「がんばった猫息子」

「症状が出て病院へ連れて行った時は、腎臓の3/4は死んでいる」ことが多いと言われる猫の腎不全。猫息子マオにも病魔の手は忍び寄り、気が付いた時には「八方塞」の状態であった。
しかし、そんな病魔に闘いを挑み、小さな「奇跡」を積み上げ「生」をあきらめないマオ。
以下、その闘病記録ですが、同じように腎不全に苦しむ猫さんと飼主さんの参考や励みになれば、どんなにか救われます。

INDEX

病気発覚までの経緯入院及び退院後治療腎不全極末期いただいた時間

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●病気発覚までの経緯●

 猫息子マオ(15歳)を2006年夏、排尿困難から病院へ連れて行った。

 生後半年くらいの時にも「マグネシウムが尿管に詰まる」と診断され、ゴハンには気をつけてきたつもりだったが、今回は「ストルバイトが詰まって、膀胱炎も起しています」という診断。

 抗生物質で膀胱炎を治し、ストルバイト結晶を溶かし、流し、作らせないよう、療法食が始まり、それ以降、健康と思われたが、馬鹿親の勘違いから重大な疾患を見落としたのである。

◆馬鹿親の勘違い◆
(1)血液検査に安心していた:
 尿路疾患で念のため血液検査をしてもらったところ、「腎機能に関しては、老齢により若干の衰えはありますが、すべて平均数値内ですから大丈夫です。」という獣医師の言葉にすっかり油断したこと。

(2)ストルバイトケアの食事療法を続けた:
 この食事は、尿のphを弱酸性に近づけるもので、一生続けるべきものではない(特に腎不全の猫には)のに、ずっと続けなくてはいけないものだと思っていた。

(3)吐き戻し、食欲不振、ふらつき、ボケ、多飲多尿:
 毛足の長い猫ゆえ、毛玉吐きは日常的なことだと思っていた。でも毛玉が嘔吐物にないことも多く、空腹により胃酸を吐いているものだと思っていた。
 食事の好き嫌いも結構あったが、食欲が落ちたのは、「年齢のせい」だと思っていた。100%でないにしても、大好きなモンプチなら食べてくれるので、単なる「ワガママ」で食べないのだと思っていた。

 真っ直ぐに歩けない、椅子から落ちたことを「歳のせいか、筋力も落ちてふらついているのかな?」と思った。

 廊下の途中で立ち止まって考え込んでいる、動作が止まり何かしら思いフケっているのを、「歳によるボケが始まった?」と思っていた。

 多飲多尿はストルバイトケアの療養食により多少飲料が増え、排尿を促すという認識であったため、「よく飲んで出す」は、良いことだと思った、、。

(4)尿路疾患について認識が甘かった:ストルバイト結晶については、何度かの通院、おしっこ検査で良くなったと思われ、その後通院しなかった。しかし、尿路疾患が腎不全の引き金になるということを、あまり気にしていなかった。

 これらはすべて腎不全の症状。何故もっと早くに病院へ連れていかなかったのか!私は馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿親である。

◆病院へ◆
 やっぱりおかしいと思ったのは、「うずくまって動きたがらない」、「ベッドから飛び降りた際、着地点でコケたまま起き上がらない」、「そういえば、痩せて背骨がゴツゴツしてきた」、という症状からにわかに不安を覚えたためである。夏に検査してから約5ヵ月後のことだった、、、。


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●入院及び退院後治療●

 これまでも、特に老齢猫であることから半年に一度は健康診断に訪れていた。

 夏に尿路疾患で看てもらった時の血液検査が悪くなかったことから安心しきっていたが、おかしいと思って12月初旬に受けた検査では、「腎機能低下を示す値が、ぶっ飛んで正常値の4倍以上の悪さになっています、、、。この状態で、ゴハンを食べていた方がおかしいくらいです。また、いつ尿毒が体に回って痙攣を起したり、心臓発作が起きてもおかしくありません。入院による静脈点滴が即刻必要です」と、、、、。

◆入院時の血液検査結果◆
* 入院前:BUN(尿素窒素)132(正常値:20-30)、Cre(クレアチニン)9.8(正常値:1.0-2.0)でこの2つは体内の毒素を示す数値。
* 入院後1日目:BUN 177、Cre 9.6  静脈点滴をしてBUNが更に上がってしまったことに先生も驚く、、、。
* 貧血も進んでいる事が分り、造血ホルモン注射も週3日打つことになる。
* 大きな治療効果が望めず、退院させた時は、BUN 146、Cre 8.5。BUNに関しては入院時より悪い。造血ホルモンを打てども貧血はひどくなり、獣医からは「どこかで折り合いをつけても、、」と言われた、、、。
* その後、ゆるやかな改善はあるものの、劇的な改善はみられず、2007年1月6日を最後に、血液検査を行っていない、、、。最後の値は、BUN 81、Cre 6.2。

◆入院治療◆
 入院から4日間、24時間静脈点滴(水分や吐き気止め、ビタミンを静脈から体内に循環させ、尿毒症を抑え、脱水を防ぐ)で劇的な効果が期待できず、前足の静脈血管も4日後に詰まり出した。
 食事も最初は、「人知れず」病院食を口にしていたようだが、その後食べなくなり、強制給餌されても規定量の1/8程度しか食べないという。
 朝晩、病院へ面会に行き、血液検査結果を聞いては落ち込み、私のあとを追うように、診察台から飛び降りようとして帰りたがるマオを見ては泣き、が続いた。もう自分自身がマオに何もしてやれない苛立ちなどで限界に達していた。退院前、病院へ行く途中、自分が胃痙攣を起す寸前だった。

 この頃、あらゆるネットサイトで腎不全について調べていたので、自宅看護で、出来るだけのことをする心の準備もできていた。点滴液が漏れ始め、点滴を続けるには他方の前脚、後ろ脚、首筋の静脈に針を差し替えると説明を受け、退院させる決意が固まった。

 獣医にも「病院で効果が出ないことを続けることに意味がないので、自宅で看てあげてください。」と投薬、療法食について指導してもらった。

 家へ戻ったマオは、ノドを鳴らし、甘え、室内の自分のテリトリーをゆっくりと偵察してまわった。やっぱり自分の家が一番!

◆退院後の看護◆
*保温、加湿*
 12月ということもあり、床暖房を24時間フル回転。しかし部屋の乾燥は良くない。さっそく加湿器(VICKS)を購入!猫息子も興味津々。また、出勤せねばならない日に隔離できる部屋にと、ほんわり暖まる遠赤外線パネルヒーター(光熱費の安さから、スペイン製の「ソルビエント」なるもの。小さい部屋では十分暖まる)を購入。可愛い猫息子のためだ、、、これくらいの出費、い、痛くない!

*ストレス・フリー*
 強制給餌、投薬など嫌な思いをさせた後に隠れることができる「逃げ場」を用意(脚付きアイロン台の上に布をかけて、簡易隠れ家にしたところ、気に入ったようだ)。

*観察日誌*
 「おぼっちゃま」の様子を見逃さぬよう、布団を持ってきて一緒に寝る生活が始まった。病状の変化を書き留めるためのノートも用意。オシッコの回数、水のみ回数、ゴハンの量、呼吸など細かく記録した。

*投薬と療法食*
 腎不全は厄介な病気。壊れた腎細胞は二度と再生しない。残された腎機能を「騙しながら」疲れさせないようにしていくしかない。また、同時に体内成分(特に電解質)のバランスを保つこと、貧血が進んでいれば改善させる事等、バランス良く治療せねばならない。
 マオの場合、血液検査から(数値記述は省略)リンの値を下げる粉薬、余分な老廃物は吸着して便として排出させるための活性炭(コバルジン)、心臓に負担をかけないように血圧を下げ血流を良くする薬が処方された。
 療法食は、Hill'sのk/dという腎不全猫用にバランス良く配合された猫缶。

*強制給餌*(ブログ記事にイラストで説明しています。)
 とにかく、投薬と、ゴハンを徹底せねば!と、不味そうで自分からは決して食べないマオに「強制給餌」を開始。

(回数と量)
慣れないうち、食欲のない時は、とにかく回数で量をかせぐしかないと、2時間おきに、まずは必要量摂取量の半分を目標にした。
 えづかせずに食べさせるのは難しいが、吐き戻さなければ、躊躇せずに与えた。とにかく食べないことには体力回復もありえないと信じていたので、少しずつ量を増やし、回数を減らし、1ヵ月後には、35gを5回にし、必要摂取量をクリア!
 なお、粒状のコバルジンは出来るだけゴハンに混ぜた。リンを抑制する薬もゴハンに混ぜ、その場合、コバルジンは1時間後に、水に入れ、スポイトで上手く吸いながら与えた。

(給餌方法)
★ 病院でもらったシリンジ(注射器の針のないもの):
 お湯で伸ばしたk/dを入れてみた。しかし口の中で勢いよくブシュっと出すぎで、マオが驚いて逃げるので止め。
★ 練り団子:
 自分の指にギリギリ形をとどめている位の柔らかさにお湯で溶いたk/dを、口をこじ開け練りこむ。指を入れた手を抜こうとすると食いしばる、、、。うーん、指ボロボロ!
 練りこむ位置は、口の中の上部(洗濯板みたいなヒダヒダの部分)がベスト。舌の上だと、上手いこと練り出してくれる。
 でも、指で無理矢理こじ開ける際、マオの食い縛りも強く、それでも無理矢理こじ開けていたせいか、マオの顎に負担が相当かかったようだ。2週間もすると、アクビでも大きな口があけられない、、、。顎関節症か、、、。うーーむ。
★ スポイト(ホームセンターで購入):
 長さ15cmくらいのスポイトの先端が5mm径になるくらいに切り、切り口に合うラバーチューブ(同じくホームセンターで購入)をはめた。口の横のヒダヒダから少しk/dを押し出すと口を開くので、えづかない程度までスポイトを入れ、やや上目にして押し出す。結構うまくいった。練り団子より柔らかくしてk/dをあげられ、ノドの通りも良さそうだし、大きく口を開けさせなくてもOK。なお、スポイトは粒があると詰まりやすいので、すり鉢でポタージュ状にするのがベスト。 
★ 油注し(ホームセンターで購入):
 あるサイトで紹介されていたので、手の平に収まる小さいサイズの油注しを購入、注し口を5mm径になるように切り、やはりラバーチューブを被せる。 いよいよ液状でなければいけない時に、使いやすい。(寝たきりになった時に使用。)

*皮下輸液*
 背中の皮を引っ張りあげて出来る空洞に、輸液を入れる。これを「命の水」と呼んでいた。命の水は、ゆっくりと体内に吸収され、オシッコとして外に出される巡回水の役目だ。脱水を防ぐ目的もある。

 通院の際、輸液を病院でお願いしていたが、マオは水の吸収代謝が良くなかったので、体重に見合う量を入れていたら、体が浮腫み、エコー診断により、お腹、胸に水が溜まってしまった。このため一時輸液を止めざるを得なかった。

 胸に水が溜まる、、、。これにより呼吸困難、呼吸不全となることを聞いた。水を抜く事はできるが、その処置の最中にショックで逝く危険もあるという。あえて危険な選択はできず、他にできることを聞いた。「呼吸困難になると相当苦しみますが、その苦しみを看取ってあげてください。」といわれた。ショックで体が宙に浮く思いだった。

 病院で何もできないなら、私が何とかしてあげると、嘔吐がない分強制給餌に励んだ。最初のうち、呼吸は荒かったものの、ゴハンの量も増え、呼吸も安定。歩き回ることも多くなり、再び病院で看てもらうことにした。体力が回復し、代謝が良くなったのか腹、胸の水が引いてきて、皮下輸液を体重に見合う半分の100ml/日を自宅で点滴できるよう指導を受けるまでになった!

 最初の5回までは、皮下への針刺しが上手く行き、「私、病院で雇ってもらえるかも?」と思っていたが、マオが痩せていくにつれ、皮の伸びも悪く、針を刺す位置もわかりづらくなり、輸液が漏れ出すように、、、。そうなると一度も成功せず、トラウマに。病院へ連れて行き、私の点滴のやり方を見てもらった。針刺しの方法は間違っていない。針が刺さったことを毛をかきわけ確認し、針(羽のついた翼状針)の羽の部分をしっかりテープで止めるよう指導してもらった。

 その後、何度か失敗(ちゃんと刺さっていない、液を早く入れるよう圧力をかけすぎ、針が抜けていた等)もあったが、輸液もマスターできた。

 胸に水があったころ、輸液を1週間あきらめた時、輸液が失敗した日は、輸液の成分に近いポカリスエット(人間用なら2倍に水で薄め)を与えていた。

*増血ホルモン注射*
 入院時から貧血が進んでいたので造血ホルモン注射を続けた。輸液する分、血も薄まるという、なんともそのバランスに悩みながらの投与だ。

 約3週間投与してもPCV(血の濃度を示す)が上がらず、投与時PCV 23だったのが逆に16まで下がる。「悔しいですが、効果がなければ折り合いをつけることも、、、」と先生は言うが、あきらめきれずに、「もう1週間続けて効果がなかった場合考えると」、食い下がった。また、ペットチニックという造血シロップ(鉄やビタミンなど、造血の補助となる)をインターネット通販で購入し、服用させてみた。

 継続から1週間後の血液検査でPCV 19まで回復!どーだー!あきらめちゃいけないんだ!

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●腎不全極末期●

 どこからを極末期とみるか、、、。看護する方は、極末を認めることができない。入院した時から「病気持ちでも長生きできる」と信じたいものだから。しかし、覚悟は必要。あきらめるのではなく、どうしたら「あちらの世界」へ無事に送り出してやれるかを考えるようになる。

 血液検査のBUN、Cre、体内たんぱく質量、リンの値、血液濃度のデータから投薬、輸液、食事療法を続けてきた。マオの様子は、だいぶフラついてはいるものの、自分のテリトリーを偵察する、自力排泄する、自分からゴハンを欲しがる、ビニール袋をシャリシャリ舐めて噛んで遊ぶ、椅子や机の上に乗ることができる、甘えてくれる等々、入院前の状態に戻っていくような気がしていた。しかし、それがある日急変する。

 退院から約1ヶ月、正月を一緒に迎え、年初めの血液検査でも悪いながら改善の兆しが見え、病院でも「造血ホルモン注射も続けましょう」と皆、明るく前向きな気持ちであった。しかし、病院から帰宅したマオの歩行がおかしい。立ち上がるのも上手くいかない、、、。右半身が思うように力が入らないようだ!数時間後には、寝返りすら自分で出来ない、、、。貧血は多少良くなっているのに、何故?神経麻痺?

 翌日は造血注射の日だったが、とても病院へは連れて行けない。もう自分では立てないどころか、息が荒い。そして始まった、悪夢の半日が。

(チアノーゼと嘔吐)
 自分で起き上がれなくなってから、ズーズーというイビキが、ゼーゼーと喘息のような呼吸に変わる。そして激しくお腹を動かし、2,3度嘔吐、呼吸が一瞬止まる。そしてスハー、スハーという呼吸に変わる。これを30分から1時間の間隔で繰り返す。チアノーゼだ。鼻も口の中も紫色。舌は口からはみ出し、時折苦しそうにのけぞる以外、微動だにしない。嘔吐物は胃液から、最後には唾液溜りのようなもの、、、。グォオオと吼えるように大きく息をする。今までに見た事のないような、阿修羅のような形相だ。

 口を湿らせてやろうと含ませた1滴の水すら、嘔吐の呼び水となった。もう水すら飲めない。
 これが「相当苦しむ」と言われていたことなのか?だとしたら、もういいから、苦しまないで。発作が起きる度に「だめ、苦しまないで、あちらに逝きなさい!」と叫んでいた。

 半日で5回のチアノーゼ、苦しんだマオ。もうダメだと思っていたのに、スースーと静かに眠っている。奇跡の生還なのか?

(アーン、宇宙遊泳)
 チアノーゼを繰り返した翌日は、これまでもほとんど鳴かない子だったのに、「アーン」と鳴く。私の姿が見えないと呼んでいるようだ。頭を撫でて、「ここにいるよ」と話し掛けると「アン、アン」と短く鳴いて、ノドを鳴らす。そーかそーか不安なのか、、、。

 「アーン」が続く中、もう、自分では寝返りさえうてないはずのマオが、知らない間に180度回転している。「え?」と思っていたら、横になりながら手足を前後に動かし、猫カキしながら移動している、、、。行き先は、水のみ場とトイレの方向、、。

 最初、「アーン」の意味がわからなかったが、どうやら「水飲みたい!」「おしっこもらしちゃった!」という合図だったのか、、、。それにこちらが気がつかなかったので、自分で行動を起したってわけね!

 そのうち、生まれたばかりの子牛がヨロヨロ立ち上がろうとするように、脚を立てようともがく。その様子は宇宙遊泳をしているみたい、、、。箱座りできるのかと補助してやるが、やはり無理。でも、オシッコ垂れ流しは嫌!スポイトでの水飲みも嫌!とばかり、宇宙遊泳を繰り返す。何度やっても上手くいかない。介助してやってトイレでおしっこ、水も水鉢から飲めるよになる。

 また小さな奇跡を生むのかと期待していまう。しかし宇宙遊泳に疲れた後は、ぐったりと眠るのだが、耳、手足、まぶたが小刻みに動く、、、。尿毒が脳にもまわっているのか。目はほとんど見えていないだろう。瞳孔の動きがほとんど見られない、、、。

 病院へ電話をした。皮下輸液をすべきか迷ったためだ。もともと代謝が悪く輸液の量を150mlまでしか増やせなかった。水も食事も受けつけない今となっては、輸液がまた胸に溜まる可能性を示唆された。また針を刺すことでストレスから痙攣や心不全を起す場合もあると。「劇的な回復がない限り、もう病院へは連れて行きません。自然にいこうと思います。これまでありがとうございました。また御報告に上がります、、、。」と、先生に告げ、電話を切った。やることはやったのだ。あとは天命を待つだけ、、、。

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●いただいた時間●

 最後に血液検査を受けたのは2007年1月6日。翌日に、「あちらの世界へ」脚を踏み入れたマオ。立てずに、1滴の水さえ受けつけなかったその1週間後には、立って、自分の足で歩き、自分からゴハンを食べている。排泄だって上手にできるし、椅子の上へジャンプし、食卓テーブルに登って、叱られるまでに回復したのだ。

 フラフラしながらも、これまでの日常を繰り返し、1日1日を生きている。なんという生命力、、、。いや、小さな奇跡を自分の体の中で起こしながら生を繋いでいるのか、、、。とにかく「我家のミラクル・マオちゃん」なのだ。

 「きっと、あちらの世界覗いてみて、よっぽど怖かったから、戻ってきたんだよ」と家族で話しているが、それも間違っていないのかもしれない。よしよし、まだ私達と一緒にいようよ。

 とりあえず、お世話になっていた病院へ「最低限、コバルジン(活性炭)は続けたい」と要望を伝えに言った。獣医さんも「最後の血液検査の結果は、異常に悪いものではなく、痙攣が起こるとしたら、もっと、ヒドイ数値のはず。でも、数値だけでは語れない事も正直あり、マオちゃん自身が、生きるために、体を自然にコントロールしているんでしょう」とおっしゃってくださった。再度、血液検査をしてみることも勧められたが、今は、ストレスを与えたくない。薬だけいただけるとのことなので、「連れてこれるような状況でしたら、、、」と言葉を濁した。

 「残念ながら同じ腎臓病と闘っていて亡くなってしまった猫ちゃんの飼主さんから、大量に買った療養食を寄付して下さいました。マオちゃんの口に合うかもしれないので、よろしかったらお持ちください」と、ウォルサムのウェットと、パウチを少々いただいた。亡くなったその猫さんの分まで長生きしよーよ!

 入院した頃は、「是が非でも私が助けてやるんだ」と息巻いて、ほとんど眠らずにゴハンを与え続けた。半ば無理矢理に。でも、今は自然のままで行こうと決めた。マオ自身の生きる力を尊重し、生きる補助をしてあげても、もう無理はさせないと。それが、マオの望む「生」だと思うから。少しでも長く一緒にいさせて頂けることを、「神と呼べる」何かに感謝するだけである。(2007年1月30日)

 そして、2007年4月。ウソだと思えるくらいの食欲に、更なる奇跡を信じていた頃。水のみの際に、何故か「ニャニャ」と鳴くようになった。そして食欲が次第に落ち、ある日の晩、異常に「水」に執着するように、お風呂場、洗面台と「水の出る」場所を求め徘徊、何かを訴えるように鳴くマオ。それは一晩中続いた。翌日も相変わらず、水を求め鳴き続けると同時に、脚がかなりフラつくようになった。

 「ボケたか?」と思いつつも様子を伺って3日後には、とうとう立てなくなっていた。

 それでも水が欲しいのか、「ファー」と鳴く。スポイトで水を垂らしても、さほど飲みたがらない。どうして、、、、?

 一晩中鳴き続けた日から5日後の晩、シーツの上で排尿。排便も試みたマオ。「気にしなくていいから、自由にしなさい」と励ました直後、「始まって」しまった。

 あの忌まわしいチアノーゼの症状が出始めた。もう2日も食べていない、水も少量しか飲めないので吐くものは何もなく、嘔吐の仕草だけ。しかしまた鬼のような形相で苦しむ。一瞬呼吸が止まった、、、が、大きく深呼吸を1回。また呼吸が止まる。15〜20秒すると深呼吸を1回。それを数回繰り返したろうか、、。段々深呼吸が小さくなってくる。

 そして、数分後だろうか、最後の小さな深呼吸、、、ゆっくりと15歳と10ヶ月の生涯を2007年4月12日20時12分に閉じた、、、。

 あっけなかった。あまり苦しまなかっただろうか。立派だった。愛しかった。叫びに近い声で鳴いた。突然だったような気もするが、1月初めの悪夢の日から毎日覚悟もしてきた。でも、そんな覚悟はもろくも崩れた、、。

 「キレイなうちにお骨にしてもらおう」と動物霊園に予約を入れた。冷静なんだか狂っているのか自分でもわからない。確実に固くなっていく猫息子を見ては絶叫する。そして落ち着く。その繰り返し、、、。ウソのように穏やかで、今にも大アクビをして、「よく寝たよ」って起きてきそうなのだ。

 逝ってしまった直後に、毛玉を取ってやり、毛並みを整え、いつも寝ていた籐かごに入れ、抱えて寝た。1日時間をもらったが、眠っているだけにみえる猫息子の現実の姿を目の当たりに嗚咽が止まらない、、、。

 お骨にしてもら日、予約時間の2時間前に、もう一度、腕に抱いた。ウソ、、、あんなに硬直していたのに、やわらかい。毛並みもフサフサ。やめて、、、別れられない!意を決して、かごに戻し、花で飾ってあげた。かわいい。ただ可愛い。

 お寺までの道のり、私の職場の前などを通り「ここで仕事してるんだよ」と教えてあげた。いつも留守番ばかりだったもんね。抱えた猫息子は、だんだんカワイさが増してくる、、、。

 お寺でキレイに焼き上げていただいた。思ったより細い骨、、。「最後にシッポの骨とノド仏を納めてください」といわれ、小さく可愛いシッポの骨を見て、猫息子の一生を見届けた気持ちになった。

 最初は情報や医師の言葉に翻弄されてはいたが、最後は、私と猫息子の信頼関係によって「貴重な生をまっとうした」のではないかと思いたい。一度、あの世に渡りかけて、3ヶ月も一緒にいてくれた猫息子よ!あっぱれだ!でも、、、でも、もっと一緒にいたかった。私は無宗教ではあるが、動物の死を丁寧に扱ってくれるお寺で火葬をしてもらった=猫息子を仏式で送った。「49日が過ぎるまでは、この世でついた垢を落とす修行をします」と、お経を読んでくださった僧侶の言葉は、私自身の修行の始まりにもなりそうだ、、、。

 悲しみが癒えるかどうかわからないし、見送った後、ヤケクソに半分、酔っ払っている私ですが、忘れないうちに、今の気持ちを言葉にしたいと思い綴りました。応援してくださった皆様に感謝、そして何よりも、マオに「ありがとう」。(2007年4月14日22時15分)


(追記)
 老齢とともに、授かった肉体を消耗して「腎不全」となるように、腎不全は長生きの証拠というとらえ方ができよう。しかし、この闘病を経験した3年後、新たに家族となったサヴィが、3歳という若さで結石による慢性腎不全となった。
 私は「若いサヴィの腎不全」という新たなケースに狼狽している。しかし、マオの闘病と死を乗り越えた自信は、サヴィへの看護に繋がっていると信じたい(ブログ「3歳で腎不全?」をご参照あれ)。

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