英二は、
反射神経が良かった。
動態視力もずば抜けていた。
その事実を、
僕は口に出して確認する。
「嘘じゃないよね…?」と。
あぁ、
そこで誰かが「実は嘘だったんだ」とでも言ってくれれば、
僕はどれだけ救われた事か。
「じゃあ…何で彼は死んだ…?」
聞かされた理由は、
交通事故。
自動車の脇見運転の結果、
歩道を歩いていた英二にぶつかったらしい。
なんて馬鹿げた理由。
こんなんで彼が死ぬか?
彼は、
そんな車ひとつ避けられない奴だったか?
信じられなかった。
信じられるはずがない。
誰もが口々に言った。
『そんなはずはない』
僕は、
皆と同じように泣くなんてできなかった。
僕が泣けたのは君がいたから…。
君という魂が存在したから。
何度か教師から聞かされる君の『様子』。
顔はぐちゃぐちゃで、
誰か見分けもつかない程だったと。
酷いぶつかり様だったらしく
即死だった…と。
そして君の手帳には、
僕のアドレスだけが記されていたと。
英二
君が死んだなんて嘘だ
悪戯好きの君の事だ
きっと今回もタチの悪い悪戯だったのさ
もし君が…
本当に死んだとしたら僕は君に永遠に逢えないじゃないか
逢いたい
今はただ君に逢いたいよ
英二
何処にいるの?
君の笑顔を見つめるだけで
僕は世界一の幸せ者になれる
逢いたくて仕方ないんだ
狂ってしまいそう
どうかどうかどうか
神様この気持ちを分かって
破裂してしまいそうだ。
君が恋しい
君が愛しい
君が頭から離れない
冷静になんてなれるわけがない
こんなにも君が好きだ
こんなにも君を愛してる
こんな感情いらなかった
欲しく無かった
お願いだ
神様
僕と彼を逢わせてくれないのならどうか僕の記憶を消してくれ
君が本当に死んだと言うのなら
僕の目に焼き付いている君はなに?
英二
英二?
君は何処?
神様───
僕の願いはただ一つ。
逢わせてくれるだけでいいんだ。
話なんてしなくてもいい。
言葉なんて必要ないから。
彼に触れられなくてもいい。
君がいればいい。
彼に逢いたい…。
それだけなんだ───…。
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