・Fun to fly

 ハングフライヤーは誰しも思う。いまこの瞬間に飛んでいたい。この空を飛びたい。あの山まで飛びたい。飛ぶことが生きがいであり、飛ぶことが人生である。−−−飛ぶことにそれほどまでに心を奪われて、飛ぶことを人生まで昇華している。それがハングフライヤーである。われわれにとって飛ぶということは自由を手にすることであり、幸福を勝ち取ることである。
 心悲しきフライヤーのメッセージをお聞き下さい。

(new)
高性能ハンググライダー ある日固定翼機の夢を見た。翼巾10メートル内外のアスペクトが10以下のもので海を行くマンタのような形をしているやつだった。そいつはキールを持たず、キングポストもなく、リーディングエッジにマンタの目のような飾りがあった。乗り手は前に2本ついたコントロールバーを操作していた。単なる固定翼機ではなく、体重移動によって翼の形を変えるフレックス翼であるらしかった。L/D25以上のもののほかに、弟分に2種類いてA/S8の中級機とA/S6の練習機があり練習機はハングを始めるほんとの練習生でも乗れる手軽なものだった。 4年くらい前に見て、以来こんなものに乗ってみたいと設計とはいかにも幼稚な図面を書いているわたしです。

日本製のトップレスハンググライダー
わたしが期待を込めて設計してみる機体のスペックはA/S8.2スパン10.6 翼面積14u弱でノーズアングル130度のカーブドチップのハングである。翼端はPET等のプラスチック成形材を使用し、ウィングレットを兼ねる。もちろんキングポストレスでクロスバーはカーボンファイバーを使用する。リフレックスとカーブチップの骨にもカーボンファイバーを使用する。やや大きめの機体だが、重量は31kgを越えない。で、L/D15overを目指す。実はこのコンセプトには特別目新しいものはない。既存の技術で実現が可能なものとして、新しい日本製のハンググライダーを作りたい。というのがまず手始めの夢であるが、、、、限りなくむずかしい。
24時間飛行
パラグライダーのギネス記録には25時間を超えるものがある。柏市の医師が沖縄で記録したもので夜も吹く南東の貿易風で飛び続け仲間の声援にも助けられての大フライトであったようだ。ハングでも24時間がんばれば飛べると思う。仁尾の冬は400mの山に吹きつける風で安定したリッジがありいつまでも飛んでいられる。でも、あまり寒いので5時間くらいが最高記録。真冬はさけて11月か日の長い5月かにもまれに条件のいい日がある。そんな日で満月の前くらいに1昼夜飛び続けてみたい。以前、夕方から日没にかけて飛び、夜間飛行になったことがある。山は暗く不気味であったが、観音寺市の夜景が美しかった。仁尾の浜は干潮の頃でとても広いランデェング場だったが、そのときの月は上弦の8日か9日くらいの月で、月明かりだけでランディングするには明るさが足りなかった。近くの喫茶店の照明にたすけられた。夜飛ぶと潮が満ちてくるのが恐怖になるだろうと思う。24時間飛行、、、やってみたいけど、、、夢だね。
洋上クロスカントリー
仁尾で飛ぶと海の上にもサーマルがあることに気付く。カモメは波のリッジを使って海を渡る。でも時には空高く舞い上がって長距離を滑空することがある。その時使うのが洋上にできるサーマルである。暖かい海に乾いた冷たい風が吹けば何事も起きないはずが無い。日本海に真冬に発生するドカ雪をもたらす積乱雲、その小さいものが仁尾の海でもできている。静かに吹きつづける風が突如乱れて、上昇成分を生み雲を作って発達する。だが、いまのところ洋上400から900くらいで入ったサーマルで雲まで入れたことが無い。流されて陸に近づいて岬の先で雲に入ったりするのである。海の上ではサーマルは弱くて形がつかめない。そんなものでもクラウドストリートに沿って流せば全然高度ロスしないで距離を伸ばせる。沖合い何十km 先の島にも行けるんじゃないか?洋上クロスカントリー、夢のような話である。

No.1は誰だ
 大会はもちろんフリーフライトでも、その日誰がNo.1の飛びをしたか?ということはフライヤーには重大な命題である。No.1にはいろいろの意味の取り方があって各自で適当にお茶を濁しているわけであるが、フライヤーはNo.1にこだわっている。
 一番長く飛ぶ.....もっともっと飛びたい!体力の限り飛んでいたい。これがフライヤーの偽らざる想いである。ハングが開発されて間も無いころデュレーションという競技があって飛行時間を競ったものであるが、今はどこにも無い。しかし、フライヤーの気持ちには長く飛ぶやつはすごい!という価値観がある。
 一番速く飛ぶ.....やはりスリリングな飛びはスピードを出したときに味わえる。機体の安全性能に超過禁止速度があってどの機体もおよそ90Km/hであるが、そのくらいで飛ぶと体力も消耗するし心臓も限界いっぱいになる.
 一番遠くまで飛ぶ..日本国内のランディング場は狭い。ランディングにほぼ90%の危険があるからクロスカントリーと称して遠くへ飛んでいってしまうのには危険も犯すし、勇気も必要でなかなかゆけるもので無い。そのぶん遠くまで飛ぶということには大きな価値がある。初めての場所には自由がある。
 一番高く飛ぶ......誰が一番うまいか?単純に比べられるのが高さ競争である。自分より高いハングはよく見える。下にいる機体はあまり気にならない。高度では誰にも負けたくない。これがフライヤーの心境である。

ハイポサーミア
 上空何千メートルを飛ぶパイロットが低温、低圧、酸欠、緊張のために陥る症状で五感の低下から始まり記憶力の低下、判断力低下、認識力低下などを引き起こすというもの。航空機のパイロットだったら計器飛行などの対処で自分の感覚をとりもどそうとするだろう。ハンググライダーでは高度も低いし速度も低いのでそう極端にひどい低圧症にはかからないが、飛び始めて2時間程度を超えてくる頃から意識が朦朧としてくる。風に身を任せ、翼にぶら下がっているだけだから気を取り直すチャンスはいくらでもあるのだが、上空で低温低圧と戦うのは非常につらい。寒さは我慢できても頭が変になると我慢するでは収まらない。単純な計算ができなくて記憶が曖昧になってくると無意味に恐怖感というか不安が押し寄せてきて飛び続けることに重大な障害を感じる。場合によってはパニックにも近い状況になる。こういった身体的の壁は十分な準備によって防ぐことができる。防寒と酸素ボンベなどである。経験を積んで自分なりのやりかたで対処するしかない。