければ、この限りでない。

A前項の規定は、当事者が異なる意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示で善意の第三者に対抗することができない。

第493条(相殺の方法、効果)@相殺は、相手方に対する意思表示によりこれをする。この意思表示には、条件又は期限を付することができない。

A相殺の意思表示は、各債務が相殺することができる時に対当額に関して消滅したものとみなす。

第494条(履行地を異にする債務の相殺)各債務の履行地が異なる場合にも、相殺することができる。ただし、相殺する当事者は、相手方に相殺による損害を賠償しなければならない。

第495条(消滅時効が完成した債権による相殺)消滅時効が完成した債権がその完成前に相殺することができたものであれば、その債権者は、相殺することができる。

第496条(不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止)債務が故意の不法行為によるものであれば、その債務者は、相殺で債権者に対抗することができない。

第497条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)債権が差し押えることができないものであれば、その債務者は、相殺で債権者に対抗することができない。

第498条(支払禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)支払を禁止する命令を受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺によりその命令を申請した債権者に対抗することができない。

第499条(準用規定)第476条から第479条までの規定は、相殺に準用する。

 

第4款 更改

 

第5OO条(更改の要件、効果)当事者が債務の重要な部分を変更する契約をしたときは、旧債務は、更改により消滅する。

第5O1条(債務者変更による更改)債務者の変更による更改は、債権者と新債務者との間の契約でこれをすることができる。ただし、旧債務者の意思に反してこれをすることができない。

第502条(債務者変更による更改)債権者の変更による更改は、確定日附ある証書でしなければこれで第三者に対抗することができない。

第5O3条(債権者変更の更改及び債務者の承諾の効果)第451条第1項の規定は、債権者の変更による更改に準用する。

第5O4条(旧債務不消減の場合)更改による新債務が原因の不法又は当事者が知ることができない事由により成立せず、又は取り消されたときは、旧債務は消滅しない。

第5O5条(新債務への担保移転)更改の当事者は、旧債務の担保をその目的の限度に新債務の担保とすることができる。ただし、第三者が提供した担保は、その承諾を得なければならない。

 

第5款 免除

 

第5O6条(免除の要件、効果)債権者が債務者に債務を免除する意思を表示したときは、債権は、消滅する。ただし、免除で正当な利益がある第三者に対抗することができない。

 

第6款 混同

 

第5O7条(混同の要件、効果)債権及び債務が同一の主体に帰属したときは、債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であれば、この限りでない。

 

第7節 指図債権

 

第5O8条(指図債権の譲渡方式)指図債権は、その証書に裏書して譲受人に交付する方式により讓渡することができる。

第509条(還裏書)@指図債権は、その債務者に対しても、裏書して譲渡することができる。

A裏書により指図債権の譲渡を受けた債務者は、更に裏書してこれを讓渡することができる。

第510条(裏書の方式)@裏書は、証書又はその補充紙にその旨を記載し、裏書人が署名又は記名押印することによりこれをする。

A裏書は、被裏書人を指定しないですることができ、また、裏書人の署名又は記名押印のみによりすることができる。

第511条(略式裏書の処理方式)裏書が前条第2項の略式によるときは、所持人は、次の各号の方式により処理することができる。

 1 自己又は他人の名称を被裏書人として記載することができる。

 2 略式により又は他人を被裏書人として表示して、更に証書に裏書することができる。

 3 被裏書人を記載せず、裏書しないで証書を第三者に交付して譲渡することができる。

第512条(所持人払裏書の効力)所持人払いの裏書は、略式裏書と同一の効力がある。

第513条(裏書の資格授与力)@証書の占有者が裏書の連続によりその権利を証明するときは、適法な所持人とみなす。最後の裏書が略式である場合も、同様である。

A略式裏書の次に他の裏書があれば、その裏書人は、略式裏書により証書を取得したものとみなす。

B抹消された裏書は、裏書の連続に関して、その記載がないものとみなす。

第514条(同前―善意取得)何人も証書の適法な所持人に対してその返還を請求することができない。ただし、所持人が取得した時に譲渡人が権利を有しないことを知り、又は重大な過失により知ることができなかったときは、この限りでない。

第515条(移転裏書及び人的抗弁)指図債権の債務者は、所持人の前者に対する人的関係の抗弁で所持人に対抗することができない。ただし、所持人がその債務者を害することを知ってその指図債権を取得したときは、この限りでない。

第516条(弁済の場所)証書に弁済場所を定めなかったときは、債務者の現営業所を弁済の場所とする。営業所がなければ、現住所を弁済場所とする。

第517条(証書の提示及び履行遅滞)証書に弁済期限がある場合にも、その期限が到来した後に所持人が証書を提示して履行を請求した時から、債務者は、遅滞責任がある。

第518条(債務者の調査権利義務)債務者は、裏書が連続しているか否かを調査する義務を負い、裏書人の署名若しくは押印の真偽又は所持人の真偽を調査する権利があるが、義務はない。ただし、債務者が弁済する時に所持人が権利者でないことを知り又は重大な過失により知ることができなかったときは、その弁済は、無効とする。

第519条(弁済及び証書交付)債務者は、証書と交換してのみ弁済する義務がある。

第520条(領収の記入請求権)@債務者は、弁済する時に、所持人に対して証書に領収を証明する記載をすることを請求することができる。

A一部弁済の場合に、債務者の請求があれば、債権者は、証書にその旨を記載しなければならない。

第521条(公示催告手続による証書の失効)滅失した証書又は所持人の占有を離脱した証書は、公示催告の手続により無効とすることができる。

第522条(公示催告手続による供託、弁済)公示催告の申請があったときは、債務者に債務の目的物を供託させることができ、所持人が相当な担保を提供するときは、弁済させることができる。

 

第8節 無記名債権

 

第523条(無記名債権の譲渡方式)無記名債権は、讓受人にその証書を交付することにより譲渡の効力がある。

第524条(準用規定)第514条から第522条までの規定は、無記名債権に準用する。

第525条(指名所持人払債権)債権者を指定し、所持人にも弁済すべき旨を附記した証書は、無記名債権と同一の効力がある。

第526条(免責証書)第516条、第517条及び第52O条の規定は、債務者が証書所持人に弁済してその責任を免れる目的で発行した証書に準用する。

 

第2章 契約

 

第1節 総則

 

第1款 契約の成立

 

第527条(契約の申込みの拘束力)契約の申込みは、これを撤回することができない。

第528条(承諾期間を定めた契約の申込み)@承諾の期間を定めた契約の申込みは、申込者がその期間内に承諾の通知を受けることができなければ、その効力を失う。

A承諾の通知が前項の期間後に到達した場合に、通常その期間内に到達することができる発送であれば、申込者は、遅滞なく相手方にその延着の通知をしなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発送したときは、この限りでない。

B申込者が前項の通知をしなければ、承諾の適知は、延着しなかったものとみなす。

第529条(承諾期間を定めない契約の申込み)承諾の期間を定めない契約の申込みは、申込者が相当な期間内に承諾の通知を受けることができなければ、その効力を失う。

第530条(延着した承諾の効力)前2条の場合に、延着した承諾は、申込者がこれを新たな申込みとみなすことができる。

第531条(隔地者間の契約成立時期)隔地者間の契約は、承諾の通知を発送した時に成立する。

第532条(意思実現による契約成立)申込者の意思表示又は慣習により承諾の通知が必要でない場合には、契約は、承諾の意思表示と認められる事実があった時に成立する。

第533条(交叉申込み)当事者間に同一の内容の申込みが相互に交叉した場合には、両方の申込みが相手方に到達した時に契約が成立する。

第534条(変更を加えた承諾)承諾者が申込みに条件を付し、又は変更を加えて承諾したときは、その申込みの拒絶と同時に新たに申込みをしたものとみなす。

第535条(契約締結上の過失)@目的が不能である契約を締結する時に、その不能を知り又は知ることができた者は、相手方がその契約の有効を信じたことにより受けた損害を賠償しなければならない。ただし、その賠償額は、契約が有効であることにより生ずる利益額を超えることができない。

A前項の規定は、相手方がその不能を知り又は知ることができた場合には、適用しない。

 

第2款 契約の効力

 

第536条(同時履行の抗弁権)@双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務履行を提供する時まで自己の債務履行を拒絶することができる。ただし、相手方の債務が弁済期になければ、この限りでない。

A当事者の一方が相手方に先に履行しなければならない場合に、相手方の履行が困難となる著しい事由があれば、前項本文と同様である。

第537条(債務者危険負担主義)双務契約の当事者の一方の債務が当事者双方の責に帰すべからざる事由により履行することができなくなったときは、債務者は、相手方の履行を請求することができない。

第538条(債権者帰責事由による履行不能)@双務契約の当事者の一方の債務が債権者の責任ある事由により履行することができなくなったときは、債務者は、相手方の履行を請求することができる。債権者の受領遅滞中に当事者双方の責任なき事由により履行することができなくなったときも、同様である。

A前項の場合に、債務者は、自己の債務を免れることにより利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

第539条(第三者のためにする契約)@契約により当事者の一方が第三者に対して履行すべきことを約定したときは、その第三者は、債務者に直接にその履行を請求することができる。

A前項の場合に、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して契約の利益を受ける意思を表示した時に発生する。

第54O条(債務者の第三者に対する催告権)前条の場合に、債務者は、相当な期間を定めて契約の利益を受けるか否かの確答をすべき旨を第三者に催告することができる。債務者がその期間内に確答を受けることができなければ、第三者が契約の利益を受けることを拒絶したものとみなす。

第541条(第三者の権利の確定)第539条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更、又は消滅させることができない。

第542条(債務者の抗弁権)債務者は、第539条の契約に起因する抗弁でその契約の利益を受けるべき第三者に対抗することができる。

 

第3款 契約の解約又は解除

 

第543条(解約、解除権)@契約又は法律の規定により当事者の一方又は双方が解約又は解除の権利があれば、その解約又は解除は、相手方に対する意思表示による。

A前項の意思表示は、撤回することができない。

第544条(履行遅滞及び解除)当事者の一方がその債務を履行しなければ、相手方は、相当な期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行しなければ、契約を解除することができる。ただし、債務者があらかじめ履行しない意思を表示した場合には、催告を要しない。

第545条(定期行為及び解除)契約の性質又は当事者の意思表示により一定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約の目的を達成することができない場合に、当事者の一方がその時期に履行しなければ、相手方は、前条の催告をせず契約を解除することができる。

第546条(履行不能及び解除)債務者の責に帰すべき事由により履行が不能となったときは、債権者は、契約を解除することができる。

第547条(解約、解除権の不可分性)@当事者の一方又は双方が数人ある場合には、契約の解約又は解除は、その全員から又は全員に対してしなければならない。

A前項の場合に、解約又は解除の権利が当事者の1人につき消滅したときは、他の当事者についても消滅する。

第548条(解除の効果、原状回復義務)@当事者の一方が契約を解除したときは、各当事者は、その相手方に対して原状回復の義務がある。ただし、第三者の権利を害することができない。

A前項の場合に、返還すべき金銭には、その受領の日から利子を付さなければならない。

第549条(原状回復義務及び同時履行)第536条の規定は、前条の場合に準用する。

第55O条(解約の効果)当事者の一方が契約を解約したときは、契約は、将来に対してその効力を失う。

第551条(解約、解除及び損害賠償)契約の解約又は解除は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。

第552条(解除権を行使するか否かの催告権)@解除権の行使の期間を定めなかったときは、相手方は、相当な期間を定めて解除権を行使するか否かの確答をすべき旨を解除権者に催告することができる。

A前項の期間内に解除の通知を受けることができなければ、解除権は、消滅する。

第553条(毀損等による解除権の消滅)解除権者の故意若しくは過失により契約の目的物が著しく毀損され若しくはこれを返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造により他の種類の物に変更されたときは、解除権は、消滅する。

 

第2節 贈与

 

第554条(贈与の意義)贈与は、当事者の一方が無償で財産を相手方に授与する意思を表示し相手方がこれを承諾することにより、その効力が発生する。

第555条(書面によらない贈与と解除)贈与の意思が書面により表示されない場合には、各当事者は、これを解除することができる。

第556条(受贈者の行為及び贈与の解除)@受贈者が贈与者に対して次の各号の事由があれば、贈与者は、その贈与を解除することができる。

 1 贈与者又はその配偶者若しくは直系血族に対する犯罪行為があるとき

 2 贈与者に対して扶養義務がある場合に、これを履行しないとき

A前項の解除権は、解除原因があることを知った日から6月を経過し、又は贈与者が受贈者に対して容忠の意思を表示したときは、消滅する。

第557条(贈与者の財産状態の変更及び贈与の解除)贈与契約後に贈与者の財産状態が著しく変更され、その履行により生計に重大な影響を及ぼすべき場合には、贈与者は、贈与を解除することができる。

第558条(解除及び履行完了部分)前3条の規定による契約の解除は、既に履行した部分に対しては影響を及ぼさない。

第559条(贈与者の担保責任)@贈与者は、贈与の目的たる物又は権利の瑕疵又は欠缺につき責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は欠缺を知って受贈者に告知しなかったときは、この限りでない。

A反対負担のある贈与については、贈与者は、その負担の限度に売渡人と同じ担保の責任がある。

第56O条(定期贈与及び死亡による失効)定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によりその効力を失う。

第561条(負担附贈与)反対負担のある贈与については、本節の規定のほか、双務契約に関する規定を適用する。

第562条(死因贈与)贈与者の死亡により効力が生ずべき贈与には、遺贈に関する規定を準用する。

 

第3節 売買

 

第1款 総則

 

第563条(売買の意義)売買は、当事者の一方が財産権を相手方に移転することを約定し、相手方がその代金を支払うことを約定することにより、その効力が生ずる。

第564条(売買の一方の予約)@売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時に売買の効力が生ずる。

A前項の意思表示の期間を定めなかったときは、予約者は、相当な期間を定めて売買を完結するか否かの確答をすべき旨を相手方に催告することができる。

B予約者が前項の期間内に確答を受けることができなければ、予約は、その効力を失う。

第565条(解約金)@売買の当事者の一方が契約の時に金銭その他の物な契約金、保証金等の名目で相手方に交付したときは、当事者間に異なる約定がない限り、当事者の一方が履行に着手する時まで、交付者は、これを放棄し、受領者は、その倍額を償還して、売買契約を解除することができる。

A第551条の規定は、前項の場合にこれを適用しない。

第566条(売買契約の費用の負担)売買契約に関する費用は、当事者双方が均分して負担する。

第567条(有償契約への準用)本節の規定は、売買以外の有償契約に準用する。ただし、その英約の性質がこれを許さなければ、この限りでない。

 

第2款 売買の効力

 

第568条(売買の効力)@売渡人は、買受人に対して売買の目的とされた権利を移転し、買受人は、売渡人にその代金を支払わなければならない。

A前項の双方の義務は、異なる約定又は慣習がなければ、同時に履行しなければならない。

第569条(他人の権利の売買)売買の目的とされた権利が他人に属する場合には、売渡人は、その権利を取得して買受人に移転したければならない。

第570条(同前―売渡人の担保責任)前条の場合に、売渡人がその権利を取得して買受人に移転することができなければ、買受人は、契約を解除することができる。ただし、買受人が契約の当時その権利が先渡人に属しないことを知っていたときは、損害賠償を請求することができない。

第571条(同前―善意の売渡人の担保責任)@売渡人が契約の当時、売買の目的とされた権利が自己に属さないことを知ることができなかった場合に、その権利を取得して買受人に移転することができなければ、売渡人は、損害を賠償して契約を解除することができる。

A前項の場合に、買受人が契約の当時その権利が売渡人に属しないことを知っていたときは、売渡人は、買受人に対しその権利を移転することができないことを通知して契約を解除することができる。

第572条(権利の一部が他人に属する場合及び売渡人の担保責任)@売買の目的とされた権利の一部が他人に属することにより売渡人がその権利を取得して買受人に移転することができなければ、買受人は、その部分の比率により代金の減額を請求することができる。

A前項の場合に、残存する部分のみならば買受人がこれを買い受けなかったであろうときは、善意の買受人は、契約全部を解除することができる。

B善意の買受人は、減額請求又は契約解除のほか、損害賠償を請求することができる。

第573条(前条の権利行使の期間)前条の権利は、買受人が善意である場合には、事実を知った日から、悪意である場合には、契約した日から1年内に行使しなければならない。

第574条(数量不足、一部滅失の場合及び売渡人の担保責任)前2条の規定は、数量を指定した売買の目的物が不足する場合及び売買の目的物の一部が契約当時既に滅失していた場合に、買受人がその不足又は滅失を知ることができなかったときに準用する。

第575条(制限物権がある場合及び売渡人の担保責任)@売買の目的物が地上権、地役権、伝員権、質権又は留置権の目的とされた場合に、買受人がこれを知ることができなかったときは、これにより契約の目的を達成することができない場合に限り、買受人は、契約を解除することができる。その他の場合には、損害賠償のみを請求することができる。

A前項の規定は、売買の目的とされた不動産のために存在すべき地役権がない場合又はその不動産に登記された賃貸借契約がある場合に準用する。

B前2項の権利は、買受人がその事実を知った日から1年内に行使しなければならない。

第576条(抵当権、伝貰権の行使及び売渡人の担保責任)@売買の目的たる不動産に設定された抵当権若しくは伝貰権の行使により買受人がその所有権を取得することができず、又は取得した所有権を失ったときは、買受人は、契約を解除することができる。

A前項の場合に、買受人の出財によりその所有権を保存したときは、売渡人に対してその償還を請求することができる。

B前2項の場合に、買受人が損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

第577条(抵当権の目的とされた地上権、伝貰権の売買及び売渡人の担保責任)前条の規定は、抵当権の目的とされた地上権又は伝貰権が売買の目的とされた場合に準用する。

第578条(競売及び売渡人の担保責任)@競売の場合には、競落人は、前8条の規定により債務者に契約の解除、又は代金減額を請求することができる。

A前項の場合に、債務者が無資力であれば、競落人は、代金の配当を受けた債権者に対して、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。

B前2項の場合に、債務者が物若しくは権利の欠缺を知って告知せず、又は債権者がこれを知って競売を請求したときは、競落人は、その欠缺を知っていた債務者又は債権者に対して損害賠償を請求することができる。

第579条(債権売買及び売渡人の担保責任)@債権の売渡人が債務者の資力を担保したときは、売買契約当時の資力を担保したものと推定する。

A弁済期に到達しない債権の売渡人が責務者の資力を担保したときは、弁済期の資力を担保したものと推定する。

第58O条(売渡人の雇庇担保責任)@売買の目的物に瑕疵があれば、第575条第1項の規定を準用する。ただし、買受人が瑕疵があることを知り又は過失によりこれを知ることができなかったときは、この限りでない。

A前項の規定は、競売の場合に適用しない。

第581条(種類売買及び売渡人の担保責任)@売買の目的物を種類により指定した場合にも、その後特定された目的物に瑕疵があれば、前条の規定を準用する。

A前項の場合において、買受人は、契約の解除又は揖害賠償の請求をせず、瑕疵のない物を請求することができる。

第582条(前2条の権利行使期間)前2条による権利は、買受人がその事実を知った日から6月内に行使しなければならない。

第583条(担保責任及び同時履行)第536条の規定は、第572条から第575条まで、第58O条及び第581条の場合に準用する。

第584条(担保責任免除の特約)売渡人は、前15条による担保責任を免れる特約をした場合にも、その知って告知しなかった事実及び第三者に権利を設定又は譲渡した行為については、責任を免れることができない。

第585条(同一期限の推定)売買の当事者の一方に対する義務履行の期限があれば、相手方の義務履行についても同一の期限があるものと推定する。

第586条(代金支払場所)売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき場合には、その引渡場所にこれを支払わなければならない。

第587条(果実の帰属、代金の利子)売買契約があった後にも、引き渡していない目的物から生じた果実は、売渡人に属する。買受人は、目的物の引渡しを受けた日から代金の利子を支払わなければならない。ただし、代金の支払につき期限があれば、この限りでない。

第588条(権利主張者がある場合及び代金支払拒絶権)売買の目的物に対して権利を主張する者がある場合に、買受人が買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあれば、買受人は、その危険の限度に代金の全部又は一部の支払いを拒絶することができる。ただし、先渡人が相当な担保を提供したときは、この限りでない。

第589条(代金供託請求権)前条の場合に、売渡人は、買受人に対して代金の供託を請求することができる。

 

第3款 買戻し

 

第590条(買戻しの意義)@売渡人が売買契約と同時に買い戻す権利を保留したときは、その領収した代金及び買受人が負担した売買費用を返還し、その目的物を買い戻すことができる。

A前項の買戻代金に関して異なる約定があれば、その約定に従う。

B前2項の場合に、目的物の果実と代金の利子は、異なる約定がなければ、これを相殺したものとみなす。

第591条(買戻期間)@買戻期間は、不動産は5年、動産は3年を超えることができない。約定期間がこれを超えるときは、不動産は5年、動産は3年に短縮する。

A買戻期間を定めたときは、更にこれを延長することができない。

B買戻期間を定めなかったときは、その期間は、不動産は5年、動産は3年とする。

第592条(買戻登記)売買の目的物が不動産である場合に、売買登記と同時に買戻権の保留を登記したときは、第三者に対してその効力がある。

第593条(買戻権の代位行使及び買受人の権利)売渡人の債権者が売渡人に代位して買戻しをしようとするときは、買受人は、裁判所が選定した鑑定人の評師類から先渡人が返還すべき金額を控除した残額により売渡人の債務を弁済し、剰余額があれば、これを売渡人に支払い、買戻権を消滅させることができる。

第594条(買戻しの実行)@売渡人は、期間内に代金及び売買費用を買受人に提供しなければ、買戻しをする権利を失う。

A買受人又は転得者が目的物に対して費用を支出したときは、売渡人は、第2O3条の規定によりこれを償還しなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売渡人の請求により相当な償還期間を許与することができる。

第595条(共有持分の買戻し)共有者の1人が買戻しをする権利を保留してその持分を売り渡した後、その目的物の分割又は競売があったときは、売渡人は、買受人が受けた若しくは受けるべき部分又は代金に対して買戻権を行使することができる。ただし、売渡人に通知しなかった買受人は、その分割又は競売をもって売渡人に対抗することができない。

 

第4節 交換

 

第596条(交換の意義)交換は、当事者双方が金銭以外の財産権を相互移転することを約定することによりその効力が生ずる。

第597条(金銭の補充支払の場合)当事者の一方が前条の財産権移転及び金銭の補充支払を約定したときは、その金銭については、売買代金に関する規定を準用する。

 

第5節 消費貸借

 

第598条(消費貸借の意義)消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の代替物の所有権を相手方に移転することを約定し、相手方がそれと同じ種頗、品質及び数量で返還することを約定することにより、その効力が発生する。

第599条(破産及び消費貸借の失効)貸主が目的物を借主に引き渡す前に当事者の一方が破産宣告を受けたときは、消費貸借は、その効力を失う。

第600条(利子計算の始期)利子のある消費貸借については、借主が目的物の引渡しを受けた時から利子を計算し、また、借主がその責任ある事由により受領を遅滞するときは、貸主が履行を提供した時から利子を計算しなければならない。

第601条(無利子消費貸借及び解除権)利子のない消費貸借の当事者は、目的物の引渡前においては、いつでも契約を解除することができる。ただし、相手方に生じた損害があれば、これを賠償しなければならない。

第6O2条(貸主の担保責任)@利子のある消費貸借の目的物に瑕疵がある場合には、第58O条から第582条までの規定を準用する。

A利子のない消費貸借の場合には、借主は、瑕疵がある物の価額で返還することができる。ただし、貸主がその瑕疵を知って借主に告知しなかったときは、前項と同様である。

第6O3条(返還時期)@借主は、約定時期に借用物と同じ種類、品質及び数量の物を返還しなければならない。

A返還時期の約定がなければ、貸主は、相当な期間を定めて返還を催告しなければならない。ただし、借主は、いつでも返還することができる。

第6O4条(返還不能による市価償還)借主が借用物と同じ種類、品質及び数量の物を返還することができなければ、その時の市価で償還しなければならない。ただし、第376条及び第377条第2項の場合は、この限りでない。

第6O5条(準消費貸借)当事者双方が消費貸借によらずに金銭その他の代替物を支払う義務がある場合に、当事者がその目的物を消賣貸借の目的とすることを約定したときは、消費貸借の効力が生ずる。

第6O6条(代物貸借)金銭貸借の場合に、借主が金銭に代えて有価証券その他の物の引渡しを受けたときは、その引渡時の価額で借用額とする。

第6O7条(代物返還の予約)借用物の返還に関して借主が借用物に代えて他の財産権を移転することを予約した場合には、その財産の予約当時の師額が借用額及びこれに付した利子の合算額を超えることができない。

第6O8条(借主に不利益な約定の禁止)前2条の規定に違反した当事者の約定であって借主に不利なものは、買戻しその他いかなる名目でも、その効力がない。

 

第6節 使用貸借

 

第6O9条(使用貸借の意義)使用貸借は、当事者の一方が相手方に無償で使用・収益させるために目的物を引き渡すことを約定し、相手方がこれを使用・収益した後その物を返還することを約定することにより、その効力が生ずる。

第61O条(借主の使用・収益権)@借主は、契約又はその目的物の性質により定められた用法によりこれを使用・収益しなければならない。

A借主は、貸主の承諾がなければ第三者に借用物を使用・収益させることができない。

B借主が前2項の規定に違反したときは、貸主は、契約を解約することができる。

第611条(費用の負担)@借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

Aその他の費用に対しては、第594条第2項の規定を準用する。

第612条(準用規定)第559条及び第6O1条の規定は、使用貸借に準用する。

第613条(借用物の返還時期)@借主は、約定時期に借用物を返還しなければならない。

A時期の約定がない場合には、借主は、契約又は目的物の性質による使用、収益が終了した時に返還しなければならない。ただし、使用、収益に足りる期間が経過したときは、貸主は、いつでも契約を解約することができる。

第614条(借主の死亡又は破産及び解約)借主が死亡し又は破産宣告を受けたときは、貸主は、契約を解約することができる。

第615条(借主の原状回復義務及び撤去権)借主が借用物な返還するときは、これを原状に回復しなければならない。これに付属させた物は、撤去することができる。

第616条(共同借主の連帯義務)数人が共同で物を借用したときは、連帯してその義務を負担する。

第617条(損害賠償、費用償還請求の期間)契約又は目的物の性質に反する使用、収益により生じた損害賠償の請求及び借主が支出した費用の償還請求は、貸主が物の返還を受けた日から6月内にしなければならない。

 

第7節 賃貸借

 

第618条(賃貸借の意義)賃貸借は、当事者の一方が相手方に目的物を使用、収益させることを約定し、相手方がこれに対して借貸を支払うことを約定することによりその効力が生ずる。

第619条(処分能力、権限のない者がすることができる短期賃貸借)処分の能力又は権限のない者が賃貸借をする場合には、その賃貸借は、次の各号の期間を超えることができない。

 1 植木、採塩又は石造り、石灰造り、れんが造り及びこれと類似する建築を目的とする土地の賃貸借は、1O年

 2 その他の土地の賃貸借は、5年

 3 建物その他の工作物の貸賃借は、3年

 4 動産の賃貸借は、6月

第62O条(短期賃貸借の更新)前条の期間は、更新することができる。ただし、期間満了前、土地については1年、建物その他の工作物については3月、動産については1月内に更新しなければならない。

第621条(賃貸借の登記)@不動産賃借人は、当事者間に反対の約定がなければ、賃貸人に対してその賃貸借の登記手続に協力することを請求することができる。

A不動産賃貸借を登記したときは、その時から第三者に対して効力が生ずる。

第622条(建物登記のある借地権の対抗力)@建物の所有を目的とする土地賃貸借は、これを登記しない場合にも、賃借人がその地上建物を登記したときは、第三者に対して賃貸借の効力が生ずる。

A建物が賃貸借期間満了前に滅失又は朽廃したときは、前項の効力を失う。

第623条(賃貸人の義務)賃貸人は、目的物を賃借人に引き渡し、契約存続中その使用、収益に必要な状態を維持させる義務がある。

第624条(賃貸人の保存行為、忍容義務)賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をするときは、賃借人は、これを拒絶することができない。

第625条(賃借人の意思に反する保存行為及び解約権)賃貸人が賃借人の意思に反する保存行為をする場合に、賃借人がこれにより賃借の目的を連成することができなければ、契約を解約することができる。

第626条(賃借人の償還請求権)@賃借人が賃借物の保存に関する必要費を支出したときは、賃貸人に対してその償還を請求することができる。

A賃借人が有益費を支出した場合は、質貸人は、賃貸借終了時にその価額の増加が現存するときに限り、賃借人の支出した金額又はその増加額を償還しなければならない。この場合に、裁判所は、賃貸人の請求により相当な償還期間を許与することができる。

第627条(一部滅失等及び減額請求、解約権)@賃借物の一部が賃借人の過失なくして滅失その他の事由により使用又は収益することができないときは、賃借人は、その部分の比率による借賃の減額を請求することができる。

A前項の場合に、その残存部分により賃借の目的を達成することができなければ、賃借人は、契約を解約することができる。

第628条(借賃増減請求権)賃貸物に対する公課負担の増減その他経済事情の変動により約定した借賃が相当でなくなったときは、当事者は、将来に対する借賃の増減を請求することができる。

第629条(貫借権の譲渡、転貸の制限)@賃借人は、賃貸人の同意なくしてその権利を譲渡し又は賃借物を転貨することができない。

A賃借人が前項の規定に違反したときは、賃貸人は、契約を解約することができる。

第630条(転貸の効果)@賃借人が賃貸人の同意を得て賃借物を転貸したときは、転借人は、直接、賃貸人に対して義務を負担する。この場合に、転借人は、転貸人に対する借賃の支払いにより賃貸人に対抗することができない。

A前項の規定は、賃貸人の賃借人に対する権利行使に影響を及ぼさない。

第631条(転借人の権利の確定)賃借人が賃貸人の同意を得て賃借物を転貸した場合には、賃貸人と賃借人の合意で契約を終了したときも、転借人の権利は、消滅しない。

第632条(賃借建物の小部分を他人に使用させる場合)前3条の規定は、建物の賃借人がその建物の小部分を他人に使用させる場合に、適用しない。

第633条(借賃支払の時期)借賃は、動産、建物又は宅地については毎月未に、その他の土地については毎年末に支払わなければならない。ただし、収穫期があるものについては、その収穫後遅滞なく支払わなければならない。

第634条(賃借人の通知義務)賃借物が修理を要し又は賃借物につき対して権利を主張する者があれば、賃借人は、遅滞なく賃貸人にこれを通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

第635条(期間の約定がない賃貸借の解約通告)@賃貸借期間の約定がなければ、当事者は、いつでも契約解約の通告をすることができる。

A相手方が前項の通告を受けた日から次の各号の期間が経過したとき、解約の効力が生ずる。

 1 土地、建物その他の工作物については、賃貸人が解約を通告した場合は6月、賃借人が解約を通告した場合は1月

 2 動産については、5日

第636条(期間の約定のある賃貸借の解約通告)賃貸借期間の約定がある場合にも、当事者の一方又は双方がその期間内に解約する権利を保留したときは、前条の規定を準用する。

第637条(賃借人の破産及び解約通告)@賃借人が破産宣告を受けた場合には、賃貸借の期間の約定があるときも、賃貸人又は破産管財人は、第635条の規定により契約解約の通告をすることができる。

A前項の場合に、各当事者は、相手方に対して契約の解約により生じた損害の賠償を請求することができない。

第638条(解約通告の転借人に対する通知)@賃貸借契約が解約の通告により終了した場合に、その賃貸物が適法に転貸されているときは、賃貸人は、転借人に対してその事由を通知しなければ解約で転借人に対抗することができない。

A転借人が前項の通知を受けたときは、第635条第2項の規定を準用する。

第639条(黙示の更新)@賃貸借期間が満了した後、賃借人が賃借物の使用、収益な継続する場合に、賃貸人が相当な期間内に異議を述べなければ、前賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。ただし、当事者は、第635条の規定により解約の通告をすることができる。

A前項の場合に、前賃貸借につき第三者が提供した担保は、期間の満了により消滅する。

第64O条(借賃延滞及び解約)建物その他の工作物の賃貸借には、賃借人の借賃延滞額が2期の借賃額に達するときは、賃貸人は、契約を解約することができる。

第641条(同前)建物その他の工作物の所有又は植木、採塩若しくは牧畜を目的とする土地の賃貸借の場合にも、前条の規定を準用する。

第642条(土地賃貸借の解約及び地上建物等に対する担保物権者への通知)前条の場合に、その地上にある建物その他の工作物が但採物権の目的とされたときは、第288条の規定を準用する。

第643条(賃借人の更新請求権、買受請求権)建物その他の工作物の所有又は植木、採塩若しくは牧畜を目的とする土地賃貸借の期間が満了した場合に、建物、樹木その他地上施設が現存するときは、第283条の規定を準用する。

第644条(転借人の賃貸請求権、買受請求権)@建物その他の工作物の所有又は植木、採塩若しくは牧畜を目的とする上地の賃借人が適法にその土地を転貸した場合に、賃貸借及び転貸借の期間が同時に満了し、建物、樹木その他地上施設が現存するときは、転借人は、賃貸人に対して前転貸借と同一の条件で賃貸することを請求することができる。

A前項の場合に、賃貸人が賃貸することを欲しなければ、第283条第2項の規定を準用する。

第645条(地上権目的土地の賃借人の賃貸請求権、買受請求権)前条の規定は、地上権者がその土地を賃貸した場合に準用する。

第646条(賃借人の付属物買受請求権)@建物その他の工作物の賃借人がその使用の便益のために賃貸人の同意を得てこれに付属させた物があれば、賃貸借の終了時に賃貸人に対してその付属物の買受けを請求することができる。

A賃貸人から買い受けた付属物についても、前項と同様である。

第647条(転借人の付属物買受請求権)@建物その他の工作物の賃借人が適法に転貸した場合に、転借人がその使用の便益のために賃貸人の同意を得てこれに付属した物があるときは、転貸借の終了時に賃貸人に対してその付属物の買受けを請求することができる。

A賃貸人から買い受け又はその同意を得て賃借人から買い受けた付属物についても、前項と同様である。

第648条(賃借地の付属物、果実等に対する法定質権)土地の賃貸人が賃貸借に関する債権により賃借地に付属、又はその使用の便益に供用した賃借人の所有動産及びその土地の栗夫を差し押えたときは、質権と同一の効力がある。

第649条(賃借地上の建物に対する法定抵当権)土地賃貸人が弁済期を経過した最後2年の借賃債権によりその地上にある賃借人所有の建物を差し押えたときは、抵当権と同一の効力がある。

第65O条(賃借建物等の付属物に対する法定質権)建物その他の工作物の賃貸人が賃貸借に関する債権によりその建物その他の工作物に付属する賃借人所有の動産を差し押えたときは、質権と同一の効力がある。

第651条(貨貸借存続期間)@石造り、石灰造り、れんが造り若しくはこれと類似する堅固な建物その他の工作物の所有を目的とする土地賃貸借又は植木、採塩を目的とする土地賃貸借の場合を除くほかは、賃貸借の存続期間は、2O年を超えることができない。当事者の約定期間が2O年を超えるときは、これを2O年に短縮する。

A前項の期間は、これを更新することができる。その期間は、更新した日から10年を越えることができない。

第652条(強行規定)第627条、第628条、第631条、第635条、第638条、第64O条、第641条又は第643条から第647条までの規定に違反する約定であって賃借人又は転借人に不利なものは、その効力を有しない。

第653条(一時使用のための賃貸借の特例)第628条、第638条、第64O条、第646条から第648条まで、第65O条及び前条の規定は、一時使用のための賃貸借又は転貸借であることが明白な場合には、適用しない。

第654条(準用規定)第61O条第1項及び第615条から第617条までの規定は、賃貸借にこれを準用する。

 

第8節 雇用

 

第655条(雇用の意義)雇用は、当事者の一方が相手方に対して労務を提供することを約定し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約定することにより、その効力が生ずる。

第656条(報酬額及びその支払時期)@報酬又は報酬額の約定がなければ、慣習により支払わなければならない。

A報酬は、約定した時期に支払なければならず、時期の約定がなければ、慣習により、慣習がなければ、約定した労務を終了した後遅滞なく支払わなければならない。

第657条(権利義務の専属性)@使用者は、労務者の同意なくしてその権利を第三者に譲渡することができない。

A労務者は、使用者の同意なくして第三者に自己に代わって労務を提供させることがでぎない。

B当事者の一方が前2項の規定に違反したときは、相手方は、契約を解約することができる。

第658条(労務の内容及び解約権)@使用者が労務者に対して約定しなかった労務の提供を要求したときは、労務者は、契約を解約することができる。

A約定した労務が特殊な技能を要する場合に、労務者がその技能を有しなければ、使用者は、契約を解約することができる。

第659条(3年以上の経過及び解約通告権)@雇用の約定期間が3年を超え又は当事者の一方若しくは第三者の終身とされたときは、各当事者は、3年を経過した後いつでも契約解約の通告をすることができる。

A前項の場合には、相手方が解約の通告を受けた日から3月が経過すれば解約の効力が生ずる。

第66O条(期間の約定のない雇用の解約通告)@雇用期間の約定がなければ、当事者は、いつでも契約解約の通告をすることができる。

A前項の場合には、相手方が解約の通告を受けた日から1月が経過すれば解約の効力が生ずる。

B期間により報酬を定めたときは、相手方が解約の通告を受けた当期後の1期を経過することにより解約の効力が生ずる。

第661条(やむを得ない事由及び解約権)雇用期間の約定がある場合にも、やむを得ない事由があれば、各当事者は、契約を解約することができる。ただし、その事由が当事者の一方の過失により生じたときは、相手方に対して損害を賠償しなければならない。

第662条(黙示の更新)@雇用期間が満了した後労務者が継続してその労務を提供する場合に、使用者が相当な期間内に異議を述べなければ、前雇用と同一の条件で更に雇用したものとみなす。ただし、当事者は、第66O条の規定により解約の通告をすることができる。

A前項の場合には、前雇用に対して第三者が提供した担保は、期間の満了により消滅する。

第663条(使用者の破産及び解約通告)@使用者が破産宣告を受けた場合には、雇用期間の約定があるときでも、労務者又は破産管財人は、契約を解約することができる。

A前項の場合には、各当事者は、契約解約による損害の賠償を請求することができない。

 

第9節 請負

 

第664条(請負の意義)請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約定し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約定することにより、その効力が生ずる。

第665条(報酬の支払時期)@報酬は、その完成された目的物の引渡しと同時に支払わなければならない。ただし、目的物の引渡しを要しない場合は、その仕事の完成した後遅滞なく支払わなければたらたい。

A前項の報酬に関しては、第656条第2項の規定を準用する。

第666条(請負人の目的不動産に対する抵当権設定請求権)不動産工事の請負人は、前条の報酬に関する債権を担保するためにその不動産を目的とする抵当権の設定を請求することができる。

第667条(請負人の担保責任)@完成した目的物又は完成前の成就した部分に瑕疵があれば、注文者は、請負人に対し相当な期間を定めてその最庇の補修を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合に、その補修に過多な費用を要するときは、この限りでない。

A注文者は、瑕疵の補修に代えて又は補修と共に損害賠償を請求することができる。

B前項の場合には、第536条の規定を準用する。

第668条(同前―注文者の解除権)完成した目的物の瑕疵により契約の目的を達成することができなければ、注文者は、契約を解除することができる。ただし、建物その他土地の工作物については、この限りでない。

第669条(同前―瑕疵が注文者の提供した材料又は指示に起因する場合の免責)前2条の規定は、目的物の瑕疵が注文者が提供した材料の性質又は注文者の指示に起因するときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指示の不適当であることを知って注文者に告知したがったときは、この限りでない。

第67O条(担保責任の存続期間)@前3条の規定による瑕疵の補修、損害賠償の請求及び契約の解除は、目的物の引渡しを受けた日から1年内にしなければならない。

A目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事の終了した日から起算する。

第671条(請負人の担保責任―土地、建物等に対する特則)@土地、建物その他工作物の請負人は、目的物又は地盤工事の瑕疵に対して引渡後5年間担保の責任がある。ただし、目的物が石造り、石灰造り、れんが造り又は金属その他これと類似する材料により造成されたものであるときは、その期間を1O年とする。

A前項の瑕疵により目的物が滅失又は毀損したときは、注文者は、その滅失又は毀損の日から1年内に第667条の権利を行使しなければならない。

第672条(担保責任免除の特約)請負人は、第667条及び第668条の担保責任がないことを約定した場合にも、知って告知しなかった事実に対しては、その責任を免れることができない。

第673条(完成前の注文者の解除権)請負人が仕事を完成する前には、注文者は、損害を賠償し、契約を解除することができる。

第674条(注文者の破産及び解除権)@注文者が破産宣告を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約を解除することができる。この場合には、請負人は、仕事の完成した部分に対する報酬及び報酬に包含されない費用に対して破産財団の配当に加入することができる。

A前項の場合には、各当事者は、相手方に対して契約の解除による損害の賠償を請求することができない。

 

第10節 懸賞広告

 

第675条(懸賞広告の意義)懸賞広告は、広告者がある行為をした者に一定の報酬を支払う意思を表示し、これに応じた者がその広告に定めた行為を完了することによりその効力が生ずる。

第676条(報酬受領権者)@広告に定めた行為を完了した者が数人である場合には、最初にその行為を完了した者が報酬を受ける権利がある。

A数人が同時に完了した場合には、各々均等な比率により報酬を受ける権利がある。ただし、報酬がその性質上分割することができず、又は1人のみが報酬を受けるものと定めたときは、抽選により決定する。

第677条(広告不知の行為)前条の規定は、広告があることを知ることができず、広告に定めた行為を完了した場合に準用する。

第678条(優秀懸賞広告)@広告に定めた行為を完了した者が数人である場合に、その優秀者に限り報酬を支払うことを定めたときは、その広告に応募の期間を定めたときに限り、その効力が生ずる。

A前項の場合に、優秀の判定は、広告中に定めた者が行う。広告中に判定者を定めなかったときは、広告者が判定する。

B優秀者がないとの判定は、これをすることができない。ただし、広告中に異なる意思表示があるとき又は広告の性質上判定の標準が定められているときは、この限りでない。

C応募者は、前2項の判定に対して異議を述ベることができない。

D数人の行為が同等と判定されたときは、第676条第2項の規定を準用する。

第679条(懸賞広告の撤回)@広告にその指定した行為の完了期間を定めたときは、その期間の満了前に広告を撤回することができない。

A広告に行為の完了期間を定めなかったときは、その行為を完了する者がない間は、その広告と同一の方法により広告を撤回することができる。

B前広告と同一の方法により撤回することができないときは、それに類似した方法により撤回することができる。この撤回は、撤回したことを知った者に対してのみ、その効力がある。

 

第2節 委任

 

第680条(委任の意義)委任は、当事者の一方が相手方に対して事務の処理を委託し、相手方がこれを承諾することによりその効力が生ずる。

第681条(受任者の善管義務)受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意により委任事務を処理しなければならない。

第682条(復任権の制限)@受任者は、委任者の承諾又はやむを得ない事由なく、第三者に自己に代えて委任事務を処理させることができない。

A受任者が前項の規定により第三者に委任事務を処理させた場合には、第121条、第123条の規定を準用する。

第683条(受任者の報告義務)受任者は、委任者の請求があるときは、委任事務の処理状況を報告し、委任が終了したときは、遅滞なくその顛末を報告しなければならない。

第684条(受任者の取得物等の引渡し、移転義務)@受任者は、委任事務の処理により受け取った金銭その他の物及びその収取した果実を委任者に引き渡さなければならない。

A受任者が委任者のために自己の名義で取得した権利は、委任者に移転しなければならない。

第685条(受任者の金銭消費の責任)受任者が委任者に引き渡すべき金銭又は委任者の利益のために使用すべき金銭を自己のために消費したときは、消費した日以後の利子を支払わなければならず、そのほかに損害があれば、賠償しなければならない。

第686条(受任者の報酬請求権)@受任者は、特別の約定がなければ委任者に対して報酬を請求することができない。

A受任者が報酬を受ける場合には、委任事務を完了した後でなければこれを請求することができない。ただし、期間で報酬を定めたときは、その期間が経過した後にこれを請求することができる。

B受任者が委任事務を処理中に受任者の責任なき事由により委任が終了したときは、受任者は、既に処理した事務の比率に従った報酬を請求することができる。

第687条(受任者の費用先払請求権)委任事務の処理に費用を要するときは、委任者は、受任者の請求によりこれを先払いしなければならない。

第688条(受任者の費用償還請求権等)@受任者が委任事務の処理に関して必要費を支出したときは、委任者に対して支出した日以後の利子を請求することができる。

A受任者が委任事務の処理に必要な債務を負担したときは、委任者に自己に代わってこれを弁済させることができ、その債務が弁済期にないときは、相当の担保を提供させることができる。

B受任者が委任事務の処理のため過失なく損害を受けたときは、委任者に対してその賠償を請求することができる。

第689条(委任の相互解約の自由)@委任契約は、各当事者がいつでも解約することができる。

A当事者の一方がやむを得ない事由なく相手方に不利な時期に契約を解約したときは、その損害を賠償しなければならない。

第69O条(死亡、破産等及び委任の終了)委任は、当事者一方の死亡又は破産により終了する。受任者が禁治産宣告を受けたときも、同様である。

第691条(委任終了時の緊急処理)委任終了の場合に、急迫の事情があるときは、受任者、その相続人又は法定代理人は、委任者、その相続人又は法定代理人が委任事務を処理することができる時まで、その事務の処理を継続しなければならない。この場合には、委任の存続と同一の効力がある。

第692条(委任終了の対抗要件)委任終了の事由は、これを相手方に通知し又は相手方がこれを知ったときでなければ、これにより相手方に対抗することができない。

 

第12節 寄託

 

第693条(寄託の意義)寄託は、当事者一方が相手方に対して金銭又は有価証券その他の物の保管を委託し、相手方がこれを承諾することにより効力が生ずる。

第694条(受寄者の受寄物使用禁止)受寄者は、寄託者の同意なくして受寄物を使用することができない。

第695条(無償受寄者の注意義務)報酬なく寄託を受けた者は、受寄物を自己の財産と同一の注意で保管しなければならない。

第696条(受寄者の通知義務)寄託物に対する権利を主張する第三者が受寄者に対して訴を提起し、又は差押えをしたときは、受寄者は、遅滞なく寄託者にこれを通知しなければならない。

第697条(寄託物の性質、瑕疵による寄託者の損害賠償義務)寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵により生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、受寄者がその性質又は瑕疵を知っていたときは、この限りでない。

第698条(期間の約定がある寄託の解約)寄託期間の約定があるときは、受寄者は、やむを得ない事由なくその期間満了前に契約を解約することができない。ただし、寄託者は、いつでも契約を解約することができる。

第699条(期間の約定がない寄託の解約)寄託期間の約定がないときは、各当事者は、いつでも契約を解約することがでぎる。

第700条(寄託物の返還の場所)寄託物は、その保管した場所に返還しなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によりその物を転置したときは、現存する場所に返還することができる。

第7O1条(準用規定)第682条、第684条から第687条まで、並びに第688条第1項及び第2項の規定は、寄託に準用する。

第702条(消費寄託)受寄者が契約により受寄物を消費することができる場合には、消費貸借に関する規定を準用する。ただし、返還時期の約定がないときは、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。

 

第13節 組合

 

第7O3条(組合の意義)@組合は、2人以上が相互出資して共同事業を経営することを約定することによりその効力が生ずる。

A前項の出資は、金銭その他の財産又は労務によりすることができる。

第7O4条(組合財産の合有)組合員の出資その他の組合財産は、組合員の合有とする。

第705条(金銭出資遅滞の責任)金銭を出資の目的とする組合員が出資時期を遅滞したときは、延滞利子を支払うほか、損害を賠償しなければならない。

第7O6条(業務執行の方法)@組合契約で業務執行者を定めなかった場合には、組合員の3分の2以上の賛成によりこれを選任する。

A組合の業務執行は、組合員の過半数により決定する。業務執行者数人のときは、その過半数により決定する。

B組合の通常事務は、前項の規定にかかわらず各組合員又は各業務執行者が専行することができる。ただし、その事務の完了前に他の組合員又は他の業務執行者の異議があるときは、直ちに中止しなければならない。

第7O7条(準用規定)組合業務を執行する組合員には、第681条から第688条までの規定を準用する。

第7O8条(業務執行者の辞任、解任)業務執行者である組合員は、正当な事由なく辞任することができず、他の組合員の一致がなければ解任することができない。

第709条(業務執行者の代理権の推定)組合の業務を執行する組合員は、その業務執行の代理権があるものと推定する。

第71O条(組合員の業務、財産状態検査権)各組合員は、いつでも組合の業務及び財産状態を検査することができる。

第711条(損益分配の比率)@当事者が損益分配の比率を定めなかったときは、各組合員の出資価額に比例してこれを定める。

A利益又は損失に対して分配の比率を定めたときは、その比率は、利益及び損失に共通なものと推定する。

第712条(組合員に対する債権者の権利行使)組合債権者は、その債権発生当時組合員の損失負担の比率を知ることができなかったときは、各組合員に均分してその権利を行使することができる。

第713条(無資力組合員の債務及び他組合員の弁済責任)組合員中に弁済する資力がない者があるときは、その弁済することができない部分は、他の組合員が均分して弁済する責任がある。

第714条(持分に対する差押えの効力)組合員の持分に対する差押えは、その組合員の将来の利益配当及び持分の返還を受ける権利に対して効力がある。

第715条(組合債務者の相殺の禁止)組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない。

第716条(任意脱退)@組合契約で組合の存続期間を定めず、又は組合員の終身間存続することを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由なく組合に不利な時期に脱退することができない。

A組合の存続期間を定めたときにも、組合員は、やむを得ない事由があれば、脱退することができる。

第717条(非任意脱退)前条の場合のほか、組合員は、次の各号の事由により脱退する。

 1 死亡

 2 破産

 3 禁治産

 4 除名

第718条(除名)@組合員の除名は、正当な事由があるときに限り、他の組合員の一致でこれを決定する。

A前項の除名決定は、除名された組合員に通知しなければ、その組合員に対抗することができない。

第719条(脱退組合員の持分の計算)@脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退当時の組合財産状態により行う。

A脱退した組合員の持分は、その出資の種類いかんにかかわらず金銭で返還することができる。

B脱退の当時に完結しない事項については、完結後に計算することができる。

第720条(やむを得ない事由による解散請求)やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる。

第721条(清算人)@組合が解散したときは、清算は、総組合員共同で又はその選任した者がその事務を執行する。

A前項の清算人の選任は、組合員の過半数で決定する。

第722条(清算人の業務執行方法)清算人が数人あるときは、第7O6条第2項後段の規定を準用する。

第723条(組合員である清算人の辞任、解任)組合員中から清算人を定めたときは、第7O8条の規定を準用する。

第724条(清算人の職務権限、残余財産の分配)@清算人の職務及び権限に関しては、第87条の規定を準用する。

A残余財産は、各組合員の出資価額に比例してこれを分配する。

 

第14節 終身定期金

 

第725条(終身定期金契約の意義)終身定期金契約は、当事者の一方が自己、相手方又は第三者の終身間定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約定することによりその効力が生ずる。

第726条(終身定期金の計算)終身定期金は、日数で計算する。

第727条(終身定期金契約の解除)@定期金債務者が定期金債務の元本を受けた場合に、その定期金の給付を懈怠し、又はその他の義務を履行しないときは、定期金債権者は、元本の返還を請求することができる。ただし、既に給付を受けた債務額からその元本の利子を控除した残額を定期金債務者に返還しなければならない。

B前項の規定は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。

第728条(解除及び同時履行)第536条の規定は、前条の場合に準用する。

第729条(債務者帰責事由による死亡及び債権存続宣告)@死亡が定期金債務者の責に帰すベき事由により生じたときは、裁判所は、定期金債権者又はその相続人の請求により相当な期間、債権の存続することを宣告することができる。

A前項の場合にも、第727条の権利を行便することができる。

第730条(遺贈による終身定期金)本節の規定は、遺贈による終身定期金債権に準用する。

 

第15節 和解

 

第731条(和解の意義)和解は、当事者が相互譲歩して当事者間の紛争を終止することを約定することによりその効力が生ずる。

第732条(和解の創設的効力)和解契約は、当事者一方が譲歩した権利が消滅し、相手方が和解によりその権利を取得する効力がある。

第733条(和解の効力と錯誤)和解契約は、錯誤を理由として取り消すことができない。ただし、和解当事者の資格又は和解の目的たる紛争以外の事項に錯誤があれば、この限りでない。

 

第3章 事務管理

 

第734条(事務管理の内容)@義務なく他人のために事務を管理する者は、その事務の性質に従い最も本人に利益となる方法によりこれを管理しなければならない。

A管理者が本人の意思を知り、又は知ることができるときは、その意思に適合するように管理しなければならない。

B管理者が前2項の規定に違反して事務を管理した場合には、過失がないときも、これによる損害を賠償する責任がある。ただし、その管理行為が公共の利益に適合するときは、重大な過失がなければ賠償する責任がない。

第735条(緊急事務管理)管理者が他人の生命、身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるためにその事務を管理したときは、故意又は重大な過失がなければ、これによる損害を賠償する責任がない。

第736条(管理者の通知義務)管理者が管理を開始したときは、遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

第737条(管理者の管理継続義務)管理者は、本人、その相続人又は法定代理人がその事務を管理する時まで管理を継続しなければならない。ただし、管理の継続が本人の意思に反し又は本人に不利であることが明白なときは、この限りでない。

第738条(準用規定)第683条から第685条までの規定は、事務管理に準用する。

第739条(管理者の費用償還請求権)@管理者が本人のために必要費又は有益費を支出したときは、本人に対してその償還を請求することができる。

A管理者が本人のために必要又は有益な債務を負担したときは、第688条第2項の規定を準用する。

B管理者が本人の意思に反して管理したときは、本人の現存利益の限度において前2項の規定を準用する。

第740条(管理者の無過失損害補償請求権)管理者が事務管理をする場合に、過失なく損害を受けたときは、本人の現存利益の限度において、その損害の補償を請求することができる。

 

第4章 不当利得

 

第741条(不当利得の内容)法律上原因なく他人の財産又は労務により利益を得、これにより他人に損害を加えた者は、その利益を返還しなければならない。

第742条(非債弁済)債務がないことを知ってこれを弁済したときは、その返還を請求することができない。

第743条(期限前の弁済)弁済期にない債務を弁済したときは、その返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤により弁済したときは、債権者は、これにより得た利益を返還しなければならない。

第744条(道義観念に適合した非債弁済)債務がない者が錯誤により弁済した場合に、その弁済が道義観念に適合するときは、その返還を請求することができない。

第745条(他人の債務の弁済)@債務者でない者が錯誤により他人の債務を弁済した場合に、債権者が善意で証書を毀滅し、担保を放棄し又は時効によりその債権を失ったときは、弁済者は、その返還を請求することができない。

A前項の場合に、弁済者は、債務者に対して求償権を行使することができる。

第746条(不法原因給付)不法の原因のために財産を給付し又は労務を提供したときは、その利益の返還を請求することができない。ただし、その不法原因が受益者にのみあるときは、この限りでない。

第747条(原物返還不能の場合及び価額返還、転得者の責任)@受益者がその受けた目的物を返還することができないときは、その価額を返還しなければならない。

A受益者がその利益を返還することができない場合は、受益者から無償でその利益の目的物を譲り受けた悪意の第三者は、前項の規定により返還する責任がある。

第748条(受益者の返還範囲)@善意の受益者は、その受けた利益が現存する限度において前条の責任がある。

A悪意の受益者は、その受けた利益に利子を付して返還し、損害があれば、これを賠償しなければならない。

第749条(受益者の悪意認定)@受益者が利益を受けた後、法律上原因がないことを知ったときは、その時から悪意の受益者として利益返還の責任がある。

A善意の受益者が敗訴したときは、その訴を提起した時から悪意の受益者とみなす。

 

第5章 不法行為

 

第750条(不法行為の内容)故意又は過失による違法行為により他人に損害を加えた者は、その損害を賠償する責任がある。

第751条(財産以外の損害の賠償)@他人の身体、自由若しくは名誉を害し、又はその他精神上苦痛を与えた者は、財産以外の損害に対しても賠償する責任がある。

A裁判所は、前項の損害賠償を定期金債務として支払うことを命ずることができ、その履行を確保するために相当な担保の提供を命ずることができる。

第752条(生命侵害による慰籍料)他人の生命を害した者は、被害者の直系尊属、直系卑属及び配偶者に対しては、財産上の損害がない場合にも、損害賠償の責任がある。

第753条(未成年者の責任能力)未成年者が他人に損害を加えた場合に、その行為の責任を弁識する知能がないときには、賠償の責任がない。

第754条(心神喪失者の責任能力)心神喪失中に他人に損害を加えた者は、賠償の責任がない。ただし、故意又は過失により心神喪失を招来したときは、この限りでない。

第755条(責任無能力者の監督者の責任)@前2条の規定により無能力者に責任がない場合は、これを監督する法定義務がある者がその無能力者の第三者に加えた損害を賠償する責任がある。ただし、監督義務を懈怠しなかったときは、この限りでない。

A監督義務者に代わって無能力者を監督する者も、前項の責任がある。

第756条(使用者の賠償責任)@他人を使用してある事務に従事させた者は、被用者がその事務の執行に関して第三者に加えた損害を賠償する責任がある。ただし、使用者が被用者の選任及びその事務監督につき相当な注意をしたとき、又は相当な注意をしても損害が生ずる場合は、この限りでない。

A使用者に代わってその事務を監督する者も、前項の責任がある。

B前2項の場合に、使用者又は監督者は、被用者に対して求償権を行使することができる。

第757条(注文者の責任)注文者は、請負人がその仕事に関して第三者に加えた損害を賠償する責任がない。ただし、注文又は指示に関して注文者に重大な過失があるときは、この限りでない。

第758条(工作物等の占有者、所有者の責任)@工作物の設置又は保存の瑕疵により他人に損害を加えたときは、工作物の占有者が損害を賠償する責任がある。ただし、占有者が損害の防止に必要な注意を懈怠しなかったときは、その所有者が損害を賠償する責任がある。

A前項の規定は、樹木の栽植又は保存に瑕疵がある場合に準用する。

B前2項の場合に、占有者又は所有者は、その損害の原因に対する責任がある者に対して求償権を行使することができる。

第759条(動物の占有者の責任)@動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任がある。ただし、動物の種類及び性質に従いその保管に相当な注意を懈怠しなかったときは、この限りでない。

A占有者に代わって動物を保管する者も、前項の責任がある。

第760条(共同不法行為者の責任)@数人が共同の不法行為により他人に損害を加えたとぎは、連帯してその損害を賠償する責任がある。

A共同でない数人の行為中いずれの者の行為がその損害を加えたものであるかを知ることができないときも、前項と同様である。

B教唆者又は幇助者は、共同行為者とみなす。

第761条(正当防衛、緊急避難)@他人の不法行為に対して自己又は第三者の利益を防衛するためにやむを得ず他人に損害を加えた者は、賠償する責任がない。ただし、被害者は、不法行為に対して損害の賠償を請求することができる。

A前項の規定は、急迫の危難を避けるためにやむを得ず他人に損害を加えた場合に準用する。

第762条(損害賠償請求権における胎児の地位)胎児は、損害賠償の請求権に関しては、既に出生したものとみなす。

第763条(準用規定)第393条、第394条、第396条及び第399条の規定は、不法行為による損害の賠償に準用する。

第764条(名誉毀損の場合の特則)他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて又は損害賠償と共に名誉の回復に適当な処分を命ずることができる。

第765条(賠償額の軽減請求)@本章の規定による賠償義務者は、その損害が故意又は重大な過失によるものでなく、その賠償により賠償者の生計に重大な影響を及ぼすに至る場合には、裁判所にその賠償額の軽減を請求することができる。

A裁判所は、前項の講求があったときは、債権者及び債務者の経済状態並びに損害の原因等を参酌して賠償額を軽減することができる。

第766条(損害賠償請求権の消滅時効)@不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人がその損害及び加害者を知った日から3年間これを行使しなければ、時効により消滅する。

A不法行為をした日から1O年を経過したときも、前項と同様である。

民法3(親族・相続)に続く。