地上(ここ)より永遠(とわ)に From Here to Eternity
公開:
1953年
地上より永遠に
製作:
コロムビア・スタジオ

バディ・アドラー
監督:
原作:
ジェームズ・ジョーンズ
脚本:
ダニエル・タラダッシュ
撮影:
バーネット・ガフィ
音楽:
ジョージ・ダニング
出演:

第二次世界大戦直前の1941年のホノルル米軍基地。かつてボクシングで親友を失明させたラッパ手のプルウィットが配属される。ボクシングに夢中の中隊長は、隊のボクシング・チーム入りを条件に下士官への昇進をオファーするが、公正な待遇を望んだプルウィットはチーム入りを拒否する。 中隊内で孤立し、上官から執拗ないじめに遭ってもくじけないプルウィットだったが、唯一の親友マジオの死を切っ掛けに破滅の道を歩みはじめる。 真珠湾攻撃前のハワイの米軍基地を舞台に、階級制度や軍隊生活の過酷な現実を暴いたベストセラー小説の映画化。

戦前のアメリカ陸軍を批判したジェームズ・ジョーンズの同名小説は出版されるとセンセーションを巻き起こし、二つのスタジオが映画化を試みたが、様々な問題に阻まれて実現できずにいた。 この小説に惚れ込んだコロムビア社の社長ハリー・コーンは、軍が撮影に協力してくれるかどうかも問い合わせずに多額の金を支払って映画化権を獲得。 脚本にはダニエル・タラダッシュが起用され、監督にはタラダッシュの推薦で『真昼の決闘』(52)で高い評価を得たフレッド・ジンネマンが抜擢される。 国防省はこの小説の映画化は陸軍のためにならないという理由から撮影への協力を断るが、製作者のバディ・アドラーの説得によって脚本の一部を変更することを条件に撮影に協力することを承諾する。 そのため、営倉内でマジオが受ける野蛮な扱いは映画では削除され、プルウィットにボクシングをさせるために卑劣な手を使うホームズ大尉が、最後には少佐に昇進するという原作の皮肉に満ちた展開は、陸軍ではそんなことはありえないという理由から大尉が退役するか軍事法廷に出廷するかを選択させられる場面に変更された。 コーンは主役のプルウィット役にアルド・レイを望んでいたが、ジンネマンは48年の『山河遥かなり』で一緒に仕事をしたモンゴメリー・クリフトを推薦。コーンは兵士にもボクサーにも見えないクリフトの起用に最初は猛反対したが、考えを改めてクリフトに脚本を送り、最終的に彼をプルウィット役に抜擢する。 クリフトはボクシングの経験もなく軍隊ラッパの吹き方もしらなかったため、軍隊ラッパの第一人者マニー・クラインから指導を受け、ホノルルの兵舎で長時間の銃剣の訓練を受けて役作りに臨んだ。 曹長役にはぴったりのイメージを持つバート・ランカスターが起用され、大尉の妻カレン役には妖婦役を得意とするジョーン・クロフォードが候補に上がり、彼女は衣装についての打ち合わせを始めていたが、ジンネマンは役とは正反対の上流階級出身のイメージを持つデボラ・カーを抜擢。新しい役柄を望んでいたカーも出演を快諾する。 クラブで働く野心的な女性ローリン役にはコロムビアの契約俳優ドナ・リードが選ばれ、原作では売春宿だった彼女の仕事場は検閲を考慮してクラブに変えられ、仕事もホステスになった。 マジオ役にジンネマンはスクリーン・テストの結果が素晴らしかったイーライ・ウォラックの起用を考えていたが、彼はエリア・カザンの舞台劇に出演が決まっていたために出演は不可能となる。 当時歌手と俳優の両方でスランプに陥っていたフランク・シナトラは脚本を読んでマジオ役にほれ込み、出演を懇願する電報にはマジオとサインしてジンネマンやコーンらに自分を売り込む。その熱意が買われてシナトラは役を手に入れるが、コーンはわずか8000ドルのギャラしか支払わなかった。 この映画の成功によってシナトラの人気は復活するが、彼は常にマフィアとの関係が噂されていたため、マフィアがスタジオに圧力をかけたのではないかと噂された。 コーンはこの噂をきっぱりと否定したが、小説家のマリオ・プーゾは69年に出版したベストセラー小説『ゴッドファーザー』に、この頃のシナトラをモデルにした俳優を登場させてシナトラの怒りを買った。 主な撮影はハワイの陸軍の協力のもと、映画の舞台となるハワイで三週間にわたって行われ、真珠湾攻撃時に爆撃されたスコフィールド兵舎などで当時の模様が再現された。 水着姿の写真撮影時に「ティアラ(髪飾り)なしでは裸のような気がするわ」というコメントを残したカーとランカスターが熱いキス・シーンを披露した有名な浜辺シーンの撮影は、ホノルルに近いダイヤモンド・ヘッド近郊で撮影され、 打ち寄せる波と撮影のタイミングを合わせるのが難しく撮影には時間が掛かったが、映画が公開されると撮影現場はハワイの観光スポットの一つとなった。 しかし、ブーリン・オフィスはこのシーンをセンセーショナルすぎるとみなし、4秒分の削除を命じただけでなく、広告やポスターにこのシーンの写真を使うことを禁じた。 コーンは映画の成功を確信し、大掛かりな宣伝活動も行わずに映画を公開するが、彼の予想通り批評家と観客から絶大な支持を集めて大ヒットを記録する。 第26回アカデミー賞では最多の13部門にノミネートされ、作品、監督、助演男優(シナトラ)、助演女優(リード)、脚色、撮影、録音、編集賞の8部門を獲得しただけでなく、カンヌ映画際では特別グランプリを受賞した。


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